メンバーの脱退&加入で新装開店したキノコホテルが
カバーミニアルバム『マリアンヌの逆襲』をリリース!
マリアンヌ東雲(vo&org)が苛立ちと情熱を語る
インタビュー&動画コメントが到着
昨年12月、キノコホテルからエマニュエル小湊(b)の脱退が告げられた。ある程度のキャリアがあるバンドからのメンバー脱退のニュースを聞くと、休止や解散が頭をよぎるのだが、年内にはジュリエッタ霧島(b)を迎えた新体制が発表。そして、新メンバーで制作したミニアルバム『マリアンヌの逆襲』が5月1日にリリースされた。カバーアルバムでありながら、現在のキノコホテルに音も言葉も合致した作品となっており、とにかくイキイキとしていて、伸びやかな印象しか受けない今作。“逆襲”というタイトルからも、キノコホテルが良い意味で苛立ちを持って動き始めた感じが伝わってくる。まだまだ、このバンドは終わらない。マリアンヌ東雲(vo&org)が冷静に熱情を語ってくれた。
マリアンヌ東雲(vo&org)の挑発的かつありがたき動画コメント!
――まずは、この半年の間にキノコホテルには大きな動きがあったと思うので、そこからお話頂けますか。
「去年の10月末くらいにメンバーが1人替わるのが決まったんだけど、“新体制”と打ち出したのね。12月に突然ライブで発表して、その11日後には新しいベーシストも入れたの。ファンの人はモヤモヤしていたみたいだけど、こっちは“みんな情報に翻弄されているわね”なんて思いながら、割りとスムーズに進行していたわね。新しいベースもそもそも直接の知り合いじゃなかったし、そんなに練習したわけでもないんだけど、ベースが替わるとこんなに違うの…っていうくらいに違った。前任者は溜める感じのベースだったんだけど、新しいベースはスピード感があって、スリリングな感じ。これからのキノコホテルにはマッチする感じだなって思っている。上手いこと馴染んでいますよ」
――やはりメンバー脱退って、どうしても終わりの予兆を匂わせるじゃないですか。でも、キノコホテルは突き進んでいる感じが嬉しいなって。
「まだ終わらせる感じではないなって。去年の12月には燃え尽きた感じもあったし、ここがビューティフルな終わり方だなとも思ったの。その後、1週間くらい寝込んじゃったりしたし(笑)」
――今までの4人でのビューティフルな終わり方に浸らずに、すぐに次が始まっているのが良いなと思うんです。
「その新しいベースがバカテクでね、みんなビックリしたのよ(笑)。ビューティフルな終わり方を忘れさせるくらいにね。せっかく良い娘が見付かったんだし、新しい幕開けを早くしたかったの。キノコのこれからを期待してくれている人たちのパワーに動かされたというのもあるし。あと、正直今までは自分主導だったのが、新しいメンバーが入ったことで他の2人にも意識改革があったみたいで、バンドがまとまってきたの。女の娘って難しいし、バンドも7年くらいやっているのに、今そういう時期を迎えられたのは奇跡かなって思うわね」
自分の心境にもフィットしている。苛立っている感じとかがね
――今作の録音はどうでしたか。
「曲を2月中に絞り込んで、録りは今年の3月くらいかな。今回はわざとニューウェーブな曲も選んだりしたし。GS歌謡も構成の1つとしてやるんだけど、今回みたいなエッセンスをふりかけるのもいいかなって」
――キノコホテルはGS歌謡だと思い込んでいる人が多いじゃないですか。今回のようなカバー集で、改めてこのバンドには様々な要素があることが提示出来たように思うんです。
「そうそう、この機会に特殊性を出したくて。カバーは実験が出来るからね。自分の曲だと余裕がなくて、遊べないから」
――今作はさっきおっしゃっていたスピード感というか、本当にイキイキした感じがあって。
「それは出ていると思いますね。たまたまですけど、自分の心境にもフィットしている。苛立っている感じとかがね。意図的ではないんだけど」
――カバーなのに、歌詞もマリアンヌさんの感じが出ているのがいいなって。
「曲はいいんだけど歌詞は合わないわ、というカバーもあるんだけど、今回は自然に合った感じね。ステージもどんどん攻撃的になってきているし、これからの楽曲にも反映されると思うわ」
――『マリアンヌの逆襲』というタイトルも最高です。
「何かされたわけじゃないんだけどね(笑)。B級感もあるし、今まで人目に触れなかった楽曲がこの世に戻ってくる感じもあるし。キノコ自体もまだまだ満足していなくて、もうひと攻撃いくぞという感じもあるしね」
――やっぱり苛立っている、心がザワザワ騒ぐ感じが、今作はグッとくるんですよ。
「そういう日々がずっと続くと辛いんだけど、ヒリヒリした感覚が音楽をやっている限りはないといけないときもある。だから結局は、そういう感じが続くのかな」
ミュージシャンってイヤなことや大変なことがあると
逆にステージや作品が良くなったりする
――次の”ひと攻撃”の予定も出ていますか?
「ちょこちょこ新曲は作っているの。今の4人だと作業も早いし、手応えは感じていますよ。とにかくベースの娘は何かあればすぐ音を調整出来るので。あとは自分のやれることをやれればいい。ようやくよね…ここまでたどり着くのに長い時間がかかったわ」
――バンドを続けてくれるのって、すごい嬉しいんですよ。
「自分たちと同じくらいの世代のバンドが解散や休止になると、余計に意地になる。ずっと続けようと思う。だって、何も成し遂げていないのに辞められないじゃない。まだまだ、挑戦していきたいから。私たちみたいなバンドが、王道でないバンドが王道になったら、カッコいい」
――今のバンドの調子が伝わりますね。
「ミュージシャンってイヤなことや大変なことがあると、逆にステージや作品が良くなったりするのね。それは、我々の特権だと思っている」
――本当に期待しています。ありがとうございました!
Text by 鈴木淳史
(2013年5月20日更新)
Check