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大西ユカリ生誕50周年の区切りに放つ、
CKB横山剣による新曲を含む新作!
『肉と肉と路線バス』発売インタビュー

 ナニワが誇るソウル・シンガー、大西ユカリ。12月24日(水)には、クレイジーケンバンド横山剣による新曲2曲を含むニュー・アルバム『肉と肉と路線バス』が発売される。大西ユカリ生誕50周年記念でもある本作の表題曲「肉と肉」は、文字通り肉食系ファンキー歌謡路線の濃厚ナンバー。いっぽう「路線バス」はメロウなロッカバラードと、いずれも見事なまでに横山剣節であり、同時に大西ユカリがずっと歌い続けていたかのような、ハマりまくりの名曲だ。さらに、ライブ、カバー、再録、と盛りだくさんの全14曲! ある種の区切りと今後の新たな展開をも期待させる、渾身の新作について話を聞いた。

ーー新曲は、満を持しての剣さん起用ですね!
 
「ホンマに満を持してっていう感じで、横山さんのことはクールスのころからクレイジーケンバンドまでずっと好きで聞いていますけど、楽曲を依頼するには、まだまだ自分がいろいろ積み重ねてからでないとアカンってずっと思ってたんです。知り合って30年近くなりますし、これまでもライブでの共演など含めずっと接点はありましたが、自分が50歳を迎えるにあたって、ようやくそういうタイミングが来たのかなと。ま、思い切ってお願いしたらあっさりとOKしてもらえましたけど(笑)。でもホンマに自分で歌手として生計を立てられるようになって、胸を張ってお願いできなアカンなと、自分ではずっとそう思ってたんです」
 
ーー2曲とも完全にハマっていて、剣さんが歌う声が聞こえてくるようでもあるし、昔からユカリさんが歌っている曲のようにも思えます。
 
「実は、仮歌を横山さんが歌ってくれたんです。そこから自分の歌入れまでいろいろ試行錯誤したんですけど、結局最終的には横山さんの歌にかなり近い歌い方にしたんですよ。歌っていてすごくしっくりくるし、気持ちも入るんですよね。あと、曲は完全に当て書きで、私をイメージして書いてもらったんですけど、私のこともずっと知ってくれてるんで“この歌詞は…あのことやろか?”なんて思ったり(笑)。ただ、サウンド面は完全にお任せしたんです。ソウル、ファンク、ロック、ラテン、歌謡曲……横山さんの持っている音楽のどの部分に引っかかってもええなと思って。自分にとってこれはとても嬉しい節目になりました」
 
ーー節目という意味では、このアルバムは他にもライブ録音や過去音源の再録など、現バンドメンバー(仁義なき小林バンド)に固まってからの到達点であり、区切りという印象もあります。
 
「まさにそうなんです。“大西ユカリと新世界”を休止してから5年くらいになるんですけど、ちょうどその頃から宇崎竜童さんに曲を書いてもらってアルバムを作ったり、新たなバンドメンバーとライブをやるようになったり…。実は、宇崎さんの次にお願いするのは横山さんしかないってその時から決めてたんです。割とこの5年くらいの活動は計画的に考えていたところがあって、区切りというか節目というイメージはありますね。実際、この5年間はすごく濃密でした。その前の10年のことはあんまり覚えてへんのですよ(笑)。メジャーでの活動で忙しかったのもあるんですけどね」
 

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ーー通天閣歌謡劇場での定例ライブも場所を変え(現在は千日前アナザードリームにて毎月最終水曜に開催)ましたし、宇崎さんや剣さんの楽曲など新たなことに挑戦しつつ、ほぼ毎年アルバムをリリースしているのも凄いと思います。
 
「新世界の頃の、昭和歌謡のあのいなたい感じが好きな人がようけおるのも分かってるんです。おっちゃんらにとっては拠り所みたいなもんなんです。けどいつまでもそこに固執したらアカンとも思うんです。私がもっと先へ行かないと。決して懐メロではないわけやから。あと、今のバンドメンバーはすごくきっちりしてて、時間も守るし(笑)、ストレスまったくないですね。安心感がすごくあります。私は、やっぱりこれからのことを考えてやっていきたいし、いつも一番新しいものを“これが今一番ええんです”って言えるようでありたいと思ってるんです。今回はもちろん「肉と肉」「路線バス」という2曲がメインですけど、それ以外にもいろいろ入れることで、今の大西ユカリが記録できたかなと思います」
 
ーーしかしこの盛りだくさん感は、クレイジーケンバンドの「肉体関係」(2001年リリース。全21曲入りの“マンモス・シングル”という体裁)と対になるような…
 
「まさに、あの過剰な感じです。私もあの曲大好きですし。実際、なかなかシングルって切りにくい世の中ですからね、いろいろと考えた挙句、12曲のボーナストラック入り、という感じになりました(笑)。最初は「肉」と「バス」だけいろんなバージョン入れたろかと思ってたんですけど、さすがにそれはクド過ぎるやろと」
 
 
ーーここからまた次なる活動が非常に楽しみですが、次回作の構想とか…
 
「それが、全然ないんですよ! だいたいアルバムが出るころには、次の作品に取り掛かってるんやけど、今回はホンマに白紙で。いろいろと考えてることはあるんですけどね。正直まだどうなるかは分からないです。カバーとか企画ものもええし、全部バンドのオリジナルにしていかなとも思うし…。あとね、自分自身ではずっとやってきて自分の歌も変化していることを感じます。歌手としてどれだけ歌詞の内容に憑依できてるかとか、楽曲をちゃんと歌で表現できてるのかとか、それが最近ようやく出来てきたんかなと思うんです。ひとりスタジオで練習してて、曲に入り込んで泣いてしまうこともあります。それもここ5年くらいですかね。昔よりもよう練習するようになってると思いますし。今回のアルバムに(ちあきなおみの)「喝采」のライブバージョンが入ってますけど、これも最近になってやっと歌えるようになったんですよ。通天閣で定例ライブ始めた40歳くらいの頃は、曲の重みというか存在感に負けてよう歌いませんでしたもん」



(2014年12月18日更新)


Check
大西ユカリ
80年代から活動を開始し、2000年の“大西ユカリと新世界”結成後は、リズム&ブルース、ソウル・ミュージックと歌謡曲を融合した音楽性で高い評価を受け、2005年にはアルバム『昭和残唱』で第47回日本レコード大賞企画賞を受賞。2009年に大西ユカリと新世界の活動休止後も、ほぼ1年に1枚のペースでアルバムをリリース、月例ライブは既に110回を越え、ラジオ番組のレギュラー(FM大阪「Love Flap」毎週水・木曜13:00~16:00)も務めるなど、精力的に活動を続けている。

Rlease

 

『肉と肉と路線バス』

12月24日(水)発売
P-VINE 2600円(+税)
PCD-26059

 

 

ユカリのアナザードリーム Vol.112

▼2014年12月31日(水)
千日前アナザードリーム 19:00
前売3000円 当日3500円
ワンドリンク(500円)別途オーダー

大西ユカリ(Vo)
小林充(A.sax) 
泉和成(T.sax / Cho) 
ユンファソン(Tp / Cho) 
ZINGORO(B)
元岡衛(Key) 
梶原大志郎(Dr) 
古賀和憲(G)

問い合わせ:千日前アナザードリーム06-6211-5759


大西ユカリショー Vol.113

▼2015年1月28日(水)
ライブレストラン "フラミンゴ ジ アルーシャ"
19:00
前売3500円 当日4000円
ワンドリンク・ワンフード別途オーダー必須

大西ユカリ(Vo)
小林充(A.sax) 
泉和成(T.sax / Cho) 
ユン・ファソン(Tp / Cho) 
ZINGORO(B)
元岡衛(Key) 
梶原大志郎(Dr) 
古賀和憲(G)

問い合わせ:ライブレストラン "フラミンゴ ジ アルーシャ" 06-6567-4949