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カッコよくて何にも似ていない物珍しいものを作りたかった――
SKY-HIを迎えた鮮烈な新曲を含むEP『illusions』と
間近に迫ったツアー、充実のソロ活動について語る
金子ノブアキインタビュー&動画コメント

前作『Fauve』から約2年半ぶりに届いた金子ノブアキの5曲入りEP『illusions』。すでにミュージックビデオも話題を呼んでいるタイトル曲ではSKY-HIをフィーチャリング。「一緒にやるなら、賛否両論呼ぶような問題作を作りたかった」という言葉通り、畳みかけるようなSKY-HIの高速ラップと実験的な要素も大いに含んだ剥き出しの音の応酬。音の洪水に巻き込まれ、容赦なく言葉のシャワーを浴びせかけられるようなその曲は嵐のように過ぎていく。それをつかまえたくてまた再生ボタンを押す。その繰り返し。金子の面白いところは、その問題作を打ち破るという意味のタイトルを冠した『defeat illusions』を2曲目に持ってくるところ。盟友でありソロステージも一緒に作っているギターのPABLO(Pay money To my Pain)が『illusions』に寄せたプレイに感嘆し、彼への敬意を表して作られたというこのリミックスは、SKY-HIのラップも金子のコーラスも表題曲と同じ素材でありながらまったく違ったものとして聴こえる。昨年、母体であるRIZEが結成20周年の節目を大感動の日本武道館公演で締めくくったことも、本作における挑戦へつながったという。まもなく10月27日(土)バナナホールを皮切りに始まるツアー『nobuaki kaneko showcase 2018 autumn』ではユニークなたくらみもなされる模様。大充実の現状についてもじっくりと話を聞くことが出来た。

日本で、ストリートカルチャーのど真ん中でやっていて一番のエッジは何なのか?
そう考えたとき『illusions』にたどり着きました
 
 
――うっそうとしたジャングルのような音とラップをかき分けながら聴き進んでいく。『illusions feat. SKY-HI』(M-1)はそんなイメージです。音もSKY-HIさんの言葉もヘヴィですが今の空気や時代性を感じる音であり言葉であり、そこに重なる金子さんの声は浮遊感があって。意外な顔合わせのようで、金子さんとSKY-HIさんの共演は納得がいくところもありました。
 
「僕と日高くんは東京出身で、イメージしたのは自分が住んでいる環境とかこれからとか。彼もこの夏にMIX TAPE(ミニアルバム)『FREE TOKYO』を出して、話していくうちに同じようなことを考えていたんだなと思うところもあって。そこらへんで合致して、すごいスピードで曲が出来ていきました。日高くんは日本における当代きってのスターラッパーですから、一緒にやるなら彼の一番のストロングスタイルであり、ある意味彼がもっともいかつく見える方法でやりたかった。それは彼の場合、高速ラップですよね。僕は彼のそのスキルのファンでしたしリスペクトもしていたから、それは今回の大きなテーマでした。とにかく早口で、とにかく情報を浴びせて麻痺させてくれって。“これは何?何?”って混乱しながらも何回も聴いちゃうようなものにしたかった。東京という街はものすごく膨大な情報が入ってくる街で、多面的で多角的で。でも通り道であってデッドエンドではないんですよ。流れ、通り過ぎてゆく感じと、そうでありながらも長いものに巻かれてはいけないし、気高く行かなきゃいけない。そういうことも話して共有してもらえた部分は多かったし、それを説教くさくなくやるにはこれぐらい軽やかでドロッとした内容のものになるよなぁって。ドープな重い雰囲気だったり、ちょっとヴードゥーも入っていたりするドラッギーな雰囲気の中で、歌詞で言っていることはものすごく真っ当なんですよね。日本で、ストリートカルチャーのど真ん中でやっていて一番のエッジは何なのかと考えたときにそこにたどり着きました」
 
――金子さんの声は存在感がありながらもSKY-HIさんのラップに淡く絡んでいます。浮遊しているような感じで。
 
「僕のスタイルもこれまでのソロワークで確立出来てきているところもあるんで、僕の得意なことを入れるというシンプルなやり方で。全編、構成もすごく変わっている曲でわかりやすいサビがあるわけでもないし、バーッと走って、休んで、またバーッと走って終わる。だから制作中はシャトルランと呼んでいたんですけど(笑)、そういう曲ですよね」
 
――資料にありましたが、昨年の暮れに日高さんと街中で会って今回の共演に結実したと。
 
「そう。去年はRIZEのツアーをやらせてもらって、ファイナルで初の武道館をやれて20周年が無事に成功して。僕とJESSEはもともと武道館でのイベントに出たのをきっかけにバンドを結成して、“いつかここでやろう!”と言いながらも武道館でやることが本当に壁で、怖くてなかなか出来なくて(笑)。それが成功にこぎ着けてバンドに対する責任とか愛情がより深まって、終わった瞬間にフワァ~ッて解き放たれて安心したんですね。その後、JESSEはThe BONEZが決まっていて、僕もドラマや映画が何本か決まっていて音楽ではAA=もあって。そのときにふと、自分の作品も作りたいなぁって。漠然とラッパーと組みたいなとは思っていたんだけど、これまではラッパーと組むならJESSEとRIZEでやるというのが当たり前のこととして観念的にあったんですね。だってラップやるならJESSEとやるのが最高じゃん?(笑)。もともと二人でバンドをはじめてラップとビートとリフでやってきて、そこにRioくんやKenKenが力を貸してくれてそれが20周年を終えてひと段落して。これまで僕のプロジェクトにラッパーとベーシストがいないのはバンドに対するリスペクトや、AA=の(上田)剛士さんへのリスペクトだったけど、その壁のような垣根のようなものはやわらかく取り払われて、そんなヤワなものじゃないよっていう安心と信頼が自分のバンドに改めて持てた。帰るべき場所にはそれがあるわけだから、自分の現場で思いきり冒険もして、“何だこれ、バカじゃねぇの?”みたいな面白いものを作ればいいんだって思えて。去年の12月20日に武道館が終わって、年末に街中でばったり日高くんに会って。“あ、これだ”と思ったんですね。彼は前々から“なんかやりたいすね”と言ってくれてたから、“やろうよ。ラッパー探してたんだよ”って」
 
――なんて運命的な。
 
「ポップなものを作る選択肢もあったけど、せっかく一緒にやるんだったら賛否両論生まれる問題作を作るべきだと思って。結構突っ込んだことを書こうと思っていたから、日高くんにも“違法ドラッグ糾弾みたいなことを言っていくつもりだけど大丈夫かな?”とか確認しつつ(笑)、タイトルから決めていってラップをまず録って。最初はもっとトライバル寄りでもっとドロッとした感じで、ドラムもロック的なアプローチでは入っていなくて、僕もパーカッションを叩いていたんですよ。トラックとしてもカッコよくて何にも似ていない物珍しいものを作ろうとしたらそういうものになっていったんだけど、ラップを録っていくうちにスタッフチームも盛り上がってきて、“これはミュージックビデオも録りましょう!”って話になって。映像となるともうちょっと爆発感というか、普段バンドやソロワークでやっているようなドラマーとしてのたたずまいがやっぱり僕は得意だから、ラッパーと向き合ってそれをやる感じにしようかって。こんなにもラップに対してべったりドラムを叩くことはたぶんRIZEでもやったことがなかった。日高くんのリリックやラップをテーマとしてアイディアをほぼ間引かずに走り切ったんだけど、そこにプライドを感じて欲しかったし彼にとっても“自分の作品”といえるものになれたら嬉しいなって。特に冒頭のあたりは自分で1から作っていったら絶対に思い浮かばないフレーズになったし、ドラムが一番最後に入ることもこれまでなかった。良い驚きもあったし満足感も大きかったですね」
 
 
 
心強い友達が出来ました
 

 
――最初に『illusions』というタイトルを知ったときはイリュージョン=サイケデリックという印象でしたが、ミュージックビデオの世界観も色彩感も真逆でした。ミュージックビデオの背景は実際の東京の街並みだそうですね。金子さんも日高さんも東京で生まれて育って、その土壌が培ってきた背景、文化は大きいですよね。
 
「ストリートカルチャーと呼ばれるところで青春時代を過ごしてきた人種なんですよね。去年、武道館を終わって思ったのは、“あぁ、俺はストリートの人間だなぁ”ってこと。あの日は客演も多くてDef Techとも久しぶりにやったし、ラッパ我リヤもZeebraさんもFIREBALLも来てくれて、自分たちのルーツも痛感して。どうあがいてもストリートから出てきた人間で、それは自慢していいなと思ったしどこにいても誇り高くそれを掲げていくことでこの後、自分のやることが気持ちよくなるだろうなって。僕も今回のビデオはすごく好きで、演奏していない瞬間が特に好きなんです。ガッと音が止まったときに二人が向き合っているシーンが、教会で(日高くんが)懺悔しているように見えるって話になって。それが一番好きなシーン。僕たびたび言っていますけど、休符にこそ宿っているものがあって、曲の構成上もあれだけまくし立てて畳みかけてガンガンにやって、急にフッと止まる。そのとき何かが思い出されたりする。そういうフッと止まった瞬間のために生で演奏しているようなところもあって日高くんともそれを共有したかったんですね」
 
――シンバルを止めるシーンはライブを思い出します。
 
「僕の得意技ですね。シンバルを止める人なんで(笑)」
 
――歌詞に“燻らせて”とありますが、燻るという言葉には“物思いに悩む”という意味があるんですね。初めて知りました。
 
「面白い言葉ですよね。さっき言った違法ドラッグ糾弾もそうですけど、悪いことをしている人はその責任を取るべきだと僕は思ってる。でも断罪ではなくて、生きている限りいくらでもやり直すことは出来るし再生はある。そこが重要なところです。日本でやっていくならカッコいいやり方があるし、ハードなバンドも大人になっていくに従ってクリーンになっていく人も多い。重要なのはリーガルかイリーガルか。あくまでも主観だけれど、僕はそう思うという提示ですね。ドラッグをやることがロールモデルになりえるなんて、それこそ幻想だよって思うしね」
 
――まさにイリュージョンですね。
 
「日高くんもクールにシニカルに浮遊しているように見えるけど本当に熱い男だし、クソが付くほど真面目だし、どうやったら世界が良くなるか、みんなに良いことが起こるか。そればっかり考えていて暇さえありゃ曲を作ってる。そういうところにも共鳴出来たし、次はライブをやろうねと言ってるんですよ。彼がバンドでやっているときに不意打ちでどこかの会場へ現れたいなと思っていて(笑)。心強い友達が出来たなって感じですね」
 
――前にSKY-HIさんのライブに行ったときに、この人は本気で音楽で世界を変えようとしている人だなと実感したことがあって。MCでもそういうことをはっきりと表明されていて、それはJESSEの持っている精神性ととても近いものであるように感じました。今回の金子さんとSKY-HIさんの共演に納得したのはそこでした。
 
「ラッパーの持っている精神性でもあるのかもしれないですね。ラップってスピーチだし、ラッパーはアジテーターであり哲学者で精神論者でもある。僕はそういうところが好きなんですよね。日本語のラップってダサいものもあるけどカッコいいものもあるし、そういう話もしながら日高くんと作っていったし彼自身もヒップホップの在り方というものについてすごく考えている。彼はAAAというあまりにも分母の大きい活動をしていて、たぶん彼が想像している以上の人を助けてきているし、いろんな人の人生に関わっている。だからこそ、彼は1人になったときに、よりストロングスタイルになって発信して行かなきゃいけないということをかぎ分けていると思うんですよね。それゆえにハードルも高くなっていて、そこの刹那的な感じとか駆け抜けている感じ、生き急いでいる感じも素晴らしい。ただ、何かモノを作っているときはそうあるべきだと思うんですよね。情熱が途絶えないように、苦しんで血反吐を吐きながらも自転車を漕ぎ続けるようなもので。それが美しいですよね。JESSEも同じ。それは他のラッパーにはない要素ですよね。JESSEも10代、20代の頃と今では全然違うし、JESSEは今が一番良い。最初にメディアにバンと出て売れた頃からすると、精神的にもいろんなことがあったし、ある種メロウだけども彼が持っていた良いところだけが伸びていて。日高くんはまた状況は違うけど、“ラッパーとは何だ?”と考えたときに、それは精神なんだと思う。論破するというジャンルだから強くいなくちゃいけないところもある」
 
――なるほど。
 
「日高くんの歌詞を見ていると特に思うんですけど、彼のラップはとてもきれいな日本語で、パズルを埋めていくようなラップ。彼がすごいのはそのラップを高速でやったときに、その言葉の純度が落ちないところなんですよね。無尽蔵で、たぶん無限に湧き出てくるタイプの人。JESSEもそうですね。僕が好きなラップの人はみんなそうかもしれない。サウンドチェックしているとラップし始めちゃって20分ぐらい止まらないとか(笑)」
 
――湧き出てくるタイプなのは、金子さんも同じではないかと。
 
「僕はもうちょっと腰が重いんですけどね(笑)。やりたいことは尽きないし、俳優業もご縁があればと思っているし常に準備はしていたいしバンドもやっていたい。人に恵まれているのは大きいでしょうね。ただ俳優部でも音楽でも、一番好きなのは作っている時間なんですよね。役作りだって悩むし、曲を作っていても“うぉー!どうしよう”と頭を抱えているときはまさに獣になっているけど、後になって“幸せだったなぁ”と思うのは成功体験よりもそっちの日々で。作っているときがやっぱり一番ロマンチックなんですよね」

 
 
バンドをやりながらソロのことを考え、ソロをやりながらバンドのことも考えてる
とてもヘルシーだと思う
 
 
――3曲目のインストゥルメンタル『whitenight』は部屋で流して聴いていたい曲です。仕事がはかどりそうで(笑)。
 
「嬉しいですね。この曲は去年京都で清川あさみさんの個展があったときに会場のBGMで使っていたものが元ネタで。もともとはもっと短いもののループだったんですけど、それを草間(敬)さんとふたりで引き延ばして、“1つの背骨が通っている中に、違ったものが入れ代わり立ち代わり入ってくる感じにしましょう”って2人でネタを作りまくって。その抜き差しのタイミングがアンビエントって簡単なようで本当に難しくて。ただこういう音楽は僕らが得意とする1つのスタイルだし自信がありますね。僕、アンビエントの若手の第一人者になりたいなぁって思ってるんですよ(笑)。僕が作ったアンビエントの1時間ミックスがあるんですけど、我ながら良い感じなんですよ。今また映画音楽を作っているんですけど、まだ使っていない素材も手元にいっぱいあるからいつかアンビエントの作業用CDもしくはプレイリストを作りたくて(笑)」
 
――ぜひ(笑)。今作はさらに昨年開催されたパフォーミング・アーツ・カンパニー enraとの舞台『VOYAGER』から『オルカ』(M-4)、『Firebird』(M-5)の2曲のライブテイクも収録されています。『オルカ』はソロ第1弾の曲(’09年)ですが、何にも似ていない新しいものに出会った感覚はいまだに蘇りますし、“世界を見てごらん 君は美しい”という曲の冒頭に今も衝撃を受けます。
 
「転調がないんですよね、あの曲(笑)。歌詞は象徴的でもあり抽象的でもあり、当時はバンドとの差別化みたいなところでメッセージにしてもきれいな日本語だったら面白いかなとか、文学的な表現、絵画的な表現とか考えていましたね。ただあんまり意識高い系には行きたくないなって(笑)。僕は『オルカ』を作れたから“あ、やれるわ”と思ったんですよね。だから死ぬまで一生、自分にとっての運命の1曲だと思うし、10年前に作った曲ですけどこの曲を信じているからこそやり続けているところはあります」
 
――まもなくツアー『nobuaki kaneko showcase 2018 autumn』も始まりますが、今回はチケットに会場限定のパンフレットが付いていると。
 
「そう。今回は大盤振る舞いでパンフレットを作りました。中にはロングインタビューとライブ写真とライブ音源がダウンロードできるURLが入る予定で、それがチケット代に含まれています。まだ決定していない事項もあるんですが、去年のビルボード公演でライブ中に撮影した写真を公演終了後に販売してそれが好評で。ライブに来た人、観ていた人が買えるというそのやり方をもっと飛躍させることは出来ないかなって。こっち側の気力は要りますけど、ライブ音源を速攻ミックスして。ダウンロードだからCDというパッケージじゃなくてデジタルになるけど、今後ライブ盤という形じゃなく観に来たライブは買うことが出来るという形も現代的で良いかなと。どういう形でダウンロード出来るようにしていくかという課題はありますけど、うまくいったらこのやり方は継続していけたら良いなと思ってます」
 
――これからのやり方なのかもしれませんね。
 
「RIZEのファンクラブ限定でやったことはあるんですけど、他ではあまり聞かないですよね。人がやっていないことをやるのは最初は難しくて、周りにも“やったことないから出来るかな”って言われちゃうんだけど(笑)、実際にライブに来てくれて手に入れてくれた人の口コミで広がっていったら嬉しいですね。採算度外視の大盤振る舞いですが、“ほんの心づくしですが”っていうおもてなしの1つとして。漁船の上で獲れたばかりの魚をさばいて振る舞うみたいなノリです(笑)」
 
――新鮮なうちにいただけるわけですね(笑)
 
「今回『illusions』のミュージックビデオも公開直後からすごく評価もいただいて嬉しいことですよね。なんか、“くそやべぇ”って言われる感じがすごく良いなって。それこそがストリートカルチャーへのリアクションだし、これまでの僕の作品への評価って“心洗われます”とか“1人でじっくり聴きたい”と言ってもらえることが多くて、“なにこれ?ヤバすぎ(語彙力)”みたいな評価は今回が初めてで(笑)。投げた球にそうやって返してもらった身としては、今はこの感じが間違いないんだということを確信しました。今もう次の次の作品のことを考えていて、今回はギターはほとんど入っていないけど、僕はギターから曲を作ることがすごく多いからこれまでだったらRIZEの曲にってJESSEに渡していた素材を、自分の作品に反映させようかなとかも考えていて。実際、(RIZEに)Rioちゃんが参加するまではJESSEと僕のツインギターみたいな感じで、アルバムとかも3分の1ぐらい弾いてたんですよ。『EXPERIENCE』(’10年)の1曲目のギターソロは僕が弾いてるし」
 
――そうだったんですか!
 
「けどJESSEのギターこそがRIZEのギターで、僕はあくまでもそこにサポートする形。だからメタリカのジェイムズとカークみたいに直線と曲線みたいな感じで。やっぱりJESSEのギターは最高で、あのリフの立ち上がりは彼ならではだし僕のドラムとすごく似てる。ずっと一緒にやってきたからか、形は違うだけで表現はすごく似てますよね。クセとリフレイン、フレーズで“シンプルに作っていこうよ。何もいらないよ”ってところから2人で作っていって、ひたすらリフがあって“うぇ~い”って盛り上がってる中学生ノリっていうか(笑)。その感じをRIZEじゃないところに持ち出そうと思い始めているのは自分にとってはすごく宝物ですね。全部RIZEのおかげだから。今回『illusions』でラッパーを招聘したことで、日高くんの良さとともにRIZEやThe BONEZでやっているJESSEの良さや偉大さ、彼がこれまで歩んで発信してきたものの確かさがこれまで以上に際立つと思うんですね。そうやって自分のものを作りながらバンドのことも考えているし、バンドをやりながら自分のことも考えてという具合なので、たぶん今すごくヘルシーですよね。バンドの誰かがソロプロジェクトを始めるときって、その逆のパターンがあるかなと想像するし僕も最初はRIZEじゃ食い足りない感じもあったのかもしれない。作りたいものがいっぱいあったし、それで『オルカ』を作ったら当時のディレクターが“これ、もっと作ろうよ”って言ってくれて。Def Techも同じディレクターで、『Bolero』(’12年発売)を作りながら1stを作っていましたね。ちょうど10年ぐらい前。あの頃すごく楽しかったけど、今それと似た感じがあります。今回の『illusions』にライブテイクが入るのも振り返れるようになって共存出来るようになってきた証拠だし、今回のツアーでも旅をしている感じが味わえたり飽きさせないものになると思うので、このEPを聴いてライブをイメージしてもらえたらいいのかなって」

text by 梶原由紀子



(2018年10月22日更新)


Check

Movie Comment

Release

デジタル配信EP『illusions』
配信中

《収録曲》
01. illusions feat. SKY-HI
02. defeat illusions
03. whitenight
04. オルカ Live from Voyager 2017 (※)
05. Fire Bird Live from Voyager 2017 (※)
(※)2017年「enra × 金子ノブアキ VOYEGER」世田谷パブリックシアターLIVE音源

Profile

かねこ・のぶあき…’81年生まれ。幼馴染のJESSEと共にRIZEを結成。’00年シングル『カミナリ』でデビューし、全米、アジア(韓国・北京・台湾)などの海外ツアーも成功させる。以降、RIZEとして現在までに8枚のオリジナルアルバムを発表。現在は、AA=にもドラマーとして参加している。金子ノブアキとして’09年に1stソロアルバム『オルカ』、’14年に2nd『Historia』を発表。パワーのあるドラミングとは対極とも言える繊細で無垢なボーカルも話題を呼んだ。’15年にはギターにPABLO(Pay money To my Pain)を迎え、キャリア初のソロライブ、ソロツアーを開催。映像と音楽をシンクロさせた総合芸術を表現したステージが好評を博した。’16年5月に3rdソロアルバム『Fauve』を発表。『Tour 2016 Fauve』のファイナルとなった東京EXシアターでの公演にはパフォーミングアーツカンパニー “enra”とのコラボレートによるステージが実現。’17年1月18日に発売された初の映像作品『Captured』に伴い、東阪のビルボードライブ公演を実施。さらに3月にはソロ初の中国公演を開催。’18年10月にSKY-HIとのコラボ曲を含む初のEP『illusions』リリース。両者が渾身のパフォーマンスを行うミュージックビデオも話題に。また、昨年音楽監督を務め舞台で生演奏も行ったenraとのコラボ公演『VOYAGER』でのライブ音源も収録されている。10月27日(土)バナナホールを皮切りにツアー『nobuaki kaneko showcase 2018 autumn』がスタート。俳優としても、11月公開の映画『ギャングース』、音楽監督も務めた『万力』(’19年公開予定)をはじめ数多くの映画やドラマで活躍している。

金子ノブアキ オフィシャルサイト
http://kanekonobuaki.com/


Live

「nobuaki kaneko showcase 2018 autumn」

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:128-544
▼10月27日(土) 18:00
梅田BananaHall
全席指定-5800円(ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。会場限定パンフレット付。客席を含む会場内の映像、写真が公開される場合がありますので予めご了承の上、ご購入下さい。
[問]GREENS■06-6882-1224

【愛知公演】
▼10月29日(月) 18:30/21:15
ブルーノート名古屋
【東京公演】
▼11月4日(日) 18:00
WWW X


【宮城公演】
enra × 金子ノブアキ「VOYAGER」

▼12月9日(日) 16:00
電力ホール

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