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『ミヤネ屋』でコメンテーターも務める美しきジャズ・バイオリニスト
牧山純子がFried Prideの横田明紀男(g)をプロデューサーに迎えた
4年半ぶりの3rdアルバム『月虹』を語る!
ビルボードライブ大阪公演目前インタビュー&動画コメント

 最近ではテレビの情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』でコメンテーターを務めるなど、クール・ビューティな出で立ちで注目を浴びている、クラシック経由のジャズ・バイオリニスト牧山純子が、オリジナルフルアルバムとしては4年半ぶり、通算3作目となる新作『月虹(げっこう)』をリリースした。Fried Prideのギタリスト横田明紀男をプロデューサーに迎え、オリジナル曲と共にスタイリスティックス(『愛がすべて』)、MISIA(『Everything』)などの多彩なカバーにも挑戦。エモーショナルでホット、そしてグルーヴィーなサウンドを披露している。「ジャズ・バイオリンの可能性を引き出せた」と胸を張るこの新作を携え、7月22日(火)にはビルボードライブ大阪でのステージを控える彼女に、作品のこと、そしてライブへの想いを話してもらった。

 
 
バイオリンという楽器の可能性を引き出してもらった
 
 
――4年半ぶりの新作のタイトルが『月虹』と書いて“げっこう”と。
 
「普通は“月光”だと思うんですけれども、月に虹と書くと、とても神秘的なものを感じて。実際に月の光によって生じる虹がハワイとかでは見られるみたいで、見ると幸せになれる伝説もあるんですね。そういう『月虹』という現象をお知らせしたいのもあったし、儚さの中に強さがあったりする部分とか、その月虹の下で自分のオリジナル曲を弾ける日が来て欲しいなという夢を抱いてたので、タイトルにしてみました。虹っていつでも見られるものじゃない分、出会えたときのラッキー感があるというか。それも夜に見られるっていうのが。ふと、ベランダから夜空を眺めると、星よりも月の光の方が自分には力をくれるというか…。何となく月を見たときにふと生まれるものがよくあって、実は月をイメージにした曲をちょこちょこ書いてるんですよ。ふと生まれてくるメロディは、バイオリンという楽器の性質上、マイナーキーが多いんですよね。太陽をテーマにした曲もあることにはありますし、明るい曲を書こうと思えば書けるんですけど、マイナーキーで明るい曲を書こうとすると、意外と難しいんですよね」
 
――プロデュースをお願いしたのが、Fried Prideの横田明紀男さんですね。作るに当たって、横田さんとはどんなことを話しましたか。
 
「横田さんとは、3~4年前に彼のソロのライブがあって、そのゲストに呼んでいただいたのが初めてで。パーカッシブなこともなさいますし、1人なのに1人じゃないというか…今までに自分が思ってきたギタリストという感覚じゃないプレイで、厚みとあたたかさと躍動感と、いろんなものを兼ね備えていて、ちょっと驚いたんです。今回のアルバムを聴いて頂ければ特に分かると思うんですけれども、私自身いろいろなことがやりたい欲張りなタイプなので、それがブレずに1枚のアルバムとして成立するようにプロデュースが出来て、音楽的にも懐が深くて、人間的にもあたたかい人を…ってなったときに、横田さんがいるじゃないっていうことで、お願いしました。横田さんのオーダーは、バイオリンの弾き方がどうこうじゃないんですよ。“僕はバイオリンのことはよく分からない。だけど音楽を作るにあたってこうだと思う。だからそれをバイオリンでやって”…って言うんですけど(笑)、小さい頃から“バイオリンとはこうあるべき”と培われてきたので、なかなか難しくて。それを“そんなちっちゃなことじゃないだろ”って提案してくださったのが横田さんで、結果的にバイオリンという楽器の可能性を引き出してもらったんじゃないかなって」
 
 
久しぶりにシビれるレコーディングでした(笑)
 
 
――今回のアルバムのコンセプトは?
 
「今までの私のアルバムは、ジャズスタンダードだったり、クラシックの曲をジャズアレンジしたりしていたんですけれど、横田さんというとロックでポップっていうイメージがあったから、バイオリンの中でもそっちを表現したいなっていうのがあって。オリジナル以外で、私が緊張しないで自分らしさを出せるものを入れましょうと」
 
――ちなみに、ご自身のオリジナルに関してですが、モチーフを含めて作曲はどうやってるんですか?
 
「本当に時と場合によるんですけれども、ちょっと出かけたときにふと浮かんで書いちゃうこともあれば、今日は8小節くらいしか浮かばなかったなって、翌日作り溜めていたメロディをつなぎ替えることもありますね。『こころのひかり』(M-9)は、東日本大震災へのチャリティの思いを込めて作りましたし、『天上の道しるべ』(M-4)は幼稚園以来の友人を乳がんで一昨年亡くしまして、そのレクイエムだったりしますし、『アンダルシアの風』(M-2)みたいにちょっとスペイン風の曲を書きたいなって思ったのもありますし、いろんな形で作ってますね」
 
――実際のレコーディング作業はいかがでしたか?
 
「久しぶりにシビれるレコーディングでした(笑)。本当に妥協せず、必死に、もっといいものが出来るはずって。本当にみんなで作った子供たちっていう感じですね。今まで2枚のオリジナルアルバムを作ってちょっと年齢を重ねた分、今回は独奏で弾かせてもらったり。ここ数年、横田さんからも“音に対して責任を持て”と言われてきましたし、そういう意味では成長を感じる子供にしたかったのはありました。ジャズバイオリニストとしての責任感というか」
 
――改めて今回の作品はご自身にとってどんな1枚になりましたか?
 
「自分以外の音は、本当に素晴らしいなと(笑)。自分のことを言うのはすごく恥ずかしいし、写真とかにもすごくコンプレックスを持っていますし。今回のジャケットは、初めて皆さんにもいいねって言われたんですけれど(笑)。バイオリンの音も、今まで聴いてきたクラシカルな音とはやっぱりちょっとニュアンスが違って、横田さんは“そこが純子の味だし、オリジナリティだ”って言ってくださるんですけど、バイオリンの社会にいた私にしてみれば、ちょっと異端児的な音を出しているのが、コンプレックスでもあるんです。“他の音と並んだときに目立つからいいことなんだ”って言われるんですが…(笑)」
 
――自分のバイオリンの音の特徴、持ち味はどう分析していますか?
 
「一番は、生音が大きい(笑)。それは先輩方みんなに言われましたね。いいことだって言われるんですけれど、あまりにも大きい大きいって言われると、何だかガサツだねって言われてるような気がして(笑)。バイオリンって、繊細で、高音でビブラートを効かせて、甘くてっていうイメージがある中で、私のバイオリンは意図的に、人の声に近い低音をよく鳴らすようにしているんです。それに乗っ取ってアドリブをやると、スタンダードでもビオラっぽいって言われるんですけど、バイオリンっぽくないのが個性というか、開き直りというか」
 
 
何かね、大阪に来ると元気になる
 
 
――今回のアルバムリリースを受けてのビルボードライブ大阪でのライブは、どんなものになりそうでしょうか?
 
「大阪がアルバムのリリースライブの初日になるんです。例年出演させていただいている『高槻ジャズストリート』もそうですし、テレビの『ミヤネ屋』で月に1回は大阪にお邪魔していることもあって、大阪が大好きなんですよね。テンポ感の良さとか、東京人にはないグルーヴというか(笑)。何かね、大阪に来ると元気になるというか…。特にジャズをやるようになって、大阪のお客さまの盛り上がりに本当に何度となく救われたのもあって。今年の1月に初めてビルボードライブ大阪でやらせてただいたときも、最高だったんですよね。お店の雰囲気もそうですし、あそこに立てるということが、本当に嬉しい。錚々たる方々が立ってきた場所ですし、もう床を削って持って帰りたいくらい(笑)。お食事を美味しそうに召し上がっているお顔だったり、お酒を飲みながら音楽を楽しんでいる姿だったり、お客さまの表情も見えますし、音響的にもスペシャルなものを出していただいている信頼感だったり、アテンドの仕方だったり、何1つマイナス面がなくて、いい思い出になってるんですね。今回もその素敵な場所で、CDの内容を軸に私と横田さんをメインにして、そのときに出来る極上の演奏をお聴きいただければと思っています」
 
――ちなみにライブの魅力をどう思っていますか?
 
「毎回毎回、いろんなものが生まれる場所だなと。お客さまとの出会いもそうですし、私自身喋ることも嫌いじゃないですし、お客さまの表情が手に取るように分かるのもすごく好きなところなんです。クラシックのコンサートだと、基本的に皆さんが知っている曲なのですごく緊張するんですが、ジャズのライブはアドリブということで好き勝手に演奏出来るでしょう。だから間違いということがないのも、いいところかも…(笑)」
 
――(笑)。それでは最後に、関西の音楽ファンにメッセージをお願いします。
 
「4年半ぶりのアルバムが出せましたし、バイオリンの固定観念を抜きにして、こういう楽器の使い方、演奏の仕方もアリなのかなと、1人でも多くの方に知っていただければと思います。夏休みに入るということで、いい思い出になるよう頑張りますので、是非いらしてください!」
 
 
Text by 金本真一



(2014年7月17日更新)


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Movie Comment

話し方も麗しい! 新作から大阪への
想いを語る牧山純子から動画コメント

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Release

MISIAらのカバーも収録、美しき調べ
と躍動感に浸る最新アルバム!

Album
『月虹(げっこう)』
発売中 3000円
ポニーキャニオン
PCCY-30222

<収録曲>
01. 月虹
02. アンダルシアの風
03. Some Skunk Funk
04. 天上の道しるべ
05. Affirmation
06. Can't Give You Anything (But My Love)
07. 月下美人
08. Minor Swing
09. こころのひかり
10. Everything
11. Sunny-Side Up
12. Smile
ボーナス・トラック
13. 希望への道(passionate version)

Profile

まきやま・じゅんこ…東京生まれ。ジャズ・バイオリニスト。3歳でピアノ、4歳からバイオリンを始める。武蔵野音楽大学卒業後フランスで学ぶなど、本格的にクラシック・バイオリニストとしてのキャリアを積む一方ジャズに出会い、'02年にはアメリカ・バークリー音楽大学に留学。在学中にデイビッド・フォスターやスティーブン・タイラー(エアロスミス)とも共演。同年の『NHK紅白歌合戦』における平井堅の『大きな古時計』ではアメリカから衛星生中継で出演。’03年には、ゲイリー・バートン、上原ひろみ、バークリーストリングスオーケストラの一員としてチャーリー・ヘイデン、マイケル・ブレッカー、ケニー・バロンらと共演を果たし、帰国後は小椋佳の全国ツアー、小曽根真&山形交響楽団シンフォニックジャズ・コンサートに参加。’07年、インディーズレーベルより『ポートレイト・オブ・ニューヨーク』を発売し、'08年にアルバム『ミストラル』でメジャーデビュー。'09年には、ドラマ『BUZZER BEAT~崖っぷちのヒーロー~』の音楽を担当。ドラマのメインテーマ『彼女の夏』をボーナストラックで収録した2ndアルバム『リベルタ』を、’12年にはライブ会場限定販売のミニアルバム『Preghiera~祈り~』をリリース。現在は、読売テレビの『情報ライブ ミヤネ屋』でコメンテーターを務めるなど注目を浴びる。6月18日には、Fried Prideのギタリスト横田明紀男がプロデュースした4年半ぶりの3rdアルバム『月虹』をリリースし、7月22日(火)にはビルボードライブ大阪にてライブを行う。イタリア ・トリノ産のメレガリが愛器。

牧山純子 オフィシャルサイト
http://www.junkomakiyama.com/


Live

リリースツアーでFried Prideの
横田明紀男とビルボードに登場!

『CD「月虹」発売ツアー
 牧山純子 featuring 横田明紀男』
チケット発売中 Pコード234-195
▼7月22日(火)18:30/21:30
ビルボードライブ大阪
自由席6500円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※カジュアル エリアは取り扱いなし。未就学児童は入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。

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チケット情報はこちら

Pick Up!!

ビルボードライブ大阪
庄山路子さんからのオススメ!

「1月に続き今年2度目の登場となる美しきバイオリニスト、牧山純子さん。華奢ないでたちからは想像出来ない、アグレッシブな演奏が魅力。また今回は、先日リリースされた新譜のプロデューサーで、Fried Prideのギタリスト横田明紀男さん、パーカッション池田案友子さんとのステージ。躍動感溢れるセッションは必見です!」