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「いい曲を書くのは当たり前だと思う
 その上で世間を巻き込むのが神聖かまってちゃんだから」
反撃の新作携えいよいよ初主催フェス『Net Generation.』開催!
『夏.インストール』インタビュー&動画コメント

 ‘10年、『ロックンロールは鳴り止まないっ』という楽曲が世に鳴り響いたとき、明らかに時代を変えるバンドが出てきたと確信した。ネット配信をフルに駆使しメインストリームに挑むバンドは、まだまだいなかった時代。神聖かまってちゃんは、俗に言う“バズらせる”という話題性作りの元祖であるようにも思う。そしてネットだけでなく、ライブをしたらしたで何かしら爪痕を残す。すごいバンドが出てきたと本気で思った。ただ、ハプニング先行×話題性ありきという見方をする人も多いが、このバンドは何より楽曲がいい。最新作『夏.インストール』は、その楽曲のよさがよりストレートに伝わるミニアルバムとなっている。ネガティブな気持ちからの怒りや哀しみだけではなく、多くの人に寄り添い応援するような楽曲も入っているのが注目すべき点だ。明らかに変化し続けている彼らに、ぜひ再度注目してほしい。



どこにもないすごいアルバムを作ろうと常に考えていますから
 
 
――1stミニアルバム『友だちを殺してまで。』(‘10)は本当に衝撃的な作品でしたが、この6年間を皆さんはどう感じられていますか?
 
の子(vo&g)「濃い6年。早かったと言えば早かったですし、当時25歳で今が31。ちゃんと踏みしめてきたなと思います。俺は1年1年、人生は1回しかないと掲げて生きているので。まぁ、山あり谷ありですけどね」
 
ちばぎん(b)「ひと言では言えないですけど…めちゃくちゃ早かったです。ただ、ムダにした年は1年たりともなかった。前のアルバムから約2年経ってますけど、“ちょっとひと休み”みたいな時期はなかったですね」
 
の子「個人的には、まだ振り返りの時期だとは全然思ってないし、人間は30代から40代が全盛期なんで。6年なんて、人で言ったらちょっと喋れるようになった子供くらいですしね。まだまだこれから先がありますから。今回も今までで一番いい作品を作りましたが、これからもっといいものを作りますよ。そういう向き合い方は、いつも一緒です。どこにもないすごいアルバムを作ろうと常に考えていますから」
 
――今回は集大成というと語弊はあるかも知れませんが、かなりの傑作だと思います。
 
の子「曲もタイトルもマテリアルとしては150点です。バンドもいい状態ですよ。まぁ、僕も大人になりましたからね(笑)。monoくん(key)と、ライブ中のケンカもなくなりましたし。俺はしたいんですけどね! でも、彼は一番丸くなりましたから」
 
ちばぎん「monoくんは単純に丸くなりましたね。角が取れた。あとは、の子の成長がデカいかな。やり始めた頃は、こっちも(の子の音楽を)再現するだけで、“それ以上、手を出すな”というか…」
 
の子「レコーディングもヘタくそだったし、『8月32日』(‘11)くらいから、ようやく分かってきた。それまではネットに上げて伝えていたけど、ちゃんとしたレコーディングでは伝え切れなかった」
 
――さっき、ちばぎんくんが“それ以上、手を出すな”という雰囲気があったと言いかけていましたが。
 
の子「ヒットラーみたいな独裁主義は今もあるけど、昔と比べたら減りました」
 
ちばぎん「今はメンバーとエンジニアが、チームで作ろうとしていますから」
 
の子「ライブPA含めて、チーム力は出てきましたね。そこはこの6年でガラッと変わった」
 
 
自分が変化できなかったことを人のせいにすんなよ!
 
 
――あと、このアルバムを聴いて思ったのは、かまってちゃんはネットを駆使したり、ライブ中にケンカしたり、そういう変わり種な部分で見られていることも多かったと思うんですけど、ずっと楽曲は素晴らしくて。そういう意味では今作は、そのよさが分かりやすく伝わる気がするんです。
 
の子「俺は別に、monoくんとのケンカもパフォーマンスと見られてもいいからしたい。それに、いい曲を書くのは当たり前だと思う。その上で、世間を巻き込むのが神聖かまってちゃんだから。いい曲の先に、世間をドカーンと巻き込むような突き抜け方がないとダメ。そういう意味では“ハプニング性”は失われたれたのかなと。そういう悩み、葛藤はありますよ。今回だっていい曲を作ったけど、そこからどう巻き込むかだと思うので。いい作品を作るだけじゃダメだと思います」
 
ちばぎん「’10年にガーッと世の中に出て行ったとき、話題性からの巻き込みは確かにありました。だから、もう1回巻き込みたい気持ちはあるんです。ケンカにしても、それが噂になってお客さんが1回ライブを観てみようと思ってくれたと思うんです。その当時はよく分からなかったですけど」
 
の子「あれは、かまってちゃんにしか出来ないことだからね」
 
ちばぎん「今回は、そういうことだけじゃなくて、楽曲のよさだけでCMのタイアップが決まったりして、感触は掴めているので」
 
の子「いやいや、俺の曲のよさが伝わらないならバカだ! ケンカだけ見ているのならバカだ! 俺はオアシスが大好きなんですけど、あの人らだってケンカとかハプニングもあるけど、曲がいいじゃねえか!」
 
――おっしゃる通りだと思います(笑)。でもね、このアルバムを聴いたら、ハプニング性だけで気になっていた人も、違う感想を持つと思います。
 
の子「これは革命的なアルバム! ネットで宣伝していても、“また聴こう!”という声があるから。時代を巻き込まないと! 数多といるバンドの中でも、裏では毒を吐くくせに、表では嘘くせー綺麗事を言うバンドが多い。バンドという枠組の中で、光の部分しか見せていない。発言1つ見ても石橋を叩いて渡るヤツばっか。みんないろいろ考えているんでしょうけど、そんなんじゃ本末転倒だろ!」
 
――これまた、おっしゃる通りなんですよ(笑)。負のパワーを怒りや哀しみを表現して爆発に変える若手のバンドって、今はあまりいないんですよ。バズらせて話題を作って、それで終わるパターンが多い。そういう意味では、みんなかまってちゃん以降だし、そういうタイプで、かまってちゃんを揺るがすバンドは出てきていないですから。
 
の子「この“インターネットバンド”という席は、全然取られていない。レールに沿って正直なやり方ばかりして、みんな優しいんですよ。破天荒なバンドがいなくなった。本気でそういうことをしたら、排除されるのも分かっていますから。ただ、気をつけてやっていると、そういうところが作品にも出ちゃう。くだらねぇ!」
 
――破天荒だったり、ネガティブなパワーでやってきたかまってちゃんですけど、1曲目の『きっと良くなるさ』は、タイトルからしてもそうですが、今までになかった寄り添って応援する楽曲だと思うんです。
 



の子「だからこそ、リード曲! これはいい曲ですよ」
 
ちばぎんん「本質的には変わっていないと思うんですけど、“昔の方がよかった”って、言われやすいですからね」
 
の子「“昔の方がよかった”は、いつの時代にもあるんだよ。社会の中で自分の人生を生きていたら、いろいろ変化は起きますよ。人間性の上がり下がりで大人になっていくわけだし、“俗物っぽくなって変わった!”と言われるけど、自分が変化できなかったことを人のせいにすんなよ!」
 
ちばぎん「(笑)。今回は振れ幅が広いですよ」
 
の子「そう、僕の8曲は振れ幅が広いですよ! でも、バランスは素晴らしい。この8曲以外にもいろいろ曲はあったんですけど、そこからバランスよくクリティカルなアルバムを作るという意味では、計算通りいきましたね。毎回計算はしているんですけど、たまにトチ狂うので(笑)。前回アルバムの方が、深層心理まで出ていたような気がします。ただ、今回はミニアルバムという形なので、まとまりはいいかなと。内容的には本当にアルバム分詰まっています。光と闇が一体化して、いい感じにポップに仕上がっています!!」
 
 
僕らは、もっとポップにネットジェネレーションしますから!
 
 
――かまってちゃん世代のバンドもキャリアを積んできて、解散したり休止したりも多いですよね。中にはSEKAI NO OWARIみたいに、しっかり天下を獲ったバンドもいますし。
 
の子「セカオワはライバルなんで! “今に見てろこのヤロー!”と思いつつも、目標に出来るライバルがいるのはよかったと思いますね。かまってちゃんにも(天下を獲る)時代が来ると思います。ネット配信にしても、どんどん方法が変わってきているし、ネットの遊び方も変わってきていますから。そういうアンテナは張っているから、新しい方法は見付けていますよ。初めての試みもやっていきますから、楽しみにしていてほしい。僕らは、もっとポップにネットジェネレーションしますから! もっと誰にでも食べてもらえるようなやり方をしていきます」
 
――かまってちゃんは濃いことをやっているのに、ちゃんとメインストリームに届けようとするじゃないですか。NHKの音楽番組に出ても、ちゃんと結果は残しますし。
 
の子「知れ渡らないと、アングラに落ちますから。要はバランスなんです。伝わらなきゃ全くダメなんで。アングラ大嫌いですし!」
 
――8月6日(土)大阪城音楽堂でのイベント『Net Generation.』も楽しみです!
 
の子「強者たちが集いますよ!」
 
 
Text by 鈴木敦史
 




(2016年8月 3日更新)


Check

Movie Comment

錯綜しつつ大阪でハモる(笑)
の子&ちばぎんからの動画コメント!

Release

Right-on CMタイアップ曲も収録!
光と闇が一体化した充実のポップ盤

Mini Album
『夏.インストール』
発売中 2000円(税別)
ワーナーミュージックジャパン/unBORDE
WPCL-12382

<収録曲>
01. きっと良くなるさ
02. 僕ブレード
03. そよぐ風の中で
04. リッケンバンカー
05. たんぽぽ
06. drugs,ねー子
07. ロマンス
08. 天文学的なその数から

Profile

しんせいかまってちゃん…写真手前より、ちばぎん(b)、みさこ(ds)、の子(vo&g)、mono(key)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。’10年3月に初のCD作品となるミニアルバム『友だちを殺してまで。』を発表。同年12月にメジャーデビュー。’15年には初のベストアルバム『ベストかまってちゃん』を発表した。今年7月6日にはオリジナル作としては約1年10ヵ月ぶりとなるミニアルバム『夏.インストール』を発表。

神聖かまってちゃん オフィシャルサイト
http://www.kamattechan.com/

Live

初の主催野外フェスが大阪で開催!
以降も各地のイベントに出演へ

Pick Up!!

【大阪公演】

神聖かまってちゃんpresents
『Net Generation.』
チケット発売中 Pコード295-165
▼8月6日(土)14:00
大阪城音楽堂
自由席4500円
[共演]ZAZEN BOYS/忘れらんねえよ/tofubeats/ヤバイTシャツ屋さん
GREENS■06(6882)1224
※雨天決行・荒天中止。未就学児童は入場不可。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。

チケットの購入はコチラ!
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【神奈川公演】
『BAYCAMP 2016』
チケット発売中 Pコード294-803
▼9月3日(土)14:00
川崎市東扇島東公園特設会場
入場券8900円
テントサイト利用券1500円(1名分)
[出演]浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS/雨のパレード/Wienners/Awesomwe City Club/大森靖子/Charisma.com/キュウソネコカミ/銀杏BOYZ/Creepy Nuts/group_inou/go!go!vanillas/SHISHAMO/シャムキャッツ/神聖かまってちゃん/水曜日のカンパネラ/スチャダラパー/ストレイテナー/SPARK!!SOUND!!SHOW!!/Czecho No Republic/tofubeats/Dragon Ash/NakamuraEmi/NOT WONK/THE BACK HORN/THE BEACHES/BIGMAMA/the pillows/THA BLUE HERB/フレンズ/Homecomings/My Hair is Bad/ヤバイTシャツ屋さん/Yogee New Waves/夜の本気ダンス/LEARNERS/lovefilm/リーガルリリー/LEGENDオブ伝説a.k.a.サイプレス上野/忘れらんねえよ/他
[DJ]FREE THROW/DJダイノジ/藤田琢己 a.k.a. DJ SHOCK-PANG/他
チッタワークス■044(276)8841
※ドリンク代別途必要。18歳未満は入場不可。要顔写真付身分証明書。雨天決行、荒天中止。詳細は問合せ先まで。自転車・徒歩での来場不可。駐車券・テントサイト利用券は入場券別途必要。必ずhttp://baycamp.netの注意事項をご確認の上ご来場ください。

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【東京公演】
『WWW X Opening Series
 神聖かまってちゃん LIVE @WWW X』
一般発売8月7日(日)
Pコード305-493
▼9月7日(水)19:30
WWW X
スタンディング3900円
[オープニングアクト]有
エイティーフィールド■03(5712)5227

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【青森公演】
『AOMORI ROCK FESTIVAL'16
~夏の魔物~ 10周年記念大会』
チケット発売中 Pコード296-753
▼10月1日(土)7:00
青森・夜越山スキー場
前売8000円
4人セット券7500円(1名分)
[出演]夏の魔物(NATSU NO MAMONO)/ヒャダイン/曽我部恵一/大槻ケンヂ/人間椅子/BELLRING少女ハート/清 竜人25/藤井隆/POLYSICS/神聖かまってちゃん/忘れらんねえよ/向井秀徳アコースティック&エレクトリック/ROLLY/SCOOBIE DO/THE NEATBEATS/HINTO/バンドTOMOVSKY/ザ・チャレンジ/Wienners/DOTAMA/Creepy Nuts/MOSAIC.WAV/SuG/アーバンギャルド/ベッド・イン/クリトリック・リス/早見優/こぶしファクトリー/バンドじゃないもん!/ゆるめるモ!/生ハムと焼うどん/ライムベリー/椎名ぴかりん/デスラビッツ/二丁ハロ/吉田豪/杉作J太郎/掟ポルシェ/久保ミツロウ・能町みね子/伊藤賢治/やついいちろう/DDT/クロユリ from 夏の魔物/他
オフィシャルHP:http://natsunomamono.com/
※ドリンク代別途必要。小学生以上はチケット必要。雨天決行。開場・開演時間は予定のため変更の可能性あり。公演内容に関する詳細はhttp://natsunomamono.com/まで。4人セット券は4枚単位での販売。

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Comment!!

ライター鈴木淳史さんからの
オススメコメントはこちら!

「名前やビジュアル、スリリングなネット配信、ライブでのハプニング…どこをどう切り取ってもヤバさしかなかったデビュー当時の彼ら。ただ、キワモノ扱いをする人もいたように思う。確かに個性は強いが、彼らはパフォーマンス的に嘘をついて表現したことは一度もない。今、ライブやネットで、いわゆる“バズらせる”という話題性重視の見せ方をする若手ミュージシャンが多いが、明らかに彼らは元祖的存在だ。ほとんどの若手は、ただ単にバズらせるだけで根っこに何もないタイプが多い。はっきり言うと見せかけだけで、曲がよくない。かまってちゃんは何よりも楽曲がよく、なのに、そこで満足せず、世間を巻き込まないと意味がないと言い切る。そういう意味では、本物のバズらせ系である。“かまってちゃんって、もう終わったバンドでしょ”とバカみたいな勘違いをしている人がいるなら、是非とも、このミニアルバムを耳の穴をかっぽじって聴いてほしい」