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ホーム > インタビュー&レポート > 過去を再生し、未来を照らす 『DUM SPIRO SPERO』をフィーチャーした秋のツアーも開催中! 煮えたぎり疾走する最狂最新シングル『詩踏み』制作秘話と DIR EN GREYの内部構造を語る京(vo)撮り下ろしインタビュー


過去を再生し、未来を照らす
『DUM SPIRO SPERO』をフィーチャーした秋のツアーも開催中!
煮えたぎり疾走する最狂最新シングル『詩踏み』制作秘話と
DIR EN GREYの内部構造を語る京(vo)撮り下ろしインタビュー

 移り変わりの激しい音楽シーンにおいて、カテゴライズ不能のサウンドと楽曲で“痛み”を表現し続け、今なお圧倒的な存在感を放ち続けているDIR EN GREY。来年迎える結成20周年を前に、今年6月からはツアーごとに過去のアルバム名をサブタイトルに冠した国内ライブツアー『TOUR 16-17 FROM DEPRESSION TO________』シリーズをスタートさせている彼らが、アルバム『ARCHE』(‘14)から約1年7ヵ月ぶりとなる音源作品であり、通算28枚目のシングル『詩踏み』(うたふみ)を7月に発表。孤独、怒り、そして根源に痛みを内包し、複雑な展開ながらも激しさとメロディの美しさが際立つ疾走感のある表題曲と、「『LUNATIC FEST.』(‘15)に出たときにSUGIZOさんが弾いてくれたのがすごくよくて、それをちゃんと音源として収めれたらなとお願いしました」という『空谷の跫音feat.SUGIZO』(M-2)ほかを収録。このシングルをはじめ、京都KBSホールを皮切りに遂に始まった『TOUR 16-17 FROM DEPRESSION TO________[mode of DUM SPIRO SPERO]』、「話し合わなくても、衣装の雰囲気とかも何となく合っている」というバンドの現状などについて、フロントマンである京(vo)がざっくばらんに語ってくれた。

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客観的に考えたとき、バラードだと僕たちのテンションが下がる
新曲はバンドのパワー感とか勢いがあるものがいいなと
 
 
――今回のシングルの表題曲は、展開もおもしろくアップテンポで勢いのある曲になっていますが、バンド内で方向性の話し合いみたいなことはされたのでしょうか?
 
「僕らはそういう話し合いはいつもしないんですよね。僕がずっと“アップテンポがいい”って言っていただけですかね。もっと早い段階でシングルの作曲期間があって、そのときも候補が何曲かあったんですけど、アップテンポじゃなかったんで“ヤダ”って。個人的にアルバムの次に出すシングルはバラードじゃないなというのが、ちょっとあったので。客観的に考えたとき、バラードだと僕たちのテンションが下がる。だから、新曲はバンドのパワー感とか勢いがあるものがいいなと。ただ、後からできた4~5曲もアップテンポは2曲くらいしかなくて。一番票が集まったのがこれ(=『詩踏み』(M-1))だったという」
 



――タイトルに『詩踏み』と名付けられた理由も教えてください。
 
「“踏み絵”的な意味というか、いいと思って聴いてくれている人、ライブに来てくれている人でも、次の日になったらすぐに捨てられるかもしれないし、踏まれるような存在だろう、みたいな。例え、いいと言っていても、結局そのときだけの感情だろうという意味で付けました」
 
――何だが少し自虐的な感じが…。
 
「楽しくやっているときに足もとをすくわれる気がしたり、常にマイナス思考な人間です。“今回のシングルよかったです”とか“一生ついていきます”とかいう言葉を今までに死ぬほど聞いていますけど、次のライブにはいなかったりするし。そんなものなんだなぁって常に思っているので、それもありますね」
 
 
何か通じるものだったり、刺激があるから一緒にいるのかな
 
 
――孤独や怒り、痛みを表現されたという歌詞についてはいかがですか?
 
「僕は仮歌にメロディをつけながら、曲の雰囲気とそのときの自分の感情をそのまま書いていくので、あんまり考え込まないというか、そのときのリアルな自分を詰めているだけというか。僕の中では日記みたいなもので」
 
――この曲を作っているときに、何か怒りを感じていた…?
 
「“味方なんかいないな”って常に思っているので。バンドのメンバーは付き合いが長いので他の人間よりは信用できるんですけど、あまり深く知ると嫌いになる可能性もあるので、あまり話さないです。個人的な話もしないし、2人で呑みに行ったりもしたことがない。逆に嫌われるかもしれんし、嫌うかもしれんし。そこは分からないんで。いろんなバンドのスタイルがあると思うんですけど、僕らはある一定の距離を保ちつつ、ここは踏みこまへんようにしようっていう感じですね」
 
――それでもきっちりバンドが機能して、ブレないでいるのはスペシャルな気がします。
 
「何なんでしょうね。何か通じるものだったり、刺激があるから一緒にいるのかなぁっていうのはありますけどね。“今回はこんな感じで”っていう話をしないのも、ある意味、信用しているからだと思います。作ってきた曲で、その人のモードもだいたい分かるので。ブレないのは僕が他に興味がないというか、日々めっちゃ楽しいなと思うことがなくて、常にマイナスなことを考えながら生きているので、それが歌詞とかに全面に出たりするからブレないのかもしれないですね」
 
 
音楽を仕事としては全くやっていない
ただ時間がないだけで、マジメに遊んでいる感じ
 
 
――あと、今作ではメタリカやU2などのアートワークを手掛ける、マット・マハーアンがカバージャケットのイラストを担当されたとのことで。
 
「採用したもの以外にも何パターンか出してもらったんですけど、途中経過がめっちゃおもしろかったんですよ。“ちびまる子ちゃん”みたいな絵が送られてきたときはビックリしましたね。早い段階で“メンバーの写真を使いたい”とか“歌詞を早くくれ”って言われて送ったら、女の人のヒョロっとした絵が届いたり。歌詞と全然関係ないやん!って。外国人すげーなって」
 
――そのイラストも見てみたかったです(笑)。今作で改めて伝えたい、感じてもらいたいところはありますか?
 
「バンドの“勢い”ですかね。バンド歴が長くなってくると、技術面が上がってカッチリして、だんだん荒々しさがなくなったりすると思うんですけど、僕らはそうじゃなくて、昔のような勢いは詰められたかな。それって結構難しいんですけどね」
 
――そんな中で、京さんはDIR EN GREY以外にsukekiyoとしても活動されていますが、その音楽活動に対するパワーはどこから来るのでしょう?
 
「悪い言い方をすると、音楽を仕事としては全くやっていないんで。中学くらいの頃からバンドがやりたいと思ってそれを始めて、今でもその延長上なので、ライブを仕事としてやったことがない。音源制作もそうで、仕事に入らないんですよ。だから、バンドを2つやっていても、仕事の感覚は全くなくて。ただ時間がないだけで、マジメに遊んでいる感じです。遊びだからパワーを使わないというか、逆にストレス発散に近い。僕らは自由にさせてもらっていますし、もし“インタビューでマイナスなことを言ったらダメ!”とか言われたら、もうここにはいないですね」
 
 
僕は『DUM SPRIO SPERO』(‘11)が一番好きなんですよ
 
 
――今年のツアーにはサブタイトルに過去のアルバム名がついていますが、これはどういう意図からでしょう?
 
「敢えて何周年とかは言わないですけど、ちょっとしたお祭り的なね。たまには何も考えず、みんなが楽しめたらいいなぁっていうところもありつつ。過去の曲で今までにやらなかった曲もいっぱいあるので、そういう曲を今の僕らがやったらどんな感じになるのかなって。自分らでも楽しみにしながら、という感じですね」
 
――ただ、アルバムのリリース順にやっていくわけではないんですね。
 
「出した順にやっていくと先を読まれて、最近出したアルバムのツアーの人気がなくなるじゃないですか。“これはつい最近観たしな…”って。ツアーの最後の方でだんだん人気がなくなったら、そのアルバムがかわいそうなので、そこはもうバラバラで。皆さん平等に来てください」
 
――では、ツアーに向けてのコメントもいただけますか?
 
「多分、このツアー(=『TOUR 16-17 FROM DEPRESSION TO________[mode of DUM SPIRO SPERO]』)が一番今と近くて人気がないと思うので、このインタビューを見て興味が湧いた人は来てもらえると。僕は『DUM SPRIO SPERO』(‘11)が一番好きなんですよ。だからぜひ来てほしいですね。あと、1年先の予定まで決まっているので、そこに向けて新曲もやっていけたらなぁって。『詩踏み』を作っているときにも他にも曲はあったので、それをツアーで披露できたら。過去のアルバムのツアーだけど、未来の、新しいDIR EN GREYが観られるのはおもしろいなって。そこは楽しみですね」
 
――最後に、DIR EN GREYのライブの魅力とは、今改めて何だと思いますか?
 
「媚びてないことだと思います。暗い人ならハマるかもしれない」
 
 
Text by 金子裕希
Photo by 河上良(bit Direction lab.)

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(2016年9月26日更新)


Check

Release

荒ぶる衝動を音に宿した表題曲に
カップリングではSUGIZOも参加!

Single
『詩踏み』
発売中 1200円(税別)
FIREWALL DIV.
SFCD-0199

<収録曲>
01. 詩踏み
02. 空谷の跫音 feat. SUGIZO
03. Revelation of mankind
(Remixed by Yusuke Suga)

Profile

ディル・アン・グレイ…写真左より薫(g)、Toshiya(b)、京(vo)、Shinya(ds)、Die(g)。'97年の結成以来、自分たちの信じる道(ロック)を追求しながら“人の痛みや闇”を表現。暴力的なまでにヘヴィなサウンドと叙情的な面を併せ持つ唯一無二の音楽性は、シーンに多大な影響を与えるだけでなく、海外でも高い評価を獲得し、'06年には全米デビューも果たした。各国フェスへの出演や海外単独公演の実施で着実に海外でもファンを増やし続け、カテゴライズ不能かつ不要なロックバンドとして広く認知されつつある。’14年12月に3年4ヵ月ぶりとなる9thアルバム『ARCHE』をリリース。今年2月にはこのアルバムのタイトルを掲げた日本武道館2DAYS公演を行い、大盛況のうちに幕を下ろした。6月には、全46曲をノーカット収録したライブ映像作品『ARCHE AT NIPPON BUDOKAN』を、7月27日には28thシングル『詩踏み』をリリースした。来年は結成20周年を迎える。

DIR EN GREY オフィシャルサイト
http://direngrey.co.jp/

Live

過去のアルバムを再構築するツアー
『DUM SPIRO SPERO』編が開催中

 
『TOUR 16-17 FROM
 DEPRESSION TO________
[mode of DUM SPIRO SPERO]』

【京都公演】
チケット発売中 Pコード298-826
▼9月16日(金)19:00/17日(土)18:00
KBSホール
オールスタンディング6480円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。ご来場前に公式サイト内注意事項をご確認ください。

【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月20日(火)・21日(水)中野サンプラザ
【長野公演】
▼9月23日(金)ホクト文化ホール 中ホール

【愛知公演】
▼9月28日(水)・29日(木)Zepp Nagoya

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード299-598
▼10月2日(日)18:00/3日(月)19:00
なんばHatch
1Fオールスタンディング6480円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。ご来場前に公式サイト内注意事項をご確認ください。

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チケット情報はこちら

 
 
『TOUR 16-17 FROM
 DEPRESSION TO________
[mode of 鬼葬]』

【埼玉公演】
▼11月10日(木)大宮ソニックシティ 大ホール
【北海道公演】
▼11月13日(日)Zepp Sapporo
【香川公演】
▼11月17日(木)
サンポートホール高松 大ホール
【福岡公演】
▼11月20日(日)福岡国際会議場 メインホール
【愛知公演】
▼11月22日(火)名古屋市公会堂 大ホール

Pick Up!!

【大阪公演】

一般発売10月9日(日)
Pコード307-595
▼11月23日(水・祝)18:00
滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
全席指定6480円
▼11月26日(土)・27日(日)18:00
なんばHatch
1Fオールスタンディング6480円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。ご来場前に公式サイト内注意事項をご確認ください。

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Column

これぞ世界照準のヘヴィネス!
約2年9ヵ月ぶりに世に放った
『DUM SPIRO SPERO』の世界を
バンドの鍵を握る薫(g)が語る

Comment!!

ライター金子裕希さんからの
オススメコメントはこちら!

「DIR EN GREYの作り出す狂気や怒り、負の感情を孕んだヒリヒリとした音楽は幅広い人に受け入れられるものとは言えませんが、一度その音楽に触れてみてください。多彩な声、重厚なサウンドを繰り返し耳にするうち、独特かつその高い音楽性の虜になるはず。年齢、人種、性別問わず、多くの人たちが熱狂するライブも迫力があり、こちらもぜひ足を運んで欲しいところ。とくに京さんの何かに憑依されたかのような歌声、パフォーマンスは必見です。余談ですが、今回、京さんに初めてインタビュー取材をしたことで、個人的に持っていたイメージが一変。ライブやMVなどから勝手に“怖そうな人”というイメージを持っていたのですが、実際は柔和な笑顔が素敵なおもしろい方でした」