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「僕はこの作品と一緒に年をとりたいと思ってるんです」
終わらない思春期を描き出すソリッドブルーのギターサウンド
1人の声がみんなの音楽になる1stアルバム『Sekirara』
ジョゼ全員インタビュー&動画コメント

 孤独で弱い心の内側を見つめ、聴き手に話しかけるような言葉がリフレインする『Gravity Sky』に始まり、不器用でカッコ悪い自分をさらけ出し、“僕は君と同じです”と歌う『Biographer』まで全10曲。そこには、今まで以上に“届けるぞ!”と決意した羽深創太(vo&g)の生身の想いが赤裸々に綴られている。そんな1曲1曲を、透き通ったボーカルとキャッチーで爽快なバンドサウンドと共に聴かせる注目の3ピースロックバンド、ジョゼの1stフルアルバム『Sekirara』。新たなステップへと踏み出した今作に至るまでの経緯と込められた想いを、メンバー全員に聞いた。

 
 
そもそもジョゼ自体が僕の成長記録
 
 
――“ジョゼ”って、物語や人間味を感じさせるバンド名ですね。
 
羽深(vo&g)「ありがとうございます。ちょっと新しい見解ですね。確かにヒューマニズムが出てる感じは、今言われて感じました。ホントはみんなが略して呼ぶような長いバンド名に憧れてたんですけど(笑)。バンド名にハッキリとした由来はないんですけど、呼びやすいのとインパクトがあっていいなと。ジョゼは“マイケル”とか“テリー”とは違って(笑)、カタカナで濁音が入っているから、ジャリっとしてる響きがポイントかもしれないですね」
 
――ジョゼの歌には、そんなバンド名にも通じるような痛みや哀しみが芯にあるように感じます。1stフルアルバム『Sekirara』がリリースされたましたが、今作で重視したことは?
 
羽深「今回は“歌”が重点的に聴こえる作品にしたくて。いろんなアレンジの曲が入ってはいるんですけど、最終的には声が一番届くように作り込んだ作品なんです。それは何でかと言うと、今回はメッセージ性が結構表に出ているので、それがより多くの人に伝わればいいなって。そのために、キャッチーですっと聴ける曲を集めたんですよ。ただ、先ほど指摘されたように、痛みを感じるような要素も今まで通り入れています」
 
——元々はこういった作風ではなかったんですか?
 
羽深「最初はかなり伝わりにくい歌詞を書いてたと思うんです。聴いた人が自由に受け取ってくれればいいと思って。物語性を含みつつも、あんまり聴き手のことを意識していなかった歌詞が多かったと思います。『Sekirara』では、今までやってきたような世界観ももちろん引き継いではいるんですけど、バンドを通していろんな人と出会って、気付かなかったことがどんどん見えてきた。そもそもジョゼ自体が僕の成長記録だと思っているんです。そういう中で、曲を書いて、ライブをして、お客さんもちょっとずつ増えていったんですけど、途中から“どうすれば次のステップに進めるんだろう?”って悩んだ時期があって…。『Aquarium』『Nocturne』(‘13)と2枚のミニアルバムを出して、やっぱりたくさんの人に届けないと意味がないなと。それまではちょっとカッコつけて、何となく深いなって思わせるようなものが好きだったんです。でも、次はもっと生身で伝えたい。その頃、前のベースが辞めて一時的に2人になって…。その後、昨年6月に今の吉田春人(b)が入ったのもあって、そこからバンドの状況をもっとどうにかしたかったんです」
 



吉田「僕は元々ジョゼがすごい好きで、ライブもよく観に行ってたし、僕もバンドをやっていたので一緒にライブをしたこともあって、友達だったんです。ベースが抜けるタイミングではぶちゃん(=羽深)から電話がきて、話しをする中で加入することを決めました。それから3人で初めて作った曲が、『Gravity Sky』(M-1)なんですよ。僕もその曲に背中を押された1人なんですけど、『Sekirara』に入っている曲は、羽深創太という歌い手が、聴き手に“お前どう思ってんの?”みたいな想いを素直に投げてくれている。だからこのアルバムには、楽しいとき、すごく寂しいとき、それぞれのタイミングでいろんなことを思える曲がいっぱい詰まってる。特に『Gravity Sky』は、“うん、やってやろう!”っていう気持ちになれる曲で、お客さんもきっとそう思ってくれるんじゃないかな」
 
羽深「『Gravity Sky』は、曲が出来たときに“やった! これで次のステップに行ける”と確信した曲なんです。歌詞に“君もそうだろ?”って書いてますけど、これはほぼ自分に言い聞かせているようなもので。個人的なことを赤裸々に綴って歌詞にしたら届くんじゃないかって思うようになったので、“自分=あなた”っていう仮説を大々的に取り入れたのが、『Sekirara』という作品なんです」
 
 
生意気なままだと成長出来ないなと思った
 
 
――今までの話を聞いていても、『Sekirara』かなりの転機となる1枚ですね。
 
羽深「今作でバンドのカラーは変わりましたね。今までは怖くて出来なかったんですよ。生身の自分をさらけ出すのは、やっぱり勇気が要る。でも、自分がそれをやらないと、みんなも同等な気持ちで向き合ってくれないと思ったんです。あと、サウンド的にも難しい拍子だったり、ちょっとひねったメロディだったり、ポストロックが好きだったので、回りくどい構成の曲が多かったんです。でも、『Sekirara』はアレンジは最大限まで凝っていたとしても、余計なことはしていないと思います」
 
中神(ds)「ジョゼの曲って、クリーンな音で爽やかな印象を与えることが多いと思うんですけど、歌詞は結構グサッとくることを歌っているので。そういうことって、激しいサウンドよりも、意外とこういうキレイな音の中で歌われた方が、人の心に届きやすいのかなと。出来たものを聴くとそう感じますね」
 
羽深「悲しかったり、寂しかったり、辛かったり、そういう感情を美しく捉えるのが好きなんです。狙ってやっているというより、潜在的にそういう志向があるんだと思います」
 
――センチメンタルな感情を、楽曲を通して美しいものに昇華していってるんですね。
 
羽深「もちろん楽しかったり、嬉しかったりすることも好きで、それも美しいんですけど、多分僕がどんなにキャッチーな曲を作っても、影が生まれてしまうと思うんです。例えば、『Gravity Sky』も直球にしようと思ったのに、どこか影があって…。『Biographer』(M-10)も、僕にとってはものすごく普通の曲を書いた印象なんですよ。今までにああいう風に淡々と進んでいく曲はほぼなかったんで、もう真っ向勝負でしたね。もしかしたら、『Gravity Sky』以上に転機になった曲かもしれない。歌詞も分かりやすい言葉を並べているし、“僕は君と同じです”っていう言葉に全てが出てますね。“俺だってカッコ悪いんだから、大丈夫だよ”って伝えたかったんです。僕はよくクソ生意気だって言われるんですけど(笑)、生意気なままだと成長出来ないなと思ったんで、素直に人の意見を取り入れてそれをちゃんと消化していく内に、カッコつけなくてもちゃんと自分が出るって、メンバーが教えてくれたんです」
 
――そんな羽深さんを、中神さんは一番近くで見てきた方ですよね。
 
羽深「普段はそんなに言わないんですけど、ダメなときはダメって一番言ってくれましたね」
 
中神「やっぱり作詞作曲する人って、自分が作ったものに自信があると思うんです。今までの彼は、“自分が表現したいものが出来ればそれでいい”みたいな感じだったけど、『Sekirara』からは変わってきたなってすごく感じます」
 
羽深「聴いてくれるみんなのことがもっと知りたくなったし、歌っていく内にだんだんと“伝えたい”っていう気持ちが強くなっていったんですよ。だから、『Sekirara』は“僕のも見せるから君のも見せてよ”っていう作品になったと思います。このアルバムに入ってる曲たちはまだ赤ちゃんなので、この10曲の子供をライブでどんどん育てていきたい。ライブでこの曲たちがどんな風に成長していくのか楽しみです。もっともっと強くなっていくと思います」
 
 
ライブは自分たちが一方的に鳴らしてるわけじゃないんだって実感出来る場所
 
 
――1月から続く『ONLY (Y)OURS TOUR 2015』では、どんなことを感じながらライブをやっているんですか?
 
中神「僕はライブに来てくれたみんなの様子を楽しんでいますね」
 
吉田「『Sekirara』を出してからお客さんの表情も変わったと思うんです。歌っている羽深が赤裸々になってると、やっぱり聴いてる方もそうなってる。僕らが投げたものをお客さんたちが倍にして返してくれるから、それでこっちもさらに盛り上がる。そういうやりとりが生で見えるので、僕は今、楽しみながらやっています」
 
羽深「同じ気持ちです。僕らはライブもすごく好きなんです。ライブは自分たちが一方的に鳴らしてるわけじゃないんだなって実感出来る場所なので。キャッチボール出来るのが楽しいです」
 
――これからさらにリスナーを獲得していきそうです。
 
中神「今回の『Sekirara』で今までやってこなかった一面を出せたし、これからバンドとしての厚みももっともっと出せるようになっていくと思うので、ジョゼというバンドに注目していただけたらと思います」
 
羽深「僕は聴いてくれるみんなと一緒に年をとりたいと思っているんです。『Sekirara』を何回も何回も聞いてもらって、3年後、いや10年後にこのアルバムを聴いたとき、どう思ってもらえるのかがすごく楽しみです。だからこそ、もっともっとお客さんに伝えていけたらなって。今まで以上に“届けるぞ!”という気持ちで活動していきますので、末永くよろしくお願いします!」
 
 
Text by エイミー野中



(2015年3月16日更新)


Check

Movie Comment

喧々諤々言いながら撮りました(笑)
ジョゼからの動画コメントはコチラ!

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Release

イラストは羽深作! 瑞々しい歌声と
憂いと煌めきを封じ込めた1stアルバム

Album
『Sekirara』
発売中 2500円(税別)
K's Factory Inc. /
SPACE SHOWER MUSIC
DQC-1429

<収録曲>
01. Gravity Sky
02. Moment
03. Friendless Friend
04. ルサンチマン
05. 硝子の漂流記
06. Adolescence
07. アンドロメダに願いを
08. 雨邪鬼マーチ
09. 36F View
10. Biographer

Profile

ジョゼ…写真左より、中神伸允(ds)、吉田春人(b)、’羽深創太(vo&g)。’10年結成。'12年3月、自主制作のデモ・ミニアルバム『weekend』をリリース。'13年3月、MUSICA鹿野氏主催“音小屋”のイベント『音小屋の灯』にて新木場スタジオコースト出演を果たす。同年5月に1stミニアルバム『Aquarium』を初の全国リリース。翌6月のツアーファイナル、渋谷club乙で初のワンマンライブも大成功に収める。11月には2ndミニアルバム『Nocturne』をリリース。'14年5月に前ベーシストが脱退、翌6月には新メンバーとして吉田春人が加入し、現在の編成となる。'15年1月21日に、1stフルアルバム『Sekirara』をリリース。

ジョゼ オフィシャルサイト
http://jozeband.com/

Live

リリースツアーも残すは東名阪!
4月は盟友とのツアーで再び大阪へ

 
『ジョゼ 1st Full Album
「Sekirara」Release Tour
“ONLY (Y)OURS TOUR 2015”』

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード254-108
▼3月23日(月)18:30
LIVE SQUARE 2nd LINE
オールスタンディング2000円
[共演]THE NAMPA BOYS/Half time Old/WOMCADOLE
LIVE SQUARE 2nd LINE■06(6453)1985

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【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード255-951
▼3月24日(火)18:30
ell.SIZE
前売券2000円
[共演]オモイメグラス/
石井卓とジョン中村/解/nano
ell.SIZE■052(211)3997

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【東京公演】※ワンマンライブ
チケット発売中 Pコード258-575
▼4月4日(土)18:30
shibuya eggman
スタンディング2500円
shibuya eggman■03(3496)1785

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Pick Up!!

【大阪公演】

『The Cheserasera
~WHATEVER WILL BE,
 WILL BE TOUR~』
チケット発売中 Pコード254-207
▼4月12日(日)18:00
LIVE SQUARE 2nd LINE
オールスタンディング2500円
[共演]The Cheserasera/
ame full orchestra/Rhycol.
GREENS■06(6882)1224/
LIVE SQUARE 2nd LINE■06(6453)1985

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