ホーム > インタビュー&レポート > 大阪が誇るパンクヒーロー、RAZORS EDGEが5年7か月ぶりとなる バンド史上一番元気で速い!?アルバム『RAW CARD』をリリース そしてリリースツアーファイナルは2/28(日)BIGCATで開催!! 新作とバンドの今を語るインタビュー&動画コメント
自分のいいところを見つけてそこを伸ばして、
“あそこは負けるけど、ここは勝ってるやんけ!”ってする方が面白い
――『A.P.T.N』(M-1)、『RAW CARD』(M-2)と続く流れがカッコよすぎて。
「まさに狙い通りのthis is 1、2曲目(笑)。レーベル発表によると5年7か月ぶりのアルバムなんですが、東日本大震災があった`11年に15周年記念盤『FUCKED UP!』をライブ会場限定で出して、僕も大阪へ戻ってきて。いつの間にかこんなに月日が経ってたって感じだったんですけど、さすがに去年あたりに、“もうそろそろアルバム出さなアカンやろ”、“出したい!”って気持ちがフツフツと(笑)。アルバム冒頭の2曲が`14年になるかならへんかぐらいの時に出来たことで、この2曲に引っ張られるようにしてアルバム制作が具体的になっていきました」
――前作『SONIC!FAST!LIFE!』の時はケンジさんだけ東京在住で、3人は大阪にいて。大阪に戻ってこられたのが`11年ですか?
「そう。`09年あたりに僕が上京して、3年弱ぐらいメンバーとは離れて活動してましたね。戻るきっかけは震災だったり、さすがに離れてバンドをやるのも不都合が重なってきたりで、帰ろうと。前作の時は4人でスタジオに入って作れる時間はそれほどなかったんですけど、ライブの時は集まって練習したり、何かにつけて大阪へ行っては練習したり曲を作ったりしたけど限りがあって。だからほとんどは僕が宅録で作ったデモを送って、大阪で3人がスタジオで合わせたヤツを送ってもらって“もうちょっとこんなんやねん”とかのやりとりをしながら作ったんですけど、そういうやり方だと一方通行というか、曲とか演奏について一緒に悩むってことはあんまり出来ないですよね。だから、バンドの面白さっていうのはそんなになかったのかなかって。今回は、イニシアチブは僕がとってますけど、スタジオで4人で相談しながら作れる曲が多かったし、すごくバンドらしい感じの曲ばっかりがそろったと思います。その場のヒラメキで“やっぱベースってこうよね~”みたいなこと言いながらやってましたね(笑)」
――聴きながら、ライブの時の会場の空気を思い出しました。
「ライブのええとこ、いい瞬間を出来るだけ音源にも詰め込みたいっていう気持ちはあるんですよね。パッと聴いた時の第一印象がそのライブの感じになったらいいなって」
――`13年に、RAZORS EDGE主催のフェス『STORMY DUDES FESTA』(以下、SDF)を始められたことも今回のアルバムを作る上で影響しているように思いますが、いかがですか?
「めちゃめちゃ関係してると思います。SDFの構想はそんなに前からあったわけじゃなくて、大阪に戻ってきてからパッと、急に“やりたい”って僕が思いついて。これまでもいろんなフェスやイベントに呼ばれることはあったけど、いつまでも人についていくだけでは、結局自分たちの中に何も残らないんですよね。そういう心境になったこともあって、自分たちでシーンや価値観を1コ作りたいなと。呼ばれたライブだけ出て、楽しくて、何の疑問もなければそれでいいんでしょうけど、自分らがもっと居心地いいことをやりたいし、フェスに出させてもらった時に“こんなバンドも出てたら面白いかも”と思ったりもするし、お客さんの数だけを気にするんじゃなくて、面白さを追求したイベントがやりたくて。そうした時に、自分がこれまで活動してきた中で築いてきた人脈を活かせば、面白いバンドが集められそうやんって。パンク、ハードコアを軸にガレージからエモから、ダンサブルなバンドから、イベントに共鳴するバンドを誘おうと! レイザーズみたいにこれだけ幅広くいろんなバンドと対バンしてきているパンクバンドもそうそういないので(笑)」
――(笑)SDFに出演する顔ぶれを観ていてもそれが分かります。
「かといってすべてのジャンルを網羅するという気はなくて、バランスが良すぎても何か違うし、やっぱりレイザーズがこれまでやって来たことを軸にハードコアなバンドをメインで組んで行ったら、僕らにしか出来ない感じになるんじゃないかな、と。10月に東京と大阪であったHAWAIIAN6主催の『ECHOES』に呼んでもらったんですけど、SDFに出てくれたバンドも何組かいて、“来年もまた(SDFを)やるでしょ?絶対出るから!”とか、“6月は空けてるから”って言ってくれて(笑)。嬉しいですよね。HAWAIIANらしいブッキングだったし、HAWAIIANしか作れない空気も出てた。そういう感じが凄い好きで!大阪でもHEY-SMITHがやってるイベント『HAJIKETEMAZARE』に何回か出させてもらってるんですけど、イベントが大きくなるにつれてバンド自身も成長していってるのを見ていて、自分たちもそういう事をやりたいと思ったのもきっかけの一つですね。それと、大阪に戻ってきたからには、周りから“大阪、盛り上がってるやん!”って言ってもらえるようにならなあかんっていう使命みたいなものもあって。いろんなフェスがあるけど、俺に出来ることと言ったらハードコアの激しいバンドを軸に、どんなフェスともカブらない出演バンドがそろった時の面白さを提示して“おもしろいねぇ”と言ってもらうことが大事だなって。これからもレイザーズエッジが続く限り、SDFは毎年やりたいですね」
――アルバムの話に戻りますが、日本語の歌詞がぐっと増えましたね。これまでも歌詞にはケンジさんの主張が込められていましたが、今回は特に今の時代にバシッとハマるメッセージにあふれていて、鋭さも皮肉もよりダイレクトに伝わってきます。たとえば『AMERICAN DOG』(M-4)って“アメリカの犬”ってことですよね。なんという辛辣な(笑)。
「あははは! 前作から結構、日本語の歌詞が増えてきてたんですけど、今回は音もそうですけどレイザーズらしさっていうものをもう一回改めて考えた時に、言葉遊びとか日本語の使い方の面白さをもっと活かしたいなと思ったんですね。メンバーからの希望もあったし。日本語のテンポの良さとか、英語よりも日本語のほうが疾走感のあるメロディーを作れることもあって、そういうことも意識しましたね。何曲か、レコーディング直前に英語から日本語詞に書き換えた曲もありましたね。そしたら“すごくカッコよくなった!”ってメンバーからも言われました(笑)」
――初めてロックを好きになった中学生ぐらいの頃に、それまで聴いてた音楽から感じたものとは違うものをロックに感じて、“何かやらなきゃ!”って気になったのを覚えているんですが、その感じが『RAW CARD』を聴いてて甦ってくるようでした。“何か”が何なのかはハッキリしないけど、でも何か駆り立てられるものがあって。
「うん。説教ではないんですよね。誰もがみんな何かモヤモヤしてるみたいなところがあって、“誰かにケツ叩かれたい”って思ってるところがある気がする。そういうのを自分の言葉でやってみたらいいやんって思って。自分が経験したことって、やってみた結果が失敗だとしてもやってよかったし、やってみないと何も成長も出来ない。『RAW CARD』はまさにそれで、RAW CARDって意訳すると“生まれ持った武器”とか“長所”って意味で、僕としては“自分の切り札”って意味で使ってるんですね。たとえば、きれいな人とかカッコいい人を見たらうらやましくなるのってバンドも同じで、演奏が上手い人やライブパフォーマンスで惹きつける人を観た時に、自分もそうなりたいと思う。でも自分にない部分で勝とうと思っても超えられないから、自分のいいところを見つけてそこを伸ばして、“あそこは負けるけど、ここは勝ってるやんけ!”ってする方が面白いんじゃないかなって。もちろん全部が成長出来たらいいんでしょうけどね。そういう偏った美意識って結構大事だなって最近思ってて。“他人と同じことをするのはイヤだ”って言いながら人のマネしてたりする人、実は結構多いですよね(笑)。俺も“アイツうらやましー!”とか。言ってるんですけど(笑)」
――『BLURRED ZEAL』(M-3)で、“気付くだけでいいんだ”と歌われています。まさに今言われた通り、説教じゃないんですよね。
「震災の時の支援活動もそうなんだけど、やるとやらないでは大違いですけどそれに対して気持ちがあるかないかも大違いで。気持ちはあるけどなかなか行動に出来ない人もいるし、支援活動をやってる人がエラいとかではない。“困ってる人たちは大丈夫かな”とか、“被害があったところは大変やろうな”とか、気付くだけでも、思ってるだけでも全然ええことやって。“自分は何も出来てないし”って卑屈にならんでもええのよってことです。震災直後から支援活動をやった人は他の人に押し付けること無くその活動をやる方が多かったんですけど、震災から半年経ったぐらいから支援活動を始めた人に対しては、何もしてない人が“今さらやり始めて”みたいに言うような空気も感じた。でも、実際に支援活動をしてる人は“今からでもいつからでも全然かまへんから、何かやろう!”って言ってくれるんですよね。自分が正しいと思ったことをやればいい。それに対して揚げ足をとる人がいる中で、いかに自分の価値観でやり切れるかっていう精神的な強さも必要ですよね」
――『WE UNITE』(M-5)、『FAITH』(M-8)はライブでは一緒に歌いたくなりますね。レイザーズのライブでは、みんなめちゃめちゃ歌ってますもんね。
「やっぱりパンクロックのいちばんいいところはコーラスのシンガロングやと思う。僕はもともと日本のハードコアのバンドが好きで、その中でもビッグコーラスを取り入れてたバンドが好きで、それはレイザーズの初期から意識してましたね。『WE UNITE』もそんな曲で、去年8月に広島であった豪雨の土砂災害の復旧支援団体『SAVE THE HIROSHIMA』が主催するライブで弾き語りをやらされた(笑)時に出来たんですよ。“弾き語りはしたくない”って思ってたのにやることになって(苦笑)。ユニコーンの曲とか練習してみたんですけど自分的に全然ダメで、でも自分の歌だったら下手でも気持ちが込められると思って、思いついたメロディーで作ってみたのが『WE UNITE』のサビで。“この日のために作ってきたぜ”と言いながら歌ったんですけど、曲のマテリアルとしてはすごくいいし僕の好きなシンガロングもあるし、そのライブ後すぐにKRASH(dr)君と2人でスタジオに入って曲の形にしていって。『START TODAY』、(M-7)、『素晴らしいPUNK』(M-16)もそのやり方でしたね。このアルバムの中で一番メロディーがしっかりその3曲が、実は最後のほうにポコポコ出来てきて。これまでは、とりあえず僕が思いついたアイディアをパソコンで作ってたけど、この3曲は曲の原型をスタジオでドラムと合わせながら作っていったらすごくスムーズで。無駄な時間が減るというか、カッコよければ“それ採用!”、いまひとつだったら不採用(笑)っていう判断も速くて。他のメンバーの反応も良くて、イエスかノー、アリかナシかの判断が速かったですね。“この曲いいね!”とか、“この曲はココを変えたらどう?”とかのやりとりもポンポン出来て」
――『素晴らしいPUNK』(M-16)、『WE ARE RAZORS』(M-17)と続くラスト2曲の流れもグッときます。『素晴らしいPUNK』はレイザーズ自身を歌った曲と受け止めましたが。
「いやいや『素晴らしいPUNK』はユニコーンのパクリですよ(笑)。さっきの広島の弾き語りの為に『素晴らしい日々』を練習してて、“素晴らしい”って言葉がいいなと思ったんですね。たぶん若い頃だったら“素晴らしい”って言葉はちょっと恥ずかしいしカッコ悪く感じた気がするんですけど、今何かに対して“素晴らしい”って言えることがいいなって。これまで自分ではあんまり使ってなかった言葉だと思うんですけどね」
――“完全無欠のパンク&ロール”“IT’S MY GASOLINE FOR MY LIFE”と歌われている『素晴らしいPUNK』はレイザーズの姿がダブります。あの曲が始まると何故か感極まるものがあって。
「『素晴らしいPUNK』でラストっぽい雰囲気がありつつ、その後にもう一曲“イエー!”って『WE ARE RAZORS』が始まるのが熱いんだけど妙に切なくていいなって(笑)。何だろう?GET UP KIDS感というか。曲調は全然違うけど、走りながら大泣きしてる感じがあって」このラスト2曲の流れは我ながら秀逸かと。
ここに来て1番元気な、めちゃめちゃ速いヤツが今回出来ちゃった
――『A.P.T.N』のミュージックビデオも4人のスーツ姿がイカしていてカッコよかったですね。
「前作から5年7か月も経ってるし、一度リセットする意味も込めて“ここはスーツでビシッといかなアカン”って言いながら着ました(笑)。だから、“大変長らくお待たせしてしまってすみませんでした”っていう意味のスーツだったんですけど、でも着こなし方が全然パリッとしてないし、そんな雰囲気になってない(笑)。ただあのMVは“カッコよかった!”ってすごく好評で。これまでMVで“映像の迫力があってすごいね”とか言われたことはあったけど、カッコイイという声はあんまり聞いたことがなかったから、これまでレイザーズがやってたことをいい意味でポンと超えてリニューアル出来たMVになったなぁって感じはしていて」
――パンクという音楽自体に短命な印象があるんですが、レイザーズの4人は今のメンバーで10年、バンドとしては来年で20年になるわけで、『A.P.T.N』のMVを観ながら、年齢的にも大人の4人が自分たちの好きなことをむちゃくちゃ楽しんでやっている姿に改めて感じ入るものがありました。
「そんな空気が出てました?(笑)。ありがとうございます。そんな意図はなかったんですけど、真面目かどうかは置いといて自分たちがしっかりしてないとバンドは長く続けられないですからね。アルバム2、3枚ぐらいならアイディアだけで、バンドの調子がよければ勢いだけで行けるのかもしれない。ガーッとやってパッと辞めるバンドもいれば、1回沈んでからもう1回浮上してくるバンドもいるし。そう考えると、やっぱり気持ちとか音楽に関係する活動すべてにおいてしっかりしてないと、ダメですね。レイザーズが4年目ぐらいの時にガーゼと対バンさせてもらったことがあって、打ち上げでベースのシンさんに“とりあえず10年やれ。10年やんないといろいろ分かんないわ”って言われたんですね。その時僕らはあと1年で結成5年目ってところで、“やっと5年か”って気分やったから、“10年なんてバンドやってないやろう”と思いながら“ハイ”って言ってて。けど、結局その言葉は自分の中に残ってて、10年経った時に“あぁ10年続けれたなぁ”と思ったし、“もう10年やってみようかな”と思えましたしね」
――そうだったんですか。
「オリジナルメンバーは僕だけですけど、こういうバンドで同じメンバーで10年やってる人たちもそんなに多くないですね。もう、さすがに似たような曲しか出て来ないはずなんやけどなぁ(笑)と思いながら、“まだ出てくるのか!?俺スゲェなぁ!”っていう瞬間が今回のアルバムでもあって。あとは、PIZZA OF DEATH RECORDSに入ったのも大きかったですね。日本一のパンクレーベルだし、僕らは`03年に初めてPIZZA OF DEATHから『RAZORS RISING!!!!』を出したんですけど、当時は『AIR JAM』の影響も大きかったし、そういう中でチャラチャラやってたらダメだというのも自分の中にあって。カラ回りしたこともあったと思うんですけど、そういう事も含めてPIZZAだったから長くバンドを続けられたというのも確実にあると思います」
――最初にバンドを始めた頃は、10年、20年先のことなんて考えてなかったですか?
「いやもう全然で、“7インチを出せたらもう満足”みたいな感じ(笑)。自分がどんだけいい曲書けるかなんてわからないし、音楽理論も知らないし、ギターもろくに弾けない俺がギターを弾きながら作る曲なんでね(苦笑)」
――ガーゼのシンさんが言われたみたいに、今ケンジさんが若手のバンドに何か言葉をかけるとしたら?
「若手と言われてるバンドでも10年ぐらいやってるバンドもあって。でも年数はさておき、“いい曲を書け”ですよね。あと、自分たちが理想とするライブとかもあると思うんですけど、それを本当に真剣になってやるかどうかですよね。人のバンドを観るといいなと思うところが出て来て、マネしたりもするけど、結局マネでは身につかないし、やってみたところでそこそこなものにしかならないんですよね。自分が本当にやりたいことがあるかどうか、それをやるかどうか、ですよね。それがあるバンドは魅力があるし、KING BROTHERSがそうですよね。あれ以前にあんなバンドおらへんかったし、自分たちを貫きながら好き放題やってんなぁって思いますよ。僕らも今回のアルバムで、5年7か月ぶりってこともあって“本当にいい曲を書かないと、もう終わりや”って背水の陣で臨んだところもあって。“今回のアルバムは悪くないけど。でももう次は聴かなくてもいいや”って思われるんじゃなくて、“今回のアルバムめっちゃいい。次のも聴きたい!”ってなるような、そこで説得力を持たせるしかないという気持ちはありました。そこに極端な方向性で望んだんですよ。まさに賭けですよね」
――まさにRAW CARD=切り札ですね。19年目にこれだけ新鮮でワクワク出来るアルバムを作られたこともすごいし、パンクという音楽が根っこに持つ、現状をひっくり返そうという意志や、“こんなんじゃねぇだろ!”という衝動はやはり聴く人を揺さぶります。たとえ思想が違っても、現状を変えたいという意識のある人には響くアルバムだと思いました。
「何党の人でも全然聴けるし、日本人じゃなくたって聴けば何か感じるかと(笑)。震災後に自分が何をしたいのか分からなくなる時期もあったけど、SDFをやる事によって、自分の好きなものややりたいことが明確になったし、自分が思ってた以上に楽しい景色が作れたことも自信になりましたね。それがなかったら、ここまで芯の強いアルバムが出来てなかったかもしれない」
――歌詞の言葉もこれほど強くなかったかもしれないですね
「でしょうね。“それ、言い過ぎやろ?”って言葉も使ってるけど、それが良かったりして。“この大根役者め!”とか“こざかしいわ!”って普通言わないでしょう?いつの時代の人や。ギャグかっていう(笑)。それと、これは実際に話したわけではないけど、たぶん他の3人も“あと何年バンドをやれるかな?”って思いながらやってると思うんです。体力的な面もそうやし、曲がよくなかったらやってても楽しくないだろうし、“もう、いいか”って思っちゃう時が来るかもしれない。特に一番アナログで大変なのがドラムとボーカルで、歳を取ればとるほどドラムの音も小さくなるし、叩けてたものが叩けなくなることもある。あのドラムを70歳で叩くなんてあり得ないし、確実に出来なくなる日が近づいてるわけですよね。ただ、やれるまではなんぼでも花咲かせようやって思ってる。レイザーズもどんどんゆっくりな曲になっていけばいいのに、ここに来て1番元気な、めちゃめちゃ速いヤツが今回出来ちゃったんで(笑)」
――アハハハ!!
「もう、ライブが超めちゃめちゃシンドイんですよ。新曲が(笑)。自分が書いたんですけど、速くて、自分で自分の首を絞めるっていうハードコアならではなことになってるっていう(笑)。対バンのバンドに“レイザーズの勢いがスゴすぎてお客さんが付いてこれてないですよ”って言われて(笑)。それもわかってたし、お客さんを拒絶してるわけじゃないんですけど、確かにお客さんを突き飛ばすというか“暴れさせへんぞ”っていうぐらいの爽快さもあると思います。みんなで盛り上がってた方がいいんでしょうけど、暴れないでジッとして聴いててもいいし、僕自身も腕組みしてじっくりと聴いてた時のライブのほうが印象に残ってることもありますから」
――11月22日(日)岡山CRAZYMAMA2から『RAW CARD TOUR 2015~2016』が始まります。大阪はファイナルの2月28日(日)BIGCATですね。
「BIGCATは2ステージ作ることも考えていて、まだいろいろ練っているので楽しみにしていてほしいですね。『RAW CARD』を聴いていない人は試聴してみて、どれか1曲でもいいなと思う曲があれば、きっと全部好きになれると思う。是非1枚通して聴いてみてほしいし、是非ライブで会いましょう!」
text by 梶原有紀子
(2015年12月 2日更新)
Album
『RAW CARD』
発売中 2190円(税別)
PIZZA OF DEATH RECORDS
PZCA-75
<収録曲>
01.A.P.T.N
02.RAW CARD
03.BLURRED ZEAL
04.AMERICAN DOG
05.WE UNITE
06.CRAZY CONFUSE
07.START TODAY
08.FAITH
09.CREATE ONE
10.GET THE PUNK OUT
11.KILLED BY MOSH
12.THRASH IT UP
13.YELLOW MINORITY
14.MACHINE
15.NINJAH MOSH
16.素晴らしいPUNK
17.WE ARE RAZORS
レイザーズエッジ…写真左からTAKA(g)、KRASH(dr) 、KENJI RAZORS(Vo)、MISSILE(b)。`96年に大阪で結成。初期からの超スピーディーで荒々しいハイテンションなハードコアサウンドを背骨に、これまでリリースする作品ごとに様々な音楽性を取り込みスラッシュ、ハードコアの可能性を広げてきた。`98年に初の7インチ作品『THRASH MARCH e.p.』を発売。`00年に1stアルバム『THRASH ‘EM ALL!!』発売。`02年に現メンバーのMISSILE(b)、KRASH(dr)が加入。`03年4月に2ndアルバム『RAZORS RISING!!!!』をPIZZA OF DEATH RECORDSより発売。`05年にTAKA(g)が加入し現在の布陣となる。`06年に10周年記念盤『SWEET 10 THRASHERS』をリリース。その後『FUJI ROCK FESTIVAL』や『RUSH BALL』、『GOING KOBE』、『RISING Sun ROCK FESTIVAL』など毎年、数々のフェスに出演。`11年に15周年記念盤『FUCKED UP!』をライブ会場限定で発売。`13年6月に大阪アメリカ村のライブハウス3会場を舞台に全21組が参加したサーキットイベント『STORMY DUDES FESTA』を主催。大成功に終え、8月にはF.I.B、MEANINGとともに共催した無料野外フェス『YOUR FESTIVAL 2013』を岩手県陸前高田市で開催。今年10月に、5年7か月ぶりとなる6thアルバム『RAW CARD』をリリース。KENJI RAZORSはレーベル、THRASH ON LIFE RECORDSを主催し、KRASHはshining april records、TOUGH&GUY RECORDSを主催する一方、心斎橋のライブハウスPangeaを運営。TAKAはストリートパンクバンド、BURLでも活躍と、バンド以外にも精力的に活動中。
RAZORS EDGE オフィシャルサイト
http://razorsedgejapan.com/
『RAW CARD TOUR 2015~2016』
【横浜公演】
▼12月12日(土)F.A.D YOKOHAMA
[共演]OVER ARM THROW/RADIOTS
【千葉公演】
▼12月13日(日)柏ALIVE
[共演]DEEPSLAUTER/THRH/FRIDAYZ
【山形公演】
▼1月9日(土)酒田hope
【宮城公演】
▼1月10日(日)仙台BIRDLAND
【千葉公演】
▼1月16日(土)千葉LOOK
【群馬公演】
▼1月17日(日)前橋DYVER
【福岡公演】
▼1月23日(土)博多Kieth Flack
【広島公演】
▼1月24日(日)広島4.14
【東京公演】
▼2月20日(土)下北沢SHELTER
【愛知公演】
▼2月21日(日)名古屋HUCK FINN
※詳しい情報はオフィシャルHPにて
『RAW CARD TOUR 2015~2016
TOUR FINAL in OSAKA』
12月19日(土)一般発売開始
Pコード282-907
▼2016年2月28日(日)16:00
BIGCAT
スタンディング3300円
[共演]HAWAIIAN6/SPREAD/
Dizzy Sunfist/milkcow/THRH/他
SMASH WEST■06(6535)5569
ライター・梶原由紀子さんからのオススメ!
昨年初めて行った『STORMY DUDES FESTA 2014』が楽しくてしょうがなかった。タイムテーブルを手にアメリカ村のライブハウスを行き来し、いくつものバンドに出会えた。EDGE OF SPIRITの圧倒的な存在感に震え、ダイブするKING BROTHERSのマーヤをフロアで丁重に運び、LOSTAGEで人知れずグッと拳を握る。赤犬のムード歌謡に酔い、他にもDEEPSLAUTERやmanchester school≡やFRIDAYS等々、日本中のキレたパンクバンドがアメ村に集結する年に一度の日が『STORMY DUDES FESTA』だ。トリを飾ったレイザーズのライブでは、一日の疲れをまったく感じさせないお客さん達のモッシュや歌声、歓喜の叫びがすさまじく、そのとてつもなくムチャクチャで幸福な光景が今も目に焼き付いている。『RAW CARD』の素晴らしさは、そのライブの興奮や熱量が瞬時に甦るほど、アルバム全体にほとばしっているところ。ライブの場で燃え尽きてなくなるモノではなく、現状を変えたいと思う気持ちをグイッと引っ張り上げ、首根っこをつかんで前を向かせてくれるような有無を言わせない力強さは爽快ですらある。