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「自分が受けた感動を超えていきたい」
誰がマカロニえんぴつを止められるのか!?
渾身の『LiKE』引っ提げ快進撃中のバンドの今に迫る――
はっとり(vo&g)インタビュー&動画コメント

 1stフルアルバム『CHOSYOKU』(‘17)のロングヒットで動き出したバンドの運命は、続くシングル『レモンパイ』(‘18)で大いなる予感となり、ミニアルバム『LiKE』でそれは確信へと変わった――! そんな充実作をリリースしたかと思えば、新曲『青春と一瞬』はあのマクドナルドの“500円バリューセット”CMソングにまさかの大抜擢!! トドメはFM802が毎年縁あるアーティストとキャンペーンソングを制作するドリームプロジェクト『FM802 × TSUTAYA ACCESS!』(今年はaikoが作詞作曲を担当した『メロンソーダ』!)に、aiko、上白石萌歌、谷口鮪(KANA-BOON)、橋本絵莉子(チャットモンチー済)、藤原聡(Official髭男dism)らと共にシンガーとして選出と、ブレイクを完全に射程距離に見据えた今、誰がマカロニえんぴつを止められるのか!? 現在は、『LikE』に伴う全国ワンマンツアーの真っ只中にいるはっとり(vo&g)に、怒涛の勢いで展開するバンドの現状を語ってもらったインタビュー。マカロニの穴のように形のないものに、えんぴつでその存在意義を書き足していくかのように、無から有に、0から1に。そのバンド名に込められたロマンさながら、最も困難かつ夢のある行為を曲にしたような、マカロニえんぴつの音楽。「やっぱり…“自分を感動させたい”っていう。絶対に自分の曲で泣くことができないんですよ。そういう曲を作りたいのかもしれない」。はっとりがインタビュー中に語ったこのひと言が現実になる日が、今から待ち遠しくて仕方ない。

 
 
“音楽は自分だけでやってることじゃない”ってようやく気付いたんですよ
 
 
――ツアーが各所ソールドしたり、待望の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』にも出演したりと、昨年はバンドとしてもステップアップを感じた充実の1年だったと思いますけど。
 
「俺ら的には一昨年末に出した1stフルアルバム『CHOSYOKU』('17)が浸透した半年、続く10月のシングルの『レモンパイ』(‘18)でさらに聴いてくれてる人たちが増えた印象で、それを一番実感したのがやっぱり『レモンパイ』のツアーで。でも、急にそうなったわけではなく、拾い切れないぐらいのいろんなきっかけがあったんですけど、もらったチャンスに自分たちが背伸びせずに向き合えたからこその、この結果なのかなって。そういう人がくれるチャンスに、『CHOSYOKU』以前は絶対に気付けなかったから。憧れの尾崎(世界観)さん率いるクリープハイプがイベントに誘ってくれて、俺らみたいにまだそんなに知られてない若手を呼んでくれたことも本当に嬉しかったし」
 
――尾崎くんからしたら、“マカロニえんぴつと絡んだら得だな”では、ないもんね。
 
「全くないんですよ!(笑) でも、“いいバンドだからずっと誘いたかった”って打ち上げでも言ってもらえて…そういう“音楽をやる人の在り方”みたいなものを考え直すきっかけがそれだったんで。自分のことだけ考えてたんじゃ、いろんな人からもらうチャンスには気付けないだろうなって、その一件でもすごい感じたんですよね」
 
――そう考えたら、バンドのステップアップもあるけど、1人の人間としての成長もありますね。
 
「それこそ一昨年は…一番大きな出来事としてメンバーの脱退があって、それも自分という人間を変えてくれるきっかけになったし。お客さんに届ける前に、音楽を一緒に作る仲間であるメンバーと一番に向き合わなきゃいけない。そこをないがしろにしてたのを、“そんな接し方だとメンバーが離れていっちゃうよ”って、元ドラムのサティが脱退するときに言ってくれたので。そこで一番身近なメンバーへの接し方をまず改めようっていうのはあったし、音楽を発信する人間として…この音楽の向こう側にはそれを聴くお客さんがいて、“自分の方がいいのに”とか、“何でこんなダサいのがウケてんだよ”じゃなくて、やっぱり売れてるモノにはそれだけ必要とされるパワーがあるんですよね。そういうところに“何でだろう?”と耳を傾けて聴いてみたら、自分にないものがあったりして」
 
――めちゃくちゃ気付きの多い1年だったんですね。
 
「ひと言で言ったら、“音楽は自分だけでやってることじゃない”ってようやく気付いたんですよ。お客さんありきだし、応援してくれてるスタッフありきだし、何より…メンバーが同じ方向にピントを合わせてないとバンドは転がらない。強くそう感じたからですね。そういう俺の変化に、メンバーは何となく気付いてくれてたと思う。結成当初からみんな口数は少ないですけど、その分、俺の背中なり変化をじっと見てくれてる。舵を取ってるのは俺かもしれないけど、風向きを敏感に感じ取ってるのは4人全員なんですよね。みんなが風向きに敏感になれてたから、チャンスを取りこぼさなかった。メンバーの変化も大きかったのかなぁと思いますね」
 
――マカロニえんぴつは、いいバンドになってきてるってことですね。
 
「本当に! “バンドっぽくなった”って言われることが去年はすごく多かったので。『アルデンテ』('15)『エイチビー』('15)っていう最初の2作を出した頃は、そう言われたいけど言ってもらえなかった。“はっとりくんのカラーが強い。マカロニえんぴつは、はっとりバンドだね”みたいな…そこには悔しさが常にありましたし、その悔しさが転じてメンバーに、“お前らがもっと自分を出さないからだよ!”って当て付けみたいなことも言ったりしてたので(苦笑)。去年は本当にバンドっぽくなれた1年でしたね」
 
――はっとりくんは、何よりバンドの表現に憧れてたわけですもんね。
 
「はい。きっかけはユニコーンだったので」
 
――ユニコーンってはっとりくんより世代がかなり上のバンドだけど、強い影響を受けるバンドが今でも活動してるのは=はっとりくんが目指す“長く聴かれる音楽”ということでもあって。
 
「“長く聴かれる音楽を作ろう”っていうのは、このバンドの旗揚げ当時からブレてはいけないものだったので。ただ、『レモンパイ』辺りから、ユニコーン的なユーモアを自然にできるようになったので。ラップをやったり、ああいう軽快なリズム、絶妙な温度感。エモくなり過ぎず、でも脱力し過ぎず、遊び心を入れながら切なさを書けた。そういう意味でも、『レモンパイ』はバンドを大きくしてくれた気がします」
 
 
手を上げるだけがライブじゃないって、お客さんに教えてもらった気がします
 
 
――その『レモンパイ』を経た『LiKE』には、何かビジョンはあったんですか?
 
「『レモンパイ』のツアーで各地で待ってくれてるお客さんを観て、“バンドの在り方”をすごく考えさせられて。それまでは…ライブに来てくれた人に対して、“与える”というスタンスだったんですよ。あれだけの本数のツアーをやったことがなかったから、こっちがいくら用意して、“こういうステージをしよう!”と思っても、絶対に思った方向にはいってくれない(笑)。でも、それがライブだし。だから、1回お客さんの反応を飲み込んでから、曲をやっていく。お客さんからも与えられてるのを感じたのは、そのツアーが初めてだったんですよ。目に見えないお客さんのノリが気持ちよくて、手を上げるだけがライブじゃないって、お客さんに教えてもらった気がしますね」
 
――そこから受けた波動が、今回の曲たちを作らせたと。
 


「『LiKE』の曲はそのツアー中にできたものがほとんどで、『STAY with ME』(M-5)も『トリコになれ』(M-2)も、やっぱりバンドのことを歌ってる。ツアー中はずっとメンバーといたからグルーヴも高まって、“虜にさせる自信がある”とは歌ってるんだけど、『STAY with ME』も『トリコになれ』も、どこかお客さんに頼ってるというか、“あなたたちがいなきゃ始まらない”っていうメッセージが根底にはあって」
 
――バンドのことを歌ってるけど、それって=お客さんとの関係性でもあるもんね。
 
「自分たちがお客さんを大きい会場に連れていくんだと思ってたんですけど、やっぱりバンドはお客さんが大きくしてくれるものだと思うから。こっちもいい音楽を作るけど、あなたたちのセンスがあってこそのバンドだからそれを信じてるし、だからこそ、マカロニえんぴつを好きになってくれた人は、このバンドのことを簡単に手放すような人たちじゃないと思ってる。思いたい(笑)。それをやっぱり確かめたいし、確かめられるのがライブだなと思います。そういう意味では、今回はライブを前提にした曲が多いかもしれないですね。お客さんはやっぱり、バンドがバンドのことを歌うと嬉しかったりするもんなんだなって」
 
――確かに、グッとくるのはあるね。結果、そういう曲っていい曲も多いし。
 
「『レモンパイ』のカップリングの『OKKAKE』も思った以上に、何なら『レモンパイ』よりも好き、みたいな人が多い(笑)。関西とかは特になんですよ。“よくぞ言ってくれた!”みたいなリアクションがこんなにくるんだと思って。解散したバンドのことをファン目線で歌っちゃってるわけで、“このバンドはファンのこういう気持ちを分かってるんだな、だったら信用できるな”っていう(笑)。今回の『トリコになれ』は、結果的に『OKKAKE』のアンサーソングになってると思うんですよ。『OKKAKE』がファン目線の曲だったら、『トリコになれ』は自分たちのこと。『OKKAKE』がああいうハネ方をしてくれたから、よりバンドがバンドのことを歌う必然性みたいなものを感じたんですよね。あと、同世代のバンドは『レモンパイ』みたいなテンポの曲をあんまりやってないと思ってるんですけど、あの曲をライブでやったときにお客さんが一番大きい横揺れをしてくれてたので。“四つ打ちで手を上げるだけがライブじゃねぇぞ!”って言うけど、それを目の当たりにしたんですよね。それを観たからこそ、16分のああいうノリはこのバンドの1つの強みだなと思って、堂々と『働く女』(M-4)みたいな曲も入れることができたんで」
 
 
ライブ=会話
 
 
――今作に感じるのは、1年前では歌えなかったであろうマカロニえんぴつの自信と覚悟というか。批判すらも受け止められるって言ったらヘンだけど。
 
「『LiKE』っていうタイトルもそうですけど、今なら“何々っぽい”に対して言い返せるんですよ」
 
――今作は、例え“ぽい”と言われても、そこから“好き”にさせるだけの曲が入っているからこその『LiKE』だと。ただ、はっとりくんは、“らしい”とか“ぽい”とか“歌モノ”というワードが地雷のように過敏に反応するよね(笑)。
 
「よく知ってますね(笑)。でも、今回はもう怖がる要素はなかったです。『CHOSYOKU』で許されたと思ったので、あれは本当に大きかったですね。あのアルバムを出したときは、俺は結構自暴自棄だったんですよ。その前の『s.i.n』('17)というミニアルバムで結構攻めてみたら、それまでのお客さんが離れて…。ただそれは、当時はライブ=会話だと気付けてなかったからで、曲は遊んでるけど、ライブを前提に遊んでなかったなって。『CHOSYOKU』は、メンバーが脱退するということで“別れ”とすごく向き合った作品で。でも、後ろ向きじゃない別れを歌ったアルバムなので、曲が遊んでる中でも、歌詞には半分諦めたような切なさと、その裏には次への期待もある。そのギャップが、もしかしたらハマったのかなって」
 


――そして、今作における『ブルーベリー・ナイツ』(M-3)なんかは一転、歌詞の世界観とアレンジがマッチすることによるエネルギーという、次のステップですよね。
 
「照れ隠しをせず、歌詞に漂う悲壮感を後押しするアレンジを、自然にやってみようとなれたんですよね」
 
――冒頭の、“傷つかないための気付かないふりばかりだ/信じることは悲しいこと”の時点で、この曲はもう勝ちだなと思いました。この2行が書けたなら。
 
「この曲は他の曲が出揃った段階で、もう1曲ということで作り始めたんで、全体のバランスを取れるチャンスだったんですよね。今回は陰と陽で言ったら陽の曲が結構揃ってるから、明らかに切ない曲を作ろうと思えたんで」
 
――そう考えたら、『レモンパイ』の後じゃないとこのミニアルバムの曲を書こうとは思ってないし、このミニアルバムの他の曲が出揃ってなかったら、『ブルーベリー・ナイツ』を書こうとは思ってない。タイミングって大事で。
 
「あと、もうパケたつもりだったから、時間がとにかくなくてアレンジで遊ぶ余裕がなかったんでしょうね(笑)。真っ当にいかざるを得なくなったというか、いくきっかけになった。“『トリコになれ』であれだけめちゃくちゃやったからいいでしょう!”みたいな(笑)。そこから、1曲の中で幅を見せるんじゃなくて、曲ごとに幅を見せようって、この『ブルーベリー・ナイツ』で落ち着けたのかもしれない。だから、この5曲は結構いいバランスですね」
 
――『ブルーベリー・ナイツ』が入っているのと入っていないのとでは、今作の印象が全く違いますね。
 
「結果、よかったと思います。時間をかければ必ずしもよくなるとは限らないというか、ヒリヒリした、詰まった時間の中で作ったものに、今のバンドのテンションがそのまま反映されたりするから、これをリード曲として出せたのはバンドとしては自然なことでしたね」
 
 
報われない時間が一番自然体で
幸せな曲はあるけど、不幸せになる準備は全部の曲でしてますね(笑)
 
 
――『ブルーベリー・ナイツ』と『働く女』は女性目線の曲ですけど、男性は女性には絶対に勝てないというある種の“憧れ”みたいなものが、はっとりくんに女性目線の詞を書かせてると。
 
「昔から女性目線の曲はあるんですけど、『keep me keep me』(‘15)、『ワンドリンク別』(‘15)、『クールな女』(‘17)もそうか。全部主人公が報われてないのが共通項で(笑)」
 
――でも、お客さんにこんな人いそう…って勝手なイメージだけど(笑)。
 
「“マカロニファンって、メンヘラ多そうだよね”とか言われるんですよ(笑)。でもホント、どうなんだろうなぁ…俺自身がメンヘラですからね(笑)」
 
――メンヘラがメンヘラを引き寄せる(笑)。でも、メンヘラって言うとネガティブに聞こえるけど、ある意味、ロマンティストですから。だから、ライブはロマンティストたちの集いですよ(笑)。
 
「そもそも自分で詞を書いて、それを曲に乗せて、人前で歌ってる時点で相当ヤバいですからね(笑)。誰しもメンタルが強いとは限らないし、メンヘラって言うけどそれが人の通常モードというか、報われない時間が一番自然体で。俺は意外とそういう時間に安心してしまうんですよね。例えば、恋人がいても、“何かものすごく楽しいな、幸せだな”って思った瞬間に逃げたくなるというか、“この人、急に俺から離れていってくれないかな”って」
 
――分かるわ~幸せなときも曲は書けるタイプ?
 
「『洗濯機と君とラヂオ』(‘17)とかは、“この恋が最初で最後だ!”ぐらい突っ走ってたときに書いたと思うんですけど、やっぱり“馬鹿な僕は君の中/泳いでたんだ、泳いでたんだ/泳いでたんだって溺れて気付いたり”とか、“この恋が この恋が その声が/途切れたときには/すべて忘れて生きていこう”とか、終わることを想定して、しかもあえてそれを口に出すんですよね。だから、幸せな曲はあるけど、不幸せになる準備は全部の曲でしてますね(笑)」
 
――今回は、お客さんからもらった波動、自分たちが1年かけて感じた気付きを全部音楽に変えて、自分たちの“面白い”を追求できたミニアルバムというか。表現を突き詰めていくことで離れる人がいるのと同時に、そういうテイストが好きな人が集まる。でも、マカロニえんぴつが、はっとりくんがどういう人間か伝わってなかったら、誤解も含めていろんな人が混在しちゃう。バンドの輪郭がしっかりしてきたからこそ、理解者が増えてきたのかなと。
 
「それこそ『鳴らせ』(‘15)というMVが一番回ってる曲があるんですけど、自分たちが自分たちを説明できてない段階で、あの頃は周りのことを、音楽シーンというものをヘンに意識して、間違った気にし方をしてしまって。だから、もう1回立ち返って、売れる/売れないは二の次で、“面白い”をどこまで追求できてるのかだと思うんですよ。決して歌詞の中で嘘をついたことはないですけど、“だってあの頃は裸でぶつかってなかったじゃん”っていうね。ちゃんとそこを1回整えて、“ありのままでよかったんだ!”っていうのを4年ぐらいかけてやっと分かったという(笑)」
 
――それがちゃんと形にできましたよね、今回は。
 
「そうですね。『ブルーベリー・ナイツ』もMVも、奇跡的に叩かれてないですから(笑)。よく“お前が脚本考えたんだろ?”って言われるんですけど全然違うから!(笑)」
 
――でも、オイシイよな~だってあの役、俳優さんでもいいのに(笑)。
 
「『鳴らせ』のときも同じようなことをしていろいろ言われたけど(笑)、今また同じボーカルが4年越しそれをにやったら、果たして叩かれるのか?という(笑)」
 
 
大きい場所に行けるバンドなんだって
気付かせてくれたのは本当に嬉しかった
 
 
――あと、気になったのが、はっとりくんが“分かりづらいものはよくないと思っている”っていう気持ちはどこからきたのかなとちょっと思って。
 
「魅力が足りないと、技術の方が前に出てしまって、“上手い”とか“さすが”が先に来ちゃう。でも、圧倒的な魅力の前では、その裏にある技術は霞んでしまう。だから感動が“バーン!”と先に来る。作り手の努力なり技術なりが前に出るようじゃダメなんですよね。“このバンドは音大出身だから”とかを感じさせちゃいけないというか…やっぱり全部の楽器のフレーズが歌えなきゃダメだと思うんですよ。俺は譜面から曲を作る人間ではなくて、鼻歌でフレーズを考えるんで。音大に行ってたくせに(笑)。あと、そういうバランスを意識し始めたのは、サティが抜けて、『CHOSYOKU』からメンバーも曲を作るようになってソングライター目線の人間が増えたことにより、スタジオで“これだとちょっとうるさいかもね”とか意見を言うようになってくれて、バンド内で引き算をしていくようになったのは大きいかもしれないです。歌詞に関してもより自分の言葉に愛着が持てるようになったから、“ここはちゃんと聴こえてほしい”という部分が増えてきて、本当シンプルになってきましたね」
 
――はっとりくんが曲を書く上での肝みたいなところはある?
 
「やっぱり…“自分を感動させたい”っていう。絶対に自分の曲で泣くことができないんですよ。そういう曲を作りたいのかもしれない。いろんな曲に出会いたいのも、まだ知らない感動をしたいからだし。やっぱり常に感動してたいんですよ。感動するものに出会ったときにすごく心が浄化されて、純粋になれて、幸せな気持ちになれる。“自分が受けた感動を自分が超えていきたい”っていうのが、曲を作るときの燃料かもしれないですね。感動してるときのあの感情って、何なんだろうな…。だから、サビでの“泣きメロ”は必須なのかも。『働く女』だって、最初は♪運命だって〜から始まる泣きの大サビがなかったんですよ。だから、入れさせてくれって言って、共作になってるんですけど。それでもまだ、できてないですからね」
 
――でも、自分の曲を聴いて泣いてたら、それはそれですごい光景だね(笑)。
 
「それに一番近いのは曲を作ってる瞬間ですね。保育園の年長~小学校の低学年ぐらいときって、友達が泣いてると自分も泣きたくなるというか、“泣くのが気持ちいい”みたいな、あの感覚に近い感動が襲う瞬間があるんですよ。でも、もう次の瞬間には、“あ、韻踏まなきゃ”とか(笑)、もっと歌いやすいメロディに変えようとか、“よりいい曲にしよう”っていう脳みそに切り替わる。純粋に“うわ、いい!”っていう瞬間は本当そのときだけで。ライブで歌っててもあの瞬間には絶対に帰れない。だからこそ、挑戦し続けたいですね」
 
――そして、リリースツアーに関してはありがたいことに売り切れててね。
 
「ありがたいですね、本当に。そこでも、さっき言った、大きい場所に連れて行くのはバンドじゃなくて、お客さんなんだって感じたので。だから、お客さんはもっとブーブー不満を言ってもいいと思うんですよ。でも、大人の事情というか、この会場を押さえたのは1年ぐらい前なんだよと。そのときには今の状況が予想できなかった。でも、今回で分かったので、次は絶対に大きい会場でやるし、その代わり絶対に来てねと。もう信用して押さえるよと(笑)。そういう大きい場所に行けるバンドなんだって気付かせてくれたのは本当に嬉しかったし、エゴサした感じだと、“チケットは取れなかったけど、いつかライブに行きたい!”みたいな人も多い感じがするので、幸せなバンドだなぁと思いますね。それはもう財産ですよね、うん。これからも頑張りますよ!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2019年4月18日更新)


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新譜とインデアンカレーを語る(笑)
はっとり(vo&g)からの動画コメント

Release

あなたを虜にすること間違いなし!?
厳選5曲の高純度ポップミュージック!

Mini Album
『LiKE』
発売中 1388円(税別)
TALTO/murffin discs
TLTO-013

<収録曲>
01. ワンルームデイト
02. トリコになれ
03. ブルーベリー・ナイツ
04. 働く女
05. STAY with ME

マクドナルド“500円バリューセット”
CMに書き下ろした新曲を急遽配信!

Digital Single
『青春と一瞬』 New!
発売中 
TALTO/murffin discs

<収録曲>
01. 青春と一瞬

Profile

マカロニえんぴつ…’12年はっとり(vo&g)を中心に神奈川県で結成。メンバー全員が音大出身の次世代ロックバンド。'15年に『アルデンテ』『エイチビー』と2枚のミニアルバムをリリース後、'17年2月、shibuya eggmanのレーベルであるmurffin discs内に発足した新ロックレーベルTALTOに移籍し、ミニアルバム『s.i.n』をリリース。タワレコメンに選出される。同年9月にサティ(ds)が脱退後、4人の新体制になるが歩みを止めることなく、12月には初のフルアルバム『CHOSYOKU』をリリースしロングヒットとなる。'18年10月にリリースしたシングル『レモンパイ』が、『王様のブランチ』10月度エンディングに抜擢されるなど話題になり、店舗に在庫がなくなる状況に。’19年2月13日には、ミニアルバム『LiKE』をリリース。そして3月6日には、マクドナルドの新CM『500円バリューセット「こんな時間が、ゴチソーだ。」』に書き下ろしした新曲『青春と一瞬』を配信リリース。はっとりのエモーショナルな歌声と、キーボードの多彩な音色を組み合わせた壮大なバンドサウンドを武器に圧倒的なステージングを繰り広げ、全国に“マカロック”を響かせるべく都内を中心に活動中!

マカロニえんぴつ オフィシャルサイト
http://macaroniempitsu.com/

Live

リリースツアーは軒並み完売!
大阪ではイベント出演も

 
『マカロックツアーvol.7
~ライクからラヴへ、
 恋の直球ド真ん中ストライク
 初全国ワンマン篇~』

【広島公演】
▼3月30日(土)HIROSHIMA BACK BEAT
【福岡公演】
▼3月31日(日)福岡Queblick
【石川公演】
▼4月5日(金)金沢vananaV4
【新潟公演】
▼4月6日(土)GOLDEN PIGS BLACK STAGE
【北海道公演】
▼4月12日(金)COLONY
【宮城公演】
▼4月14日(日)LIVE HOUSE enn 2nd

【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月20日(土)アポロベイス

【大阪公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月21日(日)18:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング3000円
清水音泉■06(6357)3666
※未就学児童は入場不可。

【香川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月23日(火)TOONICE
【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月25日(木)WWW X

【大阪追加公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月29日(月・祝)18:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング3000円
清水音泉■06(6357)3666
※未就学児童は入場不可。


【大阪公演】
『FM802 30PARTY SPECIAL LIVE
 Rockin'Radio -OSAKAJO YAON-』
Thank you, Sold Out!!
▼5月11日(土)昼12:00
大阪城音楽堂
前方自由席4000円
後方フリーエリア4000円
[出演]King Gnu/サイダーガール/
Saucy Dog/teto/ビッケブランカ/
THE BAWDIES/マカロニえんぴつ/
Yogee New Waves
GREENS■06(6882)1224
※雨天決行・荒天中止。小学生以上は有料。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。


【東京追加公演】
Thank you, Sold Out!!
▼5月12日(日)LIQUIDROOM
 

Pick Up!!

【大阪公演】

『SUPER JUMPIN' JACK vol.1』
一般発売5月11日(土)
Pコード149-384
▼6月3日(月)
BIGCAT
オールスタンディング3980円
[出演]SHE'S/BIGMAMA/
マカロニえんぴつ/中島ヒロト(MC)
[オープニングアクト]reGretGirl
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。

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ライター奥“ボウイ”昌史さんの
オススメコメントはコチラ!

「はっとり(vo&g)くんが本名じゃないって衝撃ですよね?(笑) ユニコーンが好き過ぎてそうなったみたいですけど、ユニコーンってそもそも我々アラフォー世代がド真ん中のバンドで、20代のはっとりくんと、当時の音楽雑誌『PATi・PATi(パチパチ)』とかの話が普通にできるのは面白過ぎましたね(笑)。『STAY with ME』のアウトロにユニコーンの『ヒゲとボイン』('91)を感じたことを伝えると、「あぁ〜あれもフェードアウトか! 俺、『すばらしい日々』('93)のイメージでした。好きなんですよね、フェードアウトが。切なさが漂うのに加え、希望の光がまたその先に見えるようなあの感じ」なんて話にもなり。そんなはっとりくんが憧れてやまないユニコーンのように、マカロニえんぴつの雑多な音楽性を束ねる抜群のメロディセンスと遊び心は、最新作の『LiKE』ではさらに磨きがかかっていて、次々と決まっていくタイアップやプロジェクトを見ていると、もう時間の問題だなとすら思わせてくれるクオリティ。「売れる/売れないは二の次で、“面白い”をどこまで追求できてるのか」と語ってくれたマカロニえんぴつには、頼もしさと期待しかありません。あ、あと、僕は徹底的に下調べして取材に臨むタイプですが、それを察知して「この人、何でも知ってる(笑)」と言ってくれたのは、何気に嬉しかったな(笑)」