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3年半ぶりのオリジナルアルバムを完成させ
ツアーも決定するなど精力的に活動する
シンガーソングライター、JILLEが登場!

2011年にYouTubeにアップしたAKB48の『フライングゲット』の英語カバーで注目を集め、2012年7月にリリースした英語カバーアルバム『I AM GILLE.』でメジャーデビューを果たした彼女。2016年、半年間の休養を経て、アーティスト名を“GILLE”から“JILLE”に変え再び動き出すと、以降はライブを中心に活動。今年5月には3年半ぶり、現名義では初となるオリジナルアルバム『31』を発表した。9月20日(金)から11月2日(土)にかけて行われる『ラグビーワールドカップ2019 日本大会』の期間中、10月16日(水)に開幕する『車いすラグビーワールドチャレンジ2019』の車いすラグビー日本代表応援ソング『Goal』を手掛けるなど、精力的に動いているJILLEに、最新アルバム『31』やツアーなどについて話を聞いた。

――JILLEさんといえば、英語歌唱のネイティブさについて聞かれることが多いと思います。
 
「そうですね。“留学経験があるのでは?”とか言われるんですけど、それはなくて。歌に関しては、両親が作ってくれた環境のおかげで発音がよくなったり、壁を感じずに英語の歌を歌うことにトライできたんですけど、実際に英語を喋れるのかって言われたら……今、トレーニングし始めている感じなんですよ」
 
――日常でも英語を喋れる方だと思っていました!
 
「いやいや(笑)。今、本格的にビジネス英語を勉強しようって思ってやっている段階なんですよ。英語の歌を歌っているし、休養して改名した理由は世界を視野に歌っていきたい、本格的に海外にPRしていきたいなっていう思いがあったので、歌とのギャップを埋めているところです(笑)」
 
――そうなんですね。意外でした(笑)。
 
「今は英語を喋れないことも言いたいし、宮崎県人ですっていうことも言いたいし、英語を勉強していますっていうことも言いたいし、それを含めて、宮崎、日本から海外に羽ばたきたいっていうことも声を大にして言いたくて。いろんな人に出会って、今やっと、自分の弱い部分と得意とする部分をトータルして、“これが私です”って言えるようになったんですよ。32歳になって、そういうことを全部さらけ出せるようになりましたね。デビューした2011年とかって20代前半だったので、“英語ができるってかっこいい!”、“GILLEってかっこいいって言われているよ”って周りの方に言われていたんですけど、それに対してプレッシャーを感じたり、“そうなりたい”、“イメージ通りにならなきゃいけない”みたいに思っていたんですよ。東京を知らない宮崎人だったのに、いきなりデビューみたいな感じになったから、なおさら冷静に自分自身がどういう音楽をやりたいっていうのを主張するほど強くなれてない部分があったんですね。二十歳の時ってもっと殻があって、それこそAKBの英語カバーをシルエットでアップしたのは、自分に自信がないことを隠すためだったのかもしれなくて。英語は自信がある、歌も聞いて欲しい。だけど、自分自身には目を向けないで欲しい、っていうのもあって、シルエットでカッコよく見せられるんだったら、それでいいじゃないかって(笑)。でも、純粋に歌で勝負したかったっていうのが一番なんですけどね」
 
――そういう流れだと、どうしていいのか分からないですもんね。
 
「インターネットで“GILLE 画像”で検索すると、いろんな私が出てくるんですよ。髪の毛がピンクだったり真っ赤だったり、アシンメトリーだったり、リーゼントだったり、すごい紆余曲折で。“迷っているの!?”っていう感じの私がそこにいて。その当時から比べると、今の私の見た目はこれまでで一番ナチュラルなんですけど、歌っている歌と、ステージパフォーマンス、届けようとしているメッセージは今が一番強いと思う。強すぎて止められない(笑)。強さを隠し切れなくなりましたし、“これが私だ!”っていうのを作りたくて『31』っていうアルバムを作りました」
 
――それは半年間ですけど、2016年に1回休んだことで音楽との向き合い方が変わったとか?
 
「今はまったくピアノを触ってないんですけど、その時は表に出てないだけで作曲する時間が24時間あって。毎日、いろんな洋楽アーティストの楽曲のコードを弾いて、そのコードでまったく違うメロディラインを考えて、っていう作業を1日中やっていました。休養中は実家にいたんで、19時くらいになると母親に、“ピアノを弾くの? ご飯を食べるの? どっち? ずっとピアノ弾いているじゃないの!!”みたいなことを言われて(笑)。私はちゃんと考えてやっていたんですけどね(笑)。そのくらい朝から真っ暗になるまでやっていました。その時の曲は1曲も表には出てないんですけど、いろんな人のコードの中でメロディラインを作ることはすごく勉強になったし、その期間は辛かったですけど、この期間があったからこそ、引き出しが開くのが早くなった気がします」
 
――その中で音楽はもういいや、とはならなかったですか?
 
「その期間って、表に出たくても出られないじゃないですか。もういいや、っていうよりは戻れないかもなっていうのはありました。このままみんなが忘れて、応援してくれる人たちもいなくなって……って。宮崎だし、“結婚して子供を産んで、田舎にいればいいじゃん”、“音楽の先生をやればいいじゃん”っていう人もいたから、このまま戻れないかもっていう不安はあったけど、音楽を辞めるっていうのはなかったですね。だから、復帰して、シンガーソングライターとしてキヤノンさんからお仕事(CMソング『lalala』)を頂けたのは嬉しかったですし、今回の『31』を作れて幸せだなと思いました」
 
――アルバムのリリースは3年半ぶりということで。待っていてくれたファンの方の反響はいかがでしたか?
 
「人によりますけど、“一皮むけたね”とか“JILLEの覚悟を感じました”ということを、ずっと追いかけてくださっているファンの方が書いてくださったりして。でも、初めて私のことを知ってくださった方は、AKB48の『フライングゲット』を英語カバーした私と今の私がリンクしていないので、このアルバムで私のことを知って、“なんかすごいパンチの効いた曲を歌っている子だな……あ、(『フライングゲット』の)シルエットの人だったんだ!”っていうのもあります(笑)」
 
――なるほど(笑)。このアルバム『31』は様々なタイプの楽曲が入っていますよね。
 

 
「“GILLE”名義で作ってきた時のように、バラードで日本語の曲もいっぱい伝えたいっていうのはあるんですけど、英語と早口も得意で、歌だったらそれができるっていう自信があったからこそ、アップテンポで、英語で歌うっていうのを自分のオリジナルで作ってみたかったんですね。歌い上げる系の歌を歌う人っていっぱいいると思うんですけど、自分はどっちかっていうと、そっちにあまり魅力を感じてなくて。マイケル・ジャクソンもそうですし、ブルーノ・マーズ、アデル、ジェームス・ブラウンも、なんかこうパンチがあるんだけどビートが効いているっていう。ビートで体が動くっていうのが自分の中で大事で。だから、『フライングゲット』や『行くぜっ!怪盗少女』(ももいろクローバー)を英語で歌ったのも、早口でビートが効いていて、音楽で遊べるっていうのがあったから。そこが自分の強みだと思っているので、『31』はそういう部分を生かすというか、それを初めて100%出そうとしてできたアルバムなんですよね。だから、絵の具みたいでしょ(笑)っていうくらい、いろんなカラーが出ていると思います」
 
――ロックからファンク、ラブソングにバラードと様々で、曲によっては登場人物のキャラが濃い感じがしますし……語りというかセリフも多めですよね?
 
「語りは多いですね、確かに。アップテンポの曲は、ほぼですね。これを作って、次のアルバムはもっと語ろうと思いました。語りのアルバム(笑)。市原悦子さんの昔話みたいに“おや?”から始まったりするっていう(笑)」
 
――聴いた人は“何このアルバム??”ってなりますよ(笑)。
 
「最高じゃないですか(笑)。作品なので、エンタテインメントになればいいなって思います。真面目に一生懸命に作っているんですけど、真面目にふざけるっていう。真面目にふざける大先輩は、日本にはサザンオールスターズがいるので。あの先輩たちはめちゃくちゃかっこいいなって思います。ファンクだし、ノれるし、ビートは洋楽っぽいのに、でもちゃんとJ-POPだし。多分、本当にいろんな本物の洋楽を聞いてこられてからのオリジナルサウンドだと思うので、ああいうサザンオールスターズみたいな感じに憧れます。本当に素敵だなって。それを自分が英語で歌えたら、自分らしいだろうなって思いますし、自分のパフォーマンス、音の1個1個がブランドになればいいなって思います。洋楽のアーティストの方もすごくかっこいい曲とかパフォーマンスを作り上げているのに、全力でふざけるじゃないですか。ふざけるのも計算済みで作られていて、“全力でふざけていることがかっこいい”、みたいな。そこの美学をすごくリスペクトしていて、そういうのを自分のライブでやりたいんですよね。だから、どんどんそっち寄りになっていくと思います(笑)」
 
――ライブでしか観られないエンタテインメントですね(笑)。
 
「そうですね。うちのバンドマスターのピアノの男の子は国立を首席で卒業していて、クラシックをがっつりやってきた子なんですよ。それでポップス、ジャズをやってきているのでうまいんですよね。私が“こういうのがいい”っていうと、私の作ったメロディに合うように『カノン』(パッヘルベル)を弾いていて、気づいたら私の曲に戻って、とか。あとは私のオリジナル曲と古い日本の歌謡曲を混ぜたり。私がライブ当日にお客さんの熱気によって何をやるか決めたりするんですけど、“あの曲よかったよね”って一言いうとすぐに察してくれるので、リハなしでそのまま本番中にやったりできるのがJILLEチームの強みだったりします。すごい楽しいんですよ。これは記事で読むより、ライブを観に来てもらえた方が分かると思います」
 
――ジャズのイベントに多く出られているのは、そういう風に即興的にできる部分も大きいのでは?
 
「もしかしたら、そうかもしれないです。そのバンマス(バンドマスター)の子と話をしていたんですけど、私たちが今やっていることって、ジャズの人からすると中途半端で、ロックの人から見たらロックになりきれていないんですよ。で、J-POPでもなくて、ビートは洋楽なんですよ。だから人によっては、“JILLEの曲って何がやりたいの?”ってなると思うんですよね。それこそジャンルを決めたがる人たちからすると、“中途半端だね”って言われるかもしれないけど、それでよくて。それが私たちだから。洋楽、ファンク、ロック、R&B、ソウルが好きな私が作ったメロディをクラシック上がりの人がアレンジして、かつ思い切りジャズ出身の子がドラムを叩くから、全然違うものが生まれるんですよ。それに、それぞれがリスペクトしあえているから、“ここからジャズ、でもここからJ-POPに戻りたい”っていうのもできるっていう。それをメンバー全員が楽しんでいますからね。みんなそのアレンジが大変って分かっているんですけど、それができたら、“フゥーッ! 俺、頑張った!”ってなっているんですよ(笑)。みんな自分が出す音に自信があって、それをチームプレーでやって、うまくいっているのが気持ちいい、みたいな。大変だけど、やったらめっちゃかっこいいっていう話ができるメンバーだし、できた瞬間の快感をみんなが楽しんでいるから、こういう変な曲ができていると思う。このメンバーじゃないと今回のアルバムはできなかったって思うから、最高のメンバーと仕事したなって思えるんですよね」
 
――その最高のメンバーと作り上げたアルバムを手にしたツアーが、10月から12月の頭にかけてあります。
 
「今回のツアーはホール公演でサンドイッチしているんですよ。初日の東京とファイナルの福岡がホールで、そこではエンタテインメントっていうのを見せようと思っているんですけど、その間の広島も含め、名古屋、福島、山梨はライブハウスなので、お客さんと距離の近いライブをしようと思っています。手を挙げて、“ちょっとこれを歌ってくれない?”とか、“JILLEの声でこの歌を聞きたいんだけど”って言えるくらい、お客さんとの距離が近いライブをしようと思っているので、構えずに聴きたい歌だけを聴いて、おいしいお酒を飲んで帰るみたいな感じを楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。もちろん、分からない歌に関しては無視しますけど(笑)。でも、それくらい近いライブをしたいと思っています。何か分からないけどすごく笑った、すごく楽しかった、もう1回観たいって思ってもらえるようなライブにしたいと思っていますし、もう1回観たいと思った方は、新幹線に乗って福岡に来てもらえたら(笑)。一音目のドラムの鳴りから鼓動に響くような、ちょっと背筋が伸びるみたいなエンタテインメントを楽しめるのがホール公演でもあると思うので。本当にこのアルバムを皮切りに、私っていうよりJILLEのサウンドの持つ可能性というか、JILLEチームの持つ可能性を存分に表に出せたらなと。それを楽しんでもらえたらいいなと思っているので、ホールとライブハウスの両方に来て欲しいですね。絶対に後悔しないと思うので、ライブに来て欲しいです」
 
――では、最後にメッセージをお願いします。
 
「性格的に関西の人と絶対に仲良くなれる気がして。ただ、関西に行く機会があまりないので、これから関西にもガッツリお邪魔できるようになれたら。“またJILLE来たの? しつこいよ”って言われるくらい(笑)、近しい存在になれたらなと思っています。その一発目として、ツアーないしはアルバムを聴いてもらえたら。これからよろしくお願いします、という名刺代わりに『31』を聞いてもらいたいなと思います」

text by 金子裕希



(2019年9月18日更新)


Check

Release

Album『31』
発売中 3000円(税抜)
JILLE0031
Jille & Co

《収録曲》
01. Prologue
02. PINK SUN
03. UHH!!
04. ROOM
05. #JJ
06. lalala(Canon医療シリーズ広告TVCMソング)
07. Suit
08. Alive
09. Woman
10. [BONUS TRACK]PINK SUN(Recording live ver.)

Profile

ジル…宮崎県西都市生まれ。みやざき大使、西都市ふるさと特命大使も務めるシンガーソングライター。2011年、インディーズ活動中に“GILLE”名義で国籍、性別をふせ、シルエット動画として、英詞カバー楽曲(AKB48『フライングゲット』)などをYouTube上にアップ。わずか1カ月で再生回数200万回を突破し、SNSを中心に驚異的なスピードで世界中から注目を集め、2012年7月に英語カバーアルバム『I AM GILLE.』でユニバーサルミュージックよりメジャーデビューを果たす。英詞でのカバー曲のほか、オリジナル曲を多数手がけ、NTTドコモのCMソングなどにも楽曲が起用されてきた。その後、2016年に半年の休養期間を経て、本格的に世界を視野に動き出すことを掲げ、アーティスト名を“JILLE”に改名し再始動。2017年からはJILLE率いるピアノ、チェロ、ヴァイオリンの4人構成『STORYTELLER』での活動も開始し、音楽と物語を融合させて日常の幸せを“唄い語る”新しいスタイルのパフォーマンスは各地で好評を博してきた。これらの活動を経て、今年5月には3年半ぶりのオリジナルアルバム『31』をリリース。10月からは全国6か所でアルバムツアー『JILLE The Show To You Live Tour 2019』を開催する。圧倒的な歌唱力からはうかがい知ることのできない、宮崎弁での怒涛の喋りはギャップがあるが、それも大きな魅力の1つになっている。

JILLE オフィシャルサイト
http://jille.co/


Live

『JILLE The Show To You Live Tour 2019』

【東京公演】
▼10月19日(土)17:00
東京・TOKYO FM HALL
全席指定-6000円

【広島公演】
▼11月8日(金) 19:00
広島・LIVE JUKE
自由席-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)

【愛知公演】
▼11月9日(土) 1st・18:00/2nd・20:45
名古屋・Nagoya Blue Note
指定席・自由席-5800円

【福島公演】
▼11月30日(土)16:30
福島・HIP SHOT JAPAN
自由席-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)

【山梨公演】
▼12月1日(日)17:00
山梨・桜座
自由席-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)

【福岡公演】
▼12月6日(金)19:00
福岡・IMS HALL
全席指定-6000円

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