――前作『What a Wonderful World Line』から約2年。3月28日にアルバム『World Atlas』がリリースされました。
佐藤「今回のアルバムは一定期間に集中して制作したわけではなく、シングルが多くて、結果的にここにたどり着いたという感覚です。先にアルバムを作ってそこからシングルカットというのではなく、まずアニメのタイアップが決まって、それに対してシングルを作る……それも次がどんな作品なのか事前に分かるわけではなく、急にオファーをいただけたりするので、その時々で全力で打ち返していって、ある程度曲がたまったところで、アルバムが見えて来たんですよね。それで『青空のラプソディ』というシングルをリリースした時には、『World Atlas』というアルバムタイトルの候補が既にあったので、そこに向かうツアーということで前回のツアーは『Looking for the World Atlas Tour 2017』という名前でやらせていただいたんですが、当時、考えていた『World Atlas』のコンセプトは、僕たちが結成から今に至るまでのある種、集大成や到達点のイメージだったんです。でも、結局完成した2018年の今は、さっきお話したように次々にどうなるかわからないことが連続していくなかで今作に至ったので、集大成とか到達点とかゴールみたいな感じでは全然なくて、旅に出るスタートという……。『World Atlas』って世界地図っていう意味なんですけど、旅に出るために必要なガイドのような地図になったなって思っています。ここから“ほんとうの”冒険が始まるっていう感じがしますね」
佐藤「でも、単に楽しい!ってだけじゃなく、矛盾してる部分や難しい部分……闇の部分もあるけれど、それがあるからこそ光が当たる部分が美しく輝くし、楽しい瞬間が尊いっていうのも伝わったらいいなって感じです。それは、2ndアルバムの『What a Wonderful World Line』の時からある“人と人はわかりあえないけど、わかりあえないからこそ、自分と自分のほかに人がいて、孤独じゃなくなるよね”、“絶望みたいなものが前提にあるけど、だからこそ、その先に希望があるよね”というテーマに通じるものだったりします」
佐藤「そうですね。最初の『World Atlas』がこの世界の入口や紹介みたいな感じで、2~5曲目で盛り上がりタイム、6~9曲でちょっとまったりして、10曲目の『Rebuilt world』からはシリアスにクライマックスに向かって、次の『ムーンリバー』とその次の『Hello!My World!!』で後半の盛り上がり。そしてエンディングが『calling』の大団円!と『It’s a Popular Song』みたいな感じですね」
-fhána Looking for the World Atlas Tour 2017 at Zepp DiverCity- 01. Rebuilt world 02. little secret magic 03. Antivirus 04. ムーンリバー 05. 青空のラプソディ 06. 君という特異点 [singular you] 07. 光舞う冬の日に
Profile
ファナ…’11年、佐藤純ーを中心に、yuxuki waga(ユウキワガ)、kevin mitsunaga(ケビンミツナガ)という3名のサウンド・プロデューサーで結成。’12年秋には、ゲスト・ボーカルのひとりだったtowana(トワナ)が正式メンバーとして加入し、現在の4人体制が完成した。’13年8月に、TVアニメ「有頂天家族」ED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。翌年には、iTunesによリブレイク確実の新人として「NEW ARTISTS 2014」の1組に選出されたほか、1stアルバム『Outside of Melancholy』はオリコンウィークリー8位を記録。’17年1月放送のTVアニメ「小林さんちのメイドラゴン」OP主題歌『青空のラプソディ』では、MVがYouTubeの再生回数1500万回を突破。(2017年12月1日現在)。アニメロサマーライブには’14年から4年連続で出演しているほか、国内外でライブ活動も積極的に行っており、これまで3回のワンマンツアーではZepp DiverCity Tokyoで大盛況のうちにツアーファイナルを終えた。また、バンドとして自身の音源を発表するほか、他アーティストヘの楽曲提供やサウンドプロデュース、リミックス提供も精力的に行っている。最新作『Hello!My World!!』に至るまで、12作品ものアニメで主題歌を担当し、タイアップ曲では作品の世界観に寄リ添いながらも、アニソン、J-POP、J-ROCK、日本、海外などの垣根を超えた軽やかなスタンスで、音楽への挑戦を続けている。