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ホーム > インタビュー&レポート > 自信と確信に満ちたセルフタイトル作『OKAMOTO'S』引っ提げ 東名阪ワンマン&くるりとのガチンコ対バンが大阪で実現! 重要作に至るバンドの内情から“あの話”まで ショウ(vo)&ハマ(b)撮り下ろしインタビュー&動画コメント!!


自信と確信に満ちたセルフタイトル作『OKAMOTO'S』引っ提げ
東名阪ワンマン&くるりとのガチンコ対バンが大阪で実現!
重要作に至るバンドの内情から“あの話”まで
ショウ(vo)&ハマ(b)撮り下ろしインタビュー&動画コメント!!

 10代でメジャー進出した彼らも、今年で4年目。メジャー進出から僅か1年4ヵ月で3枚のアルバムを矢継ぎ早に発表してきた彼らが、それと同じ約1年4ヵ月をかけてこ今年1月にリリースした4thアルバム『OKAMOTO’S』。昨年のシングル『マジメになったら涙が出るぜ/青い天国』時のインタビューでは、順風満帆に見えたバンドがぶつかった壁について赤裸々に話してもらった。それから約半年…彼らにいったい何があったのか!? 今回のインタビューでオカモトショウ(vo)とハマ・オカモト(b)は、友達同士だった4人の関係性が、ようやくミュージシャン同士のそれになってきたことを明かしている。何だかよく分からない自信、何だかよく分からないエネルギー…そんな漠然とした輝きが、今作では明確なものとして見えてきている。それぞれの役割が浮き彫りになることであぶり出されたOKAMOTO’Sの真の魅力。ルーツとキャリアを整理することで視界がクリアになったと語った、OKAMOTO’Sの重要作に迫るインタビュー。

ショウ(vo)&ハマ(b)からの動画コメントはコチラ!

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ミュージシャン・マインドか、友達マインドか
このままだと馴れ合いになると思ったんですよ



――去年の夏、シングル『マジメになったら涙が出るぜ/青い天国』のインタビューでは、煮詰まった状態からようやく抜け出してきたという話だったんですが、あの頃からこのアルバムまでの流れを教えてもらいたいなと。個人的には、今作ではメンバーの役割分担が出来ていると感じたんですね。ショウくんがフロントマンの自覚を持って作詞作曲を担当しているし。

ショウ(vo)「今まではそういう立ち位置じゃなくて、誰かのアイデアに“いいね!”って乗っかるだけだった。歌詞は自分で書いてましたけど、基本はコウキ(g)の持ってきた土台を4人でいじり回すだけというか。だからこその自由さもあったんですけど、このアルバムではその自由さを超えて、どこに向かっているのかをハッキリさせた作品にしたかったんです。前回にも話した壁を乗り越えた時期があったんですけど、そのときに歌詞を共作したいしわたり(淳治)さんから、“4人とも華があるんだから、その華を自覚した方が良いよ。だから、クヨクヨしてない方がカッコいい”って言われて。それは4人では気付かない芯の部分だったかもしれない。現実離れしているところに自分をもうちょっと持っていって、その華をもっと咲かせられるなと今回は思ったんです。そのときに出てきた“愛”とか“ハッピー”とかいう言葉を元にアルバムを作っていけたのは、スゴく自信になりましたね」

――ショウくんから見て、他の3人はどう変わったと思いますか。

ショウ「元々同級生で12歳から一緒だし、遊んだりすることはもはやその頃に飽きてるかも(笑)。高校から一緒にバンドもやり始めて、自然といろんなことを話さなくなってたんです。大事なことは余計に話すのがこっ恥ずかしくなったし。そこに危機感を覚えてないメンバーもいたかもしれないけど、俺はこのままだと馴れ合いになると思ったんですよ。話さずとも作れちゃう感じは良かったんですけど、1回そうじゃないところで作りたかったし。だから今回は、メンバーを呼び出してそういう“愛”とか“ハッピー”というテーマを伝えるタイミングを作ったんですけど、ハマくんとレイジ(ds)には“はぁ!? バンドなんだから、話し合うの当たり前じゃん!”みたいに言われるかもしれないと思ったんで、まずはコウキ1人に練習みたいにそういう話をして(笑)。こいつなら適当に“うん”って言ってくれるかな?って(笑)。そしたら俺が思った以上に、ハマくんが俺をリスペクトしてくれていて、それを受け入れてくれた。ハマくんと一緒に作った歌詞にもちゃんと口出ししてくれたし…同じ方向を見て作っていくのって楽しいですよね。あと、OKAMOTO'Sって元々はレイジが引っ張っていたところが結構あったんですよ。彼には新鮮なモノに飛び付く嗅覚があって、いい意味でのミーハーさというか、ロックバンドをやることへの情熱もあったし。でもそうなると、そのレイジの面白さを活かせる奴が必要で。それを、俺が曲を作ることで担えたのかなと」

ハマ(b)「今ショウが言っていたような、同じ方向を見てやるのが初体験だったんです。それによって役割が浮き彫りになるんですよ。作曲をショウがすることで、今までほとんどの作曲を手がけていたコウキが他に何が出来るかを考え始めたり。そもそもコウキはレコーディングに時間がかかる人で、今までは彼に聞こえないところで、“いつまでやってんだよ!”とか言っていたんですね(笑)。もちろん憎悪MAXではないし同級生のノリなんですけど、プロのミュージシャンとしても考えてもらいたいところだったので。今回はそれをちゃんと言えるようになったというか。今までは言ったら不機嫌になるのも目に見えていたし、どの友達にメールで愚痴るかまで分かる(笑)。メンバーの中では僕が一番俯瞰で見ていたとは思うんですけど、今まではそんな僕も含めて、“メンバーの意見は聞き入れたいけど、でも…”っていうところがあった。今回は全員が全員を理解出来てきたんですよ」

ショウ「ミュージシャン・マインドか、友達マインドかっていうところですよね。呼び出したときも、そこは考えましたね」

ハマ「僕は後からバンドに入って、それまでは27~28歳のバンドマンにかわいがってもらっていた時期もあったんです。そういうところで形成された脳で入ったので、最初はみんな“下手クソだな”と思ったんです。でも、3人にはヘンな自信があることも同時に感じてて。こういうことは言いたくないんですが、自分には当時から確固たる自信があったんです。そういう意味で今回は、ショウもヘンな自信じゃなくて100%の自信を持って進めたのが大きいですよね。ショウが何かを見付けた感じが、デモをもらった段階であった。だから、ショウへのリスペクトが僕にも自ずとあったんだろうし、その土台があるから相乗効果が生まれたと思うし。レイジはレイジで今作を作っている時点ですでに次のアルバムの話をしていたんですけど、今がしっかりと見えているから、そういう話が出来た。OKAMOTO’Sは何年もインディーでやってきて形成されたバンドじゃないので、どうしても欠けてる部分がありましたから。“世界制覇”とか、そういう野心は形成されたりしたんですけど(笑)」

――(笑)。僕は4年前の秋に初めてライブを観て一発でやられたんですけど、確かに説明出来ないバンドだったんですよ。でも、今は説明出来る。

ハマ「僕らもそうでしたよ(笑)。今回はちゃんと感想を持ってもらえるアルバムになったのかなと」

ショウ「ハマくんスゴいね。入ったときにそんなに見えてたんだ。俺は客観性が欠けている人間なんで(苦笑)」

ハマ「僕は生徒会をやりながら、27~28歳の人とのバンドもやっていたんですよね。同級生だから3人のことは好きなんですけど、“あなたたちは文化祭でキャーキャー言われているだけだから!”という意地悪で幼稚な考えもあったんです(笑)。でも、嫌われ役じゃないけど、バンド内でそういうことを思えたのは僕だけというか。スゴく恵まれていたバンドだから、余計にいろいろ心配しましたよ。トントン拍子過ぎたので。2011年くらいからレイジにはいろいろ話すようになって、だんだんミュージシャンっぽくなってきたというか。嫌われてもいいと思ってたし、2年くらいかけてここまで来た感じはありますよね。近過ぎて光っているものも見えなかったし。普通の友達ですから、潜在的にはね」


いわゆるあれは、思い出作りです(笑)


――友達だった関係性を、ミュージシャンとして成長するために整理が出来た。そういう意味では、ゴシップ的な意味じゃなく、ハマくんがお父さんとの関係性をラジオで話したというのも大きかったと思うんです。ルーツを見直して、そこから仕事としての関わりを見出していくというか。

ハマ「親子というのは、引き続きOKAMOTO'Sとしては関係ないとは思うんです。ただ、このアルバムが出来たことで、その“しがらみ”みたいなもの…よく分からないものですけど、1回荷物を降ろしたらどうなるのかを知りたかったという感覚に近いんです。そこがなくても大丈夫な作品を作ったし、今までも残してきたつもりだから、いわゆるあれは、思い出作りです(笑)。賑やかしただけですよ(笑)。あれがあったから、売れ枚数や集客がどうなるわけでもない。ただ、僕もメンバーも“軽くなった”感じはあります。個人的に水面下で勝手に動いてたんで、いざメンバーに話したとき、“こんなに良いアルバムが控えているときにやめてよ”という意見も想定していたんですけど、“いいんじゃない”と言ってくれた。ずっとやってきたからこその、この2つ返事だったのかなと。でも、本当にそれくらいの感じなんですよ。おもしろがってもらえたなら、それでいい。だから、今回のアルバムでバンドのコンディションは本当に良くなったなと思います。ただ、いまだにコウキの怒るポイントは分からないですけど(笑)」

ショウ「分かる(笑)。そういうの、お互いにいっぱいあるんだろうね(笑)」

ハマ「笑い話に出来ないところがあるんですよね、あの人は(笑)」

――(笑)。でも、みんな本当に気持ちが軽くなったんだね。

ショウ「自分でも、どこへ行っていいか分からなくなっていたと思うんです。ジャムセッション研究会で60年代のクリームを子供のくせに子供の前でやっていただけなんで(笑)、元々歌いたかったわけじゃないし。でも、歌い始めていく中で説得力を出すには、どうしたらいいのかって。上手くいかなければ全て曲のせいにしていたし…だから、今回は良い曲をたくさん書けたのが自信になりましたよ。よく分からない自信だけで3枚アルバムを作ってきましたけど、そこからひと回りもふた回りも大きな自信を、このアルバムに閉じ込められたのが嬉しかったんですよね。だから、レイジも次のアルバムの話を嬉しそうに出来るんだろうし」

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“ハッピーな曲ほど切ない”と言ってくれる人もいて
本当に伝わっているなと思えた



――今回のアルバムの曲ってスゴく開けた感じがするし、ゆるやかな曲が本当に良いんですよ。

ショウ「今までは速くて尖っている曲が一番だと思ってたんですよね」

ハマ「そもそも、OKAMOTO’Sにはスゴく速く叩くドラマーがいますし(笑)。例えば黒猫チェルシーとかには、そういうゆるやかでいい曲がたくさんあって、そこは叶わないなと思ってたんです。そういう曲ってやっぱりライブでも音源でもいいし、バンドのスイッチが入らないと生まれない。今回はそういう曲が出来てきたのが嬉しくて」

――今回は、そのスゴく速く叩くドラマーが作った曲が、まさにそういうゆるやかな曲じゃないですか(笑)。

ショウ「“おまえがそういう感じかよ!”っていう(笑)。作れば作るほど、そういう曲でしたから。切なさを持った男ですね。今作を聴いて“ハッピーな曲ほど切ない”と言ってくれる人もいて、本当に伝わっているなと思えたし。テーマが“みんなと一緒にハッピーや愛を歌う”って、言葉面だけ見ると薄いしつまんねぇかなとも自分でも思ったんですけど(笑)、聴いてもらえたら伝わるアルバムだと思うんですよ」

ハマ「それが良いと捉えてもらうのも、僕らの仕事というか。ちゃんと伝わり出したんですよね。リリー・フランキーさんが言う下ネタを嫌う女子っていないじゃないですか? 僕らはリリーさんみたいに偉大ではないけど、OKAMOTO’Sだからこそ歌える歌があるというか。全員にスポットが当たっている、今はスゴく良いバランスなんですよ」


レイジが引っ張っていってくれたら、おもしろい


――今作はOKAMOTO’Sのいろんな部分に気付く人が増えるアルバムになったんじゃないかなと。

ハマ「いろんなところに気付いてくれる人が増えたら、レイジも皆さんからうんこグッズ以外の差し入れをもらえるようにもなるだろうし(笑)」

ショウ「(笑)。いずれレイジの歌詞がメインになってくるかなとも思うんですよ。一番ポップな人だから」

――レイジくんは一番ポップだけど、一番気難しさもある人じゃないですか(笑)。

ハマ「そうなんですよ! 普段の行ないでそういうポップな部分を見せてるのに、そこに惹かれて人が近寄ってきたら怒るっていう(笑)。“普段の行いですよ!”とは、僕は彼によく言うんですけどね!」

ショウ「俺の出せるニュアンスはもう出したんで、本当に今後レイジの才能が花開いたらスゴいなと思うんですよ。切なく暗いだけの歌詞にもならないと思うし」

ハマ「たまにスゴい実体験に基づいた歌詞がきて、プライベートは知りたくないので嫌な気になりますけど(笑)。でも、意欲的なのはいいと思います。次回作では、彼が一番インタビューで喋っているかもしれない」

ショウ「レイジが引っ張っていってくれたら、おもしろいよね。でも、“曲は今まで通り、ショウが書いている感じでよくってさ”とか言われるけど(笑)」

ハマ「(笑)。まぁ、次からはそういうところを紐解いていく作業にはなると思うので、スゴく楽しみですよ」

 
 
Text by 鈴木淳史
Photo by 河上良(bit Direction lab.)



(2013年4月15日更新)


Check

Release

初のセルフタイトルが冠された
音楽のエナジー溢れる4thアルバム

Album
『OKAMOTO'S』
発売中 2800円
Ariola Japan
BVCL-483

<収録曲>
01. Sing A Song Together
02. Give&Take
03. 太陽はどこ
04. ラブソング
05. Are You Happy?
06. 誰
07. 青い天国
08. マジメになったら涙が出るぜ 
09. 夢DUB
10. 共犯者
11. あからさまに恋してる
12. Oh! Pretty Baby
13. Sing A Song Alone
14. Shine Your Light

Profile

オカモトズ…写真左より、ハマ・オカモト(b)、オカモトレイジ(ds)、オカモトショウ(vo)、オカモトコウキ(g)。メンバー全員岡本太郎好きな中学校からの同級生によって結成。インディーでのアルバム1枚を経て、’10年5月メジャー1stアルバム『10’S』を発表。約半年後の11月に2ndアルバム『オカモトズに夢中』を発表。’11年9月には、3rdアルバム『欲望』を発表。2012年には、黒猫チェルシーとスプリットツアーを敢行。若くしてザ・ドリフターズのリスペクトライブやポール・ウェラーの来日公演に出演、杏子のソロ20周年アルバム『Sky's My Limit』に参加するなど、大きな経験を積み日々成長中。同年7月には約10ヵ月ぶりとなる両A面シングル『マジメになったら涙が出るぜ/青い天国』、続く10月には『ラブソング/共犯者』をリリース。世界各国でライブを行なうなど、まだまだ未来が楽しみな4人組。

OKAMOTO'S オフィシャルサイト
http://www.okamotos.net/


Live

各地でソールドアウト続出の
レコ発ツアーも残すは東名阪!

『OKAMOTO’S TOUR 2013
 Sing A Song Together』

【大阪公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月20日(土)19:00
心斎橋BIGCAT
オールスタンディング-3150円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、未就学児童は入場不可。

【名古屋公演】
チケット発売中
 Pコード187-434
▼4月21日(日)18:00
名古屋クラブクアトロ
スタンディング3150円
ジェイルハウス■052(936)6041

チケットの購入はコチラ!
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【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼4月27日(土) 18:00
Shibuya O-EAST
オールスタンディング3150円
ホットスタッフ・プロモーション■03(5720)9999

OKAMOTO'S vs くるり!
大阪で強烈対バンが実現!!

『湧出!FPP音泉』
一般発売4月29日(月・祝)

Pコード199-026
▼6月28日(金)19:00
なんばHatch
1Fオールスタンディング3500円
2F指定席4000円
[出演]OKAMOTO'S/くるり
※1Fオールスタンディングは小学生以上は有料、未就学児童は入場不可。2F指定席は小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき、子供1名まで膝上可)。但し、お席が必要な場合は有料。

4/19(金)11:00~22(月)11:00まで
抽選先行プレリザーブ受付!

チケット情報はこちら


Column

壁にぶち当たり、乗り越えた
転機のシングル『マジメになったら
涙が出るぜ/青い天国』に迫る!