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「人生にはアップダウンもあるけど、信じていればきっと大丈夫」
日本とLAを拠点に活動するオフィスオーガスタの新星
1stフルアルバム『Rocket Sience』をリリース!
DedachiKentaインタビュー&動画コメント

先日20歳になったばかりのLA在住シンガーソングライター、DedachiKenta。14歳からアップし始めたYouTube動画が目に留まり、オフィスオーガスタの新レーベル“newborder recordings”の第1弾アーティストとして、2018年11月に『This is how I feel/Memories』でデビュー。18歳の夏に渡米し、現在はLAの大学に通いながら日本を行き来して音楽活動と学業を両立している。清廉な歌声でじわじわと音楽ファンの注目を集め、2019年10月には『Life Line』がFM802邦楽ヘビーローテーションに選ばれ、一気に知名度を上げた。そんなDedachiKentaが10月30日、1stフルアルバム『Rocket Sience』をリリースした。日本とアメリカでレコーディングされた今作は、サウンドプロデューサーにKOSEN(Colorful Mannings)を迎え、Kan Sano、アメリカ人プロデューサーAdam Kapit、エンジニアのJustin Moshkevich、Michelle Manciniらと共に作り上げた快作。“人生は難しい――それはロケット科学みたいだ”というポエトリーリーディングから始まるこのアルバムは、DedachiKentaが18歳の夏から19歳の夏までの約1年をかけて制作された。今はスタートしたばかりの音楽キャリアで、様々な人との楽曲制作をはじめ、ライブでもフレキシブルな編成でプレイするなど、実験的な試みに挑戦しつつ、その可能性を広げ、探っている真っ最中。今回は彼のバックグラウンドやデビューに至る経緯、『Rocket Sience』リリースまでの話を聞いた。2020年1月には大阪と東京で『Rocket Sience』発売記念ライブが開催される。フレッシュな感覚とグローバルな世界に身を置くDedachiKentaの音楽は、今後どのように進化していくのか。本当に楽しみでならない。

KOSENさんに出会って、自分の可能性が見えてきた
 
 
――初登場なので、簡単にプロフィールからお聞きしたいです。長崎生まれの千葉育ち、LA在住の大学生でシンガーソングライター、8人姉弟の2番目というところまでは仕入れております。
 
Dedachi「大体そんな感じです(笑)」
 
――お父さんが牧師さんなんですよね。
 
Dedachi「そうなんです。父が牧師で、小さい頃からずっと教会に通ってますね」
 
――そこで賛美歌やゴスペルに出会った。
 
Dedachi「はい」
 
――人前で歌うようになったのはいつからですか?
 
Dedachi「中学生くらいの時からギターを弾き始めました。ステージに立って賛美歌をリードしながら自分も歌って、皆も歌うみたいな」
 
――その時は“歌でやっていくんだ”という想いはあったんですか?
 
Dedachi「そう思い始めたのはYouTubeを始めて2年目くらいかな。歌うのがすごく好きだなってわかってきて。レコーディングもしたいし、自分の歌をもっと人とシェアしたい気持ちが生まれてきたんです」
 
――14歳からYouTubeに動画をアップされていたんですよね。何かキッカケはあったんですか?
 
Dedachi「ただ歌うのが好きで、色んなミュージシャンの人がYouTubeにカバー動画とかを出しているのを見て、自分にもできるんじゃないかなと、そんなシンプルな感じで始めましたね」
 
――自分で撮って編集してアップする。それを続けてこられた。
 
Dedachi「4年間やりました。最初の2年間は1か月に1本くらいだったんですけど、どうやったらもっとYouTubeを活用できるか調べ始めて、毎週出すようになりました」
 
――その動画がキッカケでオーガスタに入ることになったんですか?
 
Dedachi「そうなんです。僕のYouTubeを見てもらって」
 
――18歳の夏に渡米して大学に進学されますが、声がかかったのは日本にいる時?
 
Dedachi「そうです。17歳の夏ですね。翌年高校を卒業するというタイミングでした。インターナショナルスクールだったから6月まで学校に行ってました」
 
――その時は日本で音楽活動をするよりも、大学に行くと決めていたんですか。
 
Dedachi「僕の中では大学で学びたい気持ちが強かったので。だけど音楽もすごい好きだし、できるならどちらも頑張りたいなと思って、今そうさせてもらっています」
 
――オリジナル曲を最初につくられたのも、17歳?
 
Dedachi「『This is how I feel』(2018年11月リリース)が最初につくったオリジナルでしたね。去年の5月頃にサウンドプロデューサーのKOSEN(Colorful Mannings)さんを紹介してもらったんですけど、数曲あったオリジナルを聴いて、『This is how I feel』がすごく良いと言われて。KOSENさんに出会って、中に入っていたものを引き出してもらったというか。刺激を受けて、自分はもっと出来るんだなと思って、可能性が見えてきましたね」
 
――ご自身の中でも曲を作るスピードが上がっていった?
 
Dedachi「そうですね。今まで賛美歌を歌っていいねと言ってくれる人はいたけど、“オリジナルの曲をつくって”と言われたことは全くなかったので。オリジナルをつくるようになって、自分のことがもっとわかるようになりました」
 
――曲はどういう時に書くんですか?
 
Dedachi「自分の思ったことや感じたことを書いてますね。たとえば今回も日本に戻る飛行機の中でビートルズの新しい映画『イエスタデイ』を観たんですけど、すごく刺激を受けて、機内で1時間ずっと歌詞を書いたりして。何かブーストがあると書ける時もあるし、集中して自分をプッシュして書く時もありますね。今年の夏、アメリカでコライト(プロデューサーやソングライターとの共同楽曲制作)をやったんです。与えられた時間の中でどれだけ出来るか。ちょっとプレッシャーがあったのも良かったです。こういうことでも歌をつくれるんだなって学びました」
 
――『Rocket Science』はどのくらいかけて制作されたんですか?
 
Dedachi「KOSENさんとやり始めたのが去年の5月くらいで、実際のレコーディングがスタートしたのは6月、完成は今年の8月だから、正確には1年2ヶ月くらいですね」
 
――去年の渡米前に出来ている曲もあったんですね。
 
Dedachi「5曲くらいかな。『This is how I feel』や『Memories』は歌も録り終えていましたね」
 
マネージャー「出会った時はオリジナルも少なくて、もうちょっとゆっくり進めていこうかなと思ってたんです。だけど、どんどん新曲ができてきて、しかもデモの段階でフルコーラス歌詞があって」
 
Dedachi「僕、いつも歌詞と曲を同時に作るんですよ。だからデモも全部歌詞が入ってないと気持ち悪くて(笑)」
 
マネージャー「それでKOSENさんに相談して、“LAに行く前にできることは全部やってこう!”って計画を立てて、どんどん本チャンのレコーディングに入っていったんです」
 
――すごいスピード感ですね。
 
Dedachi「『I can’t seem to let you go』(M-4)はすべて録り終えてたんですけど、今年の夏聴いてみて、歌い方が若いというか、まだまだだなと思って、もう1回レコーディングさせてもらって、Kan Sanoさんにもピアノを弾いてもらったりして」
 
――それでKan Sanoさんと一緒にやることになったんですか?
 
Dedachi「そうなんです。今ホットなアーティストだし、一緒にやってみたいなと思ったんです。『Fly Away feat. Kan Sano』』(M-3)もストリングス、ドラム、ベースなど、去年のうちに生楽器までほぼ録り終えていたんですが、保留にしていた間奏はKan Sanoさんにお願いするのが良いんじゃないかって盛り上がって。結局コーラスまで頼んでしまいました(笑)」
 

 
日本と海外、それぞれのマーケットにアプローチした2通りの楽曲
 
 
――ところで『Fly Away feat.Kan Sano』の全編英詞バージョンは『Catch Me If You Can(Fly Away feat.Kan Sano)』というふうに、1曲に対して、日本詞+英詞バージョン、英詞バージョンの2つがありますよね。タイトルを変えられる意図は何でしょうか。内容は変えていませんよね?
 
Dedachi「そうですね、タイトルだけ変えています。日本語でのアプローチは日本のマーケット向け、英語版をインターナショナル向けに作ったんですけど、“Englishバージョン”、“Japaneseバージョン”とか差別化させないと、同時配信出来ないと聞いて。同じタイトルで登録すると、どっちがどっちかわかんなくなっちゃうんです」
 
――なるほど。
 
マネージャー「でも“Japaneseバージョン”って付けたとしても全部日本語で歌ってるわけでもないし。そこをちょっと悩んだよね」
 
Dedachi「悩みましたね。『Fly Away』はもともと“『Catch Me If You Can』っていうタイトルを考えていたんです。歌詞には出てこないけど、洋楽にはよくあるパターンでいいんじゃないかって。でも日本人にはわかりにくいって言われてたんですよ。だからボツにさせずに済んでよかったです(笑)」
 
――歌詞のフレーズから取ったタイトルもあるんですか。
 
Dedachi「『Chromatic Melancholy(Ambiguous)』は、“Chromatic Melancholy”って歌詞の1番最後に入ってます」
 
――『AYUMI(Life Line)』も歌詞にありましたね。これは日本語の歌詞から取って英詞バージョンのタイトルに?
 

 
マネージャー「ある意味、逆転の発想で」
 
Dedachi「最初は“Life Line”を別の英語で表現しようか悩んだんですけど。日本語歌詞の“歩み”というワードは“Life Line”に置き換えられるよね、って言われて。それをアルファベット表記にして英語バージョンのタイトルにしたらどうだろうって」
 
マネージャー「外国人も発音しやすそうだし」
 
Dedachi「しやすいですね。『AYUMI』というタイトルはすごく気に入ってます。僕の友達は“『AYUMI』って何?”って聞いてきて、この歌の説明が始まる(笑)」
 
――聴いてもらう取っ掛かりとしても良いですね。
 
マネージャー「もしこの曲が海外でヒットしたら、『AYUMI』という日本語を外国人が知るきっかけにもなるし」
 
Dedachi「楽しいですね、そうやって考えるの」
 
――日本語と英語が混ざった歌詞は特徴的ですが、もともとは英詞で書かれてるんですよね。
 
Dedachi「ナチュラルに出てくるのが英語なので」
 
――英詞に日本語を混ぜる難しさはありましたか?
 
Dedachi「英語を日本語に訳すことはできるけど、歌詞として考えると難しい部分もあったので、スタッフや作詞家の中村彼方さんと相談しながら完成させました」
 
――やっぱり感覚が違ったりします?
 
Dedachi「まずハマり方がすごく違うので、英語ではスムーズに歌えるのに日本語だとうまくいかないみたいなのもあるし」
 
――Kentaさんの歌詞は、会話のように日本語がポンと出てくるのが面白いなと。
 
Dedachi「普段、姉と話す時はこんな感じなんですよ。日本語で浮かばない言葉を英語で、英語にできない言葉を日本語で話して。だから最初は少し違和感もあったんですけど、歌ってるうちにすごくナチュラルなんじゃないかと思いはじめてきて、今は馴染んできてますね」
 
マネージャー「なるほど!」
 
全員「(笑)」
 
マネージャー「8月に『Fly Away feat.Kan Sano』が世界中のH&Mでストアプレイされたんですけど、海外でのサブスク再生がグンと伸びたんです。それも日本詞の混ざったバージョンの方だったので尚更驚いて。なぜピックアップされたのかいまだにわからないんですけど、そういう聴かれ方って今っぽいですよね。日本と海外とを分けて考えていたけど、これからずっとこれでいいんじゃないかな」
 
Dedachi「うんうん」
 
 
 
なんで人生にはこんなにもアップダウンがあるのかなと、いつも考えてきた
 

――『Rocket Science』は同名トラックのポエトリーリーディングから始まりますね。
 

 
Dedachi「そう、話してる感じで。僕、クリスチャンバックグラウンドがあるから、常に小さい頃から自分の歩みとか、これからの方向やビジョンを考えていたんですね。父も牧師だから“Kentaはこれから何をしたいの? 何のためにどんなことをしていきたいの?”っていつも聞かれるし。ちゃんと理由がないと何かをしちゃいけない、みたいな考え方もあって。人生にはアップダウンがあって、時には難しいけど、そういう中でもビジョンや希望を持っていれば前に進めるといつも信じているので、1曲目のタイトルトラックにして、このアルバムで皆さんに伝えたいと思いました」
 
――レコーディングはどのように?
 
Dedachi「これは全部iPhoneで録ったんですよ。弟が笑ってる声や風の音や電車の音とか。ホームビデオのオーディオからピックしたり、千葉の実家の周りやLAの友達の家、これまで旅した場所から色々音を集めてきて。去年の夏イスラエルに行ったんですけど、そのとき海にiPhoneを浸して録った音なんかも入っています。ほんとにボイスメモみたいなクオリティなんですけど、それが逆にいいのかなと思って」
 
――パーソナルな感覚がしますね。詩は、自分自身に言っていたりします?
 
Dedachi「そう。自分に言い聞かせてる感じ。だけど、自分でも誰かに言ってもいいと思ってます」
 
――アートワークのお話もお聞きしたいです。ジャケットの青色が美しいですね。
 
Dedachi「これはまず、ビデオ通話で会議したんですよ。デザイナーさんはオフィスで、スタッフさんとKOSENさんはオーガスタで、僕はアメリカの寮の部屋で。デザイナーさんから“どんなアルバムなの?”とか、“何かイメージある?”と訊かれて、キャッチボールしていって。ヴィンテージ感を大切にしたいと言ったことは覚えてるんですが、あとはどんなことを話したかよく覚えてないです(笑)。実際にデザインされたものをいくつか見せてもらったときに、写真によって色んな空の青色があったんですけど、この選んだ1枚だけちょっと不思議なヴィンテージがかった青で、それがいいなと思って」
 
――少しくすんだ青。でもフレッシュさもありますね。そして写真は合成ではなく、実際のジャンプだとか。
 
Dedachi「そうそう、ジャンプしましたね。デザイナーさんもフォトグラファーさんも素晴らしくて、超センスいいなと思って」
 
――本当に素晴らしい作品です。すごいスピードでアルバムが完成して、めまぐるしい1年だったと思いますが、改めて今どんなお気持ちですか?
 
Dedachi「1年間だったのがちょっとまだ信じられない。あまりにもたくさんのことをやったから。ほんと5年間くらいかけてつくったんじゃないのかな、みたいな(笑)。 だけどそんなふうにしてアルバムが完成して、CDになって、皆の元に届くってすごい感動ですよね。ある意味タイムカプセル的な感じもしますね」
 
――タイムカプセル。
 
Dedachi「これを聴いて、“あの時ああだったな”と思い出す作品になるんじゃないかなと思いますね」
 
――今後について、何か考えていることはありますか?
 
Dedachi「このアルバムをつくっている時にコラボって楽しいなと気づいたので、これからも様々なアーティストの人とコラボしていきたいですね。次がどういう感じの作品になるかまだ全くわからないんですけど。誰とやってもいいんじゃないかと思うんです。1つのジャンルにスティックしたくないし、色々なものを探って触ってみたい。どんなものにトライしてもDedachiKentaのカラーが出せたらと思うので、自分のカラーをどんどん探していきたいです」

text by ERI KUBOTA 



(2019年12月 4日更新)


Check

Movie

Release

初のフルアルバム『Rocket Science』
発売中 2800円(税別)
POCS-23002

《収録曲》
01. Rocket Science
02. This is how I feel
03. Fly Away feat. Kan Sano
04. I can't seem to let you go
05. Ambiguous
06. Life Line
07. I'll be fine
08. Step by Step
09. Alright
10. 20
11. Memories
12. More than enough
-Bonus track-
13. Catch Me If You Can (Fly Away feat. Kan Sano)
14. Chromatic Melancholy (Ambiguous)
15. AYUMI (Life Line)

Profile

1999年11月26日、長崎生まれ、千葉育ち。18歳の夏に渡米。現在ロサンゼルスの大学に通う19歳のシンガーソングライター。幼少期よりアコースティックギターをはじめ様々な楽器を嗜む。14歳からYouTubeを使って自身の動画を配信。撮影も自らが手掛ける一方、その清廉な歌声は瞬く間に世界中の多くの音楽ファンの心を癒し、虜にした。2018年11月21日にオフィスオーガスタの新生レーベル“newborder recordings”より第一弾アーティストとして「This is how I feel / memories」の2曲でサブスク先行配信デビュー。翌月12月5日に両A面アナログ7inch EPとして同曲をリリース(デジタル配信も同時スタート)。洋邦の枠を超え、全国FM29局のパワープレイに選出される。2019年、YouTubeが注目するアーティスト10組“Artists to Watch”にも選ばれ、4月10日にはタワーレコード限定CD『breakfast for dinner』を発表。5月22日リリースのAmPmの最新作にVocalとLyricで参加した「more feat. DedachiKenta & FUNTYME」も話題に。LAと日本を往復しながら1年をかけて制作された待望の1st Album「Rocket Science」を10月30日にリリース。収録曲の『Life Line』は10月のFM802ヘビーローテーションに選ばれた。2020年1月には、『DedachiKenta presents “Rocket Science” Launch Party』として、大阪と東京で発売記念ライブを敢行する。

DedachiKenta オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/dedachikenta/


Live

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:166-126
▼12月23日(月) 18:30
Zepp Namba(OSAKA)
スタンディング-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]BASI/tofubeats/向井太一/chelmico/YOSA&TAAR/AAAMYYY/DedachiKenta/大石晴子
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

チケット情報はこちら


DedachiKenta presents
“Rocket Science”Launch Party

【東京公演】
チケット発売中 Pコード:170-486
▼2020年1月7日(火) 18:30
Veats Shibuya
オールスタンディング-4000円(ドリンク代別途必要)
[ゲスト]さかいゆう/FAITH/Kan Sano
[問]ソーゴー東京■03-3405-9999

チケット情報はこちら

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:169-896
▼2020年1月8日(水) 19:00
Shangri-La
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]Kan Sano
[問]GREENS■06-6882-1224

チケット情報はこちら