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10年分の思い出が詰まったベスト盤をリリースし
いつもと違う“ウラ”のツアーへ!
城南海インタビュー

美しい歌声をのせるシマ唄を武器に、2009年にデビューした城南海が今年ついにデビュー10周年! 5月8日にはこれを記念した初のベストアルバム『ウタツムギ』を発表した。今作はオリジナル曲とカバー曲それぞれをまとめた2枚組で、新録のナンバーも2曲収録。たっぷりと彼女の歌の世界を楽しめるこの作品について、そして10年間の歩みについて話を聞いた。間もなくスタートするツアーの“ヒント”も教えてくれたので、ぜひチェックを!

――10周年おめでとうございます。今、10年を振り返ってみていかがですか?
 
「デビュー当時は初めてのことが続いて、大学に行きながら二足のわらじで大変な時もあったんですけど、家族や友達やファンの方……みなさんに支えてもらって歌い続けてこられたなと思いますね」
 
――当初はこんな風に10周年を迎えていると思っていました?
 
「いや、明日何があるかわからない世界だし……(笑)。もちろん目標はあったんですけど歌い続けられているかわからなかったですね。ただ歌は好きで切っても切れない、なくてはならないものだったんで、どんな形であれ歌っているだろうなとは思ってました」
 
――10年間いろいろなことに挑戦されていますが、ターニングポイントになったと思うことは?
 
「『THEカラオケ★バトル』かな。最初は、歌に採点って大丈夫かな? 点数だけで評価されたくないなって思っていたんです。だから、採点というくくりはありつつ、自分の歌の表現のよさをのっけながら歌うことにチャレンジしていったんですけど、それがすごく反響があって、番組を通して私のことを知ってくださった方もいましたし、そして競い合ってはいるけどいい音楽仲間も増えたんですよね。お互いに辛い練習を経て勝ってきているのでわかり合えるすてきな仲間。あらゆる面でステップアップした場所が『THEカラオケ★バトル』だったかなと思います」
 
――音楽に対する考え方が変わったりしましたか?
 
「奄美のシマ唄を広げたい!っていうベースは変わらないんですけど、カバーにチャレンジするなかで、自分の音楽にはなかった景色や思いを学べたところがとてもありますね。オリジナル曲の幅も広がったかもしれないです」
 
――進化し続けた10年でしたね。そして5月にはその大事な節目を飾る初のベスト盤『ウタツムギ』がリリースに! 今作はオリジナル曲とカバー曲、それぞれを集めた2枚組ですね。
 
「『THEカラオケ★バトル』出演以降、カバー曲にチャレンジすることが増えて、そこからオリジナル曲を聴いてくれた方もたくさんいるし、カバーアルバムも3枚出しているので、じゃオリジナルもカバーもどっちも!と…。今まで応援してきてくれた人に喜んでもらうのはもちろん、今回初めて私の作品を手に取ってくれた方も楽しんでもらえるようなベストアルバムです」
 
――楽曲はファン投票からセレクトされたとお聞きしました。
 
「投票結果の上位の曲からメインに選んで、それを踏まえたうえで私がこれは入れたい!っていうのも入れました。あと、シングルにはなっていないけどライブでやる大事な曲とか、初めて聴く人も聴きやすい曲とか、そういうバランスも考えながらの選曲でしたね」
 
――投票結果を見ての感想は?
 
「意外と『紅』が人気でしたね(笑)。あと、今回は入ってないんですけど『七草の詩』とかも。上位は『アイツムギ』とか、そうだよね!っていう感じでした。だから(『アイツムギ』は)入るだろうからそれ以外をリクエストしますっていうファンの方もいっぱいいましたね(笑)。カバー曲は『THEカラオケ★バトル』で歌った『友達の詩』、『ORION』、『流星群』とかが人気でした。でも番組で歌ったけど音源化してない曲にも票が結構入ってました(笑)。実は(音源化していない)『花~すべての人の心に花を~』もランクインしていて、『THEカラオケ★バトル』の初出演の時に歌った曲でもあったし、みなさんCDで聴きたいんだなと思って、新たに今回レコーディングしたんです」
 
――それでは、ご自身で入れたいと思って選んだ曲は?
 
「『童神~私の宝物~』は、デビュー前のオーディションで歌って転機になった曲なので選びました。あと『アカツキ』はコンサートでいつも歌って踊っているので。そして『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』も昨年1年間の集大成なので選びましたね。泣く泣く……(収録なし)っていう曲もあったんですけど、バランスよく完成したかなって思います」
 
――今回そうやって選曲するなかで、実際に曲を聴いてこれまでを振り返ることになったと思いますが、さまざまな曲の思い出がよみがえったのでは?
 
「いろいろ思い出しましたね。例えば『紅』は初めて詞をかいた曲でメロディはアイルランド民謡なんですけど、デビュー前からピアノを弾きながら歌っていた曲で…。で、デビューのタイミングで武部聡志さんに出会って、当時のマネージャーさんが、城と一緒にやってください!って言ったら、武部さんが、いいよ、やろうよ!って言って有言実行でそのあとすぐにデビューアルバムに入れるためにプロデュースしてくださったんです。その時に武部さんは、この曲はピアノと歌の2人だけでお互いの息を聴きながら一発録りにしようって、1テイクでOKを出してくださったんですけど、私はもう一回お願いします! もう一回お願いします!!って言って、結局13テイク録ったんです(笑)。大御所の武部さんに……もう今だったら、逆に言えないかもしれないですね」
 
――そんな裏話が(笑)。そして、アルバムからは城さんの歌声の変化も感じます。1曲目は新録の『アイツムギ~10周年Ver.~』で、次の曲が2009年の2ndシングル『誰カノタメニ』なので、特に違いがくっきり。
 
「そう。声が違いますよね! 私も自分でびっくりしました(笑)。急に艶が出た。ピッチピチですよね。最近、リリースイベントをよくやっているんですけど、昔の曲を歌うと、歌いながら“あ、昔と違う!”ってなります(笑)」
 
――年齢とともに声質は変わりますよね。
 
「変わっていくものだと思っているので、変わることを肯定しながら歌ってますね。だからこそ歌える曲の幅も広がるし、楽しんでます」
 
――でもそこだけでなく、ボーカルの多彩さの理由にはその時々の方向性なども反映されているのでは? 当然曲に合わせて……ということもあるとは思いますが。
 
「それはあると思います。その時のディレクターさんとの出会いもあるし、一緒に奏でるメンバーとのつながりもあるし…。レコーディングで一緒に音を出して、こういう風に演奏しよう!ってディレクターさんやメンバーと共に作ってきたので、その時々の私の気持ちや経験、そして出会いが声に表れていると思いますね」
 
――さてここで今回新録した『アイツムギ~10周年Ver.~』のことも。今回はジャズの要素を取り入れていますが、こうした理由とは?
 
「今まで歌い続けてきたデビュー曲の『アイツムギ』をアレンジし直すのは勇気がいることだったんですけど、今回のディレクターさんがいろんなことにチャレンジしようよ!って言ってくれて、普段一緒にツアーを回っているメンバーと一緒に考えたんです。新しい令和の時代になって、私もアラサーというか大人になって(笑)、ここでジャズにトライしてみるのもいいよねってことに…。実は(テレビ番組で共演した)徳光和夫さんからも、南海はジャズが似合うと思うなあって言われてたんですよね」
 
――城さんには美しいハイトーンのイメージがありますが、今作を聴くと低い声も魅力的で、確かにジャズが似合いますよね。
 
「昔は低~中音域はあまり出なかったんですけど、最近はそこがよく出るようになって低~中音域をいかすキー設定でいろんな曲を歌ってますね。デビューの頃にはできなかったことだから、10年ってそういうことなんですかね(笑)」
 
――そう言えば、アルバムのブックレットに“名曲には愛される理由があり……”という手書きの文章(一部抜粋)があったんですが、10年歌ってきてその理由って判明しましたか?
 
「いやもう、曲の持つパワーですよね。例えば今回収録した『糸』もそうだと思うんです。この曲を聴いてみなさん昔のことを思い出すじゃないですか? その当時の心に曲のメッセージが刻まれているんですよね。だから私が歌う『糸』で当時をフラッシュバックさせることはできないかもしれないんですけど、でもそこは曲のよさをいかしながら、リスペクトしながら、自分なりに今ならどう歌うのか?って考えてという…。すごく難しいところです」
 
――カバーならではの難しさですね。そして7月から始まるツアー「ウラアシビ ~10th Anniversary~」では、洋楽のカバーを披露するんですよね?
 
「はい。いつも(のツアー『ウタアシビ』)とはちょっと違うよ!っていう意味で“ウラ”アシビです。曲はCARPENTERSとかABBAとかDes'reeとかSTINGとか……ま、変わる可能性もあるんですけどね(笑)。アレンジもちょっと変えるつもりで、現在絶賛アレンジ中です!」
 
――会場も自身初となるジャズクラブですね。
 
「せっかくなので飲みながら食べながら楽しめるようにしたいですね。名曲ばかりですけど、この曲をこんな風にやるんだ!とか、ここで三味線弾いちゃう?みたいなこともやってみたいなって…(笑)。10周年の節目に新しい城南海を見ていただいて、また『ウタアシビ』にもつながるようなコンサートになればなって思ってます」

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text by 服田昌子



(2019年7月10日更新)


Check

Release

『ウタツムギ』
発売中

【初回限定盤】(2CD+DVD+スペシャルミニフォトブック)
5800円(税別)
PCCA-04779

【通常盤】(2CD)
2800円(税別)
PCCA-04780

【CD DISC1】オリジナルベスト収録曲
01. アイツムギ~10周年ver.~ ※新録
02. 誰カノタメニ
03. 白い月
04. 紅
05. ルナ・レガーロ~月からの贈り物~
06. 童神~私の宝物~
07. 兆し
08. 夢待列車
09. 祈りうた~トウトガナシ~
10. サンサーラ
11. 月と月
12. アカツキ
13. いつか星になる
14. あなたに逢えてよかった
15. サヨナラよりも伝えたかったこと
16. 西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~

【CD DISC2】カバーベスト収録曲
01. ハナミズキ
(原曲:一青窈 2004年)
02. 涙そうそう
(原曲:BEGIN 2000年)
03. サボテンの花
(原曲:チューリップ 1975年)
04. 少年時代
(原曲:井上陽水 1990年)
05. 会いたい
(原曲:沢田知可子 1990年)
06. 瞳をとじて
(原曲:平井堅 2004年)
07. Time goes by
(原曲:Every Little Thing 1998年)
08. 三日月
(原曲:絢香 2006年)
09. 流星群
(原曲:鬼束ちひろ 2002年)
10. 風になりたい
(原曲:THE BOOM 1995年)
11. ORION
(原曲:中島美嘉 2008年)
12. 糸
(原曲:中島みゆき 1992年)
13. 月のしずく
(原曲:RUI 2003年)
14. 友達の詩
(原曲:中村中 2005年)
15. 花 ~すべての人の心に花を~
(※新録)(原曲:喜納昌吉&チャンプルーズ1980年)

【DVD】
城 南海 10周年記念ふるさとコンサート映像@奄美文化センター[2019.1.27]
01. 愛加那
02. 西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~
03. あさなゆうな
04. 白い月
05. 遠い約束
06. 祈りうた~トウトガナシ~
07. 夢待列車
08. アカツキ
09. アイツムギ
10. あなたに逢えてよかった
11. 六調

Profile

平成元年、鹿児島県奄美大島生まれ。奄美民謡・シマ唄をルーツに持つシンガー。2009 年1 月「アイツムギ」でメジャーデビュー。代表曲はNHK みんなのうた「あさなゆうな」、「夢待列車」をはじめ、NHKドラマ「八日目の蝉」の主題歌「童神~私の宝物~」、NHKBSプレミアム時代劇「薄桜記」の主題歌「Silence」、一青窈作詞、武部聡志作曲・プロデュースのシングル「兆し」など。また、テレビ東京「THE カラオケ★バトル」に2014 年7 月に初出演すると以降、毎回高得点を叩き出し、番組初となる10 冠を達成。2018 年6 月には大河ドラマ「西郷どん」の劇中歌と大河紀行の曲を収録したシングルをリリースし話題を集めた。そして2019年1 月にはついにデビュー10 周年を迎え、5 月に初となるベスト盤「ウタツムギ」をリリース。7月からはツアー「ウラアシビ ~10th Anniversary~」へと乗り出し、9月には「デビュー10周年記念城南海 with 1966カルテット クラシカルコンサート」、11月からは「ウタアシビ 10周年記念ツアー」の開催が決定している。

城南海 オフィシャルサイト
https://www.kizukiminami.com/


Live

「ウラアシビ
 ~10th Anniversary~」

【愛知公演】
▼7月5日(金)NAGOYA Blue Note
【神奈川公演】
▼7月15日(月・祝)Motion Blue YOKOHAMA

Pick Up!!

【大阪公演】

Sold out!!
▼7月19日(金) 18:30/21:30
ビルボードライブ大阪
自由席-8000円
※本チケットに整理番号はございません。ご希望の方は発券後、お問合せ先まで要連絡。当日は整理番号順でお席へご案内しておりますが、整理番号をお持ちでないお客様は開場時間の30分後のご案内となります。カジュアルエリアの取り扱いなし。未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。
※販売期間中は1人1公演につき8枚まで。
[問]ビルボードライブ大阪
■06-6342-7722

【東京公演】
▼7月23日(火)COTTON CLUB


『BSフジpresents デビュー10周年
記念 城南海 with 1966カルテット
クラシカルコンサート』

【東京公演】
▼9月4日(水)紀尾井ホール
【長野公演】
▼9月8日(日)軽井沢大賀ホール
【愛知公演】
▼9月28日(土)三井住友海上しらかわホール


「ウタアシビ 10周年記念ツアー」

【東京公演】
▼11月8日(金)オーチャードホール
【愛知公演】
▼11月22日(金)名古屋市中川文化小劇場
【大阪公演】
▼11月23日(土・祝)サンケイホールブリーゼ
【北海道公演】
▼11月29日(金)ペニーレーン24
【宮城公演】
▼12月1日(日)誰も知らない劇場
【福岡公演】
▼12月14日(土)電気ビルみらいホール

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