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“音楽を通して心の旅行をさせてもらった”
過去・現在・未来が詰まったデビュー40周年記念盤
『Life In Music』を携えトリオ編成でビルボードライブ大阪へ!
山本達彦インタビュー&動画コメント

 近年に国内外で再評価の気運が高まる日本のシティポップ~AORの代表格として、巧みなソングライティングと洒脱なアレンジで多くの名曲を生み出し続けてきた山本達彦。昨年、デビュー40周年を迎え、自身の選曲で過去作からお気に入りの楽曲を集めた2枚組のベスト、シンプルかつ深みのある境地を示した新曲6曲を収録したニューアルバム、ピアノトリオ編成で20年以上にわたり活動するThe Trioのライブ映像を収めたBlu-rayという、集大成的な4枚組ボックス『Life In Music』を発表。長いキャリアを経て今また新たな境地に到達し、4月5日(金)にはそのトリオ編成でビルボードライブ大阪に登場する彼に、過去・現在・未来を表現した4枚組やライブについて語ってもらった。

 
 
自分の中で折り返し地点にきたリアリティがじわじわと出てきた
 
 
――デビュー40周年を迎えた昨年リリースされた4枚組ボックス『Life In Music』は、山本さんご自身が新たに選曲した2枚のベスト『from 1978 to Now~My Favorite Songs』と、新曲6曲を収録した『One Step Ahead』、The Trio名義でのライブを収録したBlu-ray『The Trio~Live at MT Milly's』と、まさに集大成的な内容となっていて。
 
「35周年のときにも小松亮太(Bandneon)さんに書いてもらった曲を収録したアルバムを制作したんですけど、今回は自分が60代になったことが大きかったかなと思います。実際になってみると、自分の中で折り返し地点にきたリアリティがじわじわと出てきたというか。それは自分の環境だけではなく、親のこととか、周りや友人たちを含めた風景が変わってきているのが分かるし、35周年のときとは違う感覚があったんですよ。今までに自分がプロとしてやってきたことを心静かに見つめ直すというか、自分の人生とか周りの風景がドドッとひとかたまりになって押し寄せてきた感じが、還暦を過ぎてからはありましたね」
 
――長くキャリアを重ねていると“周年”というのは定期的に巡ってきますけど、40周年というのは山本さんにとって特別な重みがあったと。
 
「作った結果、そう知らされたところもありますね。特に新曲に関しては、90歳になった母と一緒に暮らすようになって、その暮らしの中から生まれたというか、振り返ると母が自分に作らせたというのかな。“世の中のみんなのために、いい曲を作ってね”みたいなことを言われたり、僕が新曲を作っていたらその曲をいつの間にか母が口ずさんでいて、“あぁこういう曲は覚えやすいんだな”と思ったり。何だか不思議な感覚を教えてもらった気がします」
 
――新曲を収めた『One Step Ahead』はとりわけ印象的で、シンプルかつジャジーな曲調の中に、山本さんのシンガーソングライターとしての本質が凝縮されたような佳曲揃いで。
 
「シンプルに、自分の好きなことをやりたいと思ったんですよ。やっぱり、僕にとって世界が最も晴れ晴れとしていた時期というのは1960年代後半から70年代の前半くらいで、その頃に聴いていた音楽も好きでね。例えば、ポップスで言うならジミー・ウェッブとかバート・バカラック、セルジオ・メンデス、70年代初めくらいのダニー・ハザウェイとか。その辺りの音楽が自分の気持ちを一番華やかにさせてくれたり、甘酸っぱい想いにさせてくれる。だから、ものすごく革新的なことをやりたいというよりも、自分が一番影響を受けた時代を音楽にしたいと思ってできたのが、今回の『One Step Ahead』なんですよね」
 
――確かに、AOR~シティポップよりも、もっと前段階の時代の音に近い雰囲気というか。
 
「若い頃は、もっと自分にできないことを強がってやろうと思ったり、いろんな引き出しがあることを見せびらかしたかったりもしましたけど、本当に似合っていたり説得力があったかどうかは、今考えてみるとすごく疑問で。今回はそれよりは絞り込まれたというか、自分にできることで聴く人も楽しんでくれる、そういう感じで作りました。もっと物事をシンプルにしたいのがあって、その想いがだんだん強くなっているのかもしれないですけど」
 
 
ベストが過去のアーカイヴとしたら、トリオでの映像は現在
そして『One Step Ahead』は未来という位置付け
 
 
――そんな原点回帰的かつ山本さんの今が反映された新曲がありつつ、2枚のベスト『from 1978 to Now~My Favorite Songs』の方もただ代表曲を並べた感じではなく、各アルバムの良質な楽曲をセレクトした充実の内容で。
 
「そうですね。ヒット曲というよりも、あまり派手さはないけれど自分の思い入れが強く、“メロディアスな曲を書きたい”という想いが反映された曲を選びましたし」
 
――そして、The Trio名義でのライブBlu-ray『The Trio~Live at MT Milly's』は、近年に取り組まれてこられたピアノトリオ編成でのライブを映像化したものとなります。
 


「収録されているのは去年のライブですが、この編成で’97年から東京の南青山MANDALAでやり始めて、これまでに200回くらい公演をする中で自己鍛錬的に培ってこれたことが結構あって。地味なことを長く続けるのも大変だったし、ピアノのトレーニングなど自分への負担も多くなったんですけど…そういう負荷をかけて少しずつ自分へのハードルを高くしていくのも勉強になったし、トリオというのはやっぱりごまかしが効かない世界なので。それと向き合って20年が経って、1つの節目かなということで作品化したのが今回のBlu-rayですね」
 
――お話を聞いているとそれぞれ盤に意味があり、これまでの活動を濃密に凝縮した4枚組ですね。
 
「2枚組のベストが過去のアーカイヴとしたら、トリオでの映像は現在、そして『One Step
Ahead』は未来という位置付けで、それを皆さんに感じていただければと思います」
 
――そんな4枚組ボックスを経て、4月5日(金)にはビルボードライブ大阪にてトリオ編成でのライブが行われます。
 
「去年行ったトリオでの公演が好評だったので、また同じ形でツアーをしたいなと思いまして。前回よりもジャズ~ボサノバのテイストを強くしたいと考えていますし、過去のアーカイヴをトリオ編成でリアレンジしたものに加えて、70~80年代の海外のAORも自分のセレクトで織りまぜながら、自分はこういった音楽に影響を受けながらやってきたというところも楽しんでもらえればと思っています」
 
 
Text by 吉本秀純



ライター吉本秀純さんからのオススメ!

「プレAOR期のシンガーソングライターやマイケル・フランクス的な境地を示した新曲を収めた『One Step Ahead』はもちろん、タイトル通りに自身のフェイバリット曲を改めて集めた2枚のベスト盤も、再評価の気運が高まる和モノAOR~シティポップ界屈指な佳曲の宝庫。キッド・クレオール~サヴァンナ・バンド調の洒脱なアレンジも最高な『MON AMOUR』(’85)など、改めて再発見したい名曲がたっぷりと収録されています。ライブでのカバー曲選びにも注目です。

(2019年4月 1日更新)


Check

Movie

新譜に加えライブに向けた意気込みも
山本達彦からの動画コメント!

Release

40周年豪華メモリアルボックスは
ベスト盤+新作+Blu-rayの4枚組!

Box Set
『Life In Music』
発売中 7560円
ユニバーサル
UPCY-7537

<CD1収録曲>
Best Album『from 1978 to Now
~My Favorite Songs』
Phonogram~EMI
01. スブニール
02. ミスティー・レディー
03. LONELY TONIGHT
04. MIDNIGHT HARBOR
05. MAGIC
06. さよならは言わない
07. LADY
08. FAREWELL, MIDNIGHT BLUE
09. BIRD
10. 月影のヒロイン
11. IMITATION TALE
12. MON AMOUR
13. LE MISTRAL
14. STARDUST MERMAID
15. FROM THE NIGHT
16. 哀しみの外電(テレグラム)
17. 変わらぬ心
18. INSTEAD OF YOU

<CD2収録曲>
Best Album『from 1978 to Now
~My Favorite Songs』
ALFA~Funhouse~TEICHIKU~Silence
01. SWINGIN' IN THE RAIN
02. LIGHT SIDE BLUE,DARK SIDE SUMMER
03. きみはいない
04. 月に落ちた涙
05. 街角
06. ずっとふたりで
07. カフェの恋人
08. 冬を巡るメモリー
09. 前奏曲(Album Version)
10. BLUE IN BLUE
11. CLOCK IN THE HEART
12. ひき潮
13. 雨に濡れたScore
14. 二月の朝、あなたは
15. 雨の中で君は
16. TIME WILL KISS.
17. LAST GOOD-BYE 2015

<CD3収録曲>
New Album『One Step Ahead』
01. One Step Ahead
02. Bon Séjour
03. Vintage
04. A Time Of My Life
05. Finger And Whisper
06. Silent Letter

<Blu-ray収録内容>
Live Blu-ray
『The Trio~Live at MT Milly's』
01. SHUFFLE
02. 冬の光
03. 33回転の微笑み
04. 夢より苦しく
05. 月に落ちた涙
06. 夢は波に乗って
07. LAST GOOD-BYE
08. LONELY JOURNY
09. VINTAGE
10. 潮騒
11. 摩天楼ブルース
12. #19 TABLE
13. きみはいない
14. MON AMOUR
15. FROM THE NIGHT
~アンコール~
16. FAIRY PRINCESS
17. I LOVE YOU SO

Profile

やまもと・たつひこ…成蹊大学在学中の’74年にオレンジを結成し、ロンドン録音のシングル『翼のない天使』でデビュー。その後、かまやつひろしのバックバンドでの活動などを経て、’78年にアルバム『突風~SUDDEN WIND』でシンガーソングライターとしてデビュー。以降、『MY MARINE MARLIN』(‘83)『ロンリージャーニー』(‘84)『夏の愛人』(‘85)などの数多くの名曲を発表しながら、日本のAOR~シティポップを代表する存在としてキャリアを重ね、’18年にはデビュー40周年を迎え、4枚組のボックス『Life In Music』をリリースした。

山本達彦 オフィシャルサイト
http://www.tatsuhiko-yamamoto.jp/

Live

熟成するピアノトリオで
ビルボードライブ大阪に登場!

 
『Live Tour “The Trio 2019”』

【神奈川公演】
▼3月23日(土)モーション・ブルー・ヨコハマ

【愛知公演】
▼4月4日(木)名古屋ブルーノート

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード140-436
▼4月5日(金)18:30/21:30
ビルボードライブ大阪
自由席7500円
[共演]戸川智章(b)/江野尻知宏(ds)
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※本チケットに整理番号はございません。ご希望の方は発券後、お問合せ先まで要連絡。当日は整理番号順でお席へご案内しておりますが、整理番号をお持ちでないお客様は開場時間の30分後のご案内となります。カジュアルエリアの取り扱いなし。未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。

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【東京公演】
▼4月26日(金)・27日(土)南青山MANDALA

【千葉公演】
一般発売4月5日(金)
Pコード147-331
▼5月18日(土)16:00
LIVE HOUSE MT Milly's
全席指定7000円
[共演]戸川智章(b)/江野尻知宏(ds)
キャピタルヴィレッジ■03(3478)9999
※未就学児童は入場不可。

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