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「21年前に“これは新しい”と思って始めた音楽を
 今も相変わらずやれている」
変化と伝統を巻き込み今なお前進するKEMURIが世に放つ
『サラバ アタエラレン』インタビュー&動画コメント

 日本におけるスカパンクの先駆者として’95年の結成からキャリアを重ね、再結成から3年目を迎えた昨年には米国からシーンの立役者と言える実力派バンドを招聘しての『SKA BRAVO』ツアーの開催などで、改めて唯一無二の存在感を示してきたKEMURI。結成20周年の節目を越え、シングルとしては実に13年ぶりのリリースとなった『サラバ アタエラレン』は、力強いメッセージを日本語詞で放つ表題曲を筆頭に、まだまださらなる高みへと向かうバンドの意思と勢いが込められた会心の全4曲となっている。7月の米国ツアーに続いて、10月には初となる英国ツアーも控え、止まることを知らない躍進を続けるバンドの現状、昨年に続いていよいよ開催される『SKA BRAVO』について、フロントマンの伊藤ふみお(vo)に語ってもらった。

 
 
KEMURIを始めてからずっとやりたいと思っていたことが
再結成してから徐々に徐々にカタチになり始めている
 
 
――昨年は結成20周年を迎えて、リリース面でもライブ面でも1つのピークと言える大きな動きが続きましたけれど、バンドとしてはひと段落する間もなく、次のフィールドに向けて着々と歩みを進めているような印象ですね。
 
「昨年は20周年のことをいろいろやりながらも“来年はどうなるかな?”と思っていましたけど、案外変わらないペースできていますね。ここにきて初めてUKにツアーで行けることになったり、やりたいと思っていたことがポツポツと1つずつ実現していて。当時は米国だけでなくフランスでもライブをやっていましたけど、なかなかその先のヨーロッパ全土というところまでは行けなかったんですよね。今年も米国には行くんだけど、前回よりも少し規模の大きいツアーになっているし、解散していた時期もありましたけど、KEMURIを始めてからずっとやりたいと思っていたことが、再結成してから徐々に徐々にカタチになり始めている感覚があるので。すごく充実した活動ができています」
 
――そこには、リール・ビッグ・フィッシュ、レス・ザン・ジェイク、スカンキン・ピックルという米国のスカパンクを代表する実力派3組を招いた去年の20周年ツアー『SKA BRAVO』を成功させられたことも影響している?
 
「うん、影響していると思いますね。いろんな場所で淡々とツアーを重ねてきた彼らを観てすごく刺激を受けたし、それ以外でも今はすごくフェスティバルが多いでしょ? そういう場所で、ちょうど自分たちが一度解散した後くらいにババッと名前が出てきたバンドを観て、楽曲のよさやバンドの在り方みたいなものにも刺激を受けてきたし。前向きな意味でいろんなものに刺激を受けていると思いますね」
 
――数年前と比べると、音楽を取り巻くシーンの状況も大きく変わっていますもんね。
 
「例えばUKとか、ここにきて初めて行く場所であったり、初めてやることが多くあるのはすごく幸せなことですね。あとは、21年前に“これは新しい”と思って始めた音楽を、今も相変わらずやれているところも(笑)。それをすごく自然な形でやれているところがいいんじゃないかなと」
 
 
確実に変わり続けていて、進歩し続けているんだけど
KEMURIとしての伝統はいい感じで守り続けられている
 
 
――そんな改めてのワールドワイドな快進撃も射程圏に入れつつ、6月にはシングルという形式では13年ぶりのリリースとなる4曲入りの『サラバ アタエラレン』がリリースされました。
 
「自分でも“そうか、13年も経ったのか”と思ったんだけど、シングルと言うと誰か著名なゲストを迎えてとか、何かの主題歌とかでないと、なかなか出せないイメージが強くて。でも、自分の中で仮想のストーリーを組み立てて、この『サラバ アタエラレン』を作っていった感じですね」
 



――リード曲は、日本語詞によって聴き手を鼓舞せずにはいられない力強い内容で、新約聖書の“求めよ、さらば与えられん”という有名な言い回しをよりポジティブに飛躍させたようなインパクトのある仕上がりです。昨年の『SKA BRAVO』の東京公演におけるKEMURIのパフォーマンスを全14曲で収録したDVDも、初期の代表曲を現在のメンバーで演奏した好内容で、こちらからも本質は変わらないけど進化を続けているバンドの現在形が伝わってきました。
 
「やっぱり、新しい曲を作るということは今の自分たちをその中に詰め込むという作業になるので、当然21年前とはいろんな意味で違うわけですよね。KEMURIのような音楽の中で聴くと、なかなかそれは伝わりにくいのかもしれないけど、作る側としてはどんどんと進化している感じが着実にあるんですよ。でも、それが21年前に作った曲と比べて全然違うのかと言うと、ライブで一番古い曲と一番新しい曲を続けてやってみても全く違和感がなくて。説明はすごく難しいんだけど、確実に変わり続けていて、進歩し続けているんだけど、何か全く違うベクトルに変わっているのではなくて、KEMURIとしての伝統はいい感じで守り続けられているのかなと感じますね。作曲するメンバーもそうだと思うけど、作詞をする人間として僕は、今の気持ちをよりストレートに歌うように今回もしましたし、『サラバ アタエラレン』は今感じていることを自分または自分たちへの応援歌として、それをもっといろんな人にも分かってもらえるんじゃないかというところで生まれた曲ですね。“(求めよ、)さらば与えられん”は子供の頃からよく知っている言葉でしたけど、この時期にKEMURIの歌詞として出てきたのは、何かそれなりの意味があったんだろうし、これからも出てくるんじゃないかなと思っています」
 
――そして今年は、7月に共に米国ツアーを回ったニュージャージー出身の実力派スカパンクバンドであるストリートライト・マニフェストを招いて、8月24日(水)大阪BIGCATより『SKA BRAVO』ツアーが開幕します。
 
「もちろん今回のシングル曲もやりたいと思っていますし、今のKEMURIを観てもらえるようなセットで臨みたいと思います。ストリートライト・マニフェストはあまりメディアにも出ないし、あえてスカバンドとは一切ツアーをやらない独自の活動をしてきた存在なんですけど、90年代からスカパンクシーンで活躍してきたキャッチ22の中心メンバーが新たに結成したバンドなので、経歴はかなり長い人たちですね。海外のいいと思うバンドを日本に呼んだり、逆に呼ばれたりしながらこうしてツアーを続けられているのは、とてもKEMURIらしいやり方が出来ているんじゃないかと、メンバーたちとも話しています」
 
 
Text by 吉本秀純



ライター吉本秀純さんからのオススメ!

「すでに輝かしいキャリアを誇るバンドの再結成というのは、良くも悪くも期間限定の“お祭り”で終わってしまうのが常なのですが、KEMURIの場合は完全にその図式にハマらないというか、別モノです。昨年からはバンドのメンバーも現在の7人に定着し、生まれてくる新曲もリリースを重ねるごとにより強靭かつ懐の深いものに。現在のメンバーで奏でられる初期の代表曲も新曲もKEMURIらしさを守りつつもフレッシュさを獲得していて、バンドの歴史を更新していく勢いに満ちています」

(2016年8月22日更新)


Check

Movie Comment

シングルと大阪ライブに向け語る!
伊藤ふみお(vo)からの動画コメント

Release

松本大洋のジャケットも映える!
生命力みなぎる13年ぶりのシングル

Single
『サラバ アタエラレン』
【CD+DVD】発売中 2500円(税別)
CTCD-20042/B
【CD】発売中 1200円(税別)
CTCD-20043
ONECIRCLE

<収録曲>
01. サラバ アタエラレン
02. Crappy Go Happy
03. Dancing in MOON LIGHT
04. PAIN(Electric Version)

<DVD収録内容>
01. New Generation
02. Knockin' on The Door
03. Prayer
04. Kanasimiyo
05. Live Up To Ya Rights!
06. Yellow Survivors
07. What Else
08. Tiny Square Room
09. Workin' Dayz
10. Ohichyo
11. PMA (Positive Mental Attitude)
12. Along the longest way...
13. Ato-Ichinen
14. 白いばら

Profile

ケムリ…写真左より、津田紀昭(b)、河村光博(tp)、須賀裕之(tb)、伊藤ふみお(vo)、平谷圧至(ds)、コバヤシケン(sax)、田中“T”幸彦(g)。’95年結成。“P.M.A.(=ポジティブ・メンタル・アティテュード”を一貫してバンド哲学としながら、日本を代表するスカパンクの先駆者にして王者として国内外で高い人気と評価を獲得。ツアー中の事故などで数多くの試練に直面しながらもそれを乗り越えて不屈の活動を続け、’07年には解散したが、’12年にHi-STANDARDの呼びかけに応じて宮城県で開催された『AIR JAM 2012』において約5年ぶりに復活した。結成20周年を迎えた昨年には17年ぶりとなる米国ツアーを実施すると共に、ベストアルバムと新作アルバムのリリース、米国のバンドを招いての『SKA BRAVO』を開催と精力的な活動を展開。今年6月22日にはシングルとしては13年ぶりとなる『サラバ アタエラレン』をリリースした。

KEMURI オフィシャルサイト
https://kemuri.com/

Live

東名阪主催ライブに続き、US&UKを
含むツアーに大阪でイベント出演も!

 
『KEMURI presents
 “SKA BRAVO 2016”』

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード300-045
▼8月24日(水)19:00
BIGCAT
スタンディング5400円
[ゲスト]STREETLIGHT MANIFESTO
SMASH WEST■06(6535)5569
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。

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【愛知公演】
▼8月25日(木)名古屋クラブクアトロ
【東京公演】
▼8月26日(金)TSUTAYA O-EAST


『KEMURI WORLD TOUR 2016』

【福岡公演】
▼9月10日(土)DRUM LOGOS

Pick Up!!

【大阪公演】

『OSAKA HAZIKETEMAZARE
 FESTIVAL 2016』
チケット発売中 Pコード295-901
▼9月11日(日)11:30
泉大津フェニックス
自由6999円
[出演]HEY-SMITH/Crossfaith/GOOD4NOTHING/KEMURI/MONGOL800/OVER ARM THROW/STOMPIN'BIRD/東京スカパラダイスオーケストラ/9mm Parabellum Bullet/10-FEET/Dizzy Sunfist(HAZIMAZA BOX)/ENTH(HAZIMAZA BOX)/team GOOD SKATES(Performance)
GREENS■06(6882)1224
※雨天決行、荒天中止。小学生以上は有料。未就学児童は保護者同伴に限り無料。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。2日通し券はPコード:782-130にて販売。【オフィシャルHP】http://haziketemazare.com/2016

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【北海道公演】
▼9月17日(土)ペニーレーン24
【新潟公演】
▼9月24日(土)GOLDEN PIGS RED STAGE
【石川公演】
▼9月25日(日)金沢AZ

【ブリストル公演】
▼10月3日(月)O2アカデミー
[共演]LESS THAN JAKE
【シェフィールド公演】
▼10月4日(火)O2アカデミー
[共演]LESS THAN JAKE
【バーミンガム公演】
▼10月5日(水)O2アカデミー
[共演]LESS THAN JAKE
【ロンドン公演】
▼10月6日(木)O2アカデミー・ブリクストン
[共演]LESS THAN JAKE

【アトランタ公演】
▼11月11日(金)The Masquerade
[共演]STREETLIGHT MANIFESTO
【オーランド公演】
▼11月12日(土)House Of Blues
[共演]STREETLIGHT MANIFESTO
【サンクトペテルブルク公演】
▼11月13日(日)Jannus Live
[共演]STREETLIGHT MANIFESTO

【宮城公演】
▼12月2日(金)仙台Rensa

Column1

「いろんなことに落とし前をつけて
 より前に進むべき時期が来た」
20周年ベスト『SKA BRAVO』
と復活後の最高傑作『F』
を語る前回インタビュー

Column2

今のメンバーと1曲でも多く
1分でも長く音楽を続けたい
結成20周年イヤーKEMURIが
充実作『RAMPANT』を語る
インタビュー&動画コメント