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「次の時代のムーブメントを先駆けてやっていくようなグループに」
グローバル・スタンダートとしてのJ-POPを目指せ――
ヒップホップ~R&B、EDMを網羅するCREAMのタフな挑戦
『CHANGE』インタビュー

 メインストリームを軸にヒップホップ~R&B、EDMと網羅し、アガるパーティーチューンも心に響くバラードもお手のもの! シンガーソングライターのMinamiとラッパー/トラックメイカーのStaxx Tからなるグループ、CREAMが3rdアルバム『CHANGE』をリリースした。西野カナなどを手掛けるGiorgio13と共同プロデュースのリード曲『CHANGE』やYouTubeで45万再生を突破した『54321』をはじめ、青山テルマやJESSE(RIZE)も客演参加とバラエティーに富んだ13曲を収録したニューアルバムについてはもちろん、“NEW J-POP”を標榜する彼らにとってのJ-POP観やシーンについての想いなど、熱いインタビューとなった。

 
 
時間が経っても“やっぱりいい曲だったんだな”って
思える曲を作っていきたい
 
 
――1stの『DREAMIN'』(‘13)と2ndの『#nofilter』(‘14)ときて、少し間隔が空いての3rdアルバムのリリースとなりました。オフィシャルサイトでのインタビューでは、昨年の春頃はスランプだった、とも話されていましたが。
 
Staxx T「スランプというよりは、僕たちが作りたい曲と周りが求めている曲に相違があった、というか。僕たちとしては、西海岸の方で当時流行り始めていたDJマスタードのサウンドみたいな、ちょっとゆるくて、スカスカのトラックのヒップホップがすごい好きだったんですが、風潮としてはEDMが流行していて、CREAMのイメージはEDMという雰囲気もあって、その折り合いがなかなかつかなくて。でも、EDMにしてもいつまでも流行っているわけじゃないと思うし、そもそも日本で流行り出してきたタイミングでいち早くそれを取り入れたらうまくハマっただけで、CREAMと言えばEDMではない。CREAMとしては次の時代のムーブメントを先駆けてやっていくようなグループになりたいのがあるので」
 
――そういったせめぎ合いがあったのですね。
 
Staxx T「アルバムを出すことは活動していく上で一番大切なものだと思っていて、それをなかなか出せない状況は、知らず知らずストレスが溜まるもので。何のために音楽をやっているんだろう、誰のために音楽作っているんだろう、みたいに、ちょっとスレた感じに物事を考えてしまったり。そういう時期に『54321』(M-4)を作って、これは最高の曲が出来たと。そんなときに自分たちを助けてくれたのもファンの人たちだったし、すぐにでもファンの人たちに聴かせたい!!って」
 
――そういう流れもあって、1番のパートだけを“CREAM VISION”(自らが立ち上げたYouTubeチャンネル。トータルビューは4000万回超え、チャンネル登録者10万人を突破と人気を誇る)にアップしていたんですね。
 



Staxx T「『54321』をダイレクトにリスナーに届けたいっていうところで挙げたんですけど、再生回数も回って、ライブで歌っても反応がよくて、結果1年ぐらいあたためて、今回アルバムに収録する流れになりました」
 
――1年前のトラックに対して、自分たちの中で古さは感じないものなんですか?
 
Staxx T「それは不思議となかったですね。『54321』は、’03~’04年くらいのNE-YOとかヒップホップのアーティストがやっていた甘い曲、みたいな立ち位置のものを作りたいねっていうところだったので。トラックに入ってるシンセのリフも、その時代のR&B~ヒップホップっぽいニュアンスがあったり。そもそもそのときの最新っていうサウンドではなかったから、意外と1年たっても古びなかったし、来年聴いても古びないじゃないかなって思いますね。時間が経っても“やっぱりいい曲だったんだな”って思える曲って、残っていくじゃないですか。そういう曲を作っていきたいなって思いますね」
 
――『54321』の歌詞は、クラブで出会って一目惚れするストーリーですね。
 
Minami「2人でセッションをしている中で、“数字のタイトルってカッコいいよね”みたいな話になって、そこから『54321』っていうフレーズが出てきたんですよね。じゃあそこで何が歌えるか?を考えたときに、とある説では一目惚れという現象は5秒間で起きるらしいと。そこから歌詞を発展させていった感じですね」
 
――という流れで聞きたいんですが、一目惚れってしたことありますか?(笑)
 
Staxx T「どこまでを一目惚れと呼ぶかですよね。クラブでパッと見て“あ~っ、かわいいお姉ちゃん! 好き!”っていうのはよくあります(笑)」
 
Minami「私はありますね。一目惚れって、お互いにだと思います。あと、私の両親が一目惚れで結婚しているんで。出会って実際一緒に過ごした時間は48時間しかなかったのにプロポーズされて、今も仲良しです(笑)」
 
Staxx T「(Minamiは)一目惚れ家系なんですよ。惚れやすく、醒めにくい(笑)」
 
――素敵ですね。
 
Staxx T「この曲のストーリーは、5秒間の中で妄想している出来事なんで。結果、5秒間しか経っていない刹那的な話。パッと見た瞬間に、全部がスローモーションになっちゃって、“このまま時が止まれば、相手が自分のことをどう思っているのかも聞かないでいいのに、もうこれ以上進まないで!”みたいな(笑)」
 
 
“うまい”よりも“いいな”って言わせたい
 
 
――“I wanna change my life”と歌う表題曲『CHANGE』(M-1)には、どういった意味を込めましたか?
 



Staxx T「“自分次第 ねぇ そうじゃない?”という歌詞にもあるんですけど、結局、今日一日を楽しく過ごせるかどうかは、自分の気持ちの持ちようで。ポジティブな気持ちって、生きていく上で何より大事だと思うんですよ。僕たちにしても、うまくいかなかった時期を抜け出せたのも、ちょっとした気持ちの持ちようというか。腐っても仕方ないなっていう心の変化だったりは、このアルバムの制作中に感じたことでもありますね。朝イチにこれを聴くことで、憂鬱な仕事とかも頑張れるような、そういった何かしらの力がリスナーの皆さんに湧き起こればいいなって」
 
――JESSEのシャウトで、さらにアガッていく『HANPANAI feat. JESSE』(M-7)は、気鋭のプロデューサーTeddy Loidとの共作になります。
 
Staxx T「“HANPANAI”っていうフックと、“エレクトロのプロデューサーがヒップホップを作ったような、トラップっぽいものを作りたい”ってTeddy Loidに伝えて。イカついトラックを3つくらい送ってくれて、一番イカついのを選びました(笑)。さらにJESSEくんに叫んでもらって思いっ切り振り切って。そこがCREAMの振り幅でもあるので」
 
――ライブでもめちゃくちゃ盛り上がりそうですね。そこからバラード+EDMの『Eternally』(M-8)へと続きます。
 
Staxx T「この曲は元々バラードだったんです。バラードとして成立しているいい曲を、EDMリミックスしたらどうなるんだろう?っていう発想から」
 
Minami「『Eternally』と『STAY』(M-11)のピアノデモのバラードバージョンは、購入特典で付いてきます」
 
Staxx T「それがまた、めちゃめちゃいいんですよ」
 
――「日本語の大切さを改めて見つめ直した2年だった」(Staxx T)とも話されていましたが、実際に参考にしたアーティストはいましたか?
 
Staxx T「ONE OK ROCKの曲を聴いていたとき、英詞が多い割に、間に刺さってる日本語詞がすごい残るなって。だから(日本語/英語の)分量とかの問題じゃないんだろうなって。“サビに英語が多いから、日本語をもっと増やしてほしい”と言われたこともあるんですけど、片やONE OK ROCKみたいに売れているバンドがほとんど英詞だったりする。そこはメイクセンスできるかどうかの違いだと思う。英語の間に刺さってる日本語が、どれだけスパーンって抜けていくものか。そこには今まで以上にこだわりましたね」
 
――なるほど。
 
Staxx T「あとは、ラップにしろ歌にしろ、初めて聴いたときに“聴き取れる”ことをすごく意識しています。ラップのスキルって千差万別だけど、“聴き取れる”のは第一条件な気がしていて。その上でシンプルにするのか、複雑にしていくのか。複雑なだけじゃうまいとは感じない。複雑さを気持ちよく感じさせることの方が大事だったり、シンプルなのに何でこんなにいいんだろう?っていうのもスキルだと思うし。そのバランスはすごく大切にしていますね。“うまい”よりも“いいな”って言わせたい」
 
――確かに、CREAMの曲は、ちゃんと歌詞が聴き取れますよね。
 
Staxx T「あと、カラオケとかで歌ってくれたりするときに、自分が歌の主人公になれるような、あたかも自分の曲のように感じられるくらいに、主観で歌に入り込める歌詞にしようっていうのは意識しました。そこで、さらにポジティブな言葉を口にしていると、自然と気持ちもポジティブになったりするものだから」
 
 
これからの時代は、もうちょっとグローバル・スタンダードについて
考えていかないと厳しくなっていくと思う
 
 
――CREAMは“NEW J-POP”を標榜しています。ヒップホップやEDM、ベース・ミュージックのトラックをJ-POPに落とし込む、というのはかなりの挑戦だと思います。
 
Minami「今までの日本の音楽シーンって、ドメスティックだけで成立していた。日本にいるアーティストは、海外のセールスを考えなくていい時代だったし、考えてもいなかったと思うんです。でも、これからの時代は、もうちょっとグローバル・スタンダードについて考えていかないと厳しくなっていくと思う。それが“NEW J-POP”なんじゃないかなって。意識の問題というか」
 
Staxx T「どうせやるなら一番難しいジャンルで勝負して1位を獲りたいので。“こんなサウンドで(総合ランキングで)1位を獲ったの?”っていうのがいい。“J-POPのアーティストでこんなことをやっているヤツらもいるんだ”って海外からも思われたいし。(J-POPに対して)僕たちが『CHANGE』させていかないといけないとも思っています」
 
――J-POPはいまだにテレビやラジオが主戦場で、その環境って低音は聴こえてこないじゃないですか。でも、CREAMの作るダンスミュージックって、そこが大切だったりもするわけで。そこは意識して作っているものですか?
 
Staxx T「ちょっと制作側の話になってくるんですけど、例えば“ブーンブーン”って鳴るヤオヤ(TR-808)のベース音は、テレビやラジオでは聴こえない。それを聴こえるようにしてかつヤオヤっぽいベースを入れるために、わざとMassiveというソフトを使ったりしていますね。そうすると、周波数が上がって、ラジオでも聴こえるようになる。『54321』のラップの部分とかはそうなっています。あくまでテイストは残したまま、低音が聴こえるようにっていう工夫はしています。それは今回のアルバムから、より意識するようになりましたね」
 
――リリースツアーも始まっていて、4月10日(日)にはクラブピカデリー梅田でワンマンライブがあります。どんなライブにしたいですか?
 
Minami「いつものクラブのライブだと30分くらいだけど、それより全然長いので。普段歌えないような曲だったり、“CREAM VISION”でもやっているようなカバーだったり、いろいろやりたいなって」
 
Staxx T「それぞれがソロで動いてきたものも含めて、いろんなCREAMを観てもらいたいですね。何と言っても、音楽はライブ会場で爆音で聴いてもらうのが一番なんで。“生CREAM”を、ぜひぜひ楽しみにきてください!」
 
 
Text by 中谷琢弥



(2016年4月 7日更新)


Check

Release

ハイクオリティな最新作の初回仕様は
チェキを挟めば自分だけの1枚に!

Album
『CHANGE』
【CD+DVD】
発売中 3800円(税別)
rhythm zone
RZCD-86023/B

【CD】
発売中 3000円(税別)
rhythm zone
RZCD-86024

※初回仕様:紙ジャケット

<収録曲>
01. CHANGE
02. PARTY AFTER PARTY
03. love wit u
04. 54321
05. G-E-T OVER U feat. 青山テルマ
06. Milk & Honey
07. HANPANAI feat. JESSE
08. Eternally
09. ウソツキ ~Lies~
10. the end
11. STAY
12. One Day
13. CHANGE(143 Remix)

<DVD収録内容>
01. CREAM TOUR 2014
“THE #nofilter SHOW” @代官山UNIT
02. CHANGE [Music Video]
03. THROUGH MY LENS Season 2
by 24young

Profile

クリーム…シンガーソングライターのMinami(写真右)と、ラッパー/トラックメイカーのStaxx T(同右)により結成された、メインストリームを主軸にEDM、ポップ、ヒップホップまでを網羅し、他にはない“NEW J-POP”を作り出す1ボーカル&1MCのマルチユニット。個々でも、TERIYAKI BOYZ®やVERBAL、AKLO、下拓、JAZEE MINORへのフィーチャリング参加、m-floや安室奈美恵、BoA、V6、Hey! Say ! JUMP、JASMINE、塩ノ谷早耶香といったアーティストへの詞曲提供など、クリエイターとしても精力的に活動している。自らYouTube上に立ち上げたチャンネル“CREAM VISION”では、オリジナル楽曲やライブ映像のほか、名曲のカバーやリミックスなど、幅広い選曲で動画をアップし続け、トータルビューは4000万回を、チャンネル登録者も10万人を突破し、現在も記録を伸ばし続けている。’13年1月に、テレビや衛星波で11のタイアップ、ラジオは全国で20にも及ぶパワープレイを獲得し、USEN HIT J-POPランキング1位となったシングル『Shooting Star』の先行リリースを経て、同年2月にはアルバム『DREAMIN'』でメジャーデビュー。iTunes総合チャートでも1位を獲得したほか、全国24都市29公演にも及ぶ『DREAMIN’』リリースツアーを敢行した。同年7月には、EDMを巧みに取り入れたサマーアンセム『Wonderland』を引っ提げ、『SUMMER SONIC』『TOKAI SUMMIT』『Sunset Live』など全国11会場での夏フェスに出演。2ndシングルとなるミドルバラード『Beautiful』のリリースを経て、年末にはプロジェクションマッピングされた大阪城でカウントダウンライブに出演するなど、年間100本を超えるライブをこなした。’14年4月には、2ndアルバム『#nofilter』をリリース。本作を引っ提げた初のワンマンツアーは全会場ソールドアウト、同じくキャリア初となるアジアツアーも成功を納め、海外にも活動の幅を広げている。同年9月には、レンタル&配信限定で新曲となるセツナ系EDM『STAY』をリリース。また12月には、不安を抱えながらも仲間との絆を信じて生き抜く“今”を歌ったワールドスタンダードEDMの『Eternally』を収録した、冬の代表曲を集めた企画ミニアルバム『WINTER MIX 2014-2015』をレンタル限定盤と配信でリリースした。’15年は、塩ノ谷早耶香『今も feat. CREAM』にコラボレーション参加をするなど、さらに活動の幅を広げた。同年11月にYouTubeにて45万再生を突破した一目惚れR&B『54321』、12月9日にはDJ FUMI★YEAH!、DJ YU-KI、BABY-Tの3人からなるプロデュースユニット143によるRemix作品『CHANGE(143 Remix)』を配信でリリース。同年11月から翌年2月まで『CREAM “CHANGE” CLUB TOUR 2015-2016』を全国16会場で開催。年末には『COUNTDOWN JAPAN 15/16』に出演。そして、’16年2月3日には3rdアルバム『CHANGE』をリリース。Giorgio13と共同プロデュースのミドルEDMでアルバムリード曲『CHANGE』、青山テルマ、JESSE (RIZE, The BONEZ)が客演参加するなど、豪華な作品となっている。3月から、全国7会場でのワンマンツアーを開催。

CREAM オフィシャルサイト
https://www.creamofficial.com/

Live

“生CREAM”を体験できる
リリースツアーがクライマックスへ!

 
『CREAM TOUR 2016 “CHANGE”』

【愛知公演】
Thank you, Sold Out!!
▼3月19日(土)ell.FITS ALL
【宮城公演】
▼3月25日(金)仙台 darwin
【北海道公演】
▼3月30日(水)mole
【福岡公演】
▼4月4日(月)DRUM Be-1
【沖縄公演】
▼4月5日(火)桜坂セントラル

Pick Up!!

【大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼4月10日(日)16:30
CLUB PICCADILLY UMEDA OSAKA
オールスタンディング4800円
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※未就学児童は入場不可。
小学生以上は有料。

【東京公演】
チケット発売中 Pコード288-352
▼4月28日(木)19:30
STUDIO COAST
スタンディング4800円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※未就学児童は入場不可。

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Comment!!

ライター中谷琢弥さんからの
オススメコメントはこちら!

「“ダンスミュージックとJ-POPの融合”みたいなのっていろいろあるけど、作り手が実際にちゃんとクラブで遊んでいるのか(時には泥酔してダメになったりもするだろう)、踊り続けた果てにある朝の素晴らしさを知っているのか、を考えたときに、そうじゃないと音への説得力も結局は全然違っていて。CREAMは完全にクラブにドップリで、今回のアルバム収録曲でもある『PARTY AFTER PARTY』(M-2)のMVでは渋谷・六本木のクラブをハシゴしている様子があるが(「私たちの私生活そのまま」とはMinamiの言葉)、だからこそCREAMの音楽にはその狂騒やあれこれがみなぎっている。それを持った状態でJ-POPへと翻訳する、というのは挑戦以外の何ものでもなくて。インタビューの最後の方に聞いている低音の作り方だったり、 “聴き取れる”歌い方への意識だったり、もちろんちゃんと考えられていて、勢いとクレバーさ、気合いと自負で突き進んでいく彼らのこれからは、楽しみでしかない」