インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 二度あることは三度ある ビートシティ10世代の英語詞エバーグリーンバンド The CigavettesとHOLIDAYS OF SEVENTEENが 2度目の再結成ライブを敢行!!

二度あることは三度ある
ビートシティ10世代の英語詞エバーグリーンバンド
The CigavettesとHOLIDAYS OF SEVENTEENが
2度目の再結成ライブを敢行!!

おい、おい、去年の夏には「一夜限りの再結成」なんて銘打ってなかったっけ?と、いちいち訊くのも野暮な話。だって、あの時は両バンド、共通友人の結婚式のお祝いの延長での再結成。しかも彼らの地元・福岡での一夜限りだったんだから。そりゃねぇよって感じで、各所からブーブーと不満の声や、観たい観たいのリクエストは想像するに難しくはない。だったら、まっ、応えるかと。これまた一夜限りのThe Cigavettes(以下、シガベッツ)とHOLIDAYS OF SEVENTEEN(以下、HO17)の2バンドの再々結成ライブが開催される。タイトルは「二度あることはサンセルコ」。……相変わらずな、そのネーミングセンスのアリ、ナシはさておき。場所は東京オンリーになってしまうが新代田FEVERだ。この東京でのライブはシガベッツが約6年ぶり、しかも解散ライブを行ったのと同会場。また、HO17も約4年ぶり。彼らもこの新代田FEVERはよくライブを行っており、双方所縁のある会場だ。シガベッツはオリジナルメンバー、HO17は第二期の黄金期のメンバーで挑むこのガチンコ対決。今やシガベッツのギターの山本幹宗は、くるりや銀杏BOYZをはじめ、数多くのアーティストをサポートギタリストで支え、また多くの新人バンドへのプロデュースや楽曲提供、アレンジ等でもひっぱりだこ。対して、HO17のボーカル&ギターの三浦太郎も自身の弾き語りでのソロでの活動の他、あのフレンズのメンバーとしても大活躍だ。そんな互いの時間を隔て、いい具合の「糧」の持ち込み具合がどう両バンドの音楽性や演奏に作用するか?も見どころの一つとなっている、今回の再々結成ライブ。片や日本のテン世代マージ―ビート、片や日本のテン世代版Weezerと称され、同じ日本のリバプール、ビートシティ福岡産のテン世代英語詞バンドであり、同じレーベルメイトとして友人やライバルであり続けている、そんな両バンド。そのスポークスマン&中心人物、山本幹宗と三浦太郎に、この再々結成について話を聞いた。ちなみに私が現場に着いた時点では、2人はいい具合に気持ち良さそうに酔っていたのだった。

ある意味、福岡での再結成ライブが
シガベッツ史上最高にいいライブができた日だった(山本)
 
――去年の6月25日に2バンドの地元・福岡で一夜限りの再結成ライブを行ったわけですが、その際、一夜限りと謳っておきながら、何故このタイミングで再び行う運びに? しかも同じ2バンドでじゃないですか?
 
山本幹宗「実はあの時は共通の友人の結婚式の三次会的な感覚でのライブだったんです。“そんなことでライヴハウスを使ってこの2バンドが再結成するんだ!?”というのがネタ的には面白くて」
 
三浦太郎「僕らHO17なんて解散してまだ1年半でしたから。“おい、おい、早いよ!!”って(笑)」
 
山本「そのライブがちゃんとしてなければしてないほど、その友だちにとっては価値のある日になったわけで。“お前のために俺たち、ここまでやったんだぞ!!”って。そいつは湯布院にある酒屋の跡継ぎなのもあって、これだけ恩に着せておけば、この先絶対に何かいいことがあるだろうと(笑)。言われたんですよ、ニュースになった際にいろいろなところから。“何で東京ではやらないんだ?”って。だけど、ねぇ、東京でやる義理も無いし(笑)」
 
――その日のライブはいかがなものだったんですか?
 
三浦「けっこうHO17も入れ替わりのあったグループだったし、最後は自分とドラム(伊藤)の2人だったので、メンバーはそれこそ黄金期の最も長く一緒に演った布陣で臨みました。幸いにもなんだかんだみんな音楽は続けていたんで」
 
山本「僕らはずっとメンバーチェンジもなくやっていたのでオリジナルメンバーでしたね。しかも、全員が今東京在住なので、わざわざ福岡までライブを演りにいったという。いや、結婚式の参加がメインだったんで、そのついでにライブか(笑)。僕らは、ほら、HO17みたいに仲が悪くなって解散や脱退じゃなかったし」
 
――特に兄弟なので、辞めても縁が切れるわけではないですもんね。
 
山本「でも実際はその2人がメンバー中もっとも仲が悪かったという説も(笑)」
 
――ギャラガー兄弟じゃないんですから(笑)。
 
山本「俺らに関してはシガベッツ史上最高にいいライブができた日でしたね。本当はこれぐらい(精神的に)大人になってからバンドって演った方が良かったんだなと実感しました。いらないこだわりがなくできたというか。純粋に音楽を楽しめたんです。昔なんてお客さんの顔なんてほぼ見ず、壁に向かって演奏していた感じだったものも、“さぁ、みんなで一緒に楽しもうよ!!”的な余裕も芽生えていたり。純粋に“ライブって楽しい”“音楽って楽しい”と思えるプレイが、あの日は不思議とできたんですよね。それこそ、“収録カメラを入れとけばよかった…”と後悔したぐらい(笑)」
 
三浦「当時(2010年代前半)の(山本)幹宗くんはかなりトガってましたよ。イライラしていたようでライブ中にライブハウスのアンプをバッコーンと蹴飛ばした瞬間を3~4回見てますから。そんなバッコーンなんて音がするぐらいの力でアンプを蹴った男なんて、僕は幹宗くん以外、未だ知らないです(笑)。ある時なんて、自分の思い通りにならなかったようで、ライブの途中で怒ってヤメて、フロア側の扉から外に出ていっちゃったこともあった」
 
山本「その自分が“今や大人になった”というのは正しい。俺は30歳になってようやくメンタル的に20歳ぐらいになれたなって実感しましたから(笑)。今になって思いますよ。“ああ、あのとき辞めずに続けとけばよかった…”なんて(笑)」
 
三浦「他のメンバーもなんだか昔より余裕が出ていて。純粋に音楽を演るのが楽しいというのがヒシヒシと伝わってくるライブだったんです」
 
山本「逆にHO17はいい意味での相変わらずで。変わらず、スタジオでもホワイトボードに楽曲の構成やコードや進行を書きながら、それに沿ってやってましたから。俺ら、そんなのやったこと一度もない」
 
三浦「俺らそうやって決めていかないとライブができないんです (笑)」
 
山本「逆に俺たちはそれができないんで。頭で覚えることができないヤツらばかりなので、身体でしか覚えられない。なので練習も身体に染み込むまでやる感じで。ライブでも決め込まないで、ほぼフィーリングですから。曲のエンディングの際にも、事前に“俺がこうサインを出したら終わりな”程度で」

cigavettes-HO17-2.jpg
 
HO17の解散を太郎から相談された時
“残せるものを残して次に進んだ方がいい”と薦めたのは俺だった(笑) (山本)

 
――当時の博多に於いての2バンドの関係性はいかがだったんですか?
 
三浦「同じ英語詞で歌うバンドなだけで、いわゆる音楽性や趣向性は全く違う2組なのによく一緒に演ってましたね。世代も近かったということもあって」
 
山本「お互い合うバンドか分からなかったからとの理由が大きかったんじゃないかかな?」
 
――そもそも2バンドの出会いは?
 
三浦「きちんと会ったり喋ったりしたのはライブでの対バンだったんですが、僕自身はMySpaceで既にシガベッツの存在を知っていて。“スゲえ! ヤー、かっこいいバンドだな~”って。当時の自分たちのレーベル社長にも勧めたり。周りにも吹聴していたんです」
 
――HO17の活動の後半はけっこう幹宗さんも外部ながらかなり入り込んでましたもんね。
 
山本「後半はかなりバンドの相談役でしたから(笑)。解散のタイミングの際も、ある時、太郎から、“にっちもさっちもいかなくなった…解散しようと思う…”と相談があって。“だったら、このようなタイミングで東京と福岡で解散ライブを演れば、そう傷がつかずに解散できんじゃないか”とアドバイスをしてあげて。“残せるものを残して次に進んだ方がいい”と薦めましたから(笑)」
 
三浦「でも、その解散をするということを発表して以降、かつて仲の悪かったメンバー同士急にまた仲良くなったんですよね。美しい終焉に向け、なんか不思議な一致団結感が芽生えたのを覚えています」
 
山本「分かる! 俺らもそうだった!! 解散を決めて以降、解散ライブに向けてのリハとかが何か変な憑き物が落ちたかのような清々しい気持ちでできて。調子も凄く良くなったんだよね。いい意味で、どうでもよくなって。それが故に妙にリラックスして、イイ感じになれた。その経験値もあって、僕らは再結成の際もホント楽しくできたし、今度も絶対に良いライブができる自信があるんです」

cigavettes-HO17-1.jpg

東京での再結成ライブのいきさつは
the telephonesの再結成を観たのがいけなかった(三浦)

 
――で、今回東京で演ることにしたのは? もちろん“やってくれ!!”との声は多かったとは思いますが。
 
山本「そのリクエストはとにかく凄かったですね。しかも福岡でもキャパが150人の狭いライブハウスだったんで」
 
三浦「その上、結婚式の三次会だったもんで。結婚式に来てた人もほぼ来てたという。なので一般のチケットもほぼ外には出てなかったんじゃないかな」
 
山本「でも、実はそのライブハウスはシガベッツもHO17もそこで解散ライブを行った会場だったんです。というか、もうそこで過去何十回とライブを行ったことか。もうそのライブハウスだったら、目をつぶっても楽屋からステージまで行けるぐらい導線が身に染みついてますから」
 
三浦「今回の東京でのライブに際しては僕に責任があって。僕が現在やっているフレンズのベースって、the telephonesの長島涼平じゃないですか。それもあって、たまたまtelephonesの復活ライブをHO17のメンバーたちと観に行ったんです。あれを観てみんな感化されちゃって。メンバー全員凄くまたHO17をやりたくなっちゃったんです。特にドラムの伊藤が“やろう!”“今年絶対にやろう!!”ってなっちゃって(笑)。で、やるからには“幹宗く~ん”って」
 
――で、巻き込まれた幹宗さんは?
 
山本「夏に電話があったんです。(三浦)太郎から電話がある時はたいてい何かのお願いごとの類で。それ以外はほとんどかかってこないですから(笑)。僕らに関しては、それこそもう次に進めるものがないですからね。でも、オリジナルの持ち歌も20数曲あるし、1時間ぐらいだったら付き合ってやるかって。見た目も腰回りぐらいだったんで、当時からアップデートされていたのは(笑)」
 
三浦「久しぶりに会ったメンバーもいたんですが、みんな貫禄がついちゃってて」
 
山本「俺以外はすっかりおっさんですよ。俺はずっとこの体形を維持してきているんで(笑)」
 
――幹宗さん以外のシガベッツはみなさんは、現役で音楽をやられているんですか?
 
山本「中間管理職やIT系の会社、それからライブハウスの店長もいれば、会社員もいてって感じで。みんなキチンとした本業を持ちつつですね」
 
三浦「そう考えるとHO17はメンバーは、みんな音楽メインでやってるか? 中には競馬の予想YouTuberもいれば、居酒屋の店長もいたり。音楽だけで食べているのは僕だけだけど」
 
――そうなると、久しぶりに一緒に音を合わせたり、ライブをしたりもみなさんかなり楽しかったのでは?
 
山本「もう、楽しくて、楽しくて。解散直前のみんなお互い一言も口をきかなかったぐらい敬遠し合っていたのがウソのようで(笑)」
 
――では、やるからにはいいライブを演るぞと。
 
山本「いや、その辺りはご心配なく。絶対にこれまでで最も良いライブができる自信があるので」

cigavettes-HO17-3.jpg
 
幹宗くんの凄いところは同じ機材やセッティングでも
幹宗くんが弾けば完全に幹宗くんの音になるところ(三浦)

 
――当日、お互いに期待しているものはありますか?
 
山本「僕らに関しては、当時から時間も経っていて、今となっては“いいバンドだった…”なんて言われていて。実際の当時よりかなり誇張されてるところがあるとは思うんです。だけど、ようやく今、その誇張に追いつく本当のいいバンドやいいライブができるかなって。みなさんのイメージ、いやそれ以上のライブを見せられる自信があります。あと、僕らは今回、HO17の前座なんで、気楽にやらせてもらいますから。とっとと自分たちの出番を終わらせて、呑みながらHO17の雄姿を拝ませてもらおうかなと」
 
三浦「僕の場合は、今やけっこうメンバーが全国バラバラに住んでいるので、また会えるいい機会だし、再び一緒にできるいい大義名分かなって。ただ、そのメンバー間の距離感もあるので、多分リハーサルはそうできないでしょうけど」
 
山本「あとはHO17の中でも好きな曲があるんで、是非それをやって欲しい。俺らの曲って、いうても1曲当たりが短いんで。1曲当たり2分前後なので、1時間あればけっこう楽曲もプレイできますからね。あとは前回のHO17は打ち上げの時、しっかり統率が取れておらず、メンバー全員が打ち上げに揃いませんでしたから。でも、今回はビシッと当然メンバー全員揃って欲しい。そういった意味では我々シガベッツは統率力はバッチリなんで」
 
――当日はお互い、現行の自分たちを見せてくれる感じですか? それとも往年の自分たちを見せてくれる感じですか?
 
三浦「僕らはいい意味でも悪い意味でもきっと変わってないですから。今のままを見せても、たぶんあの頃のHO17を感じてもらえるんじゃないかな」
 
山本「対して俺はグングン上達してますから」
 
三浦「僕、けっこういろいろなところで言ってるんですが、幹宗くんの凄いところって、みんなと同じセッティング、同じ機材を使っても、幹宗くんのギターの音がするんです。それはたとえ僕のセッティングで鳴らしても、幹宗くんの音になっちゃう。それって凄いことだな…と常々思っていて」
 
山本「俺の我の強さやアイデンティティーが滲み出ちゃうんだろうね、音として(笑)」
 
 

それこそ今の幹宗くんは、選手兼監督のプレイングマネージャーと一緒(三浦)

 
――幹宗さんはサポートギタリストもですが、最近は他のバンドやシンガーソングライターのプロデュースでも多忙そうですよね。なんでも直近でもいろいろとリリースがあるとか?
 
山本「そうなんです。12月5日に福岡のAttractionsという4人組のバンドがいよいよ1stフルアルバム『DISTANCE』をリリースするんですが、それを全面プロデュースしました。これはホントに曲作りからいろいろとアドバイスをしてきたバンドで。それこそ俺の家に泊まらせて合宿して曲を一緒に作ったりしたぐらい関わっているバンドなんです。しかも、プリプロからレコーディングからずーっと一緒にやってきましたからね」
 
――三浦さんの近況は?
 
三浦「このライブのチケットを僕の弾き語りのライブでも手売りします。あと、フレンズがいよいよ1月31日(木)にNHKホールでライブを行います。こちらも是非!!」
 
山本「あっ、俺も忘れてた。1月15日(火)に銀杏BOYZが二度目の日本武道館でライブをするので、そこでギターを弾きます。それから12月13日(木)にバンドセットで、12月23日(日・祝)にはアコースティックセットで、先日新曲『Fifteen』を発売し、それのアレンジやギター、プロデュース等で関わった16歳のシンガーソングライターの原田珠々華のワンマンライブがあるので、そこでも弾きます。そうそう、13日のバンドセットの際はベースはフレンズのえみそんなんです」
 
――今では幹宗さんの場合、もうバンドマンよりもすっかりギタリスト兼プロデューサー気質じゃないですか。
 
三浦「俺もそう思う。よっ、プレイングマネージャー!!古田!!」
 
山本「俺はカツヤか」
 
三浦「(古田)敦也(あつや)だろ?」
 
山本「いや、克也(かつや)、克也。野村克也の方。元祖プレーイングマネージャーだから」
 
2人「爆笑」

cigavettes-HO17-4.jpg

text by 池田スカオ和宏



(2018年12月10日更新)


Check

Live

The Cigavettes/HOLIDAYS OF SEVENTEEN

チケット発売中 Pコード:135-148
▼2019年2月9日(土) 18:30
LIVE HOUSE FEVER
前売-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]LIVE HOUSE FEVER■03-6304-7899

チケット情報はこちら