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音楽的探求心を胸に突き進んできたこれまでの足跡を確かめつつ
改めてポップスというフィールドでの勝負に挑んだ
新曲『タイムトラベリング』
突き抜けた作品へ向かう中でつかんだ確かな手応えを語る
Czecho No Republic武井優心(vo&b)インタビュー&動画コメント

今年9月にリリースされたCzecho No RepublicとSKY-HIの共作シングル『タイムトラベリング』は、2組の顔合わせの意外さに驚きもあり、それとともに音楽のマジックが生み出した新鮮な感動があふれていた。初回盤に封入のDVDには『タイムトラベリング』制作中のドキュメンタリーも収録されており、Czecho No RepublicのメンバーとSKY-HIの6人が歌詞やコーラスのアイデアを出し合いながら楽曲の完成に向かっていった経緯を垣間見ることができる。ただのコラボレーションではなくまさに一緒に作り上げたコライト(co-write)作である『タイムトラベリング』とともに、今回のシングルには、アコースティックアレンジによる『For You(Acoustic Arrangement)』、そしてFM802の企画でこの夏に期間限定でオンエアされていた10名のゲストボーカリストとラジオDJによって歌い継がれる『MUSIC(チェコと12人の仲間たち)』を収録。現在行われているツアー『リリースツアーじゃないツアー』のセミファイナルとなる12月14日(木)BIGCATでの大阪公演を前に、バンドにとって新しい章の扉が開く前夜とも受け取れる充実のシングルについて振り返りながら武井優心(vo&b)に話を聞いた。


バンドとしても、僕個人としてももっと開けていくべきだなと思った

 
――『タイムトラベリング』はとても突き抜けていてパワーのある曲で、ジャケットもSKY-HIさんを含めた6人組バンドのようなハマり方でした(笑)。
 
「日高君がシュッと入ってくれていてハマってましたよね。日高君と最初に共演したのは2年前にあった大阪のイベントで。ただその時はあまり話はできなかったんですけど、その後に日高君がTwitterでメンバー全員をフォローしてくれて、たまにリプライとかで絡んでくれてめっちゃいい人だなって(笑)。そうやってお互いの動きはTwitter上で認知していたんですけど、今年のはじめにとある新年会で日高君に逢って、そこから急激に距離が縮まって僕も彼のライブを観に行ったりして」
 

 
――そういう経緯で今回のコライトに至った?
 
「バンドとしては、次は誰かと一緒に作ってみたいねという話もしていて、でも誰とやるかは決まっていなくて。そんな時に日高君と仲良くなれてきていて、日高君はいろんな人とコラボレートしたりロック系のフェスにも出演してバンドシーンにも食い込んでいってるし、そうやって挑戦することを前向きに楽しんでいるように見えたから一緒に何かやれたらおもしろいんじゃないかなって。きっと引き受けてくれるんじゃないかなと思ってお願いしてみました」
 
――以前のぴあ関西版WEBのインタビューでも「今年はいろいろやっていく」と話されていましたね。
 
「そう。バンドとしても、僕個人としてももっと開けていくべきだなって。そこはやりたかったことの1つだったんですね」
 
――Czecho No Republicの楽曲的にはこれまでも開けていたというか、ポップで楽しげな曲は来るもの拒まずな印象もありますし、そういう雰囲気に聴き手が吸い寄せられて集まってくる印象があります。
 
「“自分の音楽を鳴らすんだ”みたいな音楽的なこだわりがすごくあるんですよね。そのこだわりが、バンドが開けていく上での足かせになっているんだったら取っ払うべきだなって。頑固なラーメン屋がチェーン展開したり、頑固な寿司屋が回転ずし化していくみたいな(笑)。そうやってわかりやすくして開けていくべきなんだったら、何でも挑戦してみようかなと」
 
――そういうタイミングでこれだけ全方位的に開けた『タイムトラベリング』ができたことは大きな手応えだったでしょうね。
 
「そうですね。これまで自己満足的にやってきていたところもあったんですけど、そこから脱却してもっとわかりやすさを出していけたらという意識があって。そのためにメロディックなものに挑戦してみようと思ったし、そこに挑戦してどこまで戦えるんだろうって。これまでいろんなタイプの音楽をやってきたけど、ポップなものが自分たちのやるべき音楽なのかなと思って。今一度ちゃんとポップスとして成立しているものに挑戦したいなと思っていた時に『タイムトラベリング』ができて、ポップスという点では満足いくものになったなって」
 
――さっき言われたわかりやすさとかポップさというのは、歌詞の面でも大きかったと思いますが“タイムトラベル”というテーマは武井さんの中にあったんですか?
 
「まず曲ができて、Aメロの歌詞を何にしようかなって時にフッと“タイムトラベリング”という言葉が出てきて、その言葉に引っ張られて展開していって。でも、歌詞は結構悩みましたね。最初はもうちょいファンタジックなタイムトラベリングの世界を書いていたんですけど、日高君のラップを聴いた時にすごくメッセージ性があったんでそっちに寄せてみようと思って書き換えたところもあって。あとは、恋愛なのか友情なのかどっちでもとらえられるように、あえて絞らないでいこうよというのを日高君とも話していて。その方が聴く人を限定しなくていいんじゃないかなって。そういう気持ちは常々昔持っているんですけど、日高君もそう言ってくれたんで舵は取りやすかったですね」
 
――さっき足かせの話がありましたが、歌詞の描き方にも武井さんの中にこだわりがありますか?
 
「歌詞は性格も出ると思うんですね。歌詞においてはあんまり生々しすぎるのは苦手というか、自分が聴くのは好きなんですけど、熱い感じのものとかはできないのかなって気はします。竹原ピストルさんとか銀杏BOYZの峯田さんとか聴いて励まされるんですけど、たぶん俺のこの顔面と雰囲気でそんなこと言われても何も刺さらないことは知ってるので(笑)。自分に似合う感じで行けたらなと」
 
――ちょっと話は変わるんですが、『NEVERLAND』に収録されている『国境』が大好きなんですね。あの曲はわかりやすい言葉ではっきりメッセージを伝える歌詞ではないと思うし、言葉数も多くない中に、生きていくことや前を向くことに対して受け取るものがたくさんあって。
 
「嬉しいっすね。その曲が出てくるとは」
 
――『タイムトラベリング』の、どこまでも行けるような迷いのなさは本当に気持ちよくて、このままどこまでも突き抜けていくのかなという期待もありつつ、ひとりの表現者として武井さんの中で、ポップなだけじゃない面もわかってほしいというジレンマみたいなものもあったりするのかなと。
 
「そういうのを必死に出そうとしている感じが今まであったんで、それは消そうかなと思っていて。それこそが足かせなのかなって。それは自己満足に近い部分だと思うし、隠し切れずに出ちゃうものはいいと思うんですけど、それよりももうちょっとこのバンドの魅力とかやるべきことを考えていこうって。周りの人に持っていただいているイメージは大事にしたいし、“そんなふうに見られたくないんだ!”って暴れるんじゃなく、そう見えているんだったらそれが正解だしそっちで戦おうかなと」
 
――そういうCzecho No Republicが望まれているのかもしれないですね。
 
「正解はわかんないですけどね。これまで音楽的な探求心でどんどん新しいものをやろうとしてきていたと思うんですけど、そこじゃなくて今はポップスとしてどういう勝負ができるかというところですね。『タイムトラベリング』が出来たからよりそう思えたのかなって」
 
 
フェスでの戦い方とワンマンでの戦い方は違う
 
 
――現在『リリースツアーじゃないツアー』の真っ最中ですけど、今回は何を持って臨むツアーでしょうか?
 
「今回は『タイムトラベリング』を引っ提げていく感じではなくて、これまで4枚のアルバムを出してきたんですけど、やりたいことも毎回変わって1枚ごとにコンセプトが違うものになっていて。だから最新のものといちばん古いアルバムの曲の相性が合わないものもあって、ひとつ前のツアーでは初期の曲が全然やれなかったりしたんですね。けど、自分たちでも1枚1枚のアルバムを消化しきれないままどんどん次に進んで行っちゃってる感じがあったから、ここで一度新譜を引っ提げたツアーじゃなくて、これまでの4枚をちゃんと消化しに行くツアーをしたいなって。自分達でも今改めてライブをお客さんに楽しんでほしいという思いもあるし、今年前半を過ぎたあたりからライブ=エンタテインメントとしての要素を見直しているところもあって。今のCzecho No Republicで4枚のアルバムをちゃんと消化して、お客さんにも“この曲はもっとこんなふうに遊べる曲なんだよ”というのを提示したいツアーでもあるし、過去のものだけをおさらいしていくのもカッコいいことじゃないから、『タイムトラベリング』もやりたいし、まだ音源化されてない新曲もやっています。過去、現在、未来という感じで、何かに縛られたツアーじゃなく、僕らがライブバンドになっていくための修行みたいなツアーにしたいなと思って始まったところもあって。フェスでの戦い方とワンマンでの戦い方は違いますよね?ワンマンでももっと魅せることのできる、楽しませることのできるバンドになりたいし、すごく良くなってきているのも実感しているので、今回のツアーはすごく見て欲しいですね」
 
――今までのツアーとは違いますか?
 
「そうですね。今までよりもっと緻密に考えるべき部分もあるし、“ここをおろそかにしてたな”と気づくこともあって。考え過ぎるのもあまりよくないけど、一回ちゃんと考えるべきだなって。今がそういう時期だったのかなと思います。ライブでも、これまではバンドだけで作ってきた部分が多かったけど、舞台監督さんに“どうですかね?”って聞いて意見をもらったり、そうやっていろんな人と接していくことが本当に大事だなと思ったのは大きかったですね。上辺で接するんじゃなく、ちゃんと心を開いて接していくことを自分としてもバンドとしてもやっている感じで、社交性が出てきたのかな(笑)。去年とかだったら、日高君とやれなかったと思うし、前だったら今回みたいに『MUSIC』でたくさんの人と一緒にやることも考えられなかったと思う」
 

 
――武井さんは、どちらかというと人間的には閉じているタイプの方?
 
「だと思います。相手から寄って来てくれる分には拒絶したりはしないんですけどね。ただ自分のそういう生き方とか考え方に飽きてきたのかな(笑)。考え方をちょっと変えるだけでいろんなことがガラッと変わって、友達もめっちゃ増えましたね。これからも、いろんな人と一緒に音楽を作ることはやっていきたいし、今回のシングルで成長した部分を活かして5人だけで作りたいって気持ちもありますね」
 
――ちょっと気が早いですが、5人だけの新曲はいつ頃聴けそうですか?
 
「リリースはまだわからないけど、新曲はツアーに来てくれれば聴けますよ(笑)」
 
――わかりました(笑)。12月14日(木)BIGCATでの大阪公演を楽しみにしています。
 
「フェスはどうしたってインパクト勝負なところがあるけど、短時間のライブの中でインパクトを残しつつ自分らのセンスも見せるのが勝負で、センスを出し過ぎてもだめだしインパクトだけでもダメで、そのバランスを探っている途中ではあるんですね。100点の取り方はわかんないし、でもそこで突っ張ってもしょうがないし、楽しんでもらうことがいちばんですよね。フェスでめっちゃインパクトがあっても、ワンマンはそんなに良くないみたいなことに僕らはなっていないから、ぜひワンマンを見て欲しいです」
 
――最後に関西のファンにメッセージをお願いします。
 
「今回のシングルは関西との縁の中で誕生したものでもあるし、すごく大事な関係性だと思うんですね。もっと仲良くなりたいし、僕らのことももっと知って欲しいし、もっと頻繁に関西に来れるように頑張っていきたいので、これからもよろしくお願いします!」

text by 梶原有紀子



(2017年11月30日更新)


Check

Movie Comment

Release

Czecho No Republic × SKY-HI シングル
『タイムトラベリング』
発売中 1000円(税込)
COCA-17371

<収録曲>
タイムトラベリング
For You(Acoustic Arrangement)
MUSIC(チェコと12人の仲間たち)

Profile

チェコノーリパブリック…武井優心(vo&b)、山崎正太郎(ds)、八木類(g)、タカハシマイ(cho&syn)、砂川一黄(g)。武井と山崎が中心となり’10年に結成。同年インディーズより初の音源『erectionary』をタワーレコード限定でリリース。’11年、サポートギターだった八木が正式に加入。6月に初の全国流通となる4曲入りシングル『Casually』、10月に1stアルバム『Maminka』をリリース。全国7か所を回るツアーも盛況で、同作はCDショップ大賞2012にノミネートされる。’13年1月1日にそれまでサポートメンバーとして活動を共にしていた砂川、タカハシが正式メンバーとして加入し現在の5人体制になる。同年10月にメジャーより初のアルバム『NEVERLAND』をリリース。同作を携えた全国ツアーでは各地でチケットがソールドアウト。翌’14年7月に2ndアルバム『MANTLE』発売。以降『Santa Fe』(’15年)、『DREAMS』(’16年)をリリース。シングルもこれまでにメジャーで3作発売している。シングル作品としては1年3か月ぶりとなった今回のSKY-HIとのシングル『タイムトラベリング』(’17年9月発売)は、’15年に発売したシングル『For You』を八木類によるアコースティックアレンジで、またメジャー第1弾アルバム『NEVERLAND』収録の『MUSIC』をTRICERATOPSの和田唱や04 Limited SazabysのGENら12人のゲストボーカリストを迎えた『MUSIC(チェコと12人の仲間たち)』バージョンで収めた3曲入り。現在行っている『リリースツアーじゃないツアー』の大阪公演は12月14日(木)心斎橋BIGCATにて。

Czecho No Republic オフィシャルサイト
http://c-n-r.jp/


Live

「リリースツアーじゃないツアー」

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:338-653
▼12月14日(木) 19:00
BIGCAT
オールスタンディング-3000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。
[問]GREENS■06-6882-1224

【東京公演】
チケット発売中 Pコード:338-622
▼12月22日(金) 19:00
EX THEATER ROPPONGI
アリーナスタンディング-3000円 スタンド席-3000円
※ドリンク代別途必要。アリーナスタンディングは6歳以上チケット必要、5歳以下入場不可。スタンド席は4歳以上チケット必要、3歳以下入場不可。客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。
[問]キョードー東京■0570-550-799

「SKY-HI Round A Ground 2017 Special Final in Tokyo DAY1」
▼12月11日(月) 18:00
チームスマイル・豊洲PIT(ピット)
スタンディング-6480円(ドリンク代別途必要)
[ゲスト]Czecho No Republic/ビッケブランカ/リアクション ザ ブッタ
※3歳以上はチケット必要。
[問]ディスクガレージ■050-5533-0888

『COUNTDOWN JAPAN 17/18』
12月9日(土)一般発売 Pコード:347-798
※チケットは1券種2枚まで。発売初日は、インターネット、電話にて受付。店頭での販売はなし。電話予約は、特別電話■0570(02)9525にて受付。
▼12月28日(木) 12:00
幕張メッセ 国際展示場 1~11ホール・イベントホール
1日券-11500円
[出演]Aqua Timez/ASIAN KUNG-FU GENERATION/amazarashi/天月-あまつき-/あゆみくりかまき/androp/伊東歌詞太郎/Aimer/KANA-BOON/COUNTRY YARD/KEYTALK/KICK THE CAN CREW/欅坂46/Gotch& The Good New Times/SILENT SIREN/さユり/CIVILIAN/SHANK/私立恵比寿中学/SKY-HI&THE SUPER FLYERS/スガ シカオ/スキマスイッチ/SPECIAL OTHERS/sumika/焚吐/チームしゃちほこ/Czecho No Republic/CHAI/PUNPEE/藤原さくら/fripSide/フレンズ/miwa/LiSA/Rhythmic Toy World/Little Glee Monster/ROTTENGRAFFTY/WANIMA/NGT48 [DJ]DJ和/DJやついいちろう
※6歳未満は保護者同伴に限り無料。出演者・開場・開演時間は予定のため変更の可能性あり。出演者変更に伴う払戻し不可。
[問]ホットスタッフ・プロモーション■03-5720-9999

「SHE’S Tour 2018 “Wandering”」
12月2日(土)一般発売 Pコード:346-996
▼2018年2月14日(水) 19:00
U★STONE
▼2018年2月15日(木) 19:00
神戸VARIT.
オールスタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]Czecho No Republic
※小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき子供1名まで同時入場可)。
※販売期間中は1人1公演4枚まで。
[問]サウンドクリエーター■06-6357-4400

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ライター梶原由紀子さんからの
オススメコメントはコチラ!

「ポップでキラキラしたバンドという印象をCzecho No Republicに抱いているけれど、彼らはプラスチックの人形ではなく生身の人間だから、太陽のような面もあれば毒もあって棘も闇も持っている。ポップでキラキラした中に、息もできないような切なさがうごめいていることも曲を聴けばわかるけれど、それでも5人が音を鳴らし声を張り上げたらその瞬間に世界がキラリと輝くのだから、こんな素敵なことはない。新曲『タイムトラベリング』ではさらにタフになってもいる。『リリースツアーじゃないツアー』の大阪公演も、このツアーを経た来年以降のCzecho No Republicにもめいっぱい期待していいと確信できるだけの自信みたいなものを、インタビューでの武井君の言葉から受け取りました」