ホーム > インタビュー&レポート > 京都・東京でのワンマンを前に シモリョー(vo&key)、ニーチェ(g)、ジマ(ds)、 シェフがメンバー総出で制作秘話を語る! the chef cooks me『RGBの真ん中』全曲レビュー&動画コメント
01.『PAINT IT BLUE』
【下村亮介(vo&key) 】
この曲の一番の醍醐味と言っても過言ではない“オオーオオー”のコーラス部分は1人スタジオでキーボードを弾いてるとき、何となく弾いたコードにつられ、自分の喉からメロディが発せられ、頭の中に不特定多数の人の明るくも暗くもないようなトーンで歌っている絵が浮かび、“これは!!”と1人ハートをジンジンさせていたのを覚えています。
当初、僕の中ではもっとテンポの遅い曲にしようと思っていましたが、サポートベースの村田シゲ氏(□□□/CUBISMO GRAFICO FIVE)のアイデアで、今の駆け抜けて行くようなスピード感と街中で霧雨がザーっと降っているような広い大きな感じを行き来するようなテンポになりました。この曲はシゲさんとのセッションで練っていったので久々に全くベースラインを作ることに関与しなかったこともあり、いろいろと新鮮でした。シゲさんのベースは歌っているので心が昂ぶります。
この曲でサポートギターとして演奏してくれている佐藤くんのギターは絶対ハマると思いお願いしたんですが、見事に弾き上げてくれたのも僕の中で1つ印象に残っています。
それから、昨年11月8日梅田シャングリラでのワンマンライヴに来てくれた皆さんのコーラス。これは完全に僕の思いつきにスタッフや関係者さんに付き合ってもらったんですが、事前に心配していたことはほぼ杞憂で、皆さん楽しんで付き合って下さった様子でしたし、何より本当に良いテイクで。やっぱり音楽をするには何よりその瞬間のハートが大きく関わると改めて思いましたし、人間が演奏する中で一番力を持つ楽器は声なのだなと強く思いました。なければならなかった最重要のピース。
【佐藤ニーチェ(g)】
前作『回転体』のツアーが終わったすぐ後に出来た曲。それ以来ライブでは必ず演奏してきました。ツアーが終わってなんだか空っぽになってしまった自分を再度音楽に向かわせてくれたのはこの曲があったからかもしれません。
僕は雨は得意じゃないんですが、野外のライブで豪雨の中、お客さんと一緒にずぶ濡れになりながら“オオーオオー”と歌った経験はこれまでにない快感を覚えました(笑)。大阪のライブ会場でお客さんと一緒に録音したコーラスパートが曲のスケールをさらに大きくしてくれた気がしています(感謝!)。個人的にはAメロ後半の“どうしようも~な~い~ほ~ど~”のところで何故か毎回エモくなります。
【イイジマタクヤ(ds)】
録音前からあった曲でライブでも演奏していました。疾走感があってエモーショナル。圧巻は梅田シャングリラでライブ録音したお客さんの“オーオー!”コーラスのパワー。お客さんの歌、表情は今思い出しても鳥肌が立ちます。ゲストコーラス・まえさんの包み込まれるようなコーラスも素晴らしいです。青春をテーマにやり始めた曲でもあり、いつも汗で顔面がぐちゃぐちゃになります。ライブでたくさん歌って欲しいです。
02.『ふぞろいの赤』
【下村亮介(vo&key) 】
当初は自分のソロ活動用の曲にしようと思って作っていました。あまりこういう低体温でモヤっとした音数の少ない曲をthe chef cooks meでトライしたことはなかったですし、構成もなるべくシンプルに、無機質なビートで何となく気怠い曲を作りたかったので。ただ今は自分のソロ活動というよりは、the chef cooks meとしての活動に興味を持ってくれている方がいるというのもあり、様子見でバンドに持っていってみたらメンバーと村田シゲさんが意外と良い反応を示してくれたので、バンドアレンジに落とし込んでいきました。よく考えたら、the chef cooks meに音楽的なタブーはないんですがね(笑)。
ニーチェのカッティングはメンバーながら独特な雰囲気を出してくれるので好きです。THE仕事人なまでにループフレーズに挑んでくれています。シンセサイザーは2台使っているんですが、リードのmoogもサビ裏で鳴っているJUPITER8も所謂アナログシンセサイザーで、音の太さとあたたかさは今の時代とは逆行しているのかもしれませんが、バンドサウンドに馴染んでくれる名機で、改めて先人のクリエイティビティに頭が下がりっぱなしでした。
ミックスエンジニアの高山さんの色も随所に散りばめられていて、完成したときに惚れ惚れしました。このくらいのテンポ感で身体を揺らすの個人的に大好きです。
【佐藤ニーチェ(g)】
血を見るのは苦手ですが…赤は最も好きな色です。この曲はとにかく…カッコいい(笑)。すごくいい音で録れてるなぁと、自分たちの作品ながら聴くたびに感心してしまいます。楽器の音も歌もすごく芯が太いんです。各人の演奏が最も生々しくリアルにパッケージされている気がします。ここまで暴力的にぶっといシンセサイザーが切り込んでくるのが、すごく気持ちいい。是非スピーカーで大きな音で聴いて欲しいです!
【イイジマタクヤ(ds)】
この曲も録音前からライブで演奏していた曲です。BPMを1単位でこだわったミディアムテンポがとてもカッコよくなりました。歌、ギター、コンガ、鍵盤、ベース、全ての楽器からまるで血管が脈打っているようなバランス、音選びになっていると思います。ライブでは何か違う自分のスイッチが入るような気がします。
03.『エメラルド』
【下村亮介(vo&key) 】
この曲もソロ活動用の曲にと思って制作しておりましたが上記の理由でバンドで演奏することにしました(笑)。
メロディの雰囲気と歌いたい内容に関しては最初から何となく決まっていたので、逆算的に音像を作っていきました。敢えて無機質で冷たくしたいなあと思っていたので、ビートメイキングもベースもその他もほぼ打ち込みで作っていって、やりたいことがすぐ伝わるようある程度は作り込んでメンバーに持っていった記憶があります。我ながら夜の街の音を描けているなあと思っております。
夜中街を歩いているときに見かける信号の緑が好きで、揺れて見えたり滲んで見えたり、その時の気分によって照明のように街角を照らしているように見えたり。そんなこともあり、夜の街や行き交う男女の雰囲気とかを想像しながら、各所で左右に音を振ってみたり、リバーブで音を広げてみたり、残響で滲ませてみたりしています。なるだけ音を重ねないように、鳴っている声や楽器やその余韻を聴いてもらえるように音を積むなどの工夫もしてみました。
途中出てくる女性コーラスはライブでもサポートしてくれている星野(菜名子)さんにお願いしたのですが、ありのまま背伸びせずに歌ってもらったときのテイクがとても艶があったので、毎回ここが来るたびにいいテイクだなあと思っています。お気に入り箇所です。
あまり夜中に街を歩くことはオススメしたくないので、日が変わる前くらいまでの夜にイヤフォンとかヘッドフォンでこの曲を聴きながら街中を歩いてみて下さい。信号に目をやってみたり、行き交う男女のストーリーを勝手に想像してみるのも一興です(笑)。
この曲ではメロウトロンという楽器を多用しているんですが、これまたとても夢のある楽器でして。今回使ったのはリメイクのものなんですが、興味ありましたらネットで調べてみてください。とても面白い楽器です。
【佐藤ニーチェ(g)】
深夜3時にヘッドホンで聴くと最高に気持ちいいです。今の季節にピッタリなんじゃないかな? 正直自分のギターを録音しているときはまだ曲の全景が見えていなかったのですが…。ラフMIXを聴いたときに“これはキタな”と。トラックの中の音の1つ1つが気持ちいいけど、その中にある歌がとにかく最高! 是非とも真夜中の散歩のお供に。
【イイジマタクヤ(ds)】
スローテンポで浮遊感があり、切なくもある曲。MIDI信号でビンテージシンセを鳴らして録音したり、リズムは敢えて打ち込み、ハイハットを64分音符単位でずらすというマニアックな試みをしたりしました。機械のような冷たさがないのは、テープで録音したおかげかもしれません。シモリョーの力の抜けたラップ、星野菜名子ちゃんの憂いを帯びた歌も聞いて欲しいです。
04.『キャンバスに幻を』
【下村亮介(vo&key) 】
上の3曲が出来た後、何となくタイトルが頭の中で見えてきたとき、それを一手に纏めあげてくれる曲が欲しいなあと思い、必死に1人スタジオに通いながら作り込みました。全ての楽器の大方のアレンジを引き受けたということもあり、アレンジもメロディも歌詞も難産でしたが、最も自分らしさを詰め込むことが出来たと思っています。
歌詞には時間があるときにでも、ゆっくり向き合ってもらえたらなあと思っています。世の中にはありとあらゆる色があって、普段目にしているものの色はやはり当たり前のように自分の中で認識してしまっていると思うんですが、よくよく見てみると多くの発見があったりします。
空の色とか海の色、人のほっぺたとか耳とか、木々やその葉、街の看板、お気に入りの洋服、食べ物や飲み物、ありとあらゆる物の色って、意識して見てみると本当様々で面白いですよね。しかも人それぞれの色彩でそれが見えているなんて、どれだけ素晴らしいことなのかと僕はこの作品を作りながら改めて思いました。
正しさとか正解とか、どうしても僕たちは求めたがってしまいますが、色があるのっておそらくそれとは逆の意味なんじゃないかなと僕は思います。肌の色もきっとそう。人に流れる血の色が違うのもきっとそう。
だからなんだよってことまでは僕には言えないのですが、世の中に散りばめられている色が数え切れないほどあることに僕はただ人間としての喜びを感じます。
【佐藤ニーチェ(g)】
始め、この曲のタイトルは『RGBとその真ん中』で良いんじゃないか?と思うほど、今回の作品を象徴する曲だと思ってます。でもタイトルは『キャンバスに幻を』になって良かったと思ってます(笑)。この曲名、気に入ってます。僕は10代を過ごしたのが1990年代なので、半ばDNA的にその時代の音楽が好きなのですが、自分たちが育ったその時代と、今の自分たちがうまく掛け合わさった曲だと思います。これが今のthe chef cooks meにとってのジャパニーズポップスだと勝手に思ってます。
【イイジマタクヤ(ds)】
シモリョーから歌を入れたデモを聴かされたとき“世紀に残る名曲だ!”と思いました。どこか懐かしく感じたのも、90’s某トレンディードラマを見ながらこの曲を再生して、物の見事にハマったからかもしれません。戸川琢磨氏のうねるベース、George(Mop of Head)の跳ねた鍵盤、大知里壮介氏の入れ過ぎないパーカッション、星野菜名子ちゃんの寄り添うコーラス、それぞれのコントラストを聴いてください。
(2015年2月 9日更新)
EP
『RGBとその真ん中』
発売中 1296円
only in dreams
ODCS-005
<収録曲>
01. PAINT IT BLUE
02. ふぞろいの赤
03. エメラルド
04. キャンバスに幻を
シェフ・クックス・ミー…'03年結成。磯部正文(HUSKING BEE)BANDや岩崎愛、LITE、COMEBACK MY DAUGHTERS、ASIAN KUNG-FU GENERATION、後藤正文のサポートとしても活躍したシモリョーこと下村亮介(vo&key)、佐藤ニーチェ(g)、イイジマタクヤ(ds)からなる3ピースバンド。都内を拠点に精力的にライブを行い、ポップスやロックなど様々な要素を取り入れたサウンドと、個性的なライブパフォーマンスを行う。幾度かのメンバーチェンジを経て、管楽器、コーラス、鍵盤などサポートメンバーを迎えた10人編成のポリフォニックなバンドサウンドとなり、'13年9月、後藤正文のプロデュースのもと、3rdアルバム『回転体』をリリース。それに伴い'14年1~3月にかけて『回転対展開tour2014』と銘打った全国ツアーを展開。その後も『RECORD STORE DAY2014』での7inchEP『ハローアンセム』のリリースや、自主企画『代官山そうるじゃらんぽん』の開催など精力的に活動。今年2月4日には新曲4曲を含むEP『RGBとその真ん中』を発売。
the chef cooks me オフィシャルサイト
http://www.thechefcooksme.co.uk/
the chef cooks me ワンマンショー
『京の街の色柄』
チケット発売中 Pコード248-870
▼2月10日(火)19:00
磔磔
オールスタンディング3000円
GREENS■06(6882)1224
【東京公演】
the chef cooks me ワンマンショー
『ぼくたちの街柄』
チケット発売中 Pコード249-403
▼3月7日(土)18:30
LIQUIDROOM
オールスタンディング3000円
LIQUIDROOM■03(5464)0800