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ビジュアル系バンド、ダウトのフロントマン、
そしてボーカリストの幸樹が
花見桜幸樹として演歌・歌謡界でも開花中!
ルーツや歌への思いを聞いたインタビュー

シングル『中距離恋愛』が演歌・歌謡曲チャートで1位を獲得するなど、ビジュアル系ロックバンドの中では異例の活躍ぶりを見せるダウト。そのボーカリストである幸樹が昨年2月、ムード歌謡歌手“花見桜幸樹”(ゴールデンボンバー・鬼龍院翔が命名)としてシングル『アイラブ東京』でソロデビューを果たした。ビジュアル系と演歌・歌謡界を行き来する彼のルーツ、歌への思い、そして今後の目標とは?

――今回は幸樹さんの演歌・歌謡界での活動の他に所属バンドであるダウトや、音楽的なルーツについてもお話を伺いたいと思います。まず、幸樹さんが初めて音楽に触れた記憶は?

最も古い記憶は、幼稚園の頃に両親がカラオケで歌っていた『舟唄』ですね。母がすごく歌好きで、家にもレコードがたくさんあったので、僕も影響されて演歌・歌謡曲を好きになりました。僕自身の音楽の入り口は長渕剛さんで、その後、中学生の時にアコースティックギターを買って、初めて弾き語りで練習したのが藤井フミヤさんの『TRUE LOVE』でした。でも僕、小中高とずっと野球少年でプロ選手を目指していたから、その頃は、音楽は趣味としか思っていなくて。

――音楽の比重が上がっていったのは、どのタイミングで?

高校生の頃にLUNA SEAさんや黒夢さんを好きになり、3年生の時に学校の友人たちとビジュアル系のバンドを組んだんです。野球部の活動が終わった直後だったので、最初は坊主頭でビジュアル系をやっていました(笑)。そのバンドでライブやツアーを経験し、音楽の楽しさを知ったことで、自然とプロミュージシャンへの道を考えるようになりました。

――では、最初はそのバンドでプロを目指して?

結局、バンドが解散してしまい、僕一人で上京しました。当初はビジュアル系ではなくフォーク・ロックのバンドがしたかったけど、なかなか上手くいかなくて……。メンバーが見つかっては辞めての繰り返しで、3年ほど悶々と、ゲームとパチンコに明け暮れるというダメ人間な時期を過ごしてしまいました(笑)。

――その後、ダウトを結成してからの快進撃は、みなさんがよく知るところです。

ダウトのメンバーに出会ってからは本当に早かったですね。2016年で結成から丸9年になるんですけど、おかげさまで順調にやらせてもらっています。

――ダウトの“愛国心的エンターテイナー”というコンセプトや日本語にこだわった楽曲は、ビジュアル系バンドの中でも独特の存在感を放っていますよね。

僕らの場合、洋楽のようなことをやっても絶対に勝てないし、それなら「歌をしっかり聴いてもらい、日本の良さを伝えるバンドにしよう」というところから始まったんです。それに僕の音楽の目覚めがフォークだったり、ベースの玲夏もダウトの前にグラム・ロックのバンドをやっていたので、ビジュアル系以外の要素を積極的に取り入れたのも大きな要因かと思います。

――そのダウトの活動が軌道に乗る中、昨年2月にはムード歌謡歌手“花見桜幸樹”としてソロデビューを果たされました。ロックではなく、歌謡曲の世界でデビューしたのは、どのようないきさつで?

2014年、ダウトのメンバーが一人卒業して、半年ほど活動が止まることになったんです。その間に何かできることがないかと考え、海外に留学するか、あるいは自分がボーカリストとして下の下から修行できるような場所に行きたかったんですね。それで、もともと好きだった演歌・歌謡曲の世界に飛び込み、違う景色を見てみたいと思って。自分が望んだこととはいえ、このような形でデビューさせていただけて本当に幸せです。

――ダウトで積み上げたキャリアがある中、まったく違う世界で再スタートを切るには苦労もあったのでは?

ビジュアル系の世界から毛色の違うのが来たということで、最初はバッシングもありました。でも、真剣に活動を続けることで、徐々にみなさんに受け入れてもらえるようになりましたね。ただ、演歌・歌謡曲の先輩方って、みなさん度肝を抜くぐらい歌が上手いし、ファンの方もすごく耳が肥えているじゃないですか。その世界でどうやって自分の色を出して勝負していくかは、準備段階からすごく考えていました。

――ダウトのメンバーからは、どのような反応が?

僕が演歌・歌謡曲を好きなことはみんな知っていたので、快く受け入れてくれました。それにロックとはまったく違う世界ということもあり、みんな興味津々でしたね。たまにショッピングセンターやレコード店でのキャンペーンを見に来てくれるんですけど、普段はライブハウスが主戦場なので、「あの雰囲気の中で歌えるってすごいね!」と驚かれます。

――デビュー曲『アイラブ東京』のコンセプトは幸樹さんから提示されたのですか?

いえ。タイトルだけが先に決まっていて、歌詞は何人かの方に書いていただきました。その中でも(採用になった)石井克明先生の作品は情景がありありと浮かんできて、本当に素晴らしかったですね。実は僕も書いたんですけど、もう比べるまでもなく、完全に打ちのめされました。

――レコーディングについてはいかがですか? ダウトの時とは作業環境も全く違うと思うのですが。

バンドだとスタジオでセッションを繰り返したり、最近だったらパソコンを使うことで、完成形に近いデモ音源を作れるじゃないですか。『アイラブ東京』は、最初にいただいた音源に鼻歌と軽い伴奏しか入っていなかったので驚きましたが、それが編曲家の方の手に渡って完成形に仕上るという過程もすごく新鮮でした。バックバンドのミノルフォンオーケストラさんのレコーディングも、初見の譜面で少し音合せしたら、すぐに本番、即OKという流れで、本当にみなさんプロフェッショナルだなと、つくづく感心しました。

――ボーカルのレコーディングに関しては?

3回ぐらい歌ってOKが出ました。これも、やはり機械で修正するようなことは一切なく、ちょっとずれているぐらいが人間味があって良いということで、歌ったそのままのものが採用されました。

――そんな同曲の聴かせどころは?

息づかいですね。レコーディングの時に、「吸ったり吐いたりする息も大事なポイントだから意識して」と教えていただきました。『アイラブ東京』のフレーズの前に思い切り息を吸うのが良いアクセントになっているので、そこにぜひ注目してください。カラオケで歌っていただく際は、サビまでは抑えて、流すように歌い、『アイラブ東京』からガツンとパワーを出してください。


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――歌謡曲とダウトで、歌う際にもっとも変わってくる部分は?

ダウトの時はメンバー全員がフロントマンのつもりでステージに立っているので、お互いの勢いに負けないように歌っています。歌謡曲の場合はその対極で、歌の強弱にバンドやオーケストラが合わせてくださるので、抑揚をつけることの大切さを覚えましたね。

――『アイラブ東京』で幸樹さんを知った方は、ダウトで歌っている時の姿を見たら驚かれるのでは?

実は演歌・歌謡界から僕のことを知った方がダウトにも興味を持って、結構ライブに来てくださるんですよ。みなさんYouTubeなどで予習されるので、そこまで驚かれないんですけど、「ギャップがいいね!」とはよく言われます(笑)。

――ダウトのドラマーである直人さんやサポートキーボーディストの泰斗さんらとのバンド編成でソロライブも行われていますが、こういった形もまた演歌・歌謡界では珍しいですよね。

歌謡曲を歌っているけど、やはり僕はロックで育ってきましたし、周りに素晴らしいバンド仲間もいるので、せっかくライブをするなら彼らに協力してもらい、花見桜幸樹にしかできない形を提示したかったんです。演歌・歌謡曲のお仕事だとカラオケをバックに歌うことが多いんですけど、こういうライブをさせてもらうことで、生演奏で歌えるありがたみを改めて知りました。機会があれば、この編制でロックフェスにも出てみたいです(笑)。

――ロックファンにも演歌・歌謡曲の楽しさを知ってもらいたいですよね。

今って音楽のジャンル分けが細かいから、ファン層や年齢層もはっきり区分けされているじゃないですか。僕としては、それが面白くないなと思って。演歌・歌謡曲が年配の方だけのものと思われるのも非常にもったいないし、そういった壁を取り払って、みなさんがさまざまな音楽を楽しめる空間を作っていきたいですね。

――幸樹さんの活動を見ていると、バンドの人がちょっと違うジャンルで遊びました、というような単発企画ではなく、演歌・歌謡界で本格的に実績を作りたいという本気度がものすごく伝わってきます。

花見桜幸樹の活動は、絶対にただの企画物で終わりたくないです! 今ここでやめてしまうと、歌謡歌手としての僕を好きになってくれた方に申し訳ないし、自分自身、演歌・歌謡界でやりたいことが、もっとたくさんあるので。こっちの活動があることでダウトがおろそかになってはいけないけど、今はお互いがいい具合に作用しあって、充実した日々を過ごさせてもらっています。

――とはいえ、ダウトのツアーやリリースも重なると大変な忙しさでは?

周りの人によく言われるんですけど、僕、完全にワーカホリックなんです(笑)。休みの日にボーッとするぐらいなら仕事がしたくて。最近、同じ場所に歌謡曲とダウトの仕事で何度も訪れることがよくあるんですけど、そういうのも楽しいんですよね。でも、僕が休まないとマネージャーも休めないので、事務所のスタッフには勘弁してくれって言われますけど(笑)。

――今後、演歌・歌謡界での目標は?

まだ持ち歌が『アイラブ東京』しかないので、まずはオリジナル曲を増やしてから、改めてワンマンライブをやりたいです。それと、僕の実家やその周辺では花見桜幸樹の人気がダウト以上に盛り上がっているので(笑)、演歌・歌謡界で頑張って、これまでお世話になったみなさんに少しでも恩返しができれば。ヒット曲や大きなステージだけをゴールにするのではなく、一人でも多くの方に聴いていただけるよう、長く歌っていきたいですね。

――最後に、1月6日に発売になったダウトのニューアルバム『心技体』のお話も。今回は、男っぽさや骨太さ、渋さがグッと増したように感じますね。

これまでだったら「ちょっとやり過ぎかな…」という部分はプロデューサーの方と相談してカットしたり抑えたりしていたんですけど、今回はセルフプロデュースで徹底的に作り込んだので、その影響もあるでしょうね。僕に関しては演歌・歌謡界で得たことをボーカルに取り入れたんですけど、今の僕らには、このやり方が合っていると思います。純度が高い分、自分たち好みな音に仕上がったけど、後は、それがどう受け入れてもらえるかが課題ですね。

――先行シングルの『恋ができない』でフォークの要素を取り込んでいるのを始め、歌謡曲、AORからラウドロックまで、これまで以上に音楽性の幅も広がって聴き応えも抜群です。

凝った作りになった分、ライブで再現できないと意味がないので、今、メンバーみんなで一生懸命、練習しています。発売後すぐにワンマンツアーも始まるんですけど、直人が正式加入しての船出ですし、まずはバンドとしての基礎をより強固なものにしたいと思っています。関西は京都・神戸・大阪で公演があるので、ぜひ、遊びに来てください!


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構成・取材・文/伊東孝晃(クエストルーム)
撮影/河上良(bit Direction lab.)




(2016年2月 2日更新)


Check

Release

シングル『アイラブ東京』

発売中 1500円(税別)
徳間ジャパンコミュニケーションズ
TKCA-74189

<収録曲>
01.アイラブ東京
02.雪國
03.もしかして
04.三都物語
05.アイラブ東京(オリジナルカラオケ)

ダウト
アルバム『心技体』

通常醸盤
発売中 3000円(税別)
徳間ジャパンコミュニケーションズ
TKCA-74326

<収録曲>
01.心技体
02.OH!MATSURI MONSTER
03.ダァァティィ・ロマンチッカァァ
04.53
05.恋ができない
06.綺麗事
07.華麗なる外道
08.傷心パラドックス
09.TAXI
10.おねだり
11.国立競技党
12.SM

Live

関西公演

発売中
Pコード:282-104
▼2月9日(火) 18:30
KYOTO MUSE
▼2月20日(土) 17:30
Kobe SLOPE
▼2月21日(日) 17:30
OSAKA MUSE
スタンディング-4320円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]0570-200-888

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その他全国公演

発売中
Pコード:281-292
▼2月5日(金) 18:30
長野ライブハウスJ
スタンディング-4320円(整理番号付・別途ドリンク代必要。)
※3歳以上有料。
[問]キョードー北陸チケットセンター
[TEL]025-245-5100

発売中
Pコード:281-292
▼2月7日(日) 17:30
金沢vanvanV4
スタンディング-4320円(整理番号付・別途ドリンク代必要。)
※3歳以上有料。
[問]キョードー北陸チケットセンター
[TEL]025-245-5100

発売中
Pコード:280-047
※販売期間中は1人4枚まで。
▼2月11日(木・祝) 17:30
DIME
[スタンディング-4320円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上はチケット必要。
[問]デューク高松
[TEL]087-822-2520

発売中
Pコード:279-961
▼2月13日(土) 17:30
IMAGE
スタンディング-4320円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上はチケット必要。
[問]キャンディープロモーション岡山
[TEL]086-221-8151

発売中
Pコード:279-961
▼2月14日(日) 17:30
セカンド・クラッチ
スタンディング-4320円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上はチケット必要。
[問]キャンディープロモーション
[TEL]082-249-8334

発売中
Pコード:279-958
▼2月16日(火) 18:30
DRUM Be-1
オールスタンディング-4320円(要1ドリンクオーダー/整理番号付。)
※3歳以上チケット必要
[問]GreeN Music
[TEL]092-714-0230

発売中
Pコード:280-305
▼2月27日(土) 17:30
ボトムライン
スタンディング-4320円(整理番号付・別途ドリンク代必要。)
※3歳以上有料。
[問]サンデーフォークプロモーション
[TEL]052-320-9100


2月14日(日)10:00~発売
Pコード:287-241

▼3月4日(金) 18:30
LIQUIDROOM
スタンディング-4860円(ドリンク代別途必要)
※3歳以上はチケット必要。
[問]ディスクガレージ
[TEL]050-5533-0888

▼3月5日(土) 17:30
LIQUIDROOM
スタンディング-4860円(ドリンク代別途必要)
[共演]有
※3歳以上はチケット必要。
[問]ディスクガレージ
[TEL]050-5533-0888

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Profile

はなみざくらこうき●10月21日生まれ、兵庫県出身。ヴィジュアル系初となるオリコン演歌歌謡チャート1位(シングル『中距離恋愛』)を獲得する他、V系の異端児としてその名を馳せるダウトのフロントマンであり、ヴォーカリスト。花見桜幸樹の名でムード歌謡歌手として2015年にソロデビュー。アーティスト名はプライベートでも親交の深いゴールデンボンバー・鬼龍院翔がソロネームとして命名した。好きなアーティストはMr.Children、椎名林檎、吉幾三、川上大輔。

Comment!!

徳間ジャパン プロモーター・坂本江里さんからのオススメコメント!

一見チャラく見えるのですが、その実、とても「まじめ」で「研究熱心」。アーティストとしては、ネタバレ的で怒られてしまうかもしれませんが。得意技というには、いささか?がついてしまう、ヨーヨー。常に手元に置いて、黙々と自主練していたその様は、彼が学生時代に野球人を目指していた姿を垣間見るエピソードです。

といいつつ、あの仕上がり…。長身でクールなルックス。ステージ上から、オラオラとオーディエンスを煽るヴィジュアルアーティストとしての姿からは、ほど遠く…。でもそんな、陽と陰が世の女子たちを虜にしてやまないのでしょう(笑)。

そんな彼が歌うのに"女唄"というのは、まさにうってつけ。花見桜幸樹が通り過ぎてきた、女たちとのストーリーがそこにはあるのかもしれません。夜のネオンが似合いつつ、体育会系の折り目正しさを併せ持つ、ハイブリット歌手。ぜひお手に取ってみてください。