掲げるのはラブソングならぬ“ライフソング”。人生の機微を描いたデイドリーミングなポップソングの数々が再生と同時に押し寄せるこの幸福と、驚くべきクオリティとクリエイティビティに途切れることなく満たされるこの興奮。海外の新旧の音像を巧みに取り込みながら、タイムレスで美しい歌謡のメロディラインを見事に一体化させた黄金配合で、群雄割拠のバンドシーンで異彩を放つ仙台発の“ニューレトロ”バンド、ANTENAの1stフルアルバム『風吹く方へ』。そして、そのリリースツアーを前にしながら、新型コロナウイルス禍により先の見えない日々が続く中、彼らは完全受注生産期間限定盤シングル『All right, good night』の制作に着手(※5月1日(金)11:00~31日(日) 17:00
)。未曽有の困難を前にしても、4人の創作の手は止まることはない。そんなANTENAから、ファルセットを駆使した独自の歌唱法と高いソングライティング力でバンドを率いる渡辺諒(vo&g)が、自らのルーツと挫折と逆転劇、そのドラマの目撃者たるフォロワーへの感謝から、音楽家としての信念までを語る、インタビュー決定版をお届け。この素晴らしき音楽が世に鳴り響く、そう遠くない未来を心から願う――。
――最初にANTENAの存在を知ったのが’14年の『MINAMI WHEEL』の特集 で、『見放題』実行委員会のDai-changがオススメ していて。当時は割とオーソドックスなギターロックバンドの印象だったんで、今回改めて取材するとなって『風吹く方へ』を聴いてビックリして。それぐらい、ちょっとどこにもない音を鳴らしてるなと。
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「ずいぶん変わりましたからね(笑)。最終的にポップスでありたいとは思ってるんですけど、そのサウンド面とかでは誰もやっていない“ANTENAなりのJ-POP”を作りたいと思うようになりました」
――インディーズの頃に“誰にでも言えることはもう今の時代には届かない”と指摘されて、ANTENAの独自性みたいなものがガラッと変わったと。それは音にも通じることだと思いますけど。
「それこそオーソドックスなギターロックをやってた’14年の1年後ぐらいから、お客さんが明らかに減り始めて。自分たちは当時レーベルの育成枠だったんですけどそれも外れちゃって、多分このまま俺たちは終わるんだろうなと思って。でも、“どうせ終わるなら、自分たちが好きなことをやって散ろうぜ”っていうスタンスで(笑)、シンセサイザーを入れていったんですよ。そうしたら、またちょっとずつ動員が上がっていって。そこから、“周りがこうだから”とか、“バンドってこういうもんだから”って合わせるんじゃなくて、“俺たちにしかできないことがきっとあるはずだ”って、自分たちのルーツとかを取り入れて、ちょっとずつ追求していったんですよね」
――ブログ にアルバムの収録曲についてインスパイアされた音楽を挙げてくれてましたけど、このサウンドが生まれたそもそものルーツが何なのか、めちゃめちゃ気になってました。
「最初は歌謡曲から入って、うちの父ちゃんがずっとキャンディーズとかを車で流してたので、ベッタベタな昭和アイドルの楽曲とかも好きだったんですよ。そこからフォークソングとかを聴いていくうちに、フレンチポップに流れていった時期が(笑)。昔のフレンチポップって味付けが昭和歌謡のアレンジと似てるところがあって、妙に引っかかったんですよね。まずはシルヴィ・ヴァルタンとかフランス・ギャルとか古いところから聴いていって、ダフト・パンクとかのフレンチ・エレクトロへ…ヨーロッパのシンセサウンドが気持ちいいぞって。ただ、いかんせん周りのバンドマンはそういうルーツじゃないから(笑)」
――確かに、メジャーデビューしたアーティストにインタビューしてても、みんなが最初にコピーしたとか、世代全体に、カルチャーにまで影響を与えたバンドって、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとかELLEGARDENが最後ぐらいで、シンガーソングライターだったらゆずとかYUIとか。あとはもうどんどん細分化してるから。
「そうですよね! いやもう周りはみんな“アジカンとかエルレを聴いてギターを始めました”みたいな人ばっかりだったんですけど、こっちはブリジット・バルドーの暗いメロディを単音で弾き始めてますから(笑)。そこからコードを弾きたくなって、同級生が歌謡曲全集を持ってたので、スピッツの『チェリー』(’02)とか、ちょっとずつJ-POPの弾き語りをやっていって。スピッツとかMr.Childrenを改めて聴き直したとき、フォークっぽさもあるけどバンドサウンドもあるし、こういう形態もあるのかって衝撃だったのはありますね」
――さっき、“ANTENAなりのJ-POPを作りたい”と言ってたじゃないですか。音楽性的にも別にJ-POPじゃなくてもいいと思うんですけど、あえてそう言ったのが興味深いなと。
「洋楽も好きだし、いろんな音楽を聴くんですけど、J-POPの歌謡曲のメロディラインってどう考えても美しくて。J-POPと名付けるぐらいだから、他の国とは絶対的に造りが違う。これをグローバルなサウンドに乗せたとき、むしろ残していった方が戦えるぞって思ったのもあるし、最終的に俺たちはTVの向こう側の人たちにもアプローチしていきたいと思ってるので、やっぱり歌がちゃんと残る、J-POPというところで勝負したいなと」
――そのバランス感覚はすごく面白いですね。あと、ファルセットを駆使した歌唱法もかなり特徴的で。
「昔はもっと声を張り上げてたんですけど、“もっと丸いままの方が絶対にハマるよ”ってボイストレーニングの先生が教えてくれて、地声で出るところも全部裏声で歌って練習してたら、自然と地声と裏声の境目がなくなっていって。ミックスボイスという声の出し方なんですけど、息の吐く量で地声っぽくもファルセットぽくも聴こえさせられるという。元々声域は広かった方だと思うんですけど、もっと広がってくれたのでよかったなと。今はいろいろと楽しみながら試せてるのはありますね」
――とは言え、いろんな挫折も経験もした状態でようやく’17年にメジャーデビューを果たしたものの、その翌年の’18年には一時的に活動休止期間を迎えて。
「デビューしたもののやっぱり周りにはANTENAみたいなサウンドにメロディを乗せてるバンドがいないし、当時はそれがまた不安になっちゃって…。言ったら、ANTENA自体がお手本になるようなジャンルを作ろうとしてるのに、自分たち自身がどうなっていけばいいのか、だんだん見えなくなってしまって。何かちょっとヘンだな、みたいな違和感が増えていって一旦、お休みをいただいたんですけど。翻弄されちゃったんだと思いますね、やっぱり。でも、『深い 深い 青』('19)から景色がまた変わり始めましたね」
――ちゃんとそこを脱せて、進化したサウンドを作れた。ただ、『深い 深い 青』は復帰後初の作品でいろんなストーリーを背負わざるを得なかったと思いますけど、今作は北海道から帰るフェリーの上でコンセプトが浮かんだと。
「その北海道のライブのちょっと前に『深い 深い 青』のツアーがあって、休止前よりお客さんが増えてたことに結構驚いたんですよ。北海道の帰りに、次は自分たちがこうやって待っててくれた人たちと、また新しく出会ってくれた人たちを改めて先導して、いろんな景色=未来を観せていきたいなと思ったんですよね。あと、その北海道のライブしかり、俺たちが行こうと思っただけじゃなくて、呼んでくれる人がいたからこそ行けたのもあるから、そういうふうに一緒に音楽の旅をしてもらえたらいいなっていう漠然としたコンセプトが浮かんで」
――“お手本にならなきゃ”と翻弄されてたときとは全然違うクリアな視界がありますね。
「何だか風通しがいいというか、ポジティブな空気があって。そうなれるぐらい、自分たちのスタンスでライブをしたときに振り返ってくれる人が増えたんですよ。それで、“俺たちはこれでよかったんだ”って安心できたのもあって、“俺たちは俺たちの生き方をこのまま貫いてみよう”っていうモチベーションにもつながったんだと思いますね」
俺たちを見つけてくれて、一瞬でもいいと思って時間を費やしてくれた
ANTENAの沼にハマってくれた事実を、その人の黒歴史にはしたくない
――近年の作品は毎回 1曲目は プロローグ的な位置付けのインストでしたけど、今作の『光』(M-1)にはボーカルが入っていて、すごく印象的な始まりですね。
「ポジションとしてはいつものインストと同じように1、2曲目がつながってるものにしたかったんですけど、今回はまたちょっと違ったアプローチで声を入れてみようと。夢の中で“起きなさい!”って言われるような(笑)、お告げみたいなプロローグを作りたいなって。民族音楽とか教会音楽、ケルト音楽とかを今も勉強してるんですけど、エンヤみたいな要素を入れられないかなと。歴史ある曲たちをどう料理して新しい音楽に変えていくかが、今を生きるアーティストの面白さだとも思うので、このアルバムを通していろんな振り幅の楽曲を作りたいなとは思ってましたね」
――言わば、歴代のポップス史の全アーカイヴが料理の素材になるというか。
「そうなんですよ。だって、歴史をたどれば名曲だらけですから、おいしい素材がいっぱいあるぞっていう(笑)。あと、サブスクって昔の音楽も今の音楽も1つのものとしてまとめて聴けちゃうから、古さとか新しさはそんなに関係なくなってきて。お客さんも多分そうだと思うんですけど、もっと大きなくくりで“この曲いいね!”って純粋に言いやすくなったのかなって。でも、そういう音だから、いつも対バンに誰を呼んだらいいかが難しくて(笑)」
――ただ、ANTENAの交友関係を見てると、普通にフェスとかにも出てそうな、邦楽シーンにおいて極めて王道のフォーマットにのっとってるバンドもまだまだ多いですよね。
「元々ANTENA自体がその畑にいたのもあるので、’14〜’15年頃までの印象で止まってる方もいると思うし、先入観もあると思う。ただ、そういう意味でも、今のANTENAのスタイルを貫いてライブをやっても、いいと言ってくれるお客さんが増えてきたことが、1つ自信になったというか、それはすごく嬉しいなと」
――今作からは別れに対する畏怖を感じるというか…それは=出会えたことへの感謝が大きいからだなとも。
「“出会っちゃった”って最近よく言ってるんですけど(笑)、バンド歴が長くなればなるほど、出会った延べ人数だけで言ったら、もうとっくにZeppワンマンを埋められてるぐらいだと思うんですよ。でも、一度ANTENAを好きになった人たちもライブに来なくなったり、観てもピンと来なかった人たちもやっぱりいるわけじゃないですか。そういうふうに去っていく姿は自分たちでもやっぱり分かるし。出会った全員に“このバンドを信じたい”と思わせられたら嬉しいですけど、やっぱりなかなかそうはいかない。それでも、まず俺たちを見つけてくれて、人生のうちの1年間でも、1ヵ月でも、1日でも、一瞬でもいいと思って時間を費やしてくれた、ANTENAの沼にハマってくれた事実を、その人の黒歴史にはしたくないので。そういうところも含めて、“あなたがもしANTENAを好きになってくれたら、これからはもう離れさせないぞ”っていう意気込みもこのアルバムには入ってると思いますね」
――そして、今作のライナーノーツには、人生に“「答えなんかない」という「答え」を出しています”とあります。
「今までは1つ1つの作品ごとに白黒答えを出そうとしてきたけど、結局、振り返ったときに初めて何色だったか分かることばかりで。だったらこれからは、その答えなき道をまっすぐ歩いていくだけだなと。でも、“きっといい旅になる”みたいな根拠のない希望を信じられるのは、それを自分たちでちゃんと経験してきたからなのかも」
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――そういう答えのない道に向かって、『風吹く方へ』(M-11)だったら“ラララララ~♪”と歌いながら歩いていく。今作において随所に散りばめられた“ラララ”ってキーワードな気がしていて、そもそも普段は言わない言葉だし、気持ちが落ち込んでても言わない。“ラララ”と言える精神状態とか言いたくなる場面にはきっと希望があって。
「これはライブ受けを狙って“みんなでシンガロングしてくれ!”みたいな感じでもなく、自分だけじゃなくてメンバーもスタッフもお客さんも、いろんな人たちと一緒にANTENAという船で未来を開拓していくという意味で、自然と気持ちが乗ったのかもしれないですね。元々、内にこもっちゃいがちな歌詞が多くて、それがエモさにつながってる場合もあったんですけど、今作にはいい意味で開けた感じがあるのは、去年1年で感じたことから、自分の気持ちがそうなっていったからで。今作は本当にいろんな人が関わってくれたからこそできたアルバムだと思ってます」
自分個人の人生観と、バンドを通して表現しなきゃいけない人生観が
1つの形になったのが今回のアルバム
――今作の起点となった曲ってあります?
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「タイトル曲の『風吹く方へ』と『Ephemeral』(M-5)、『グッドバイ』(M-10)の3曲は、収録曲がひと通り決まった後に俺がポロッと作っちゃった曲で、“一応、こんな曲もできたんですけど”ってチームに投げたら、“いいね、詰めてみようか”みたいになっちゃって、メンバーが一番ヒーヒー言ってたと思います(笑)。急遽でしたけど、この3曲が入ることでアルバムの風通しがもっとよくなって、メロディの統一性を保ってくれたと思いますね」
――ちなみに、個人的に好きだった曲は『あなたが眠るまで』(M-6)と『上海ミッドナイト』(M-8)でしたね。
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「『上海ミッドナイト』はレコーディングしていくうちに化けた曲でしたね。この曲は今後の中国での配信を意識してたのはもちろんですけど、“逃避行したい”というテーマから始まって、何となく響きで“乾杯”っていうワードが出てきて。そこから韻を踏みたいなと思って“上海”いいじゃん、みたいな(笑)。結構リズムと響きで決めたところはありましたね。『あなたが眠るまで』は最初、リード曲にしたいなと思ってたんですけど、“ちょっと振り切り過ぎじゃね?”みたいな意見もあって(笑)。サウンド面でも結構面白いことができましたね」
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――そんな『あなたが眠るまで』は、“賢く生きるのはやめにしよう”というフレーズから始まったと。
「大人になればなるほど、それも社会人のマナーとしてある程度必要なのかもしれないですけど、好きな人とか、自分のことをさらけ出せる人の前ぐらい、もっと素直な気持ちでいられたら幸せになれるんじゃないのかなって。“ノロけたいときにノロけろ!”みたいな(笑)。周りとかは関係ないんだよっていうところから作り始めましたね」
――このBPMとタイム感も絶妙で、80~90年代初頭の化粧品CM黄金時代の匂いもちょっと感じたなぁ。
「あ〜それはもしかしたら、やっぱり80~90年代が好きだからかも」
――あと、 “ラブソングではなくライフソング”とANTENAはよく言ってますけど。
「例えば、“ドン底で悲しい〜”って浸りたいなら、他のバンドの曲を聴いてもらった方がピッタリくると思う。でも、ANTENAが一番やりたいことって、その気持ちを感じた上でじゃあどうしていこうかっていうきっかけになれたらと思ってるんですよね。悲しいことを悲しいとちゃんと受け止めた後に、また新しい道が始まって…その道が過去のいろんなターニングポイントとつながってたんだと分かってもらえたら嬉しいし、それが分かったら、日々の喜びをもっと喜べると思う。ANTENAで感情の起伏の1つ向こうを描けたらと思ってるので、それを“ライフソング”と言ってるんです。自分たちがたどってきた歴史とか感じてきたことを思い返したら、必然的にそういう自分個人の人生観と、バンドを通して表現しなきゃいけない人生観が、1つの形になったのが今回のアルバムなのかなと」
――今回のアルバムの中で、他にとりわけ思い入れがある曲ってあります?
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「『Ephemeral』はJ-POPととことん向き合った曲で、一番意識したのは、例えばOfficial髭男dismとかあいみょんさんと同じTV番組に出たとしても、いわゆる泣きどころのメロディラインは絶対に負けないようにすることで。この曲は、“儚く 消えたりしないよね?”って歌から始まってるんですけど、その部分も最初はなかったんですよ。でも、何だか地味だったからイントロの景色を変えたくて、もう録り終わってたのにサビの最後を無理やりエディットしてくっつけて(笑)。とにかく曲の入口からポップ要素全開で、一度聴いたら忘れられないようにしてやろうと」
――そんな大胆なスクラップ&ビルドが裏では行われてたんですね。
「何ならBメロも録り直してますからね(笑)。“歌詞とメロディをもう1回だけ考えさせてくれ”と頼んで、別日を設けてもらってそこだけ録り直す、みたいな。本当に一番時間をかけた曲でしたね。けど、それぐらい『Ephemeral』にはメロディの力を感じたし、ANTENAはまだTVにいっぱい出てるわけでもないし、大きいフェスに出てるわけでもない。でも、これからANTENAがみんなに見つかっていったときに、“こんなにすごい曲を出してたんだ”って思ってもらいたいなって。フジファブリックの『若者のすべて』('07)とかも、去年よく歌われてたじゃないですか」
――今聴いても本当にいい曲ですもんね。
「そうですよね。『Ephemeral』もいつかああいう曲になってくれたらいいなと思ってるんですよね」
“ANTENAと言えばこれ!”というカルチャーとかジャンルの芽を
これから時間をかけてじっくり出していきたい
――今回のアルバムが完成したときはどう思いました?
「ちゃんといいアルバムになったなと思ったからこそ、純粋に売れてほしいというよりは聴いてほしいなって。セールスとか記録がどうとかじゃなくて、音楽としてこのアルバムを聴いてもらいたい。これがANTENAの本質でもあるし、そういうアルバムが作れたのは結構大きいですね」
――そんな作品が作れて、ライブは何か変わりました?
「メンバーとよく話すのは、お客さんのために何かするというよりは、自分たちが意図せずにやりたいことをやって、お客さんが“えっ!?”って食い付くような…CDを忠実に再現することもアートかもしれないけど、俺たちはやっぱりロックバンドで在りたいので、音源通りの心地よさとかANTENAらしさを残しつつ、アレンジを変えたり、ライブでしか味わえない驚きと裏切りで、お客さんを振り回していきたいですね(笑)。“うわ、カッコいいな”って思うバンドって、みんな無鉄砲なんですよね。歳をとっていろんなことを経験したとき、ヘンに型にハマッちゃうと自分たちの可能性もその枠に収まっちゃうので、好きなようにやるぞって」
――そんなANTENAに気付いてくれる人たちの存在はありがたいですね。
「本当にそうですね。それこそ大阪でも、3年前に南堀江knaveで初めてワンマンをやったときに80人いなかった人たちも、今でもほとんど残ってくれてるので。でも、ANTENAの音楽を信じてくれてる人たちの感動の濃度に、人数とかはあんまり関係なくて。それが1人でも、100人でも、1万人になっても、いつもそこに100%があるだけで。そんな中で、お客さんがちょっとずつ増えてきてくれてるのは、当時の70何人が離れなかったおかげだと思うし、いろんなことがやっとちょっとずつハマってきて…お客さんに恩返しもしたいし、今度は自分たちがみんなを引っ張っていけるような未来を感じてもらえたら、一番いいのかなって」
――最後に、現時点でのANTENAの目標があれば。
「ANTENAサウンドの中毒性とか、心地よさとか、壮大さに触れてもらえることが増えたんですけど、やっぱりまだ抽象的じゃないですか? 最近、“スピッツとサカナクションを足したみたいなバンド”って言われたんですけど、よく考えたらそれって最高じゃねぇかと(笑)。でも、まだANTENAを表す明確な言葉がないからそう形容するしかないわけで。そういう意味でも、“ANTENAと言えばこれ!”というカルチャーとかジャンルの芽を、時間をかけてじっくり出していきたいなと思ってます!」