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音楽は、人生は、“長さ”ではなく“濃さ”だ!
ムッシュかまやつ×KenKen×山岸竜之介が目指す“意味のある音楽”
年の差60歳の奇跡のファンクアルバムを首謀者KenKenが語る
LIFE IS GROOVE『Generations』インタビュー&動画コメント

 RIZEやDragon Ashでのプレイを筆頭に超絶ファンクベースで多忙な活躍を見せるKenKen(29歳)を中心に、5歳でTV出演し天才ギタリストぶりを発揮した山岸竜之介(16歳)、日本のロック黎明期から活躍するムッシュかまやつ(76歳)という年の差60歳(!)の3人が集って結成された、LIFE IS GROOVE。すでに国内外のフェスなどに出演して話題を集めてきた彼らが、太いファンクのグルーヴと音楽愛に満ちた初のアルバム『Generations』を発表すると共に、11月16日(月)にビルボードライブ大阪に登場する。ルーツに根差した音楽の強さを再認識させるアルバムと、韻シストらも迎えてのライブについてKenKenに語ってもらった。

 
 
自分のことよりも竜之介を
どう世の中にちゃんとパッケージして見せるかを熱心に考えてきた
 
 
――まずはこの年の差60歳の3人で活動することになった、いきさつから聞かせてもらえますか?
 
「自分もソロではドラムもベースも全部1人で演奏した作品を作っていたんだけど、何かこう“意味のある音楽”がしたいなと最近はずっと考えていて。“何をするか”じゃなくて“誰がやるか”みたいな話なのかなと、そちらの方に重点を置くようになってきたときに、一番年下の友達の竜之介と一番年上の友達のムッシュが、会う度に同じような話をしてることに気が付いたんですよ。どちらもピュアに音楽をやってる人の意見というか、何にも媚びを売らずに曲げずにやってきた数少ないホントの音楽家で、しかもちょうど60歳年が違うこととかにも、意味を感じたんですよ。これは初めて音楽が一周したのかもしれないって」
 
――細かい世代の違いよりも、もっと大きな音楽のサイクルみたいなもの?
 
「“世代”とか“ひと回り”とかはよく言うけど、ホントの一周というのは60年くらいというか。まだ誰もバンドをやっていない頃にそれを始めていろんなものを切り開いてきたムッシュがいて、そのロックンロールの遺伝子が3~4世代分くらいかけてブワッと広がって、最初からもうノー・セックス・ノー・ドラッグでロックンロールが出来ちゃう竜之介みたいな世代が出てきたんだと思うんですよ。9歳の竜之介と初めて大阪のライブハウスで出会って一緒に演奏したときに、“何でそんなこと出来んの?”とか“何でその感覚分かるの?”とか、練習しただけじゃ分からないことも空気として最初から持って生まれた子が出てきたと感じたし、この子が正当に評価されなかったら=オレらも評価されないってことだと、ずっと思ってた。自分も15~16歳の頃からステージに立ってきて、若いことがコンプレックスだった時期が長かったから、この子には絶対にあんな想いをさせたくないという気持ちが強くあったし、彼に出会ってからは、自分のことよりも竜之介をどう世の中にちゃんとパッケージして見せるかを熱心に考えてきた。そこで2人が同じようなことを言ってるから、いきなりリハもなしで大阪のライブハウスのステージ上で会わせてみたんですよ。そしたら、やり始めた音楽はファンクだったし、ムッシュが竜之介のギターソロを聴いた瞬間にステージ上で土下座したり(笑)。ムッシュともこれはすごい子が出てきたねという話になったのを覚えていますね」
 
 
どの時代のどんなジャンルか分からない音楽を作りたかった
 
 
――LIFE IS GROOVEは年の差をおもしろがった単なる企画モノなどではなく、音楽的にピュアに共鳴するものをKenKenさんが見抜いたからこそ生まれた組み合わせなんですね。
 
「この初のアルバム『Generations』も2年半くらい時間をかけて丁寧に作ったし、出す時期に関しても、いつがベストかをすごく考えましたね。去年だとまだちょっと早かったんだけど、ダフト・パンク辺りがちゃんとファンクな音をやり出してくれて、世界的にも流れがきてるなと思えたところで出せたのもよかったですね。タイトル曲の『Generations』(M-2)のように、ラジオでかかったときにどの時代のどんなジャンルか分からない音楽を作りたかったというか。日本語のラップが入ってきたかと思えば英語に戻るし、アルバム全体としてはいろんなファンクのいいところが収められたかなと。パーラメントもあればスライやタワー・オブ・パワー、もっと泥臭いファンクバンドの要素も入ってると思うし」
 



――最近の日本の新録アルバムで、ここまでファンクのグルーヴを強く感じさせる作品は久しくなかったなと感じました。加えて、派手なソロパートは竜之介くんに委ねながらも、随所に渋いリフやバッキングを差し込んでアンサンブルに柔軟さと深みを持たせているムッシュという、2人のギタリストの個性の対比もおもしろい。
 
「オレはムッシュを“マスター・ヨーダ”だと思ってるんだけど(笑)、動いてないけど隙がなくて、どこからも打ち込めないというか。ムッシュはオレたちがガーッと作り進めていく中で、隙間にカッと音を一発入れたりするだけなんだけど、そのセンスがすごいんですよね。オレらがもう隙がないと思っていたところに隙を見付けて、そこをしっかり埋めてくれたり。あとは、ムッシュのギターが入った瞬間に、急に70年代の空気感が出てきたり。それはもうテクニックとかではなくて、その時代の空気を知ってる人だけが出せるものだと思うし、オレも竜之介には90年代のいい空気を教えたいと思って演奏してるので、それが混ざり合っていつの時代の音楽か分からない独特の空気感が生まれたんだろうなと。この作品を作りながら実感したのは、音楽において大事なのは“長さ”ではなく“濃さ”ということ。長いからこそ濃いムッシュのような人もいれば、竜之介のみたいに長さに匹敵する濃さを作ることの出来る人もいて、そんな2人のやりとりを見ていると、“音楽の真理”を見ちゃったような気すらしたんですよね」
 
 
ビルボードやブルーノートは
プレイヤーとして認められる実力がないと出られない場所だと思ってる
 
 
――そして、11月16日(月)にはビルボードライブ大阪にて、アルバムにも参加している地元の韻シストの面々や、KenKenさんの母でもあるシンガーの金子マリさんも交えて、待望のワンマンライブが行われます。
 
「オレたちがビルボードライブやブルーノートでライブをするとなると、例えば普段はDragon Ashとかが好きな子が、ちょっと親孝行みたいな感じで、“いつもはライブに連れて行けないけど、一緒にご飯を食べながら私の好きな人たちを観に行ってみない!?”と誘える特別な日にすることも出来るし、そういうときにムッシュがいると、親御さん世代も安心して観にきてくれたりするんだよね。それってすごくありがたいことだし、ムッシュが今までにやってきたことに対する信頼があるからこそだと思うし。もちろんライブハウスも好きだけど、ビルボードやブルーノートはホントにプレイヤーとして認められる実力がないと出られない場所だと思ってるし、竜之介をこうした形で地元の大阪に連れて帰ってこれることも嬉しいですね」
 
 
Text by 吉本秀純



(2015年11月12日更新)


Check

Movie Comment

まいど~(笑)。グッドヴァイブな
KenKen(b&vo)からの動画コメント!

Release

韻シスト、タブゾンビ、田中邦和らも
参加の1stにして傑作ファンクロック盤

Album
『Generations』
発売中 2800円(税別)
TENSAIBAKA RECORDS
LIGCD-001

<収録曲>
01. PARTY ON
02. Generations
03. Brain Food Mama
04. 心の闇を照らせ
05. Glad to meet you –feat. 韻シスト-
06. Today's Song
07. ゴロワーズを吸ったことがあるかい
08. 宴の唄
09. つぼみ

Profile

ライフ・イズ・グルーヴ…写真左より、ムッシュかまやつ(g)、KenKen(vo&b)、山岸竜之介(g)。スーパーベーシストKenKenを中心に、5歳のときにTV番組で天才ロックギタリストとして取り上げられて大きな話題を集めた山岸竜之介、ムッシュかまやつの3人が世代を超えて結成。『SUMMER SONIC』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL』など大型野外ロックフェスなどでも強烈なステージを繰り広げながら、11月11日には初のアルバム『Generations』を発表。この秋には台湾公演も成功させ、真の意味でジャンルや世代を超えたファンクロックを実現させている。

LIFE IS GROOVE オフィシャルサイト
http://www.lifeisgroove.com/


Live

韻シストや金子マリらと東名阪ツアー
ビルボードライブ大阪公演が間もなく

 
『LIFE IS GROOVE TOUR“Generations”』

【名古屋公演】
▼11月15日(日)名古屋ブルーノート

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード276-205
▼11月16日(月)18:00/21:00
ビルボードライブ大阪
自由席6900円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※カジュアル エリアは取り扱いなし。未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴­が必要。

【東京公演】
▼11月21日(土)ブルーノート東京


Comment!!

ライター吉本秀純さんからの
オススメコメントはこちら!

「自身も“早熟の天才プレイヤー”として世に出たからこそ、その苦悩もよく知るKenKenの想いと、音楽に対する愛情が生んだと言えるスーパートリオ。情報過多になった時代の中での音楽の豊かな“ルーツ”に対するリスペクトの大事さを見直し、ファンクを軸にロック、ブルース、ヒップホップに宴会ソング(!?)までも呑み込んだ、生気に溢れたグルーヴを高らかに鳴らすLIFE IS GROOVEは、忘れていた音楽に対する“熱さ”をあらゆる音楽ファンに再認識させてくれるはず。ライブ当日は、大阪を拠点に生演奏ヒップホップを追求し続ける韻シストの好サポートにも注目!」