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「完璧じゃないからこそ美しい音楽」
ミュージック・ボヘミアン平井 大の
生き様も今も刻んだ普遍の音楽
『Life is Beautiful』インタビュー&動画コメント

 ギターとサーフィンが趣味の父の影響で幼少の頃より海に親しみ、3 歳のときに祖母から貰ったウクレレがきっかけで音楽に興味を持つ。そんなスターティング・ポイントから、深くて広い音楽の海をサーフしてたどり着いた最新作『Life is Beautiful』は、よりナチュラルに、よりオーガニックに深化した平井 大の今を、存分に堪能できる規格外の1枚だ。気心知れたバンドメンバーと膝を付き合わせ作られた今作は、「ギターと声、ウクレレと声だけで成り立つような曲」という骨格を大前提に余分な情報量を削ぎ落とし、テイラー・スウィフト、アデル、サム・スミス等を手掛ける世界的エンジニア、トム・コインのマスタリングにより丁寧に磨き上げられた、シンプル&アコースティックなサウンドが最高に心地よい。『Life is Beautiful』(ハウス食品ジャワカレー)、『A Good Day』(JACCSカード)といったCMタイアップ群、敬愛するジェイソン・ムラーズのカバー曲『I'm Yours』、リリース早々iTunes Storeアルバムランキングで1位を獲得と話題に事欠かない彼だが、このアルバムのスケールはそんな枠組には収まらない。平井 大というアーティストとしてのエッジも、1人の男としての生き様も、洋邦のボーダーラインを行き来する素晴らしき才能で束ねた、『Life is Beautiful』なインタビュー。

 
 
今じゃなきゃ出せなかった音だと思うし、1年後でも違う
今だからこそ、経験してきたものが形になった
 
 
――約1年ぶりのアルバムということですけど、率直に僕は最高傑作じゃないかなと。
 
「ありがとうございます! 今までは割としっかりしたデモをバンドメンバーに渡していたんですけど、今回はもう本当にアコギと声だけで、メロディも鼻歌みたいな感じで録って。それをバンドのみんなとシェアして、“どういう風にしていこう?”という感じで作ったんです。作品としてはシンプルなものにしたかったから、ギターと声、ウクレレと声だけで成り立つような曲というのは、まず大前提にありました。そういった意味では、いろいろと新しい挑戦もしていて、基本的に僕が使うのは弦楽器なんで、そのよさを最大限に活かそうと、“普通ここはシンセで入れるよね”という部分を敢えてギターで弾いてみたり」
 
――今回はなぜそうシンプルにしようと思ったんですか?
 
「作っているとどうしても、“あれも入れたい、これも入れたい”と欲が出てきちゃうんですけど、やっぱりメッセージが伝わりにくくなるんですよね。余分な音が多ければ多いほど、情報量も増えちゃうんで。あと、単純に僕のルーツにはアコースティックがあるから、それもデカいかな。“もうやり尽くしちゃった”のもあったんですけどね(笑)。僕の肌感覚ですけど、ちょっと前まで4つ打ちとかが流行っていた反動で、時代の流れ的にもシンプルなものが求められているんだろうなっていうのはあったんで、そこには注意しつつ作っていったかな」
 
――聴いた印象がよりナチュラルに、よりオーガニックになったというか。前作『Slow & Easy』(‘15)も粒揃いのアルバムでしたけど、エレクトロな音がバックで流れていたり、音数的な部分でもきっちりトラックが作り込まれていた印象で。今回は本当にごっそりそれを抜いて、それこそ人力でできることをやっている。
 
「フフフフ(笑)。何か最近は、“完璧じゃないからこそ美しい”みたいなことをすごく感じていて。洋服にしたって新しいものより古着のヴィンテージの方が愛着が沸いたりするし、そういうものが見直されてる時代背景もあると思うから、曲もそういう風になればいいなと。それこそ、懐かしいようで新しいサウンド、完璧じゃないからこそ美しい音楽になればいいなと思って作りましたね」
 
――僕も古着をよく買うんですけど、袖を通したときに“やっぱりいいものは50年経っても着られるんだな”と思う。時代を超えたスタンダード感があるから、50年後の今着ても様になるというか。
 
「そうですよね。昔のジーンズとか、やっぱりいいいものはすごくいい。そういう“価値”というか“あたたかみ”を、曲で表現したいのはありましたね」
 
――ただ、そうなるとより曲が問われるし、歌が問われるし、楽器一つ一つの積み重ねてきた経験値も問われる。そのトライはどうでした?
 
「ずっと同じエンジニア、バンドメンバーで一緒にやってきているんで、手癖だったり今まで培ってきたものを、上手に反映はできたかなと。今じゃなきゃ出せなかった音だと思うし、1年後でも違う。今だからこそ、みんなで経験してきたものが形になったという」
 
――初回特典のライブDVDも観させてもらいましたが、やっぱり“絆”みたいなものを感じるメンバーで。ソロアーティストと呼ばれてきたバックバンドではない関係性が見える。
 
「単純にそれだけかなぁと思いますけどね、音楽って。結局、一緒のステージに立って、同じ音楽を作る中で、家族同然の仲になる。そこで生まれるグルーヴだったり、積み重ねてきた歴史が音になる。もう長いヤツだと10年弱一緒にやっているんで、そういうところは大事にしていきたいなと思いますね。今回はバンドの意見も前作より多く含まれているので、よりミュージシャンライクな楽曲にはなっているかな」
 
 
まぁここは男の頑張りどころかな、という(笑)
 
 
――サウンドの肌触りはもちろんですけど、内容的にも新しい一面が出た『tonight』(M-6)なんかはすごくいいなと。恋が終わって、失ってからどう思ったのか、もしくは今まさに胸が高鳴る、みたいなシチュエーションは今までにもありましたけど、関係は途切れていないけど、どこかで終わりを感じているこの切なさはなかった気がして。
 
「そういうときにこそ、一番愛おしさを感じたりするじゃないですか? 普段一緒にいるときはあんまり感じないけど、ちょっと心が離れたときに、“やっぱりこいつしかいないな”って思ったり。もしかしたら男ならではの考え方なのかもしれないですけど、そういうものの方が、男性の方もそうだし、女性も共感してくれるのかなって」
 
――“もうダメだ!”までいかない苦しみが、より切なさを増しますよね。
 
「うんうん。そうなんですよね。まぁここは男の頑張りどころかな、という(笑)」
 
――そういうシーンも、弾き語りでデモを作ったからこそ出てきた生々しいものなのか。
 
「そうですねぇ…『tonight』に関しては、本当に芯を捉えてほしい曲だったんで、最初はギターと歌だけのシンプルな弾き語りでもいいなと思って作り始めて。人間が恋をする限り誰しもが持っている気持ちだと思うし、絶対に捨てられない、切っても切り離せない苦しみだとも思う。思い返してみると、“あのときが一番楽しかったな”とかもあるし(笑)。そういう普遍的なものを曲にしたくて。『tonight』に限らず全曲そういう気持ちなんですけど、『tonight』は特にそうかな」
 
――普遍的=平井 大が歌えば無敵のゾーンというか、その幹を太くしていけば、平井 大は誰もが到達できないところまで行けるんじゃないかと思わせてくれます。
 
「普遍的なものはやっぱり残りますし、それが=スタンダードですよね。ブルースなりソウルなりジャズなりいろいろありますけど、ジャンルもメッセージも、スタンダードとして聴かれている音楽は、やっぱり今聴いてもカッコいいし気持ちいい。そういう曲になればいいなと思いますね」
 
 
平井 大を好きになってくれた人は
みんなローカルという気持ちで音楽もやっている
 
 
――恒例のカバー曲として、ジェイソン・ムラーズの『I’m Yours』(M-4)が収録されています。平井 大の音楽を聴けば、“この人、ジェイソン・ムラーズ絶対好きやん!”と分かる(笑)、ド真ん中のセレクトだと思いますが。
 
「アハハ!(笑) これはずっとライブでもカバーしてきた曲で、いつか音源にしたくて。その当時、レゲエのカルチャーが日本でも認められだして、ブラックなレゲエのシーンも流行っていて。けど僕は、もうちょっと白人寄りのものが好きだったんで、『I’m Yours』はちょうどいいミクスチャー具合で、僕の中でもすごく新鮮だったんですよね。カントリーの要素もありつつ裏打ちだし、レゲエの要素もふんだんにあって。すぐにカバーしようと思ったし、そういう思い入れの深い曲なんで、今作に入れられたのはすごく嬉しかったです」
 
――その次には『Locals Only』(M-5)というインストゥルメンタルが入っていますが、ファンクラブの屋号でもあり、ここ最近のツアータイトルにもなっていて。ある種、平井 大のキーワードなのかなと思う言葉ですよね。
 
「“好きになって初めて分かること”ってあると思うんですよね。僕の音楽だったり、僕が持っているカルチャー感が好きな人は、多分インストの曲を聴きたいと思うんで。この曲はそういう人たちに向けた1曲というのはあります」
 
――『Locals Only』=“よそ者お断り”という、サーフカルチャーの共通言語ですもんね。
 
「そういう感覚も大事じゃないですか? 元々はローカライズされていたものが、カルチャーとしてみんなに受け入れられ、ポピュラーになっていくことは結構あるから。そういう意味でも、平井 大を好きになってくれた人はみんなローカルという気持ちで音楽もやっているんで。前作にも『Intro -pukana la-』『Outro -napoo ka la-』とインストが入っていたし、聴きたいと言ってくれる人がたくさんいたのも、きっかけの1つではありましたね」
 
――ウクレレとかは顕著ですけど、楽器自体が持っている有無を言わせぬ世界観みたいなものはありますもんね。
 
「あの音を聴けばビーチが連想されるし、そこがいいんですよね。逆にね、それを全く連想させたくない曲をどうやってウクレレで弾けばいいんだ? みたいなこともあるんですけど(笑)」
 
――確かに(笑)。ウクレレって一発でその世界に引き込む強烈な音色を持っている楽器ですもんね。
 
「意外とね、どんなジャンルでもウクレレで弾けばサーフロックみたいになる(笑)。そういう強みもあるから(笑)」
 
 
思い出には残るけど、その場には絶対に戻れない
その美しさはあると思うから
 
 
――今作にはCMのタイアップ曲も『Life is Beautiful』(ハウス食品ジャワカレーTVCMソング)(M-2)と、『A Good Day』(JACCSカードTVCMソング)(M-3)の2曲ありますが、これはどういった経緯で書き下ろしたものなんですか?
 



「『Life is Beautiful』に関しては、“大人の余裕”みたいなものを表現してほしいというオーダーがあったんですけど、それは今回のアルバムにもすごくマッチしたテーマだなと純粋に感じて。忙しい日常にたまにあるオフに実はすごく生かされていたり、それが心の余裕につながったりもする。そういったメッセージを曲に起こせればと思ったし、仕事にも生き甲斐は感じるけど、やっぱりオフのときに…僕なんかは特にですけど(笑)、“人生っていいなぁ”と思える。そういう時間って作ろうと思わないと意外と作れなかったりするから。“たまには休みも大事だよね? まぁ人生捨てたもんじゃないよ”ってちょっと意識する。それが=大人の余裕なのかなっていう僕の解釈があったんで」
 
――“Life is Beautiful”と言えるようになるのって、いろいろ経験して、いいことも悪いことも、やり甲斐も悔しいこともあって、ようやくたどり着くメッセージな気がしますね。
 
「やっぱりいいことと悪いことって50:50ぐらいですから。ただ、悪いこともポジティブに捉えるというか、それを乗り越えてこそ見えてくる何かがあると思うし、人生観はその都度変わっていきますから。僕もまだ25なんで、“人生って何なんだろう?”って考えたときに、まだハッキリした答えはないんです。でも、心の余裕も時間的な余裕もそうですけど、それが豊かな人生につながっていくのかなって、最近は感じるようになったかな」
 
――時代の話じゃないですけど、今はよりそういうことが求められているでしょうしね。
 
「みんながナチュラル志向になっているのは、すごく感じるので。自分を偽らない姿勢だったりがもう一度見直されていると思うんで、今回はいい具合に落とし込めたかなって(笑)」
 
――“何を残し何を得たよりも 大切なコトがある”というフレーズにはグッときました。
 
「残そう残そうと意識したものって、意外と残らなかったりするから(笑)。ふわっと生まれてきたものがよかったりもするし。思い出には残るけど、その場には絶対に戻れない、その美しさはあると思うから、こういうメッセージが出てきたのかな」
 
――平井 大にとって“大切なコト”は何かあります?
 
「いろいろありますよね。男友達もそうだし、バンドメンバーもそう。女性関係もそうですし(笑)。まぁ生きてることがそもそも大切ですからね。朝目覚めて太陽の光を浴びて…普通にそこにある大事なことに、意外と気付けなかったりするから。そこに気付ければ人生観も変わるし、普段観ている景色も変わってくると思うんですよ。そういうことにハッと気付けるような曲だったり言葉だったりは、意識して書いているかな」
 
――もう1曲のタイアップ曲『A Good Day』に関しては何かオーダーが?
 



「これは“対比”をテーマに曲を作ってくださいとのことで。さっきのオンとオフの話もそうですけど、オフがあるからこそオンのときに100%の力で臨める。人間関係もそうですよね。男女でも自分が持っていないものを相手に求めるし。この曲の中ではそれを“太陽と月”に言い換えていたり、“影があって光がある”じゃないですけど、僕の人生観にもつながってくるおもしろいテーマだと思って作りましたね」
 
 
より生活に馴染むというか
気に留めなくても流れているような曲たちにしたかった
 
 
――『Stay』(M-8)は英詞ですが、インストアライブのMCでも“恥ずかしいから英語にしました”って(笑)。
 
「来ていただいていたんですね、ありがとうございます! そうですね、『Stay』はもう完全に…あの~何て言うのかな。女性を落とす曲です(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――これは“出会ってしまった”恋の瞬間を描いた曲で、情熱的だし、言ってしまえばエロい気持ちもあるし(笑)。
 
「もちろんそうです!(笑) 恋とエロスは切っても切れない関係ですから(笑)。ただ、日本語で言ってしまうとイヤらしく聞こえちゃうんですけど、英語だと結構ストレートにそういうことが言えたりするんで。普段英語で話している人たちへの憧れもあるんで、そういうことがスラっと言えるのはいいなって。だからまぁ、みんな男の勝負のときにはこの曲をちょっと流してもらえればと思うんですどね(笑)」
 
――そう考えたら、今作にはちゃんと“らしさ”もあるし、何作も積み重ねてたどり着いたからこそ、何が大事で、何を残すのか、選抜されてできたアルバムな感じがします。
 
「シンプルが一番難しいし、我慢しなきゃいけない部分がすごく増えるんで、苦しいんですけどね(笑)。それは楽器のプレイでもそうで、“ウォ~ッ!”と弾けば盛り上がるけど、本当にいいプレイは一音でもみんなを惹きつける魅力がある。その領域に行くと、もうスキルとかじゃなくなってくるんですよ。その人のこれまでの人生だったり、今何を感じているかが、もう全面的に音に出てくるんで。そういう意味でも、今回はすごく繊細な制作でしたね。一番生っぽいニュアンスが出るのはどこなのか…マイキングとかもそうですし、そういうところにこだわって今聴いてみると、僕とバンドメンバーで作り出した空間は大成功だったなぁと感じているんで。何回も聴いてもらえる作品になったと思うし、今まで以上に日常に寄り添える楽曲になっていると思う。インパクトという点では失われているかもしれないけど、今回はより生活に馴染むというか、気に留めなくても流れているような曲たちにしたかったんで」
 
――インパクトというある種の武器を使わずどう勝負していくのか。今までとは違う筋肉を使う気がします。
 
「だからめちゃくちゃ気を遣いましたよね。今回はみんなでスタジオに集まって、“いっせーのせ”で録っていく感じだから、自分で考えてアレンジする時間がほぼないんで。一音一音を超真剣に聴いて、“ギターのあいつがこういう風に弾いているから、こっちはこうアレンジしよう”とか、その辺はすごく気を付けましたね」
 
――デモを作り込まずにみんなに投げられるから楽というよりは、それ以上にアンテナを立てなきゃいけないことがいっぱいある感じですね。
 
「そうなんですよね。そんな中で気付くこともすごくあるし。今までは結構一方通行なアレンジだったんですよ。バンドメンバーに“こういう感じでよろしく!”みたいな。みんなの息遣いまでレコーディングするのは今回が初めての経験だったので、すごく勉強にもなったし、それが作品にも活かされているのかなって」
 
――ソロアーティストだと毎作品、毎ツアーメンバーを入れ替えることできますけど、平井 大に関してはある種のハウスバンドじゃないですけど、ずっと一緒にやってきたからこそ出せる音がありますもんね。
 
「そうですね。そこがうちの強みでもあるし、だからこそ甘えが出てきちゃうのももちろんそうなんですけど(笑)。言葉じゃなくてセッションで会話ができるのはいいことだなぁと」
 
 
僕の中で音楽は遊びの延長線上にあるし
小っちゃいときから身近にあったんで、もう生活の一部になっちゃってる
 
 
――アルバム制作を通じて、印象的なエピソードはありました?
 
「ソロのレコーディングはやっぱり楽しいですね。その場その場でしか出てこない音を残せるのは。だからこそ、ちょっと突飛なメロディを盛り込もうみたいな気持ちもあったし、そういう点にも着目して聴いてもらえると嬉しいですね。あとは何かなぁ…大変なんだけど、やっぱり僕の中で音楽は遊びの延長線上にあるし、小っちゃいときから身近にあったんで、もう生活の一部になっちゃってる。ギターもあるし、ウクレレもあるし、バンドメンバーもいる。僕もメンバーも大変でしたけど、その大変な状況を楽しめていたんで。環境としてはすごくよかったなぁ」
 
――今作は全て日本で録ったとのことですが、しょっちゅう海外にも足を運んでますよね。
 
「海外にはよく行きますね。ついこの間もL.A.に行ってきて、いろいろとインスピレーションをもらってきたんで」
 
――僕は去年初めてハワイに行ったんですけど、めちゃくちゃいいなと思いました。“そらみんな行くわ”って、ようやく知ったというか。すごいですね、あそこ(笑)。
 
「アハハ!(笑) 何とも口では表現できないんですけど、光と光が生み出す色味とか、すごいですよね。日本からすると現実離れした世界」
 
――磁場がありますよね。ああいう土地が持つエネルギーが。
 
「ものすごくナチュラルですよね。ハワイにしてもL.A.にしてもそう感じるんだけど、みんながみんな好きなことをやっているし、その好きなことがちゃんとビジネスになっているから、そこに対する熱量もすごい。そういう環境で作ったものだったり、発信されるものはやっぱり本物で。そういうところからの影響はすごく受けていますね」
 
――海外への傾倒はお父さんの影響もあると思いますけど、こういう息子になるんだから、すっげぇお父さんなんだろうなと思いますもん(笑)。
 
「もうめちゃめちゃなんですよ(笑)。正解なのか不正解なのかはよく分からないですけど、遊びに関しては親父からの影響は大きいかな(笑)」
 
 
ウクレレがあって、僕の声があって、それで届ける
そういうところに音楽のあるべき姿というか
ライブのあるべき形をすごく感じた
 
 
――今回のアルバムが出来上がったときはどう思いました? インストアのMCでも“嘘偽りなく今の自分を出すために最善を尽くした”と言っていましたけど。
 
「本当に自分の人生観だったり、日々思っていることを曲にしたんで、受け入れられるか、受け入れられないかは…もちろん計算はしているんですけど(笑)、今までよりは考えていなかったりするかな。だから逆に、ここでみんなと共有できないと、この先がないぐらいの感じ(笑)」
 
――アハハ!(笑) それぐらい『Life is Beautiful』=自分であると。
 
「だから、これが受け入れられないと、僕は僕じゃなくなる(笑)。それぐらい自分自身が反映されたアルバムにはなっているんで。ただ、これを作って終わりじゃなくて、やっぱりみんなに聴いてもらって、シェアして初めて音楽として成り立つんで。そこでどんな風に完成するのかはすごく楽しみでもあり、不安でもあり(笑)。僕の成長と共に出す音も変わってくるんで、それがみんなの波動と合っているかは気になりますね。今回は特にそう」
 
――ツアーもどんどん規模が大きくなっていますが、今作の曲が加わると、ライブもまたおもしろくなりそうです。
 
「CDだとどうしても一方通行じゃないですか。僕が作ったものをみんなが聴いて、“さぁどう思う!?”みたいなことなんで(笑)。ライブだと1人1人の顔を観ながら“こういう風に曲を受け取ってくれるんだ、こういう風に感じているんだな”とか、逆に思うこともあったりするし。ライブのそういうところがすごく楽しいですね。バンドセッションももちろんそうだし、それをみんなに聴いてもらえるのが嬉しい。大事な場ではあることは間違いないですね」
 
――今言ったこととまさに通じると思いますけど、平井 大にとってのライブとは?
 
「“音楽とは?”ということが問われる根本的な場所だと思うんですよ。昔、ハワイでライブをしたときに、流していたトラックが全部止まってしまって、僕のウクレレと声しかない状態になっちゃったんです。なのに、ちゃんとトラックが流れているときより、生でやっているときの方がお客さんの反応がよかったりする(笑)。それって多分根本的なことじゃないですか。ウクレレがあって、僕の声があって、それで届ける。そういうところに音楽のあるべき姿というか、ライブのあるべき形をすごく感じたんで。今後はそういうことを大事にしながら、その場その場でしか生まれないようなサウンドやグルーヴを僕たちも楽しみながら、お客さんみんなと一緒に楽しめるようなライブにできれば。ライブは何かそういう場かな、日常ではあるんですけど、僕の中では非日常な感じ」
 
――ライブに足を運ぶお客さんにとっても、きっとそうですしね。そう考えたら、今回の楽曲の世界観とライブにおけるそれは、今までで最も近いものがあるかもしれないですね。
 
「そうですね。だからライブはやりやすくなってはいるんですけど、より完成度を求められるし、その場その場でしか生まれないもの=ちゃんと準備するからこそそうできるものだと思うんで。リハーサルには力を入れてやっているんで、おもしろいものにはなるんじゃないかな?」
 
――最後に、今回のインタビューを読んでくれた読者の方にメッセージを!
 
「自分の時間を作ったり、身近なことに気付ける気持ちとか、愛も幸せもそうなんですけど、そういうことを求めている割にはすごく鈍感な時代だなぁと感じるんです。それをこのアルバムを通して感じてもらえたら嬉しいし、ちょっとでも共鳴できた人は是非ライブに足を運んでもらって、生で感じてほしい。そこに来てくれたとしたら、その日観たこと、話したことは永遠に残るものだと思っているんで」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2016年7月 8日更新)


Check

Movie Comment

大阪でのエピソードもふんだんに
平井 大からの動画コメント!

Release

よりナチュラルに、オーガニックに
とことんグッドヴァイブな驚異の新作

Album
『Life is Beautiful』
【CD+DVD】
発売中 3991円(税別)
avex trak
AVCD-93422/B

【CD ONLY】
発売中 2500円(税別)
AVCD-93423

<収録曲>
01. Faraway
02. Life is Beautiful
03. A Good Day
04. I’m Yours
05. Locals Only
06. tonight
07. See you at the ocean
08. Stay
09. Everything is Music
10. Stay by my side

<DVD収録内容>
01. Life is Beautiful(Music Video)
02. A Good Day(Music Video)

03. Live Tour 2016 ~LOCALS ONLY~
at EX THEATER ROPPONGI
(収録曲)
01. Faraway
02. Ocean Wave
03. Surf's Up
04. Surf Time
05. Any day
06. Beautiful
07. Last September
08. また逢う日まで
09. Locals Only
10. Summer Queen
11. Kiss Me Baby
12. Slow & Easy
13. For The Future

Profile

ひらい・だい…’91 年5 月3 日、東京都生まれの25 歳。ギターとサーフィンが趣味の父の影響で幼少の頃より海に親しみ、3 歳のときに祖母から貰ったウクレレがきっかけで音楽に興味を持つ。印象的な耳に残る優しい歌声と歌詞、キャッチーなメロディラインは聴く人の気持ちを癒し、穏やかにしてくれる。’11 年、ハワイ最大規模のイベント『ホノルルフェスティバル』の公式イメージソングに『ONE LOVE ~Pacific Harmony~』が抜擢され注目を集める。’11 年5 月に発売したデビューミニアルバム『OHANA』はiTunes 総合チャート3 位を記録し話題を呼ぶ。『Aloha YOKOHAMA』、『ZUSHI FES』、『Sunset Live』、『SUMMER SONIC』などのフェスに多数出演。夏のイベントに欠かせないアーティストとして精力的に活動。’12 年5 月には1st フルアルバム『ALOHA』をリリースしiTunes の総合チャートでも1 位を記録。さらにiTunes BEST OF 2012 J-POP ベストニューアーティストにも選出され、更なる注目を集める。’13 年7 月、ミニアルバム『Dream』でメジャー・デビュー。’14 年7 月、メジャー移籍後初のフルアルバム『ALOOOOHANA!!』をリリース。’15 年5 月、アルバム『Slow & Easy』をリリースし全国12 ヵ所を巡る夏のツアー、更に秋からの『More Slow & Easy』ツアーが全会場ソールドアウトとなりチケット入手が最も困難なアーティストの1人に。‘16年6月15日、約1年ぶりとなるニューアルバム『Life is Beautiful』をリリース。7月からは初のホール公演を含む全13会場で『~Life is Beautiful~』ツアーをスタート。その勢いのままサーフロック界を牽引する若き異才の持ち主として、多方面からの注目を浴びている。

平井 大 オフィシャルサイト
https://hiraidai.jp/

Live

過去最大のツアーが遂にスタート
大阪公演が間もなく開催へ!

 
『平井 大 Live Tour 2016
~Life is Beautiful~』

【神奈川公演】
▼7月1日(金)音霊 OTODAMA SEA STUDIO

【福岡公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月9日(土)DRUM LOGOS

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード293-243
7月10日(日)18:00
なんばHatch
自由4500円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※6歳以上は有料、6歳未満は保護者1名につき1名入場可。客席を含む会場の映像・写真が公開される場合があります。予めご理解の上、ご来場ください。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【神奈川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月15日(金)新横浜NEW SIDE BEACH!!
【埼玉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月17日(日)HEAVEN'S ROCK
さいたま新都心 VJ-3

Pick Up!!

【京都公演】

Thank you, Sold Out!!
▼7月30日(土)18:00
京都FANJ
自由4500円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※6歳以上は有料、6歳未満は保護者1名につき1名入場可。客席を含む会場の映像・写真が公開される場合があります。予めご理解の上、ご来場ください。

【広島公演】
▼7月31日(日)広島クラブクアトロ
【宮城公演】
▼8月10日(水)仙台Rensa
【静岡公演】
Thank you, Sold Out!!
▼8月12日(金)Live House 浜松 窓枠
【千葉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼8月19日(金)柏PALOOZA
【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼8月28日(日)ボトムライン
【沖縄公演】
▼9月3日(土)ミュージックタウン音市場
【東京公演】
▼9月10日(土)昭和女子大学 人見記念講堂


Comment!!

ぴあ関西版WEB音楽担当
奥“ボウイ”昌史からのオススメ!

「音源聴いて一発で気に入って取材、がまさに今回。『Life is Beautiful』、めちゃいいです。すごい。鳴ってる音はもはや外タレ、でも会ってみたらやっぱり日本人、がだいたいのパターンですが、平井 大はもはや人としても外タレでした(笑)。国籍不明、年齢不詳の(音楽の渋さの割に実はまだ若い)どこか浮世離れしたミュージック・ボヘミアンの音楽は、洋邦のボーダーラインを越えて瑞々しく鳴り響いています。仕事を忘れて音楽に満たされるわ~。あと、個人的には去年遅ればせながら初めて行って見事にハマッたハワイの達人ということでリスペクトです(笑)。あの土地が持つエネルギーをちょくちょく浴びて育ったら、そらいい音楽生まれますわ。ニック・フォケットのハット姿もキマッてて、何から何までニクい男です。ずっと追いかけて行くであろうアーティストに、また1人出会えました。マジオススメ!」