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ナードマグネット2ndフルアルバム全曲爆音視聴会!!!
『透明になったあなたへ』を盟友たちが大解剖! ~前編~

6月12日、大阪出身の4人組バンド・ナードマグネットが2ndフルアルバム『透明になったあなたへ』をリリースした。それに先駆けて6月3日、寺田町Fireloopで『「透明になったあなたへ」発売前! 最速! 全曲爆音視聴会!!!』が行われた。ナードマグネットの須田亮太(vo&g)、藤井亮輔(g&cho)、秀村拓哉(ds)と、(前田知子(b)は残念ながら欠席)、彼らをよく知る仲間からおかゆ(ex.DENIMS)、たなりょー(ex.COSMOS)、植野秀章(HOLIDAY! RECORDS)、そしてMCにFM802 DJの樋口大喜を迎え、『透明になったあなたへ』を大解剖! バンドマンや業界人ならではの視点で曲が紐解かれていく様子に、会場は感心したり爆笑したり。メンバーとゲストの仲の良さからくるポジティブなゆるさもありつつ、ナードマグネットへの愛情に溢れたとても有意義な視聴会となった。須田はアルバムを作る際にレコードのA面B面を意識しているという。それに倣い、今回はその模様を前編・後編でお届けしようと思う。前編はA面にあたる7曲目『虹の秘密』まで。是非『透明になったあなたへ』を聴きながら読んでほしい。

アルバム通して聴くことに意味があるような作品にしたかった(須田)

この日のチケットは開催発表後1時間で完売してしまったという。会場には丸椅子が並べられ、チケットを手にいれることができたオーディエンスが、いち早くナードのアルバムを聴こうと集まった。定刻の20時、ステージにMCの樋口とナードマグネットのメンバーが登場して挨拶。須田の合図で客席も含めての乾杯がおこなわれ、まずは全曲ぶっ通しでの視聴会がスタート。オーディエンスの手元には収録曲が記載された紙が配られ、ライブハウスの音響から爆音で流れる楽曲にじっくりと聴き入ったり、リズムに体を揺らしたりと、自由に楽しんでいた。全曲聴き終わったところで、スペシャルトークセッションへ。お酒を片手に再びメンバーが登場。さらにスペシャルゲストの3人がゆる~く登場、マイクがこんがらがるハプニング(?)もあり笑いを誘う。「このアルバムに関しては自分の思い入れが強すぎて、完成しても客観的に聴けないんですよ。だからいろんな人の感想を聞きたい」と須田。再度の乾杯ののち、1曲ずつ掘り下げていくセッションが始まった。ここからはMC樋口とのインタビュー形式でお届けしていく。

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M-1 『Intro』

樋口「アルバムにいざなってくれるような曲になってると思うんですけど、コンセプト的なところを感じてほしいという意図もあるんでしょうか。」
 
須田「そうですね。聴いていただいてわかったと思うんですけど、『You Are My Sunshine』が1番最後にまた出てくるんです。ちょっと映画的というか、伏線が回収されるというか、ロックのアルバムでもよくやる手法だと思うんですけど、そういうのがやりたいなと思って。アルバム通して聴くことに意味があるような作品にしたかったので」
 
樋口「少しローファイなカセットテープサウンドになっていますね」
 
須田「カセットレコーダーを買って録音してみたんですけど、あまりにも音が悪くて、“こらあかんわ”ってなって、結局iPhoneのボイスメモで僕の弾き語りを外で録ったんです。“カチャ”っていう音と巻き戻す音だけ、カセットレコーダーの音を使ってます」

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M-2 『アップサイドダウン』
 

 
樋口「この曲はluteとコラボしたMV、配信シングルとして、既に出ております」
 
須田「世に出たのがアルバムの中では1番早いかな。前作のミニアルバム『MISS YOU』のツアーが始まった時ぐらいにPVを出したんですよ。で、今回やっとCDになりました。僕的にはここからガラッと次のモードになった曲ですね」
 
樋口「次のモードというのは、ナードマグネットとしての新たなステージ?」
 
須田「はい、そうですね」
 
樋口「おかゆさん、どうですか。」
 
おかゆ「最初聴いた時、音圧がめっちゃ変わったなと思って。僕須田さんに“マジもんの音っすね”って言ったんですけど、ナードは洋楽のエッセンスを邦楽として落とし込むことをずっとちゃんとやってると思うんですけど、それが良い塩梅に出てたのが1stアルバムで。でも今回の2ndを聴いた時、最初のギターの重ね方から、邦楽でありながら僕らが高校の時に聴いてた海外バンドの音圧みたいになってて、単純に“すげえ”って」
須田「僕ら、自主制作の頃からずっと同じエンジニアさんと同じスタジオで録り続けてたんですけど、作品重ねるごとに意思疎通ができてるというか、エンジニアさんも俺のやりたいことわかってくれてるから。“須田さんの影響受けた曲全部教えてください”って言ってくれて、僕が挙げたら全部聴いてくれるような人なんで、それが結実した形ですね」
 
樋口「“ホンマもん”っていうのは、バンドマンとしてライバル的な意味合いもあるんですか?」
 
おかゆ「そうですね、負けてられないというか。ナードはDENIMSとはまたちょっと音の出し方が違うんです。僕らは僕らで、違うところで低音を突き詰めてるんですけど、ナードのギターの分厚さはほんまにすごい。僕も全然知識がない高校生の時、わからんなりに“このバンドのギター分厚いなー”とか、結構そこで聴く基準にしてたかなと。これも須田さんによく言うことなんですけど、ほんまに高校の時に出会いたかった」
 
樋口「へー!」
 
おかゆ「高校1年の時に出会ってたら、マジでeastern youthじゃなくてナードマグネットがヒーローやったやろなって。今回のアルバム全体通して、分厚さと低音が前よりもすごい」
 
須田「多分中高生の時に聴いてた音楽が一緒なんですよ。だからおかゆちゃんにそう言ってもらえるとすごく“してやったり”という感じ」
 
おかゆ「ありがとうございます」
 
 
M-3 『FREAKS & GEEKS』 
 

 
樋口「『FREAKS & GEEKS』は僕の番組『RADIO INFINITY』でオンエアの解禁をさせていただきました」
 
須田「ありがとうございます」
 
樋口「学校でのMVもすごく印象的で、“他から言われても気にしなくていいんだよ”という、背中を押すようなメッセージを込めて作られたんですか」
 
須田「そうですね、怒ってましたね」
 
樋口「怒ってた?」
 
須田「この曲と次の曲(『バッド・レピュテイション』)を書いてた時はもう、怒ってましたね」
 
樋口「『バッド・レピュテイション』も僕の番組で解禁させていただいたんですけど、テーマが一貫しているというか、メッセージ性として怒りがあらわになってる部分が非常に多い。怒ってるというのはリアルタイムのこと? それとも昔を思い出してのことですか?」
 
須田「昔を思い出してもそうやし、今の自分の日常の中にも同じ感覚が根付いてるのがすごく嫌で、フラストレーションがたまってた感じですね」
 
植野「MVを見て学生時代を思い出したんですけど、僕も授業中とか休み時間に周りの皆が聴いてないような音楽を聴いてたんですよ。須田さんは学生時代にそういったエピソードはありますか? 聞いてみたいな」
 
樋口「感想言うんかなと思ったら、質問!(笑)」
 
須田「学生時代より卒業してからの方が、こういう気持ちになってるかもしれない」
 
植野「へー!」
 
須田「世の中を見て、結局同調圧力がいろんなところに偏在しているというか」
 
植野「学生時代と一緒やなと!」
 
須田「そうそう。それがイライラしてしまって」
 
植野「じゃあエピソードはなし?」
 
須田「学生時代はどうかなあ。主流の方に行けない人はどんどん隅っこに追いやられるというのはずっと感じてたんで。僕は“じゃあそれでいいわ”と」
 
樋口「こういう聞き方するのは失礼かもしれないんですけど、須田さんって学生時代スクールカーストでいうと、どの辺やったんですか?」
 
須田「わかんないんですよ。僕ね、別に“あいつイケてるからムカつく”とかじゃなかったんですよ。結構進学校やったんですけど、イケてる奴でもおもろい奴はおったんですよ。そういう奴とは仲良くて。ラグビー部とめっちゃ仲良かったんですよ。でもバスケ部が嫌いやったんですよ」
 
一同「(笑)」
 
須田「バスケ部が全員理系で、進学校特有の、エリートが高みから周りを見下してる感じに腹立ってましたね。僕今回のアルバム、スクールカーストっていう価値観から一歩抜け出したいなというのがテーマとしてあって。“ナードマグネット”という言葉をバンド名につけてたことで、やっぱり今までスクールカースト的な文脈で語られがちやったんですけど」
 
樋口「ちょっとカウンターっぽいよね」
 
須田「でも今の世の中、スクールカーストなんて簡単な図式では語れないんじゃないか、むしろステレオタイプから外れた奴が1番苦しんでるんじゃないかなと思ったんですよ。カーストの上の方にいるように見えて実は問題抱えてるとか、ステレオタイプにすら入れないとか。多分僕らが出てきたことで、スクールカースト的なことで語られがちになってしまったと思うんですけど、それに対して僕はちょっと責任を感じていて。だからもう一歩先に進んだ表現ができないかなと思ったんです。この曲はステレオタイプから逸脱したことで、周りから“あいつはフリークだ、ギークだ”って言われる世の中に対して、“ええやん別に! 上等じゃボケェ!”っていう曲なんですよね」
 
 
M-4 『バッド・レピュテイション』
 

 
樋口「怒りの部分を歌い上げているという意味では、怒り続きの4曲目『バッド・レピュテイション』。ポップパンク感が強いですね」
 
須田「僕が大好きな2000年代、2003年くらいのポップパンクの名曲のエッセンスを全部入れてますね」
 
おかゆ「PV公開される前から須田さんに“次のPVおかゆちゃん絶対笑うから見て”って言われて。ほんまにナードに2003年のサマソニ出てほしかった」
 
須田「そうそうそうそう!!」
 
おかゆ「俺の中では伝説の2003年なんですよ」
 
植野「2003年、コールドプレイとかね!」
 
須田「出てねえよ!」
 
一同「(爆笑)」
 
おかゆ「一回休み~」
 
植野「貴重な一回! 嘘でしょ」
 
須田「2003年はNEW FOUND GROWLYと、blink-182と」
 
おかゆ「SUM41とGood Charlotte」
 
須田「そうそう」
 
おかゆおかゆ「ヘッドライナーがblurと」
 
須田「RADIOHEAD!」
 
おかゆ「そう」
 
須田「ほんまにあの時のサマソニの感じなんですよ!」
 
おかゆ「良い意味でほんまに邦楽やし、単純なリバイバルっていうことじゃなくて、ナードのやりたいことがちゃんと詰まってて、すごいと思います」
 
須田「ありがとうございます」
 
樋口「曲調や病院で撮影してるMVを見ると、僕はGREEN DAYを思い出しました」
 
須田「『Basket Case』ね!」
 
おかゆ「blink-182の『Feeling This』のPVとか」
 
須田「あー! はいはいはい!」
 
おかゆ「僕めっちゃ大好きなんですけど、ポップパンクのバンドって、なんで皆ああいうPVとるんですかね。学校とか病院とか、反乱を起こすとか」
 
須田「やっぱりそれがパンクっぽいイメージなんですかね」
 
おかゆ「ティーンエイジャーに向けたところが」
 
樋口「規則規律に抗うような意味合いがあるのかなと思いますけどもね」

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M-5 『透明になろう』
 
樋口「ここからテイストが変わる感じがします」
 
須田「そう、一気にぐっとテンションが変わる」
 
樋口「曲名がアルバムタイトルとリンクしてますね」
 
須田「今回のアルバムで割と早い段階でできた曲です。いろんなことにうんざりしてる時に“ここから抜け出したい”みたいな曲がいっぱいできて、その中の1つで“透明になろう”っていうフレーズが自分の中ですごいしっくりきたんで、アルバムタイトルにしました」
 
樋口「藤井さんはこの曲で12弦ギターを」
 
藤井「はい、買いました」
 
会場「(ざわめき)」
 
藤井「秀村さんがドラム録ってるスタジオにいる時に、ローン審査の電話きました」
 
一同「(笑)」
 
藤井「“いけますよ”って言われて。まだローン払い続けてます」
 
樋口「まじっすか」
 
藤井「12弦はこの曲しか使ってない」
 
樋口「ライブは12弦使うんですか?」
 
藤井「使いますよ」
 
たなりょー「俺(ドラムやから)ギターのことってそんなにわからへんねんけど、なんでそんなに弦がいるん?」
 
一同「(爆笑)」
 
須田「12弦ギターっていうのは、普通の6弦よりオクターブ上か下の」
 
たなりょー「あ、ちょっと専門用語入った」
 
会場「(笑)」
 
おかゆ「まあ難しいな、ベースからしたら3倍やからな」
 
会場「(笑)」
 
たなりょー「そうそう。いらんやろ12本も」
 
須田「なんかね、倍の感じになるねん。イントロの感じとかがそうやねん」
 
植野「キラキラな感じね」
 
藤井「そうそう。J-POPとかでも実はいっぱい入ってるよ」
 
おかゆ「どこのメーカー?」
 
藤井「グレコの12弦のジミーペイジモデル」
 
おかゆ「へー!」
 
須田「ダブルネックなんですよ。普通のギターと12弦」
 
おかゆ「へー! SGのやつ?」
 
藤井「SG!」
 
おかゆ「渋!」
 
たなりょー「暇やわ~この時間めっちゃ暇」
 
一同「(爆笑)」
 
おかゆ「ごめんごめん」
 
樋口「けど音楽やってる人の楽器へのこだわりってなかなか聞けないから貴重だと思います。12弦ギターってあまりピンとこない気持ちもすごいわかるんですけど」
 
藤井「ピンとこないんだったらこの人たち(会場のオーディエンス)来た時12弦ギター使わずしてライブやりますよ」
 
会場「え樋口樋口!(笑)」
 
藤井「冗談、冗談。弦3セット買ってあるから」
 
樋口「植野さんはこの曲に関してどうですか?」
 
植野「すごい語りかけてくるような曲というか、“同じ傷がある”みたいなフレーズに共感するし、あと、“透明になろう”っていうのが何のメタファーなのか可能な範囲で教えてください。そこはやっぱり各々感じるのが楽しみだと思うんで」
 
須田「僕の中では『FREAKS & GEEKS』と似てて。『FREAKS & GEEKS』はめっちゃ怒ってるんですけど、『透明になろう』では、世の中とか周りの目線から一旦逃げることで自由になれることもあるんじゃないか。それを“透明”って表現したんです。“誰からも見えなくなったら君は自由になれるんじゃないか、解放されるんじゃないか。たとえ透明になっても、僕は君のことが見えてるよ”という内容なんです。僕はすごくポジティブな意味で書いてます」
 
植野「よくわか……寝てるやん!!」
 
一同「(爆笑)」
 
たなりょー「いや(笑)」
 
樋口「透明になるっていうボケですか、もしかして(笑)」
 
一同「(爆笑)」
 
樋口「そこまで伏線張ってます?」
 
たなりょー「“ああなるほど”と思って聞いてただけなんですよ。今のマジでボケじゃないです。心外です」
 
会場「(笑)」
 
樋口「このMVが明日(6月4日)に解禁になるということなので、今日せっかく最速視聴会で集まっていただいてますんで、観ていただきましょう!」
 
会場「(歓声)」
 
~『透明になろう』MV鑑賞~
 

 
樋口「最初の感じからラストへの展開の想像がつかなかった」
 
須田「でしょ」
 
樋口「あと須田さんのダンスが印象的でした」
 
会場「(笑)」
 
須田「ほんとに勘弁してほしかったですね。台本見た時に、“須田が踊る”とだけ書いてあって」
 
樋口「監督からの指示ってことですか」
 
須田「“どんな感じでやったらいんですか”って言ったら“自由にやってください”と言われて。なんやねんと思って。だから僕が酔っ払う時にやる感じで踊りました」
 
会場「(笑)」
 
須田「僕が酔っ払いながら、たとえばDENIMSとか見てる時はあんな感じです」
 
樋口「藤井さんの12弦ギター出てきましたね」
 
藤井「出てきましたね」
 
たなりょー「あれがそうなんや!」
 
樋口「皆さんも“あれがそうなんや!”ってなるでしょ?」
 
藤井「“どこで買ったんですか?”って言われても、実際(MVで)撃たれたから使い物になんないんで」
 
会場「(笑)」
 
須田「ややウケ」
 
樋口「僕は正直な人間だから、拾えないところは拾えないアピールをしますよ。透明になるところは透明になってね」
 
会場「(爆笑)」

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M-6 『I’m Not Gonna Teach Your Boyfriend How To Dance With You (COVER)』
 
樋口「この曲はカバーですね。なぜカバーを入れようと思ったんですか?」
 
須田「BLACK KIDSというバンドがいまして、10年ぐらい前にえらい流行った曲なんですよ。僕は当時大学4年生とかで、Shangri-laに来日公演見に行くぐらいめちゃくちゃ好きやったんです。いつか歌いたいとはずっと思ってて。で、この曲の歌い出しの歌詞を日本語に訳すと、“あなたは私が小さな女の子だった頃から憧れていた、夢にまで見ていたような女の子”なんですよ。要は同性愛の失恋ソングなんです」
 
樋口「なるほど!」
 
須田「次の7曲目が『虹の秘密』っていう曲なんですけど、あえて登場人物のセクシュアリティをぼかして書いてるんですよ。そのヒントとしてこの曲がピッタリやなと思って」
 
樋口「次の曲への伏線の意味合いもあるということですね」
 
須田「そうですね」
 
樋口「今回コーラスにはスタッフと、後輩バンドのTransit My Youthが参加しています」
 
須田「Transit My Youthの女子チームが掛け声とハモリをやってくれました」
 
樋口「是非そういうところも聴いていただきたいんですけど、この曲に関してはやはりイントロのね」
 
須田「冒頭の。あれは笑うところですけどね」
 
樋口「ビックリしました。ちょっとNIRVANAな感じというか」
 
須田「『Smells Like Teen Spirit』のイントロですね。BLACK KIDSの原曲はギターがあんまり歪んでないんですよ。ギターの譜割が細かいから、それを僕の歪んだギターでやると、ガチャガチャしてしまうのでどうしようかなって言ってたら、藤井が、“『Smells Like Teen Spirit』そのまんまやったらおもしろくない?”って」
 
藤井「キーがFなんですよ」
 
須田「そうそう、同じキーから始まるから、“それやってみよう”ってやったらめっちゃハマって。でまあ後付けなんですけど、“NIRVANAのカート・コバーンってどういう人やった?”って言ったら、世の中との軋轢に苦しんで最終的には死んじゃった人じゃないですか。だからその辺はアルバムのテーマとも合うし、結果的にはイントロも良かったかなって。最初はギャグみたいな要素でやったんですけど、よくよく考えたらピッタリでした」
 
樋口「たなりょーさんはどうですか?」
 
たなりょー「そうですねー、僕は正直あんまり詳しくないのもあって、音楽を聴く時に引用源がどうとか重視しないんですよね。だからおかゆちゃんが“音の重ね方が~”とか藤井が“12弦のギターが”、とか、“今日そんな感じの専門的な話すんねや~”と思って、俺もう帰ろうかなってさっきまで思ってた」
 
会場「(笑)」
 
たなりょー「でも僕がナード好きなのは、頭でっかちに“この曲知ってるからこういう良さがある”とかいう以前に、単純に曲や演奏、声がめっちゃ好きで。それこそ昔ナードが『Mixtape』のPV出した時、僕はほんまにすぐ好きなものをお母さんに見せたりするんですよ」
 
一同「(笑)」
 
たなりょー「“見て~”みたいな。後で元ネタの映画『ウォールフラワー』も観ましたけど、別にそんなん関係なく『Mixtape』がめっちゃ好きで、良いなと思って。多分お客さんが好きなのもそういうとこじゃないかなと僕は思ってて。須田さんとかおかゆちゃんが“この曲は当時のあの曲の”、とか言ってるの、めちゃ羨ましいしカッコ良いと思うんですよ。でもそういうの知らんくてもカッコ良い。さすがにNIRVANAのイントロは好きやしめっちゃわかったから、須田さんにすぐ“6曲目のイントロ笑いましたー”ってLINEで送ったけど、今日集まった人がどのくらい音楽聴いてるかとかは関係なくて。たとえば“ナード”っていう言葉が、さっき出てたスクールカーストに根付いたものだとしても全然共感したことないし、僕は高校も中学もずっと友達多かったし」
 
一同「(爆笑)」
 
たなりょー「でも、ほんまにお母さんに見せるぐらい好きなんですよ。そういうことを思って曲を聴いてます」
 
須田「元ネタなんて知らなくても全然いいんですよ。知らなくても楽しめるように作ってるつもりなんで。で、そこから一歩入るともっとおもろいこと用意してまっせ、っていうスタンスなんで」
 
たなりょー「好きになってそこで終わっちゃうものもいっぱいあると思うんですけど、ナードマグネットは好きになってからの奥が深い」
 
おかゆ「オマージュとかサンプリングを入れるのって、ある種やらしく見えてしまう場合もあるやん」
 
たなりょー「そう!」
 
おかゆ「“こんなんやりまっせ”、みたいな。でもナードはやらしさが全くない」
 
たなりょー「そう、やらしさがない」
 
おかゆ「正直このアルバム、イントロだけじゃなくて、ほんまにわかる人は結構ニヤリとするポイントが他にもいっぱいあるし。そういうのが似合ってしまうというか、ニクいとこ突いてくるな」
 
たなりょー「“俺らは洋楽のこういうとこ抽出してやってまっせ”みたいなバンド、クソほどいるんですよ。でもそういうことを感じさせない正義みたいなものをナードマグネットに感じるというか」
 
樋口「おーーーー!」
 
たなりょー「“これ聴いとかなあかん”とか絶対言わないんですよ。“聴いてたらより楽しいで”、って言うだけなんです。めちゃくちゃ好きな先輩の理想ですよね」
 
樋口「どうですか須田さんそれ受けて」
 
須田「いや、もうその通り」
 
会場「(笑)」
 
須田「その通りというか、僕がやろうとしてる、目指してるとこ。ハードル高くしてもしょうがないから。僕は寂しいんですよ。だって海外のアーティストのライブに行っても、知り合いに全然会わないんですよ」
 
藤井「俺のお兄ちゃんしかいない」
 
須田「そうそう、藤井のお兄ちゃんはめっちゃくちゃ会う!!」
 
一同「(爆笑)」
 
須田「あとカマチューもたまに会う。寂しいからちょっとでも仲間を増やしたいんですけど、押し付けがましくなっても嫌じゃないですか。“お前これ聴いてなアカンぞ”ってマウントとる人うざいじゃないですか」
 
おかゆ「そういう人苦手」
 
須田「だからもうちょっとスッと入れる塩梅をいつも模索してるというか」
 
樋口「ほんとに入り口としてということですよね」
 
植野「後輩もコーラスで入れてはるし。それも入り口になるんですよね。Transit My Youth、良い曲書くバンドなんですよ」
 
樋口「Transit My Youth、まさにポップパンク系統ですね」
 
須田「そうです、僕らのパワーポップの後輩という感じ。良いバンド」
 
樋口「クレジットを見た時にも1つの入り口になるっていうね」
 
須田「そうそうそう!」
 
 
M-7 『虹の秘密』
 
樋口「先ほどお話いただいたように、テーマが同性愛とリンクしている。でもそれを曲調から感じとれないというのが驚きました」
 
須田「パッと聴いた感じはいつものナードマグネットの青春失恋ソングなんですけど、今までよりも一歩踏み込んだテーマで歌いたくて」
 
樋口「虹はジェンダーシンボルの意味ですか?」
 
須田「そうです。レインボーフラッグのことです」
 
樋口「そう聞くと『虹の秘密』の意味がわかって、歌詞を解釈していこうとなりますもんね」
 
須田「よくよく読んだら“これってどういうことなんやろう?”ってなるんですよ。明確に答えを用意してない。2番の歌詞読んでもらうとわかると思うんですけど、主人公と相手のセクシュアリティはどっちなんやろうっていう感じで書いてるんですよ。届く対象が広がればいいなと思って、敢えてわからんようにしてる。あくまでもポップソングの軽い気持ちで聴ける範疇で、幅を広げられたらいいなというぐらいのレベルなんで。めちゃめちゃ社会派な感じ出しても、説教くさくて嫌じゃないですか。その辺の塩梅をやっぱり考えてたかな」

 
<後編に続く>


text by ERI KUBOTA
photo by うつのみや



(2019年7月 3日更新)


Check

ナードマグネット
2nd フルアルバム
『透明になったあなたへ』

発売中 2315円(税別)

《収録曲》
01. Intro
02. アップサイドダウン
03. FREAKS & GEEKS
04. バッド・レピュテイション
05. 透明になろう
06. I’m Not Gonna Teach Your Boyfriend How To Dance With You (COVER)
07. 虹の秘密
08. テキサス・シンデレラ
09. 家出少女と屋上
10. Song For Zac & Kate(日本語カバー)
11. COMET
12. THE GREAT ESCAPE
13. HANNAH / You Are My Sunshine

Live

<ナードマグネット>

追加アーティスト発表!

ナードマグネット presents
『ULTRA SOULMATE 2019』

チケット発売中 Pコード:143-523
▼8月4日(日) 12:30
大阪城音楽堂
全自由-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]フレンズ/teto/cinema staff/愛はズボーン/夜の本気ダンス/DENIMS/KANA-BOON [NEW!!]
[司会]樋口大喜/高樹リサ/須田亮太
※雨天決行・荒天中止。小学生以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限り無料。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。
[問]GREENS■06-6882-1224

「だいそうさくツアー」

【千葉公演】
▼8月10日(土)千葉LOOK
【栃木公演】
▼8月11日(日・祝)宇都宮HELLO DOLLY
【群馬公演】
▼8月17日(土)高崎TRUST55
【石川公演】
▼8月18日(日)金沢GOLD CREEK
【東京公演】
▼8月24日(土)WWW X
【広島公演】
▼9月1日(日)広島・4.14
【静岡公演】
▼9月8日(日)静岡UMBER
【宮城公演】
▼9月22日(日)LIVE HOUSE enn 3rd
【埼玉公演】
▼9月23日(月・祝)ライブハウスKYARA
【北海道公演】
▼9月28日(土)SPIRITUAL LOUNGE
【宮城公演】
▼10月6日(日)R.A.D
【福岡公演】
▼10月19日(土)graf
【岡山公演】
▼10月22日(火・祝)岡山ペパーランド

Pick Up!!

【大阪公演】

9月7日(土)一般発売 Pコード:154-691
▼11月3日(日・祝) 18:00
BIGCAT
オールスタンディング-3000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]GREENS■06-6882-1224

『RUSH BALL 2019』
7月7日(日)一般発売 Pコード:145-675
▼8月31日(土) 11:00
泉大津フェニックス
1DAY(大人)-6800円(中学生以上、整理番号付)
1DAY(小学生)-3500円(整理番号付)
[出演]サカナクション/ストレイテナー/10-FEET/Creepy Nuts/Dragon Ash/ROTTENGRAFFTY/Saucy Dog/SUPER BEAVER/The BONEZ/TRIPLE AXE [オープニングアクト]リーガルリリー
[出演]ナードマグネット(ATMC)/ハンブレッダーズ(ATMC)/ヤングオオハラ(ATMC)/Ghost like girlfriend(ATMC)/NakamuraEmi(ATMC)/SCUMGAMES(ATMC)/SPARK!!SOUND!!SHOW!!(ATMC)/The 3 minutes(ATMC)/THE FOREVER YOUNG(ATMC)/w.o.d.(ATMC)
※2DAYSチケットは取扱なし。雨天決行・荒天中止。未就学児童は保護者同伴に限り無料。小学生以上は有料。出演者の変更・キャンセルに伴う払い戻し、チケット・リストバンドの再発行は行いません。2日通し券をご希望の方は8/31公演の席種から「2DAYS」を選択して下さい。
【オフィシャルHP】http://www.rushball.com/
※販売期間中は1人1公演4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224

チケット情報はこちら


<DENIMS>

「“makuake” release tour」
【宮城公演】

▼7月12日(金)LIVE HOUSE enn 3rd
【千葉公演】
▼7月13日(土)千葉LOOK
【広島公演】
▼7月21日(日)広島・4.14
【愛知公演】
▼8月1日(木)TOKUZO
東京公演】
▼8月2日(金)UNIT
【福岡公演】
▼8月12日(月・休)INSA

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:149-533
▼8月18日(日) 18:00
umeda TRAD(前umeda AKASO)
オールスタンディング-3000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]GREENS■06-6882-1224

『見放題2019』
チケット発売中 Pコード:152-037
▼7月6日(土) 13:00
心斎橋アメリカ村周辺のライブスペース複数会場
自由-4000円(ドリンク代別途要)
[出演]感覚ピエロ/CVLTE/CAT ATE HOTDOGS/東京少年倶楽部/UMEILO/Mr.ふぉるて/atelier room/Transit My Youth/アメノイロ。/ROKI/the paddles/FILTER/ソウルズ/FEEDWIT/マイアミパーティ/BALLOND’OR/Sleeping Girls/Su凸ko D凹koi/アシュラシンドローム/ソウルフード/ニアフレンズ/KUZIRA/Maki/アンテナ/アイビーカラー/数式とライオン/カネヨリマサル/The 3 minutes/バンドごっこ/Split end/vivid undress/nolala/メメタァ/みそっかす/POT/EVERLONG/moon drop/林直大/幡野友暉/ドイヒロト/CRAZY VODKA TONIC/LOCAL CONNECT/This is LAST/anica/postman/リアクション ザ ブッタ/alcott/GOODWARP/Mellow Youth/INNOSENT in FORMAL/ロマンス&バカンス/虎の子ラミー/Bacon/アイスクリームネバーグラウンド/AOI MOMENT/Yellow Studs/サスライナンバープレート/3markets[ ]/それでも尚、未来に媚びる/バニーブルース/理科室コーヒー実験ブレンド/about a ROOM/THURSDAY’S YOUTH/BAN’S ENCOUNTER/め組/the twenties/KAKASHI/THIS IS JAPAN/クリトリック・リス/時速36km/Lenny code fiction/WOMCADOLE/街人/climbgrow/Unblock/Cloque./TETORA/reGretGirl/ズーカラデル/そこに鳴る/Made in Raga-sa/OCEANS/SideChest/Crispy Camera Club/ニトロデイ/my beautiful slumber/ハンブレッダーズ/パノラマパナマタウン/The Songbards/Re:name/アルコサイト/ユビキタス/オメでたい頭でなにより/バックドロップシンデレラ/福modest/ナツ/ReVision of Sence/ライブキッズあるある中の人/高島大輔/西村竜哉/ギャーギャーズ/AT-FIELD/ビレッジマンズストア/the satellites/MAGIC OF LiFE/鶴/-KARMA-/ひかりのなかに/ネクライトーキー/SIX LOUNGE/宇宙まお/OKOJO/kobore/モケーレムベンベ/ab initio/kasa./暁音/LONE/ジラフポット/バレーボウイズ/ジラフポット/osage/Half time Old/PELICAN FANCLUB/竹内アンナ/川さん/とけた電球/Easycome/超能力戦士ドリアン/ザ・チャレンジ/奥野涼/ハットリクミコ/LONGMAN/the quiet room/RED in BLUE/FERN PLANET/Hue’s/林青空/ステレオガール/錯乱前戦/イロムク/WALTZMORE/DENIMS/おいしくるメロンパン/河内健悟/w.o.d./奢る舞けん茜/THEラブ人間/THE BOYS&GIRLS/集団行動/愛はズボーン/キイチビール&ザ・ホーリーティッツ/セックスマシーン!!/Yap!!!/The Wisely Brothers/空きっ腹に酒/Bentham/ヤングオオハラ/SAME/TENDOUJI/MOSHIMO/池田篤/北林英雄/ドラマチックアラスカ/シナリオアート/グッバイフジヤマ大好き芸人/ircle大好き芸人/浪漫革命/ササキハヤト/Slimcat/密会と耳鳴り/The Floor/FABLED NUMBER/PAN/忘れらんねえよ/プロ野球大好き芸人/HOOK UP RECORDS大好き芸人/Arakezuri
※3歳以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限る。会場、出演時間の変更、また出演者の変更・キャンセルに伴う払戻し等は行いません。チケット・リストバンドの紛失や破損等、如何なる理由に関わらず再発行不可。客席を含む会場内の映像、写真が公開される場合があります。
【お問合せ】見放題実行委員会 mihoudai.zikkouiinkai@gmail.com
【見放題オフィシャルホームページ】http://www.mihoudai.jp
※販売期間中は1人4枚まで。


『Living Aloha ’19』
チケット発売中 Pコード:149-290
▼7月20日(土) 11:45
Green Beach House
全席自由-5000円(要1ドリンクオーダー)
[出演]思い出野郎Aチーム/SIRUP/スカート/chelmico/DENIMS/ドミコ/他
[問]ABOUT MUSIC■092-982-8281


「ナードマグネット」
チケット発売中 Pコード:143-523
▼8月4日(日) 12:30
大阪城音楽堂
全自由-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]フレンズ/teto/cinema staff/愛はズボーン/夜の本気ダンス/DENIMS/他
[司会]樋口大喜/高樹リサ/須田亮太
※雨天決行・荒天中止。小学生以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限り無料。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。
[問]GREENS■06-6882-1224


tricot9周年企画 「爆祭 2019 -Vol.12-」
チケット発売中 Pコード:154-156
▼9月23日(月・祝) 15:30
TSUTAYA O-EAST
スタンディング-5000円(ドリンク代別途必要)
[出演]tricot/04 Limited Sazabys/Tempalay/ayutthaya/DENIMS/Survive Said The Prophet/赤い公園
※3歳以下は入場不可。4歳以上はチケット必要。
※チケットは1人4枚まで。
[問]ホットスタッフ・プロモーション
■03-5720-9999


『第1回!Happy and Fun Music Festival』
7月13日(土)一般発売 Pコード:154-360
▼9月29日(日) 14:30
味園 ユニバース
全自由-4451円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]中島ヒロト/Keishi Tanaka/DENIMS/NakamuraEmi/矢井田瞳/他
※小学生以上は有料。
[問]GREENS■06-6882-1224

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<COSMOS>

「バウンダリー」
チケット発売中 Pコード:154-849
▼7月25日(木) 18:30
LIVE SQUARE 2nd LINE
前売-2300円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]COSMOS/CAT ATE HOTDOGS/The Dragers
[問]LIVE SQUARE 2nd LINE■06-6453-1985


『STRANGER THINGS TOUR 2019』
チケット発売中 Pコード:153-434
▼8月3日(土) 18:00
LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング-2000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]時速36km/ROKI/浪漫革命/COSMOS/FATE BOX
[問]LIVE HOUSE Pangea■06-4708-0061


「時速36km/NOWEATHER」
チケット発売中 Pコード:156-949
▼8月23日(金) 18:00
LIVE SQUARE 2nd LINE
前売-2000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]youth/街人/COSMOS
[問]LIVE SQUARE 2nd LINE
■06-6453-1985

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FM802『RADIO∞INFINITY』
DJ:樋口大喜
毎週木曜日25:00~28:00
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