「“大阪のディーバ”は今、私しかいない」
復活の年を締めくくる!単独公演が間近に迫る
KIRAインタビュー
海外でも高く評価される歌唱力と表現力、ポジティブなキャラクターで高い人気を獲得しているKIRA。地元大阪在住で精力的に音楽活動を続けてきたが、今年は声帯結節切除手術を経て、ニュー・ハスキーエンジェルヴォイスとなって生まれ変わった。そんな波乱万丈ともいえる人生を乗り越えてきた彼女だからこそ歌える深い愛をテーマにした至極のR&Bソング『perfect love』が10月30日から配信開始。総再生回数400万回超える自身のYouTubeチャンネルではオリジナルのみならず、宇多田ヒカルの『First Love』を原曲キーで歌う超絶なカバーも好評を得ている。そして、“The DIVA”を掲げてきた2019年のライブを締めくくる単独公演、“The Diva -Kira Rebirth Premium One Man Live-2019 Final”が12月25日(水)に梅田クラブクアトロで開催される。ゲスト陣にはRED SPIDER、下拓、HISATOMI、田口淳之介、CHEHONという強力な顔ぶれが揃った。その超プレミアムなショーを目前にしたKIRAに、音楽への情熱と現在の胸の内をざっくばらんに語ってもらった。
歌うのを一回やめたらどうなるかなって考えたこともあった
――今年の1月に声帯の手術をされたそうですが、その後は順調に?
「めっちゃ声が伸びるようになって、音域が広がりました。声が変わったりするのが心配だったんですけど、もともとのハスキーヴォイスのままで、声質自体は変わってないんじゃかな。今までのライブは主に打ち込みのトラックでDJとのライブやってたんですけど、3月に心斎橋JANUSで90分ピアノ一本でやったライブで完全復帰しました。(手術して)歌えるようになったのをみんなに見せたかったので。だから、“手術からの復活”という意味をこめて、今年は“Rebirth”がテーマなんです」
――音楽活動をしていく上で、何か意識は変わりましたか?
「今は声が出るので、日常生活が楽しくなりました! 朝起きても声が出ないのはめちゃめちゃしんどかったんで。今まで、声が出るとか歌が歌えるとかいうことに感謝せずに酷使してたから、これからはちゃんとケアしながら大事に使っていかなあかんなって思いました。退院してから、2ヶ月ライブできなかったので、焦りもあって、自分が歌うのを一回やめたらどうなるかなって考えたこともあったんです。でも、手術のことをブログに書いたら、めちゃくちゃ応援メッセージをもらったので。“KIRAちゃんの歌に助けられました”とか、“人生救われました”ぐらいのことを言ってくれる子もいて。やっぱり私じゃないとあかんねんなみたいな。それならせっかく治したし、また歌をやろかなって。しかも大阪にいながら歌手活動をやらせてもらってるって普通じゃないと思う。東京で仕事もしますけど、やっぱ大阪在住でこうやってアーティストでご飯食べさせてもらえてるっていうのはありがたみしか感じないですね」
――今年は大きな転機の年になったんですね。
「はい。全部の運気が上がっていってるような気がしています。(手術後は)声が出るようになったので、歌唱力に焦点を当てて、自分が歌うカバー曲をYouTubeにアップするというのを最近始めました。宇多田ヒカルさんの『First Love』を原曲キーで歌わしてもらったものが今とても好評で。このシリーズを続けていこうかなって」
――宇多田ヒカルさんはKIRAさんのルーツのひとつなんですね。
「宇多田ヒカルさんとか椎名林檎さんが大好きで、そういうのを聴いて育ってきたんです。J-POPとヒップホップとR&Bが私のルーツですね。私のことをレゲエシンガーみたいに思っている人も多いんでけど、そうではないっていうか…。レゲエに対するリスペクトはめちゃくちゃでかいし、大事な自分のホームみたいに今は思っているんですけど、自分の音楽のルーツはジャマイカの音楽ではなくてアメリカのブラックミュージックなんです。それとブラックミュージックをルーツとするJ-POP。アメリカの音楽は好きでも、英語で全部の詞を書けるわけじゃないので、やっぱ自分が10代のときに救われた日本語の音楽を伝えたいなと…」
――それでJ-POPの曲もカバーしようと?
「そうですね。今はYouTubeがあるから、それを観てもらえれば、わたしのルーツも理解してもらえるかなと思いまして」
――KIRAさんはデビュー前、マカオのカジノで初の日本人歌手としてショーに出演されていたのですよね。その時はどんな曲を歌っていたんですか?
「マカオではテレサ・テンさんの曲を中国語で歌ったり、昭和の歌謡曲では山口百恵さんの曲などもカバーさせてもらってました。そうやって洋楽から歌謡曲まで歌い方を学んできたので、歌謡曲の歌い方もできるし、R&B的な黒人のような歌い方もできるようになりました」
伝えたいメッセージがあり、
聴いてくれる誰かに寄り添いたいから曲を書いてる
――10月30日に配信されたオリジナル最新曲『perfect love』はニュープロジェクト第一弾ということですが。
「私のことを好きな人にもっと音楽を好きになってほしくて。世の中にたくさんある音楽の中で選ばれたい!と思って、“これで、どや!?”っていう気持ちで作りました(笑)。この曲は前田和彦さんというプロデューサーさんと一緒に作ったんです。前田さんは私の人生初配信曲をプロデュースしてくださった方で。その後、2017年に卍LINE(窪塚洋介)さんと一緒に『TERRY JANE』という曲をリリースしていて、その曲のプロデューサーも前田さんです」
――ずっとつながっているんですね。
「そうなんです。前田さんとは音楽と心のフィーリングがばっちり合うんです。関西在住で“芦屋のモーツァルト”って呼ばれている素晴らしい方です。今年は手術をして、前より声が出るようになったので、前田さんと本物のR&Bをやりたい!と思って。直接お願いしに行ったら、前田さんも“やりたい”って言ってくださって実現しました」
――この曲は“王道の90'SスウィートR&B”ということで、さらに磨きのかかったKIRAさんのソウルフルなボーカルに引きこまれます。
「前田さんとやるならそういうR&Bかなって思ったし、今、ファッションでも90年代のテイストが流行ってますしね。R&Bってやっぱり愛を歌うジャンルと思っているので、歌詞に関しては落ち着いた愛を歌っています。キャピキャピした軽い感じの若い愛じゃなくて、夫婦の愛みたいな。私は独身なんですけど。周りも結構結婚してたり、長いこと付き合っていたりする人が多かったりするので、そういう世代の深い愛みたいなのをテーマに書いてみました。私が今まで書いてきたラヴソングラインでいうと、1stアルバムの『運命のひと』とか、2枚目の『星が輝く夜』の2019年バージョンっていう感じです」
――いろんなことを乗り越えてきた人こそが歌える深い愛の歌なんだなということが伝わってきました。
「失恋している子から、“これ聴いて泣きました”みたいなメッセージもきたりしてて。ただの幸せな歌と思う人はそれでいいけど、満たされている状態では、その有り難みに気づくことができないですよね。私たちってそういう風にできているじゃないですか。大切なものを失ったときに、初めて気づくから。実は今まですごく良い状態やったんやって。この曲を聴いてそういうことに気づいてくれてもいいし、気づいてくれなくてもいいし、どっちにしろ失くしたときには気づくので(笑)。どっちかといえば悲しいときに聴いてほしいです。私らってそういう役割やと思うし、やっぱり伝えたいメッセージがあり、聴いてくれる誰かに寄り添いたいから曲を書いてるんです」
――この曲のMVは色合いもきれいでファンタジックな雰囲気ですね。
「ずっと同じ監督(ISSEI)に撮ってもらっているんです。今回はちょっと可愛らしい感じで(笑)、ロボットとデートするっていうストーリーをワンカットで撮っています。映像映えするし、何回も観てもらえるんじゃないかな」
――12月25日(水)には『The Diva -Kira Rebirth Premium One Man Live-2019 Final』が梅田クラブクアトロで開催されます。
「梅田クラブクアトロでの単独ライブは初めてなんです。今回はフルバンドの生演奏と生コーラスで楽曲によってピアノやギターだけとか、こだわってやります。この時代に生でこれだけ歌える!っていうのをぜひ観てほしいんです! 今年は“The DIVA”をテーマにやってきたんですけど、私が自分で自分をディーバにするんじゃなくて、私がこうやって音楽でごはんが食べられるのも、配信曲を買ってくれたりライブに来てくれるみんなのおかげなんです。私が出演しているスーパー玉出のCMを見てくれてる人もいると思うけど、大阪のディーバって今、私しかいないと思うので(笑)。このライブに来てもらって、みんなで大阪のディーバを育てようや!って盛り上げてもらえたら(笑)」
――ゲストアーティストも注目ですが、この人選はどのように?
「ゲストは、RED SPIDER、下拓、HISATOMI、田口淳之介、CHEHONが出てくれます。自分で声をかけたら、みんな“出たい!”って言ってくれたんです。みんな私の仲間ですね」
――なるほど! この夜しか体験できないプレミアムな時間にどっぷり浸れそうですね。
「普段のライブは30分とか、短いときは15分なんですけど。今回は90分以上のロングライブになるので、私の音楽とメッセージをたっぷりと楽しんでほしいですね。家族でファンになってくれてる人も多いので、25日のクリスマスにファミリーやカップルでも来てくれたら嬉しいです」
text by エイミー野中
(2019年12月12日更新)
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