“もがき続ける30”の夢のつづきは何処にある? LOST IN TIMEが葛藤を越え立ち上がった2枚組ニューアルバム 『( )トラスト オーバー サーティー』! 海北大輔(vo&b)&大岡源一郎(ds)インタビュー&動画コメント
収録曲『30』が話題のLOST IN TIMEの新作『( )トラスト オーバー サーティー』。中堅の域に達する30代のバンドマンは今が踏ん張りどき。一番苦しい時期でもあるし、一番楽しい時期でもあるかもしれない。LOST IN TIMEも、そんな30代の壁にぶち当たり、何かに気付き、歌い出した。つまりは、始まったばかり。そんなある種の禅問答のようなインタビューとなった今回。流行や旬に捉われず、長いスパンで伝えよう、届けようとする意思が感じられる内容となった。
PVを彷彿とさせる(!?)ライブに向けた意気込み動画コメント!
――新作『( )トラスト オーバー サーティー』は収録曲『30』を含め、三十路という年齢が肝になっていると感じました。30歳は、どう受け止められましたか。
海北(vo&b) 「30歳になる直前は割とナイーブになっていて、29歳最後の日は感傷的になり過ぎましたね。19歳から東京に住んでいるのですが、今まで住んでいた駅やアパートの周りを歩き回って。道が塞がれていた場所なんかもあって、自分の歩いた足跡が消されたみたいで悲しくなったりもして。その日は疲れて夜10時には寝ていて、起きたら30歳になっていましたけど(笑)。そこから特に年齢は気にしなくなったし、今は冷静にあの頃を振り返られますね。今は、30過ぎてからを楽しめていますし」
大岡(ds) 「30歳になるときは何も感じてなくて、でも30代に入ってからいろいろと感じてきましたけどね。親の衰えを見ると孫の顔を見せてやりたいなとか(笑)。親が60代、自分が30代になるといろいろと考えますよね」
海北 「分かる、分かる。バンド自体は30を過ぎてから、ようやくペースや置かれている状況が分かってきましたね。13年目の今、メンバーも入れ替わったりして試行錯誤をしていた20代を冷静に振り返られます。一時期僕はギターを弾いていた時期もありましたしね。今や鍵盤も弾くけど、ベースボーカルというスタートラインは大切にしています。でもヘンなこだわりはなくなったし、風通しが良くなったなと思えますね」
大岡 「モヤモヤ感もないし、そんな話題も話せるようになったよね、メンバー間でも」
海北 「20代の頃は、発展的なぶつかりあいも出来なかったし」
大岡 「今は、どうやったら良いぶつかりあいになれるかを考えられるようになった。20代の頃はぶつかり合わずに、黙っちゃっていたので」
海北 「解決法を見出すまでに至らなかったよね。ヒリヒリした感じは素晴らしいんだけど、それが続けていくことにはつながらないというか。まぁ、続けることだけが素晴らしいわけでもないんだけど。極論世界が変わる1曲を出せるなら、それで終わってもいいし。ただ、続けることを楽しめているし、今が今までで一番ワクワク感が強いかな。20代のときの不安って、ただ単に“この先どうなるか分からない”という感じで。でも、30代になったら“この先どうなるか分からないという不安を理解出来る”というか。だったら、楽しいことを思い描こうと考えられるし」
今度は僕たちが立ち上がる番じゃないかなって
――あと、去年はライブをされていたものの、曲が書けないという困難があったみたいなんですが、改めてどのような1年になりましたか。
海北 「去年は、本当にメンバーに迷惑をかけましたね。ソングライターとしてハンドルを握らないといけないのに…。かと言って、無理やり動こうとしても、腑に落ちない。だから、1人で弾き語りの旅に行っているときは、残っている2人がイントロをアレンジしてくれていたり、その後が動きやすかったですね。葛藤が原動力だったのに、震災以降そんないろいろがちっぽけに思えたんですよね。東北に歌いに行っても元気を逆にもらうばかりで、何を歌っていくべきか見付けられない。そんなときにヒントをくれたのが、バンド仲間だったりして。同じ景色を見ていた仲間たちが解散などを経験したとき、僕らもいつか終わるからこそ、最後の瞬間が良い瞬間になるように生きたいと思えたんです。ちょうどマネージャーが亡くなったのもあったりして…」
大岡 「それは大きかったですね…」
海北 「二人三脚でやってくれた人だったので…。僕らは本当に人に恵まれていて、スタッフにおんぶにだっこでは失礼だなとも思えたんです。だから、メンバーも運営に関与し始めたんですよね。いよいよ、インディーズのバンドマンになってきたなと思いますね」
――海北さんが弾き語りの旅に出かけている間に、メンバーが待ってくれていた話はいいですね。
大岡 「待つしかないですから」
海北 「じっと待ってくれていましたから」
大岡 「じっと待ちました!」
海北「じらして、スミマセン(笑)。それと今って、明るいネガティブな人って多い気がして、僕はどちらかと言えば暗いけど、ポジティブなのかもしれないなぁと思えたんです。これからの時代を照らすのは、そんな暗いけどポジティブな人なのかなって。僕が好きな音楽は、どこかにフラストレーションを抱えていて、悔しさが原動力になるというか…。そういう人たちが立ち上がっている姿を見たら憧れるし、今度は僕たちが立ち上がる番じゃないかなって。どうしても中心には10代20代がいるし、先輩の40代は元気だから、30代はド真ん中にはいられないんですよ。だからこそ、30代のバンドマンはタフになる。波に乗り切れなかった人の凄みというか。売れる売れないとは別に、鳴らし続けることの価値を教えてくれたのは上の世代ですしね。瞬間の美学は、10代や20代から教えてもらうし。まぁ、でもゴールがないことを知れたこと自体がゴールですし。そもそも始まってもいないような。まるで禅問答ですよ(笑)」
10年前の曲も今は気持ちよく歌えるんですよ
――収録曲『30』をはじめ、新作『( )トラスト オーバー サーティー』は何かを掴んだ作品ですよね。だから、次が気になるんです。
海北 「今は詞と曲を作っている最中で、久しぶりに合宿もしようかなって」
大岡 「海北くんがいい状態になれば、自ずとバンドはいい状態になりますしね。そこ待ちです」
海北 「とにかく、今のバンドのアンサンブルにストレスがないのはいいですね。思い出をしっかり昇華して、10年前の曲も今は気持ちよく歌えるんですよ。まぁ、10年も待ち続けさせているバンドとも言えますよね(笑)」
大岡 「じれるわ~!!(笑)」
海北 「最近“30代になるのが楽しみになりました”って、10代や20代のバンドマンに言われるんですよ。それが嬉しくて。きっと僕らが楽しんでやれているからだと思うんですけど。僕も早く次の曲が聴きたいですね」
――本当に楽しみにしています。今日はありがとうございました!
Text by 鈴木淳史
Photo by 河上良(bit Direction lab.)
楽曲とオリジナルMVに感銘を受けた関西の名物イベント『youtube delight』のメンバーをはじめ、LOST IN TIMEと関わりのある人物を中心に制作された関西ver.が解禁!
VIDEO
(2013年5月27日更新)
Check
4月30日、夕方6時。会社帰りの人たちが家へと急ぐ時間。当日Twitterで突如予告され、JR大阪駅前という最も賑わう場所に海北(vo&b)がアコギを持って現れた(横には大岡(ds)の姿も)。ユーストリームでの中継も行ないながら、ゲリラライブではマイクも何も通さず、そのまんま届けられる歌声がどこまでも響き渡っていく。周りにはそれが誰かが分からないまま、思わず覗き込む人も見受けられる。最後に『30』も披露され、都会の喧騒の中、心が浄化されたひとときとなった。
Release
つばき一色徳保(vo&g)も参加! 新作はスタジオ×ライブの2枚組
Album 『( )トラスト オーバー サーティー』 発売中 1575円 DAIZAWA RECORDS/ UK PROJECT UKDZ-0146-0147 <DISC-1収録曲> 01. 30 02. over 03. シルエット 04. 雨が降る夜 05. 最後の頁 <DISC-2収録曲> 2013.1.27 LIVE@新代田FEVER 01. 手紙 02. 合い言葉 03. 教会通り 04. 一つだけ 05. 旅立ち前夜 06. 希望 07. ココロノウタ 08. 呼吸
Profile
ロスト・イン・タイム…海北大輔(vo&b)、大岡源一郎(ds)、三井律郎(サポートg)。’01年結成。’02年に1st アルバム『冬空と君の手』をリリース。同年に奥田民生、椎名林檎、松任谷由実などが参加したスピッツのカバーアルバム 『一期一会~Sweets for my SPITZ』にも参加。 ‘03年に1stシングル『群青』をリリース。以降、現在までに6枚のオリジナルフルアルバムを発表。昨年は10周年を記念して、初のベスト盤『BEST きのう編』『BEST あした編』を2枚同時リリースした。
LOSTIN TIME オフィシャルサイト
http://lostintime.me/
Live
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