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学生時代の結成から閃光ライオット、暗黒の季節にメジャーデビュー
8年間の軌跡と輝ける未来を詰め込んだ
CHEESE CAKEの初のフルアルバム『YEARS』堂々完成!
まばゆきポップソング集を語る全員インタビュー&動画コメント

 スッと耳に滑り込んでくるポップな曲調、素直なメロディと愛らしいバンド名、“同級生でバンドを組む”という少女マンガにも登場しそうな結成のいきさつが相まって“CHEESE CAKE=ポップでかわいい仲良しバンド”と思われることも多いという。だが、4人は10代のバンド/アーティストの登竜門である『閃光ライオット2009』で準グランプリに輝き、即デビューとなってもおかしくない状況の中、4年間ひたすら水面下で曲作りに励み、自分自身と音楽と向き合う日々を積み重ねてきた。そして、昨年2月に満を持してシングル『哀しみのブランコ』でメジャーデビュー。この7月2日に、バンド誕生からつい最近までの8年間の日々を刻み付けた初のフルアルバム『YEARS』をリリースした。ずっと前から知っていたような親しみやすさで、そっとしておいて欲しいときには隣にいて、嬉しいときには一緒に騒いでくれる。その圧倒的に自然体な楽曲と、どこまでもまっすぐな“ポチ”こと岩淵紗貴(vo&g)の歌声は、CHEESE CAKEの強力な武器だ。リリースツアーもいよいよ開幕、8月3日(日)心斎橋Pangeaでの2度目の大阪ワンマンを前に、1stアルバムに込めた想いやバンドが目指す地点について、4人に大いに語ってもらった。

 
 
この8年間のベスト盤みたいなアルバムになりました
 
 
――結成から8年というと結構長いですね。初のフルアルバムが完成していかがですか?
 
岩淵(vo&g)「8年前にバンドを組んで初めて作った『強がり虫』(M-5)もあれば、アルバムのリリースが決まって今年になってから作った『ゼイガルニク』(M-7)『蜩』(M-9)もあって。自分たちでも“ようやくアルバムが出せた”という想いや、デビューするまでに時間がかかったのもあって『YEARS』っていうタイトルにしたんですけど、この8年間のベスト盤みたいなアルバムになりましたね」
 
――自分たちの計画としては、もっと早くデビューする予定だった?
 
岩淵「元々バンドは遊びで始めたんですけど、オーディションに出たら賞をもらったりして。最初は高校を卒業したらみんな進学するって決めてたけど、全部ぶっちぎって“音楽だけやっていこう!”って進んできたんですけど、いざ音楽だけの生活になるといろいろ周りのものが見えなくなってきてしまって…」
 
一瀬(g)「高校を卒業するまでは学校生活で溜まったフラストレーションを音楽にぶつけるという感じで、オーディションに出る辺りまではトントン拍子に進んできたんですけど、卒業して音楽中心の生活になってみると、どう音楽と向き合ったらいいか分からなくなってしまって。レコード会社の方に曲を作って提出するんですけど、自分たちの技術がなかなかついていかなくて。その中でもがきながら…っていうデビューまでの4年間でしたね」
 
――去年メジャーデビューする前と、した後では何か変わりました?
 
岩淵「デビューする前は、メンバー間の関係も曲作りもなかなか上手くいかなかったり、私自身もすごく落ち込んで独りよがりな時期があって、誰とも喋りたくなかったり、曲が作れなくてもそれをメンバーに言って自分の弱味を見せるのが怖くてボカしたり…。それから他のバンドのライブを観たりする中で、だんだん自分の気持ちをコントロール出来るようになって。出来ないことをハッキリ出来ないってメンバーに言ったとき、意外なぐらいスッと皆が受け入れてくれて、それで随分楽になりましたね。自分の弱いところを見せても、誰も責めたりしないんだって分かって、人と上手く話せるようになってきたのが去年のデビューぐらいの時期ですね。一時期なんて、他人に表情を読み取られるのがイヤで、ずっとマスクして(苦笑)。曲作りでモメることも多くて、ワーッて掴み合いになったこともあるぐらい(笑)。でも、それがあったから今のいい関係になれたのかなって」
 
――こんなにポップでキャッチーな曲が誕生する裏に、そんな顛末があったとは(笑)。
 
岩淵「全員同級生だし、“仲良しバンド”みたいに見られるんですけど、案外体育会系というか(笑)」
 
 
普通の人がカッコつけて背伸びして
ガーッと音楽をやるとこうなるんだぜ、って感じですね(笑)
 
 
――さっきのデビュー前後の話は、『乾いたのど』(M-6)の一説、“頼っていいんだよ 一人ぼっちのつもり? 頼ってみろよ”を思い出します。曲の冒頭から“乾いたのどを潤せるのは 誰かの噂と悪口だけ”とも歌われていて、ちょっとヒヤッとしますね。
 
岩淵「元々人の悪口を言ったりする人がすごく嫌いなんですけど、人を嫌いだと思う自分もイヤでとか、無駄な正義感の中でごちゃごちゃになってた、ちょうどその苦しかった時期に書いていた曲ですね。言葉ではハッキリ言えない気持ちのはけ口が歌を作ることだったんで、歌の中では素直に書きたくて」
 
――『音の無い世界のうさぎ』(M-11)の“泣いていいよ 泣き崩れてよ? そしたらもっと輝けるから”の辺りも、さっきの話とリンクしますね。泣く=さらけ出すことで自分が輝けるということでしょうか?
 
岩淵「そうですね。昔は、自分がやってきたことに対して、“またやってしまった”とか“こんなことしちゃった”とか後悔ばっかりだったんですね。でも今思うのは、後悔したり、いっぱい泣いてきたから今に至ることが出来たんだろうなって。そのときに書いた曲に自分が助けられてるんですよね。失敗することは悪いことじゃないし、失敗してもバンドとして前に進めたらいいやって、今なら思えますね」
 
――この8年間の折々に、バンドが変化するきっかけや突破口になる出来事がいくつもあったんですね。
 
一瀬「最初の3年間にいくつか大きなオーディションに通過して、東京で1万人ぐらいの前でライブをやったこともあったんですけど、その後なかなかデビューにこぎつけない時期が続いて。その間はひたすら曲作りをしてましたね。僕らは今も福岡に住んでるんですけど、自宅スタジオで宅録が出来る環境を作ってパソコン関連の勉強もして、自分たちで音源制作が出来る環境を整えたんです。作った曲の中からいくつかYouTubeにアップして、それを聴いてくれた人から“いい曲ですね”とか反響をもらったりしたからこそデビューまで何とか持ちこたえたという感じで。それが2009年頃ですね」
 
――『閃光ライオット』の準グランプリを獲られた年ですね。苦しい時期だったと思いますが、その間に確実に楽曲が磨かれていったんでしょうね。収録曲の中で特に気に入っている曲とかはあります?
 
田村(b)「『蜩』ですね。バラードでもアップテンポでもないこういう曲調はこれまでなかったんですけど、自分は大好きで。イッチー(=一瀬)が最初にこの曲を作ってきたとき、聴いて一瞬で“いいね!”って感じました。女の子が歌わなくても成立するというか、CHEESE CAKEの良さの1つでもあるんですけど、哀愁があって中性的というか、“女の子らしさ”を武器にしてないところがすごく好きですね。どんな人が聴いても共感出来るんじゃないかな」
 
一瀬「CHEESE CAKEっていうバンド名とか、“男2人・女2人でポップな音楽をやってる仲良しバンド”っていう見られ方に、僕らの中でギャップがあって(笑)」
 
岩淵「ナメられがちだよね。“私はそんないいヤツじゃないし、言葉使いはめっちゃ悪いぞ”といつも思ってる(笑)」
 
一瀬「『渇いたのど』で言えば、詞の中で“うっとうしい”とか“あっち行ってろ”とか汚いことも隠さずに歌ってるし、僕やポチ(=岩淵)は元々女性ボーカルものとかよりロックバンドが好きなんで、余計に自分たちの本来の姿とイメージに、ギャップを感じるんですね」
 
岩淵「私が目標にしているのはスピッツなんです。スピッツみたいに激しくも優しい歌を歌える人になりたいなぁって思う。変わった言葉を使っていても、よくよく聴くと“分かる~!”って思えるところがあって。日常のつまらないこととかもカッコよく歌に出来て、逆に“くだらないなぁ”って思っちゃうようなところもすごく好き。そういう人間味のある曲を作りたいって、いつも思ってるんですよね。…ってただのファンみたいなことを言ってますけど(笑)」
 
一瀬「ちゃんとロックバンドとして在りながら、歌心がある。そのバランス感は目指してるところですね」
 
――CHEESE CAKEの曲も、ちょっと意地悪だったり、素直に気持ちを出せなくて反対のことを言っちゃうとか、そういう人間味のある部分を圧倒的に素のままに表現しながら、ポップな音楽に昇華出来ている。これもそのバランス感覚があってのことだと思いますよ。
 
岩淵「デビューして全国をライブして回ったときに嬉しかったのが、インストアライブでおじいちゃんとおばあちゃんが並んで聴いてくれてたり、小さな子がめっちゃノッてくれてたりして、“こういう人たちにもちゃんと届いてるんだぁ。嬉しいなぁ”って思いました。それと、もう1つ嬉しかったのが、“今までライブというものに来たことがなくて、今日初めて来ました”っていう人が、結構多かったですね」
 
――音楽の入口的存在になれるところがあるのかもしれないですね。それは曲だけじゃなく、バンド名や男2人・女2人の編成も作用していたり。
 
岩淵「ですね。4人とも見た目は普通なんだけど、普通の人がカッコつけて背伸びして、ガーッと音楽をやるとこうなるんだぜ、って感じですね(笑)。でも、歌はカッコつけないで素直にありのままを歌えたらいいなって」
 
――金山さんはドラムの位置からいつも3人やお客さんを見守っているわけですが、ライブ時の3人はいかがですか?
 
金山(ds)「ライブはお客さんがノッているのを見てると自分も楽しくなってくるので、お客さんには是非、“CHEESE CAKEと一緒にライブを作るんだ”っていう気持ちで楽しんで欲しいですね。メンバーは…アネキ(=田村)はライブ前は結構緊張してるけど、ステージに上がるとアーティストの顔に切り替わってる」
 
田村「ほぉ(笑)」
 
金山「イッチーは本番前に“緊張しないで”とか“落ち着こう”とかみんなに言ってくるけど、本当は自分が一番緊張していて、笑ってても顔が引きつってる(笑)。ステージではいつも心配そうにみんなを見守って、ポチのMCで話がこじれたりすると軌道修正する役割もありますね(笑)」
 
岩淵「話が脱線しやすいからね(笑)」
 
一瀬「この前もアルバム発売前日のインストアライブなのに、MCでアルバムのこともツアーのことも何も言わなかったんですよ! すっごく焦った~。でも一番キメをミスるのはゴン(=金山)なんだよね(笑)」
 
岩淵「カッコつけてスティック回そうとして落としたり(笑)」
 
金山「全部笑ってごまかします…(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
 
音楽って本当は一番自由で楽しいものなのに
何で自分は楽しんでないんだろう?
好きな音楽をやって、みんなが聴きに来てくれて、こんなに幸せなことはない
 
 
――ちなみにCHEESE CAKEってバンド名はどこから付けたんですか?
 
岩淵「バンド組む話をしていたときにみんなでチーズケーキを食べていて、“これでいいんじゃない?”って」
 
――安直な(笑)。
 
一瀬「デビュー時にレコード会社の方から、“本当にCHEESE CAKEでいいんだね?”って聞かれてみんなで考えたんですけど、今さら違うバンド名にするのもなぁって。そういうことがちょくちょくあって、僕らが地元で初ライブをするときに、“対バン”っていうものがあることを知らなくて、しかもライブハウスじゃなくてホールをレンタルしちゃって、初めてのライブでいきなりワンマンライブをやっちゃったんですね(笑)。PAさんに“対バンの方は何時に来られますか?”って聞かれて、“対バンって何ですか?”って(笑)。本当に全然知らなかったんですよ(笑)」
 
――それから8年の間に音源制作する環境も整え、メジャーデビューもして、今は音楽で生きていると。
 
岩淵「幸せだなと思います。デビューしたときは、“今まで遊びでバンドをやってたのとは違うんだ”って自覚したことでいろいろな重圧が降りかかってきて、ライブのMCも不安でうまく喋れなくて…。でも、音楽って本当は一番自由で楽しいものなのに、“何で自分は楽しんでないんだろう?”って」
 
一瀬「もったいないよね」
 
岩淵「うん。深く考え過ぎだなって。単純に、好きな音楽をやって、みんなが聴きに来てくれて、“こんなに幸せなことはないだろう”って気付いてから、かなりラフな気持ちでライブが出来るようになりました。あと、これまでワンマンライブをやっても、CDとガッチリ連動させた形のライブはやれてなかったんですね。でも今回は、『YEARS』という1つのテーマの元に出来た音で動いていきたいから、夏のツアーでもみんなで意見を出しながら、いろいろやりたいなと思ってます」
 
――大阪ワンマンは、8月3日(日)心斎橋Pangeaですね。
 
一瀬「ライブをやってると、いろんな年齢層の方が聴いてくださっているのが分かるんです。大人の方もいれば中学生ぐらいの子もいたり、ロックバンドばかり聴いてそうな人、もっとライトに音楽を楽しんでる人。いろんな方が来てくれるのでライブはすごく楽しいし、大阪にも来る機会が増えて、だんだんお客さんの顔も覚えてきてますね」
 
――CHEESE CAKEはこれから先どんなバンドになっていきたい?
 
田村「アルバムを出せたことで安心するんじゃなくて、まだ世に出していない曲もあるし、これからまたさらに2人(岩淵&一瀬)が頑張っていい曲を書くので(笑)、新しいCHEESE CAKEを見せていけたらと思います」
 
岩淵「ハイ、頑張ります(笑)。今回のアルバムは自分の暗黒時代の曲や、今みたいに元気でハッピーなときの曲も入ってるし、辛いときとか悲しいとき、嬉しいときも楽しいときも、どんな気分のときでもピッタリ合う曲が見付かるんじゃないかなと思います。ここから先は、ずっと変わらない部分はあるけど、“こういう曲もあるんだ”って思ってもらえるような新しいことにもチャレンジしたい。その上で、スピッツみたいに、優しくもあって、冷たくもあって、そんな歌が歌えるバンドになりたいですね。バンドの意志はブレずに、周りに流されない芯のある強いバンドになっていきたいです!」
 
 
Text by 梶原有紀子



(2014年7月31日更新)


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Movie Comment

関西でのエピソードなど岩淵(vo&g)
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Release

ポップシーンにその名を刻め!
名曲代表曲満載の待望の1stアルバム

Album
『YEARS』
発売中 3000円(税別)
SME Records
SECL-1529

<収録曲>
01. 三角形関係
02. ウソツキライダー
03. 哀しみのブランコ
04. 平行線のうた
05. 強がり虫
06. 乾いたのど
07. ゼイガルニク
08. ちょっとねぇ
09. 蜩
10. 寝グセ
11. 音の無い世界のうさぎ
12. 虹の向こう

Profile

チーズ・ケーキ…写真左から田村三果(b)、岩淵紗貴(vo&g)、一瀬貴之(g)、金山尚右(ds)。福岡県春日市出身。小・中学校の同級生だった4人によって'06年に結成。'09年九州朝日放送『V3新人オーディション』で14th最優秀賞を受賞。同年、TOKYO FM主催の10代限定夏フェス『閃光ライオット』で準グランプリを獲得。'10年には楽曲『Puzzle』がフジテレビ系『めちゃ2イケてるっ!』エンディングテーマ曲に抜擢。地元・福岡の自宅を改造したスタジオで音源制作に励む中、'13年2月にシングル『哀しみのブランコ』でメジャーデビュー。同8月に2ndシングル『音の無い世界のうさぎ』、10月にはミニアルバム『C』と立て続けにリリース。今年6月には小南泰葉のツアーへのゲスト参加や、片平里菜と対バンツアーを行うなど、精力的にライブを展開。7月2日に待望の1stアルバム『YEARS』を発表。アルバムを携えた全国ツアー『CHEESE CAKE ワンマンライブ ”イヤーズいぶん遠くに来たもんだ!!”』を7月31日よりスタートさせた。現在も地元福岡を拠点に活動中。

CHEESE CAKE オフィシャルサイト
http://www.c-cake.jp/


Live

ワンマンツアーがいよいよスタート
大阪公演が間もなく開催へ!

 
『CHEESE CAKE ワンマンライブ
“イヤーズいぶん遠くに来たもんだ!!”』

【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード232-386
▼7月31日(木)19:00
CLUB ROCK'N'ROLL
スタンディング2200円
サンデーフォークプロモーション■052(320)9100

【東京公演】
チケット発売中 Pコード229-815
▼8月1日(金)19:30
shibuya eggman
スタンディング2200円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。
 

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード231-012
▼8月3日(日)18:00
LIVE HOUSE Pangea
スタンディング-2200円
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※3歳以上はチケット必要。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


【福岡公演】
チケット発売中 Pコード232-327
▼8月7日(木)19:00
Fukuoka BEAT STATION
スタンディング2200円
キョードー西日本■092(714)0159

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チケット情報はこちら


【東京公演】
『CHEESE CAKE ワンマンライブ
“イヤーズいぶん遠くに来たもんだ!!”
 スペシャル!!』
一般発売8月2日(土)
Pコード235-517
▼10月12日(日)16:00
Shibuya WWW
スタンディング3000円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。

チケットの購入はコチラ!
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