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“You Only Live Once(=人生は一度きり)”
another sunnydayが到達した3rdアルバム『YOLO』
人生を楽しみ、音楽を楽しむアナサニの現在地を語る
ナカヤマシンペイ(ds)インタビュー&動画コメント

 another sunnydayは、バンドの中核を成すストレイテナーのナカヤマシンペイ(ds)自身がティーンの頃、まだYouTubeもない時代にMTVなどの音楽メディアにより音と映像を通じて鮮烈な影響を受けた、ポップでキャッチーなロックンロールを体現するために結成したバンドだ。メンバーは、テナーで活動を共にするOJこと大山純(g)、元々はOJの飲み友達で、ナカヤマ曰く「スタジオに入ったら演奏のセンスも人間性もすごくよくて」と惚れ込んだTHE RODSの美登一(ミトイチ、b)。そして、serial TV dramaを知ってから秀でたボーカルセンスに目をつけていたという伊藤文暁(vo)。そんな彼らの3rdアルバム『YOLO』は、最初のイントロで冬の重たい空気を一瞬にして吹き飛ばし、真夏のきらめく海へと連れ出してくれる『Prelude』(M-7)をはじめ、これまで通販や配信のみでリリースされてきた楽曲もごっそり収録。インタビュー中にナカヤマ本人も語っている通り、今作はアナサニ(=another sunnyday)の最初のマイルストーンともいうべき完成度に到達している。このアルバムを携えたツアーも残すは東名阪ワンマンのみ。「頭で考えるよりも、フィジカルに」。ナカヤマがさりげなく放ったその一言は、音楽のみならず今の時代をタフに快適にサヴァイブする重要なポイントなのかもしれない。

 
 
このバンドでやろうとしていたことが出来た
1つの手応えみたいなものを感じます

 
――昨年はストレイテナーのメジャーデビュー10周年や全県ツアーで忙しい中、another sunnydayのアルバムもきっちり仕上げられて。
 
「そもそもこのバンドは、“ポップで明るくスカッとした音楽をやりたい”というコンセプトで作ったバンドなので、1曲1曲“いかにこの曲をポップで気持ちいいものに仕上げていくか?”を12回繰り返してギュッと集めたら濃厚になっちゃった、みたいな(笑)。1、2枚目とそれをやり続けて、今回で1つの到達点というか、このバンドでやろうとしていたことが出来た、1つの手応えみたいなものを感じます」
 
――確かに全12曲、清々しいぐらいにポップでスカッとする曲ばかりです。
 
「そういうものを音楽に求めているバンドですし、音楽のそういう部分をフィーチャーしたいんですね。ストレイテナーは音楽的偏差値が高いバンドなので、もはや“盛り上がっていこうぜYeah!”みたいな楽曲ではないし(笑)、テナーでは多分こういう音楽は出来ないと思うんですよ。だからこっちで思う存分やる(笑)。僕は元々グリーン・デイやフー・ファイターズを聴いて育った人間なんで、彼らのようなポップでスカッとする音楽をいつかやりたいなとは思っていたので」
 
――中でも『Prelude』(M-7)は聴いていて力をもらう瞬間が幾度もありました。伊藤さんの“先へいけ”と歌われる声はとても力強いんですが、同時にも迷いや葛藤みたいなものを抱えたまま、それでも先に進もうとする苦味も感じられるというか。その辺りが、単純に明るくポップなだけではないんだなと思わせられて。
 
「まさにそうですね。このバンドは、全然ポップでない4人がポップであろうとしてるバンドなんで(笑)。伊藤が前のバンドにいた頃から思っていたんですけど、聴き手に対してちょっと手を差し伸べてるというか、“僕も一緒に行くから”と歌っている印象は受けますね。ただ彼の場合、歌詞が普通の言葉の使い方じゃないから面白く聴こえる。ただほっといたらどんどん暗くなっちゃうんで、あまりに文言が暗いときだけは言いますね(笑)」
 
――『Shot in the arm』(M-5)はスカッとするけど、重く響くといいますか。“どでかい音出して垂れ流したって 寝言じゃ刺さりゃしない”。ポップだけど軽くはなくて、詞も曲も重みをもって届く。
 
「僕が思うのは、伊藤は自分の現状で歌詞を書く人間だと思うんですね。だから“伊藤文暁はこういう人間です”というよりも、“今の伊藤文暁はこんな感じです”という詞だなと。だから、作品を追うごとにどんどん変わっていくんだと思います。歌い方にも伊藤なりのこだわりがあって、僕らが聴いていて何の問題もないテイクでも、“ちょっと僕の感情が乗ってないので”って録り直すことが結構ありましたから。彼はまだまだ発展途上の人間で、今でも歌は上手いしいいボーカルだけど、もっとよくなるんだろうなと思いますね」
 
 
アナサニは音楽の入口として聴いて欲しいバンドなんで

 
――あと今回は何と言っても、富士急ハイランドのFUJIYAMAに乗って歌う『Bucket Mash』(M-2)のMVが、近年稀に見る出色の出来ではないかと(笑)。


 
「僕が育ってきたMTV全盛時代って、グリーン・デイもフー・ファイターズもビースティー・ボーイズも、ものすっごくカッコいい曲なのに、それを台無しにするようなMVを作ってましたよね?(笑) いつからかMVはとにかくカッコいいものがいいみたいな雰囲気になっちゃってるなーって。デイヴ・グロール(フー・ファイターズ)みたいに髭を付けておどけたり…しかもフー・ファイターズがやるのがいいんですよね」
 
――そもそもおちゃらけたバンドがやるのではなく。
 
「そうそう! 僕がキッズだった頃はあれがものすごく楽しかったし、曲がカッコいいだけじゃなく見ていて何だか嬉しかった。カッコいいだけでも悪くないんだけど、“ロックバンドってこういう面白いこともやっちゃえるんだよ”ってことを、僕はキッズに向けて見せていきたいんです。まだまだMVのアイディアはいっぱいあるし、アナサニが売れれば売れるだけ、いいMVを作る自信はありますよ(笑)」
 
――それこそ、最後の『ライオネルベイビー』(M-12)もフザけてるというか、ギターソロに“OJ! OJ!”って声がかぶっていたり、イントロにも歌の合間にも合いの手がバンバン入って。皆さんスタジオで飲んでたんですか?(笑)
 
「当初はクールでスタイリッシュなロックンロールだったんですけど、最後のコーラス録りで僕が無理矢理方向転換したというか、ブチ壊しました(笑)。これこそ、根っこが暗い人たちが真面目にフザけてるんですよ。最後にいい感じのボーナストラック感が出たから、変えてよかったです(笑)」
 
――アナサニにNGなことってあるんですか?
 
「このアレンジだと洋楽になるからやめよう、みたいなことはありますね。と言うのも、音楽好きのリスナーに向けるんじゃなくて、もっと広く万人に分かりやすくありたいんですね。僕自身、自分がポップだと思っていたものが、そういう耳を持ってない人にとってはただのオルタナティブになってしまうっていうことを、いっぱい経験していて。だから、作り手としてもポピュラリティの勉強になりますね。アナサニは音楽の入口として聴いて欲しいバンドなんで。10代の子たちに“ロックバンドって楽しいし気持ちいい!”って提示出来れば正解かな。最近は“ごめんなさい! テナーは聴いてないんですけど”っていう子も増えてきたので、それは1つの成功だなと。まだまだだけど、ジワジワ広がってるのは自分でも感じますね。今まではただ水をやっていたところに芽が出始めて、水はただ土に吸い込まれるだけじゃなくてちゃんと届いてたんだ、ここに種はあったんだ!という感じ。これを大木に育てるために、いかに成長させていくかが今後の課題ですね」
 
――アナサニの突き抜けたポップさやストレートさは、今に時代にあって新鮮に響きます。
 
「単純にこういうことをやってるバンドがいないんですよね。今の日本のバンドって音楽偏差値が異様に高いですよね。みんな楽器は上手いわ、楽曲はすごいの作るわで、手の込んだ料理を作る専門店ばかり増えていて、ファミレス的なバンドがいないんですよ。そういう点でこのバンドは目立っちゃうんですけど(笑)、でも分かるんですよ。ミュージシャンって職人気質なところがあるし、1つのバンドをやってたら突き詰めるものもあるし、どんどん上手くなっていく。だから、グリーン・デイっていつまで経ってもブリリアントさがなくならないから、本当にすごいなと思う。ライブも観に行ったんですけど、本当に変わらない。まぁお国柄とか育った環境の違いもあるんでしょうけど」
 
――ナカヤマさんも職人気質はテナーで発揮して、アナサニは楽しくやると(笑)。
 
「アナサニは特に何も考えてないですから(笑)。ユルいわけじゃなくて、考えるというよりフィジカルなんですよ。で、そこまでリハをやらなくてもライブが成立する(笑)。今後はこれをさらに突き詰めたいですね。バンドの方向性は“ポピュラリティ”で決まっているわけだから」
 
――1月からツアーが始まっていて、終盤の2月の東名阪はワンマンです。
 
「普通は“アルバムを聴いてライブに来てください!”って言うんでしょうけど、アナサニの場合はアルバムを聴き込まなくても、もっと言えば全然曲を知らずに友達に連れて来られたとしても、“へーイイじゃん”と思ってもらえる自信はありますね(笑)。今回のツアーはバンドの規模からしたら無謀な本数かもしれないけど、ライブをやればやっただけバンドが成長出来るのは確かですから。初めてのロングツアーなので、最後の東名阪はすごくいいライブが出来るようになってるか、すごく仲が悪くなってるかどっちかですね(笑)」
 
 
Text by 梶原有紀子



(2014年2月20日更新)


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シングル2枚に配信曲も軒並み収録
ポップソング満載の3rdアルバム!

Album
『YOLO』
発売中 3000円
ghost records
DQC-1167(STNR-010)

<収録曲>
01. MORNING STIR
02. Bucket Mash 
03. マリネ
04. ユーグレナ 
05. Shot in the arm
06. 夏の再来
07. Prelude 
08. ハログレア
09. Wrapping City
10. 夜道のハイライト
11. O halo
12. ライオネルベイビー

Profile

アナザー・サニーデイ…写真左から、美登一(b)、伊藤文暁(vo)、ナカヤマシンペイ(ds)、大山純(g)。’10年結成。’11年4月に1stアルバム『siesta』をリリース、同年夏に『ROCK IN JAPAN FES.』をはじめ数々のロックフェスやイベントに出演。ポップで親しみやすく、時にラウドな表情も見せる楽曲は、初めて耳に飛び込んだ瞬間から鮮やかな世界を聴かせ、多くの喝采を持って受け入れられた。 ’12年2月には2ndアルバム『My Freedom』をリリース。5月には新曲『Bucket Mash』をオフィシャルサイトにて期間限定無料ダウンロード、さらにはCD+Tシャツを限定で通信販売したのに続き、12月には『Prelude/O halo』を、’13年4月には『夏の再来』を通販限定発売とコンスタントに新曲を発表。新作のタイトルである『YOLO』は、“You Only Live Once(=人生は一度きり)”の頭文字をとったもので、主にアメリカでスラング的に使われることの多い言葉。

another sunnyday オフィシャルサイト
http://www.anothersunnyday.net/


Live

過去最大のツアーを締め括る
東名阪ワンマンが間もなく開催!

『YOLO TOUR』
【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード210-978
▼2月22日(土)18:00
アポロベイス
オールスタンディング3300円
ジェイルハウス■052(936)6041
※未就学児童は入場不可。

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Pick Up!!

【大阪公演】

Thank you, Sold Out!!
▼2月23日(日)18:00
LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング3300円
GREENS■06(6882)1224
※未就学児童は入場不可。

【東京公演】
チケット発売中 Pコード211-436
▼3月1日(土)18:00
UNIT
立見3300円
ホットスタッフ・プロモーション■03(5720)9999
※未就学児童は入場不可。

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