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デビュー10周年を迎えた松下優也、
「これをやっている」と自信作となりうる
フルアルバム『BLACK NEVERLAND』をリリース!

2019年3月27日(水)に約6年ぶりのフルアルバム『BLACK NEVERLAND』をリリースする松下優也。歌手、ダンサー、俳優と、あらゆる顔を見せる中で、この最新アルバムは「これが僕やと思ったうえで、いろんな活動を見てほしい」と自信をのぞかせる、代名詞的な一枚になりそうだ。本作において「U」名義で作詞・作曲を手がけた楽曲も収録し、ミュージシャンの一面を印象づける。一方、1月16日にリリースされた配信シングル『Midnight Party』のMVではダンスの実力もいかんなく発揮し、エンターテイナーぶりを披露している。2008年のデビューから10年。その間、ダンス&ボーカルグループ・X4としての活動も始まり、リーダーとしてグループを引っ張ってきた。何でもやってきた自分に「俺って何なんやろ」と顧みる時期もあったと話すが、今は「全部が松下優也」と言い切る。20代最後の1年にもなる2019年、松下優也が見据えるものとは何か。

11年目からの新しい松下優也を見せていきたい
今までを振り返るというよりも、次に向けて

――約6年ぶりのフルアルバムリリースということで、まずは今のご心境を。

ようやく出せるなって感じです。今回は過去のアルバムに比べて、プレイヤーとしてはもちろんですが、制作の部分でより携わっています。なので、思い入れもより強い感じにはなっています。

――作詞もされていますが、それ以外にも?

ジャケ写やMVにも入らせてもらって。ジャケ写の衣装とかもスタイリストさんといろいろ打ち合わせして決めました。

――この6年間の経験も作品に反映されていますか?

そうですね。元々なかったものをやっているというよりも、常に頭の中で思い描いていたものを、いろんな人たちの力を借りながらですけど、徐々に形に出来るようになったかなと思います。

――2018年は舞台も音楽の作品が続きましたけど、そういう舞台にでることで音楽への影響ってありましたか?

『メタルマクベスdisc1』はものすごく影響を受けましたね。メタルという音楽にそんなになじみがなかったので、かっこいいなとシンプルに思いましたし、ジャンルを超えて音楽の力をもらうものはありました。特に『メタルマクベス』はライブみたいな感じだったので。ライブっぽい要素が多かったので、そういう意味では、自分が今までやってきた芝居と音楽との部分が合わさった感じがして、自分のできることをなるべく出し惜しみせずやった舞台でしたね。他の共演者の方のことも、ああ、かっこいいなってシンプルに思いました。

――2018年11月26日でデビューして丸10周年で、2019年はメモリアルイヤーです。全国16カ所のソロツアーも控えてますね。

まずはツアーを楽しみたいと思います。10周年のアニバーサリーライブは数本しかできかったので、全国を回って「ありがとう」という感謝の気持ちと、11年目からの新しい松下優也を見せていきたいなと思います。今までを振り返るというよりも、次に向けてのことをやっていきたいと思います。

――今日は真っ黒な衣裳を着られていると思ったのですが、髪の毛も半分赤くてカラフルなので、随分印象が異なります。
 
僕、元々ものすごく派手やったんですよ。10代の頃は。今よりもジャラジャラとあらゆるものを付けていましたし、服もめちゃめちゃ派手だったんです。本当に、びっくりするぐらい派手だったんですね。でもここ数年、やっぱり黒が好きやなと思って。黒の服ばっかりだったんですよ。それも理由があって。勝負時に黒の服を自然と選んでいたんです。だから黒い服が好きなんやと思って。あと、地方に行くことが多くなって、黒っていろんなものと合わせやすいから、あらゆる黒を集めたくなって。収集癖があるから、黒いものばっかりが欲しくなって。黒ばっかりだったんですけど、最近ちょっと飽きてきちゃって。いろいろ買うようになりましたね。でも黒が好きっていうのは変わらないです。

――黒の魅力は何でしょう?

黒って何が入っても黒じゃないですか。もう黒になる。それが好きです。あとはシンプルに一番かっこいいと思います。何か、好きですね。

――すでに配信されている3曲を聴かせていただきました。とがったHIP HOPで、本気を感じられるのですが、私はいまだに『べっぴんさん』で演じられた栄輔さんのイメージが松下さんにあって、そのギャップが衝撃的だなと。今でも同じように言われることはありますか?

言われますね。そう言われてどうしたらいいか分からなかったんですけど、今はそれを長所として捉えて。今、髪が半分赤いのも、インスパイアされたのは『バットマン』の敵の「トゥーフェイス」で。このキャラクターは、服装も顔も全部、半分違うんですよ。そうなっているのは理由があるんですけど、自分にもいろんな面があると思っていて。芝居やるのもそうだし、役によって全部違うし、音楽もいろいろあるし、すべてひっくるめて自分だなと思ったら、無理に一つにこだわらなくていいなと思っていて。それ全部合わせて松下優也という存在かなというふうに思うようになってきて。何か、こういないといけないとどっかで思っていた自分がいたんですよ。朝ドラをやらせてもらっていたときも「そうでいないといけない」。それが適している場所もあるけど、全部そうである必要はない。髪の毛が半分赤で、黒のネイルして、とがった音楽をやっているのも自分だし、ドラマをやったり、舞台をやったりしているのも自分だし。どれも嘘でも何でもなく、どれも自分なんですよね。

――「松下優也」という表記と、作詞の「U」の表記、X4のでの「YUYA」、それぞれの顔があるんじゃないかなと思ったんですが、名義で何か変えているところはあるんですか?

『BLACK NEVERLAND』に収録する『King Ü-Wingy』っていう曲があるんですけど、「Ü-Wingy」を自分のニックネーム、ヒップホップでいうところのいわゆるa.k.a.で「Ü-Wingy」とつけていて。だから曲の中でもそういうことを言っているんですけど、Ü-Wingy人格みたいなのがあって。それは自分の中で作っているものであはりますね。X4のYUYAの時はいろんな立場がありますからね。リーダーをやっているというのもあるので、またちょっと違いますね。特に自分の中で大きく切り分けているわけはないですけど。でも居方は違うかもな(笑)。X4に関しては自分の違う面が引き出されているところもあります。そういう意味ではまたソロとは違う見え方をしているかもしれないけど、自分の中で意識して変えているという感じではないです。

――ソロもX4も、取り組み方は?

変わります(笑)。本当にちょっとした差だったりするんですけど、取り組み方は変わりますね。ソロは全部一人でやらないといけないけど、グループだったら任せられるというか。みんなで共有できるからより楽しいところは楽しくなるけど、しんどいところは分け合える部分があるから、そういう意味では助け合える部分があるし、逆に言うと俺も刺激をもらえたり、影響を受けたりします。俺も俺でその立場でいないといけないし、またちょっと使う頭が違うかもしれないですね。X4といるときは、言葉選びに気をつけるときが多いかもしれない(笑)。みんなといても。違うように捉えられないようにしないといけないし、リーダーをやっているから背中を見られているという気持ちはあります。一緒にいるから自然とそうなっているだけかもしれないですけど。

「俺って何なんやろ」って思った時期も正直あった
今は「全部が俺でいいや」と思っている


――2008年にデビューして、これまでの10年はいかがでしたか?

10年間、いい意味で安定していた時期がないなって思いますね。常に新しいことに挑戦して。そういう機会があるというだけでそもそもありがたいのですが、いろんなことをやってきた10年間だったなという気がしていますね。

――先ほども、いろんな面があるとおっしゃっていましたが、松下優也とはこうと決めつけずにやってきて。

決めつけずにやってきて。でも、やってみると「俺って何なんやろ」って思った時期も正直ありました。俺って何なんやろうなぁみたいな。結局俺ってどう居たいんやろ。音楽も好きやし、芝居もやっていくうちに好きになったけど、俺は何を見せたくて、何がやりたいんだろうって思っていた時期もありましたけど、何かそれもなくなりましたね。全部が僕なんで…。今は「全部が俺でいいや」と思っている感じですかね。

――そう思っていた時期というのは、X4を結成する前ですか?

まあ、常々そんなことを感じます。いろいろやりすぎると、充実するんですけど、それがぐちゃっとなって瞬間的に変に絡まり合う時があるんですよ、気持ちとして。例えば芝居だったらずっと同じ芝居を集中してぐーっとやっていると、自分のやっている音楽のこととか考えられないくらい集中しちゃう。ただ、本来はそうしたいんですよ、僕は。分けてやるんじゃなくて、どっちも100%でやりたいから、そうなるのも仕方なくて。でも、そうなるのも僕、不器用なんですね。一つのことしかできないし、ある意味で完璧主義な部分があるから、ちゃんとやりたいと思っちゃうんですよね。だから「今はこれできない」「俺はこれをやりたい」みたいに思っちゃうので…。

――それでいいかなと思えるようになってくると楽になるというか…。

僕がこういう仕事をやっていて大事やと思うのは、好きという気持ちを忘れずに……受けの状態で好きでいるんじゃなくて、自分から前のめりで好きなものをより好きになっていったら、楽しみながら何でもやっていけるし、どんどん上に行けるんじゃないかなと思っています。飽きさせない、自分で自分を。

――そういう心境の変化も音楽に現れていますか?
 
音楽で伝えたい思いもあるんですけど、自分の活動を通じて、「こいつ、自分のやりたいことをこんなやってんねや、じゃあ俺も」とか、「私も何か、そうやって生きていこう」って思ってくれる人がいて、そうしたいと思っている人を勇気づけられたらいいなと思います。ファンの人たちとかに。だって、人生1回しかないじゃないですか。いつ死ぬかも分からないのに…。僕は人生、暇つぶしでしかないと思っているので。何ていうか、生まれた瞬間から死ぬところに一方通行なわけじゃないですか。戻れないわけであって。でも、忘れちゃうんですよ、そういうことって。普段生きていると。生活に追われて。仕事に追われて。もう、どんどんどんどん時間は過ぎているから、そんな感覚は忘れるんですけど、よく考えたらいつか絶対訪れる日がくるわけであって、それがいつかは、何十年先かわからないし、もっと早いかもわからないけど、だったらいつ来てもいいように今を自分らしく生きないと。自分らしさというか、自分は自分にしかなれないし…。俺もどれだけこうなりたいなと思っていても、その人にはなれないし。逆に言ったらみんなも僕になることはできない。自分を極めたいから、俺は俺でやろうみたいな。だからこそ、僕の音楽を聴いている人たちにも自分を否定せず、自分がなりたい自分であってほしいなって思います。

――Ü-Wingyの名義には、そういう解放感も含まれているんですか? 今お話を聞いていて、歌詞とリンクするものがあったのですが。

全部繋がっているかもしれないですね。僕自身、そこまでは考えてはいないですけど。Ü-Wingyというのは、自分を蝶にたとえて「バタフライ・エフェクト」から取っているんで、何かしら自分がこういう活動をしていることによって、いろんな人に影響を与えたり、人生を少しだけ変えているんじゃないかなと思って。それがこの先、何年、何十年後に大きな変化になるかもしれない。

――松下さん自身がそういうふうに思わせてもらった人は?

それはもう大量です(笑)。もう、日々ですね。日々、絶やさず、僕は常に何かを見ているし、聴いているし、ぼーっとしている時間はあんまりないかもしれないですね。自分が好きやからこそこういう活動をしているし、一方的に「俺はこうしたいんだ」じゃなくて、自分がそもそも音楽のファンだし。映画でも何でも観るのは好きだし。

僕は「これをやっているんです」
音楽的な面があるからこそ、何でもできる気がする

――松下優也という人物を知るには、このアルバムが一番わかりやすいですか?

これを僕やと思った上でいろんなものを観てもらえたら、面白く思えるかもしれないです。他の芝居だったりとか。舞台で知ってもらった人にも見てもらいたいし、聴いてもらいたいですね。「こんなことをやってるんだ」じゃなくて、僕は「これをやっているんです」。その上で、お芝居もやらせてもらっているので。こういう音楽的な面があるからこそ、何でもできる気がするんです。

――今年、29歳。次は三十路だとか、年齢を考えたりしますか?

考えます、考えます。もうすぐ30やって思いますけど、10代とか20代前半のころに30って聞いたら、「ああ、もう30歳や」とか思ってたんです。アッシャーというアーティストが30歳になった時に、「ああ、もう30なんや…。もう30歳とかになってんねや」って思ったことを覚えてて。自分もあとちょっとしたらその年齢ですけど、でも全く焦っていなくて。むしろ楽しみで。自分は年を重ねることを楽しめるタイプかなっていう感じはしています。そうですね…うん。よく若いうちに遊んどけって言いますけど、大人になればなるほど遊べると思うんですよね、僕は。だからそうでありたいし、自分が実際そうやし、だからあんまり焦りはないですね。

――この1年、20代最後の一年をどういうふうに過ごしていきたいですか?

さっき言ったことがすべてで、好きなものをより好きになって取り組んでいくということですかね。あとは人の大切さ。自分一人で何も成り立たないので、やっぱり周りにいてくれるスタッフや、応援してくれるファンのみんながいてこそ、こうやって活動ができているので、そういう人たちに対して感謝の気持ちがあります。それをちゃんと返していけたらいいなと思います。

――リリースイベントはよりファンの方と近い距離で交流されると思うのですが、イベントなんかで感じることは?

俺も思われているかもしれないけど、「みんな存在してんねや」みたいな(笑)。SNSとかあるけど、実際に俺のファンは存在してるんやって(笑)。あとは、ライブとかで本当に思うことですが、僕らはこういう仕事をしているから、常にどこかにいて、常に人の前に立って何かをやっていますけど、お客さんの中には、もしかしたらやっと来れた1日かもしれないじゃないですか。僕からしたら何気ない1日でも、その人からしたらようやく来れた1日かもしれない。そう思うと、どんな時でも頑張りたいなと思います。会場に来てくれるみんなにとって特別な一日になるようにしたいです。
 
 
取材・文/岩本和子



(2019年2月 5日更新)


Check

Release

『BLACK NEVERLAND』

アルバム 3月27日発売

Live

松下優也
「LIVE TOUR 2019
〜10th Anniversary〜」

Pコード:135-750

▼2019年2月10(日)17:00
[会]神戸 Harbor Studio
※SOLD OUT

▼2019年3月3日(日)17:00
発売中
[会]KYOTO MUSE
[料]立見-6000円(整理番号付、ドリンク代別途要)

▼2019年3月19日(火)19:00
発売中
[会]なんばHatch
[料]全自由-6000円(整理番号付、ドリンク代別途要)利用可能な決済方法
[問]サウンドクリエーター:06-6357-4400

チケット情報はこちら


X4「LIVE TOUR 2019」

発売中
Pコード:138-963

▼2019年5月15日(水)19:00
[会]なんばHatch
[料]全自由-5400円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]サウンドクリエーター:06-6357-4400

チケット情報はこちら

Profile

まつしたゆうや●1990年5月24日生まれ、兵庫出身。2008年11月26日シングル『foolish foolish』でデビュー。2010年6月2日に1stアルバム『I AM ME』をリリース。2011年12月には東京国立代々木第一体育館で開催された『マイケル・ジャクソン トリビュート・ ライブ 』のソング・ステージにアーティストとして最年少出演。2011年に1月にドラマ『カルテット』で初主演&主題歌をつとめ、同年年7月スタートの昼ドラ『明日の光をつかめ2』に出演。以降、俳優としても活躍目覚ましく、2016年にはNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』で岩佐栄輔役を務め、その名を広く知られることに。2009年より舞台にも出演、2018年はミュージカル 『Romale(ロマーレ)〜ロマを生き抜いた女 カルメン〜』、新感線☆RS『メタルマクベス』disc1、『キセキのうた』~私たちの『今』を歌おう~』に出演した。また、2015年にX4を結成。リリースやライブ活動を精力的に行っている。

松下優也(X4)オフィシャルサイト
http://www.matsushitayuya.com/