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「お客様もファミリーの一員になったつもりで!」
北島ファミリーが集うコンサートも目前!
演歌歌手、山口ひろみにインタビュー!

演歌界きっての実力派が揃う北島ファミリーの中でも、力強い歌声で注目を集めている山口ひろみ。近年ではじっくり聴かせる大人の歌い手としても着実にキャリアを積み重ね、「浪花節だよ人生は」などで知られる四方章人氏作曲の新曲「女の残り火」では、その実力を存分に開花させている。今回は新曲制作のエピソード、8月に開催される北島ファミリーコンサートの見どころから、6月26日に行われたバースデーライブの模様まで、今、注目すべき演歌歌手・山口ひろみの魅力をたっぷりとお届けする。

--今回は、新曲『女の残り火』のお話と共に北島三郎さんへの弟子入りや、北島ファミリーの内側についてのお話も伺いたいと思います。まずは、子どもの頃、歌手を目指し始めた頃のことを教えてください。

私のルーツを遡ると、今は亡き母と叔母が若い頃、姉妹で三味線やアコーディオンを使った音曲漫才をしていたんです。さらに祖父と祖母も浪曲や民謡をやっていたので、その影響もあってか歌は昔から大好きでした。でも、母は女手一つで私を育てて苦労したこともあり、学校を卒業したらすぐに働いて良い人を見つけ、お嫁に行くことを願っていました。私もその思いに応えたかったので、歌手になるなんて考えもしませんでした。

--その思いが変わったのはいつ頃から?

大学に入ってからですね。そもそも我が家は大学に通える経済状況ではなかったのですが、高校の先生が「学費も安いし将来に役立つから」と勧めてくれた大学を受験したところ合格。入学すると周囲にはいろいろなジャンルで夢を追っている人がいて、その中で自分はやっぱり歌が好きなんだなって再認識したんです。

--北島さんへの憧れは子供の頃から?

母が、男性歌手なら北島師匠、女性歌手なら美空ひばりさんが絶対という人だったので、私も自然とお二方が好きになりました。あと、子供心に山本譲二さんがふんどし姿で『みちのくひとり旅』を歌っていたのが、すごくカッコいい!と思っていたので(笑)、私にとっては「演歌=北島ファミリー」でした。弟子入りのきっかけは、大学に入って1年ほど経った時に、カラオケ大会で知り合った方が師匠となじみがあり、「サブちゃんが好きなら会ってみるか?」ということで梅田コマ劇場(現・梅田芸術劇場)の楽屋に連れて行ってくださったんです。私としては、もうその場で弟子入りをお願いしようと思い、実際に言ったのですが断られてしまって。その後、別の機会で知り合った奥様を介して師匠から「大学を卒業したら東京に出てきなさい」と言っていただいたのですが、卒業まで待てなかったことに加え、先生方が非常に理解があり、特別な措置として3年ですべての単位を取得して北島師匠の元へ行かせてくださいました。

--実際に入門して、中から見た北島ファミリーについて、どのような印象を持たれましたか?

歌手だけでなく北島音楽事務所の社員さんも含めて、みんなが文字通り家族のような絆で結ばれているなと思いました。師匠も、弟子のことはとことん面倒を見ると腹を据えてらっしゃるので、私たちもずっと付いて行きたい。それはファミリーから卒業された方々も同じで、お仕事の現場で譲二さんにお会いすると、やっぱり今でも「北島ファミリーの長男!」という気持ちになるし、すごく安心するんです。あと、私に関しては、修行中に実の母が亡くなったことを境に師匠や奥様、ファミリーとの関係がすごく深くなったと思います。

--修行中のエピソードで印象に残っていることなどは?

入門した年のクリスマスに、師匠が弟子やお孫さんたちのためにプレゼントを買いに出かけられたんですけど、なかなか帰って来られなかったんです。やっと戻られて、後で聞いたところ、私が小柄で合うサイズの服がなかなか見つからず、探し回っておられたとのこと……。まさか入門間もない私のために、そんな気を使ってくださるなんて夢にも思わず、言葉にならないぐらい感動しました。百貨店のお客さんも、師匠が婦人服売り場で悩まれている姿を見て、たいへん驚かれたとは思うんですけど(笑)。その時にいただいたカーディガンは今でも大切にしています。翌年には大学の卒業式があって、師匠の座長公演をお手伝いしていたんですけど、せっかくだから行って来いと1日お休みをくださったんです。お金もなく、成人式でも着物を買わなかったので普段着で行こうと思っていたところ、奥様が「ちょっと待ちなさい」と娘さんの着物と袴を用意してくださって。本当にありがたかったですね。

--ここで新曲『女の残り火』のお話も。近年、マイナー調の作品を中心に発表されている山口さんですが、本作は、ひときわそのテイストが強くなりましたね。

私、デビュー当初は師匠から、「元気だけど声や節回しはマイナー調に向いている」と言われ、方向性に悩んだこともあったのですが、師匠やスタッフの皆さんとご相談させていただき、若いうちは勢いのある作品で頑張って、徐々にしっとりしたマイナー調の作品も歌っていこうとなったんです。今回は、2006年の『陽だまり坂』からお世話になっている作詞家・麻こよみ先生が主導で制作されたんですけど、麻先生の中では、初めてお会いした時からずっと、いつか私にマイナー調のメロディーで幸の薄い女性像を歌わせたいという思いがあったそうです。それもあって、私の作品の中でもダントツに薄幸な主人公が誕生しました(笑)。カップリング曲『霧の港町』もまた薄幸で、手紙だけで別れを告げられたり、最後まで「いいことなんて何もなかった」と言っているぐらいです(笑)。

--苦戦された部分などは?

レコーディングでいちばん時間をかけたのが、歌いだしの「○○でしょうか」の部分。曲の印象を大きく左右する部分なので、ここをどのように表現するか先生方と話し合って、いくつものパターンで歌ってみました。同じ箇所でも1番~3番で強く押し出す部分も少しずつ違ってくるので、今でも歌っていて難しさを感じます。

--ここ数作でマイナー調作品へのシフトも軌道に乗ってきていると思いますが、それと同時に歌唱表現で変化したことなどはありますか?

今年ついに40代を迎えて、これまで以上に歌詞の言わんとすることがダイレクトに分かるようになってきました。昔は背伸びをしながら歌っていた部分もあって、そのギャップが心地よくもあったんですけど、今では歌詞を理解できてイメージを描く手数が減った分、“歌い手”ではなく“歌っているだけの人”になってしまう危険性が出てくるんですよね。そうなると自分の感情が前に出過ぎたり、聴いてくださる方がドラマを描きにくくなるので、最近は自分を俯瞰のカメラで見ながら、冷静に歌詞の内容を伝えるように心がけています。

--最後に、8月22日に開催される北島ファミリーコンサートの見どころを教えて下さい。

これまで、ファミリーの中から男女二人のペアという形でコンサートを行うことはあったんですけど、みんな揃うことはなかなかないので貴重な機会ですよ! 出演者である原田悠里さん、北山たけしさん、大江裕君、そして私の4人は、個性もまったくバラバラですが、このメンバーでしか生まれない空気感が確実にあるので、演歌界でも唯一無二な北島ファミリーの世界をぜひ、生で体験していただきたいです。というか、お客様もファミリーの一員になったつもりで楽しんでいただきたいですね。あと、うちの事務所はギリギリまで構成を練ることが多いんですけど、今回も、まだ内容は吟味中です。それに、決まった構成があっても、みんなが思い思いにアドリブを入れるから、当日のことは本当に予測不可能。昼の部と夜の部でやっていることがまったく変わる可能性もあるので、気になる方は、ぜひ、どちらの部も遊びに来てください(笑)!




ライブレポート「山口ひろみライブ~祝☆新曲発売&誕生日~」
2015年6月26日 大阪・大丸心斎橋劇場


山口ひろみが、新曲『女の残り火』の発売と自身の誕生日を祝してワンマンライブを開催。会場の大丸心斎橋劇場には、ファンはもちろん、出身地である天下茶屋からも学生時代の恩師や友人など、なじみの人々がかけつけ、温かな空気が会場を包み込んでいた。

P6260057_.jpg開演時間を迎え、鮮やかなブルーの振りそで姿で登場した山口は、まず新曲をじっくり聴かせ、「みなさん、ただいま!今日は遠方からもたくさんの方が来てくださって感謝しています!」とあいさつ。続く『知床番屋』では、勢いのある曲調に乗せて客席からの「ひろみ!」コールが炸裂し、早くも最高の盛り上がりを見せた。

奈良県・柳生の里のPRソング『柳生音頭』では柳生地区自治連合会のメンバーによる柳生社中が登場。山口の歌に踊りで華を添え、その後は新曲のカップリング『霧の港町』、メドレー、前作『女の夜雨』、そして、山口にとっては特別な1曲という師匠・北島三郎作曲(原譲二名義)による『その名はこゆき』で第1部を終了。

休憩を挟んで始まった第2部は、山口のボイストレーナーを務める加藤修子氏がピアノで参加する、カバー曲を中心としたアコースティックコーナー。第1部とは打って変わって真っ白なドレスをまとい、渡辺真知子の『かもめが翔んだ日』、久保田早紀の『異邦人』などニューミュージックの名曲で、普段、演歌で聴かせる歌声とは違った魅力をのぞかせた。続けて、越路吹雪の『ろくでなし』、北島三郎の『兄弟仁義』、美空ひばりの『みだれ髪』など、偉大な先人たちの名曲を3曲続けて披露。中でも『兄弟仁義』は、北島自らが「俺のカバーをするなら、これが合っているぞ!」と山口のために直々に選曲していたことを明かし、テレビドラマ『裸の大将』の主題歌『野に咲く花のように』では、手話を交え、サビ部分の手話を客席にレクチャー。「みんなで楽しみみたい!」という山口の希望を実現させた。堂曲を歌い終えると、加藤氏のピアノと歌のリードにより、会場一体となって山口のために「ハッピーバースデー」を合唱。バースデーケーキが登場し、客席からは「おめでとう!」の声が飛び交う中、山口も満面の笑みを見せた。


P6260073_.jpg終盤、母が子守唄代わりに歌ってくれていたという『悲しき子守唄』をしみじみ聴かせると、「今日は、亡き母と叔母も会場のどこかで見守ってくれていると思います……」と、二人と過ごした日々を思い出し涙ぐむ場面も。エンディングは、ミュージカル『ミス・サイゴン』の劇中歌である『命をあげよう』。圧倒的な歌唱力で高らかに同曲を歌いあげた山口は、満場の拍手に送られてステージを後にした。

アンコールではオリジナル曲から、関西弁の歌詞が印象的な歌謡ブルースナンバー『年上の女やけれど』、そして再び新曲を熱唱しライブを締めくくった。

(インタビュー・レポート/伊東孝晃)

(2015年8月 3日更新)


Check
山口ひろみ
やまぐちひろみ●1975年6月2日生まれ、大阪市出身。2002年にテイチクエンタテインメントより『いぶし銀』でデビュー。2002年、第11回「東京板橋新人音楽祭」最優秀新人賞、「ALL JAPAN リクエスト アワード」(旧・全日本有線大賞)新人賞をそれぞれ受賞。2009年、『春は桜の夢が咲く』のc/w曲『歌謡組曲 おんな神輿歌』が日本レコード大賞編曲賞を受賞。趣味はホットボクササイズ、ホットヨガ、サッカー観戦。尊敬する人は北島三郎。好きな言葉は「笑って暮らすも一生、泣いて暮らすも一生」

Release

シングル『女の残り火』

発売中 1204円+税
TECA-13602

カセット
発売中 1204円+税
TESA-13602

<収録曲>
1.女の残り火
2.霧の港町
3.女の残り火(オリジナル・カラオケ)
4.女の残り火(メロ入りカラオケ)
5.霧の港町(オリジナル・カラオケ)

   

DVD付きシングル

発売中 1389円+税
TECA-15609
<DVD特典映像>
1.女の残り火 ミュージックビデオ
2.作曲家と山口ひろみの歌唱レッスン

北島ファミリーコンサート

発売中

Pコード:258-317

▼8月22日(土) 13:00/17:00

神戸国際会館こくさいホール

S席-6000円

A席-5000円

[出演]原田悠里/北山たけし/山口ひろみ/大江裕

※未就学児童は入場不可。

[問]神戸国際会館こくさいホール
[TEL]078-231-8162

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Movie Comment

テイチクレコード・南部義治さんがレコメンド!

 私が今の会社に入社して社会人として駆け出しの頃、はじめて歌手の方と一緒にラジオ局やCDショップに同行したのがひろみさんでした。
その当時の私の営業担当エリアが京都だったのですが、新人だった私はひろみさんにお会いする前、大阪から京都までの電車移動の中でとても緊張したことを覚えています。ですが、お会いしたらその緊張も一転。ひろみさんが敢えて僕の好きな趣味のお話などを電車の移動中にして下さったり、ラジオ番組では「今日は新入社員の子が来ているんですよ~」といったご紹介までして頂き、ひろみさんのその心配りが大変嬉しく、4年以上経った今でも色あせず思い出として残っています。
 ひろみさんは私の大学の先輩でもあります。きっとこれも何かの縁なのだと思います。今年は新曲「女の残り火」でキャンペーンなど早速お世話になっておりますが、担当エリアは変われどもセールスとしてこれからも先輩ひろみさんの曲を一人でも多くの方に聴いて頂けるよう売り込む所存です。