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新作『Ko-Oh-Doku-Mai』を手にツアーはまもなく関西へ!
KEMURI 伊藤ふみお(vo)インタビュー&動画コメント

今年の2月には通算12枚目となるアルバム『Ko-Oh-Doku-Mai』を発表し、すでに全国ツアーをスタートさせているKEMURI。全10曲30分弱という潔い構成の作品となっているが、初期作に立ち返ったかのようなソリッドさや疾走感と現在の彼らならではの懐が広くも鋭いメッセージとグルーヴが凝縮され、バンドの充実ぶりを何よりも物語る会心作となっている。インタビュー後半の発言にもあるように、ユーモアと実直さ、批判も厭わない“スカ・パンク”という音楽のエッセンスが痛快なまでに詰まった本作について、フロントマンの伊藤ふみおに語ってもらった。

 
――昨年はこれまでの集大成的といえるサウンドが詰まった12枚目のアルバム『FREEDOMOSH』を発表した後にツアーがあり、11月にはクラウドファンディングで支援を募ってSka Bravo Specialを無料で開催するという動きもありました。
 
「クラウドファンディングでやったのは、1stアルバムの『Little Playmate』を発表してから20年目だったので、その当時にお世話になったバンドや自分たちが海外ツアーをやってきてぜひ日本のKEMURIファンたちにも観てもらいたいバンドを呼んで、フリーライブをやろうじゃないかと。それがキッカケですね。で、なんでフリーライブだったかと言うと、やっぱりみんなでイチから作る感覚の強いツアーをやりたいという気持ちから出てきたことで、クラウドファンディングは具体的にCDやDVDを作りたいという理由でバンドの方がやってらっしゃるのは知っていたんですけど、フリーライブをそれを使ってやろうというのは見たことがなかったので。結構人がやっていないことをやりたいなという気持ちが今も昔も強いので、それで今回は実施に至った次第です。バンドとしても、このツアーでは1stアルバムの曲だけを全曲演奏するセットでやりました」
 
――そんな休みナシなペースで動くなかで、2月にリリースされた新作『Ko-Oh-Doku-Mai』は全10曲でトータル30分弱という潔さもKEMURIらしいと思いましたが。
 
「そうですね。やっぱり聴き終わった後に聴き応えがあるかないか、ですからね。だから、一時期から暗黙の了解のように14曲くらいでというのがありますけど、10曲くらいでもいいんじゃないかなとは前々から思っていて」
 
――パンクのアルバムって短いものが多かったし、’14年にリリースした『Rampant』も全10曲30分強ほどで、でもコレで完成形という話をレコード会社とされたと言っておられたのも印象的でした。
 
「今回のアルバムを作ってみて、それは改めて思いました」
 
――『FREEDOMOSH』はアコースティックな新境地も示したりと多彩な内容でしたが、今回はそれを経てよりストレートに絞れたというか。
 
「前作もこれまでと趣向を変えてということはなかったんですけど。やっぱり、Ska Bravo Specialで1stアルバムの曲をしっかり演奏する機会があったのが大きかったのかもしれないですね」
 
――そうですね。疾走感を落とさないまま走り切る感じというか。例えば、野外フェスの30分セットで全曲新曲だったけど凄かったみたいな感じが、そのまま録音物になっているようなアルバムだなと。
 
「毎回そうですけど、特にアルバム・コンセプトみたいなのもなかったし、基本的には今回もみんなが作ってきた曲を録音しただけですね」
 
――アルバム・タイトルの“孤往独邁”は「周りや他人の動向に左右されず、自らの信じた道を進むこと」という意味で、これは本作の歌詞のメッセージ全体に通底していることかと思いましたが。
 
「うん、10曲目の『Ko-Oh-Doku-Mai』は歌詞もサッと出来たし、音楽は自分がやりたくてやっていることですから、やっぱり言いたいこと伝えるべきだと思うことを自分としっかり向き合いながら曲にしていきたいなという想いは強くあって。それは、毎年アルバムを出しているからこそ、今回はより強くありました」
 
――メッセージという点では、『SAD BOMB』『NO MORE WAR!』と続く7~8曲目の2曲に反戦のメッセージが明確に表れているように思いましたが。
 
「うん、ただ“反戦”と言ってしまうと若干違和感があるんだけど、マズいんじゃないかということを伝えたかったですよね。特に『NO MORE WAR!』なんかは。『NO MORE WAR!』で言いたかったのは、戦争を経済活動の一環として扱い始めている人たちなのか何らかの集団なのかに対して、それはいい加減にマズいだろうという気持ちがすごく強くあることですね。なので反戦と言えば反戦なのだけど、いわゆるラブ&ピース的なそれとは少し違う感じですね」
 
――なるほど。単なる倫理観的なことではなく、それを動かしている者へのNOというか。
 
「ただの正義感を振りかざしているわけじゃないところでの『NO MORE WAR!』であり、『SAD BOMB』であるということですね。ホントに闘っている人というのは物静かに日々ヒタヒタヒタヒタと闘っていると思うし、この歌もそういう気持ちで歌っていきたいと思います」
 
――そんな曲がある一方で、3曲目の『FATHER OF THE BRIDE』のような花嫁になる娘を持つ父親の気持ちをハッピー・サッドな感じで代弁したような曲もあって。
 
「この曲はドラムの平谷庄至が書いた曲で、KEMURIを始めた頃はまだ赤ちゃんだったけどもうそろそろ学校も卒業して社会人になる年齢だということから出てきた曲なんですけど。この曲も、すごく幸せなことと寂しくもあるようなことが同じ時間・場所で共存するもんなんだ、という巡り合わせの面白さみたいなものを感じてもらえればと思って歌詞を書いた曲ですね」
 

 
――なので。アルバム全体として、初期作のような疾走感と今のKEMURIならではのキャリアを重ねての視点が絶妙に同居している作品なのかなと。
 
「なんか最近ツアーのリハーサルを始めているんですけど、だから歌っていても爽快ですよ、すごく。“煙たつ銃身から銀の銃弾を弾き出せ!”みたいな曲もあるし、歌詞ではすごく具体的にこの1年間の気持ちを言葉にできたんじゃないかなと思います。他にも“暗黙の了解”という言葉の日本文化と欧米での性質の違いについて書いた『The Unwritten Law』とか。歌詞的には、13枚目なのでそうサクサクとはいかなかったですけど、満足のいくものができましたね」
 
――そうですね。言いたいことがすごくハッキリしているというか。
 
「うん、あとはすごくスカ・パンクな言葉を使えたな、という実感はありますけどね」
 
――スカ・パンクな言葉、ですか。
 
「なんか少しユーモアもあり、すごく実直でもあり、批判も厭わずというか」
 
――だから、言葉にも演奏にも収録時間にも無駄がないですよね。ヘンな褒め方かもしれませんが。
 
「いや、無駄がないって言ってもらえるのはすごく嬉しいけどね。10曲で良ければ10曲でいいし、なんかストレートというと使い古された表現のように聞こえるかもしれないけど、最短距離で発した人間の心から受け取る人間の心に届くのは、ストレートなものなわけですよね。まずそれが出来ないと、カーブもフォークもシュートもないと思うし、ダイレクトに最短距離・最短時間で俺たちはコレがかっこいいと思うというのをブツけられる1枚になったんじゃないかなと。13枚目にして」
 
――そんな爽快なアルバムを携えて、すでにスタートしているツアーは6月9日に京都MUSE、10日に神戸VARIT.と関西に巡ってきます(大阪は9月15日にBIG CAT)。
 
「前回のアルバム・ツアーが本編は再結成以降の曲だけで構成したので、今回はまた新旧のいろんな曲を入れつつ、削ぎ落した良いライブを観せられたらなと思っています」

text by 吉本秀純



(2018年5月31日更新)


Check

Movie Comment

Release

『Ko-Ou-Doku-Mai』
発売中 2700円(税抜)
RMBL-00001

《収録曲》
01. I BEGIN
02. LIVE LIKE OUR MUSIC!
03. FATHER OF THE BRIDE
04. MIRAI
05. Fire Silver Bullets from the Smoking Barrel
06. The Unwritten Law
07. SAD BOMB
08. NO MORE WAR!
09. STILL HOPE
10. Ko-Ou-Doku-Mai

Profile

1995年結成。翌年に1stアルバム『Little Playmate』を発表し、その後はコンスタントにアルバムを発表しながら国内外で活躍するも、2003年のツアー中の事故による活動休止、翌年の復活と2007年の解散、そして2012年にHi-STANDARDからの呼びかけに応じてAIR JAM 2012で約5年ぶりに復活したのを機に、本格的に活動を再開した。現在のメンバーは伊藤ふみお(vo)、津田紀昭(b)、平谷庄至(ds)、コバヤシケン(sax)、田中‘T’幸彦(g)、河村光博(tp)、須賀裕之(tb)。

KEMURI オフィシャルサイト
https://kemuri.com/


Live

KEMURI TOUR 2018
【Ko-Ou-Doku-Mai】

【広島公演】
▼6月2日(土)広島クラブクアトロ

Pick Up!!

【京都公演】

チケット発売中 Pコード:102-863
▼6月9日(土) 18:00
KYOTO MUSE
オールスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]SKALAPPER
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。
※販売期間中は1人1公演6枚まで。
[問]SMASH WEST■06-6535-5569

Pick Up!!

【兵庫公演】

チケット発売中 Pコード:102-863
▼6月10日(日) 17:00
神戸VARIT.
オールスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]THE REDEMPTION
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。
※販売期間中は1人1公演6枚まで。
[問]SMASH WEST■06-6535-5569

【福岡公演】
▼6月17日(日)DRUM LOGOS
【北海道公演】
▼9月1日(土)ペニーレーン24
【宮城公演】
▼9月8日(土)仙台Rensa

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:102-863
▼9月15日(土) 18:00
BIGCAT
オールスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]SHANK
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。
※販売期間中は1人1公演6枚まで。
[問]SMASH WEST■06-6535-5569

【愛知公演】
▼9月16日(日)名古屋クラブクアトロ
【東京公演】
▼9月22日(土)TSUTAYA O-EAST


『THE WAY OF THE DRAGON SPECIAL 2018』
チケット発売中 Pコード:103-631
▼6月23日(土) 11:00
チームスマイル・仙台PIT(ピット)
スタンディング-4900円(ドリンク代別途必要)
[出演]ATATA/あらかじめ決められた恋人たちへ/ENDZWECK/KEMURI/G-FREAK FACTORY/STOMPIN’BIRD/dustbox/DUB 4 REASON/HAWAIIAN6/FIVE NO RISK/SPIKE SHOES
※小学生以下は無料。
[問]クールマイン■022-292-1789

『OKETO GREEN FESTIVAL 2nd』
チケット発売中 Pコード:111-456
▼7月1日(日) 11:00
置戸町ファミリースポーツセンター横特設会場
入場券-6500円
[出演]AK-69/HY/KEMURI/PUFFY/ROTTENGRAFFTY/THE King ALL STARS
※雨天決行、荒天中止。詳細はhttp://oketogreenfes.jp/まで。小学生以下は保護者同伴に限り無料。出演者変更に伴う払戻し不可。他に駐車券(Pコード:111-907)もあり。
[問]置戸町中央公民館■0157-52-3075

『DOBERMAN presents “DOG FIGHT”』
チケット発売中 Pコード:114-828
▼7月15日(日) 18:00
新宿LOFT
スタンディング-3800円(ドリンク代別途必要)
[出演]KEMURI/ガガガSP/DOBERMAN
※チケットは1人4枚まで。
[問]スマッシュ■03-3444-6751

『Sky Jamboree 2018
~one pray in nagasaki~』

6月17日(日)一般発売 Pコード:107-508
※発売初日は、特別電話■0570(02)9905にて受付。店頭販売あり。
▼8月19日(日) 11:00
稲佐山公園野外ステージ
全自由一般-7900円
全自由中学・高校生-6900円
[出演]KEMURI/Dragon Ash/ASIAN KUNG-FU GENERATION/10-FEET/MONOEYES/ストレイテナー/THE BAWDIES/SUPER BEAVER/go!go!vanillas/My Hair is Bad
※未就学児無料
※雨天決行(荒天の場合は中止)
※<小学生:4000円>チケットは当日、稲佐山会場のみで販売。詳細はお問合せ先まで。
[問]FM長崎■095-828-2020

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