変わらぬ衝動、褪せない情熱
ニューアルバム『YETI vs CROMAGNON』引っ提げ
ザ・クロマニヨンズ過去最大のロングツアー中!
ヒロト(vo)&マーシー(g)撮り下ろしインタビュー
'06年に突如シーンに出現してから、独自のロック進化を続けてきたザ・クロマニヨンズ。今年ももちろんその勢いは止まらない。2月6日に通算7枚目となるニューアルバム『YETI vs CROMAGNON』をリリース。痛快無比のビートを軸に、彼ら流の青春ロックとも言える世界観を披露したこの力作を携え、過去最大の全国ツアーもスタートしている。バンドの顔である甲本ヒロト、真島昌利の2人に話を訊いた。

メロディとか歌詞じゃなくて、“歌”が出てくる
――ザ・クロマニヨンズの事実上の初お披露目が、確か大阪でのロックイベント『MEET THE WORLD BEAT 2006』だったかと思いますが、MCで「(新人という言葉に引っ掛けて)○ん○んバンドのクロマニヨンズです!」と語ってから(笑)、活動も約6年半になりましたね。
甲本ヒロト(vo、以下ヒロト)「そっか。もう7年目? …毛は生えたね(笑)。7年目って言っても、あんまりそういうのは意識しないもんね。誕生日がなかったら何歳かも分からんもんな(笑)」
――そんな中でも、新しいアルバム『YETI vs CROMAGNON』が出ました。このタイトル“イエティ対クロマニヨン”という言葉はどこから出たんですか?
真島昌利(g、以下マーシー)「まあ、いつも通り、何となくです(笑)」
ヒロト「極端な話、前回のアルバムタイトルが“イエティ対クロマニヨン”でもよかったんです。何でもいいんです。何かタイトルを付けなきゃいけない…っていう程度のもので」
――ちなみにイエティというのは未確認動物なんですよね。
ヒロト「そうです。あんまり目撃した人はいないんです」
マーシー「目撃したいですね。怖いというよりも、興味の方が先にきますね。UFOとか、お化けとかでも、見たいんですけどね。見たことないんですよ、そういうの」
ヒロト「例えば霊感のある人しか見えないっていうのはニセモノだよね。みんなに見えなきゃ、そんなのダメだよ」
――アルバム自体は、どういったものにしようと思ってたんですか?
ヒロト「何となく…成り行きで(笑)。バンドは演奏するだけですからね」
――アルバムには全12タイトル収録されていますが、お2人の作詞作曲が6曲ずつでした。曲作りはいかがでしたか?
マーシー「アルバムのために曲を作るっていう感じではなくて、何かね、日常の中でポワンポワンとひらめいてきたものがあって。溜まってくると歌になるっていう」
ヒロト「楽しいよ、曲を作るのも。日々の楽しみの1つです。僕はポワンポワンって感じじゃなくて、ニョロニョロって感じかな(笑)。1番頻度が高いのは、“歌”が出てくる。メロディとか歌詞じゃなくて、“歌”が出てくる。歌詞とメロディが一緒に…ってことじゃなくて、違うんです。“歌”が出てくる感じ。上半身と下半身が一緒にやってきたっていう感じじゃなくて、“人”がやってくる感じというか。もちろん、じっくり考えて…っていう場合もありますよ。もうほとんど出来上がってからだけど、ここちょっと直そうか、みたいなのはあるけどね」
何より楽しかったのは、きっとみんなにも伝わるはず
出来上がったものはもう、みんなのものですよ
――レコーディングは今回もいつものスタジオで?
マーシー「うん、僕らのプライベートスタジオ“アトミック・ブギー・スタジオ”で」
ヒロト「練習もそこでやって、そこにテープレコーダー持ち込んで、録音しました」
――作業自体はスムーズでしたか?
ヒロト「勝治(桐田勝治・ds)とコビー(小林勝・b)がいるから片付くね、床のホコリとかよく掃除してくれるから(笑)。何かあの2人はね、暇を見付けてはいろいろなことをしてくれるんですよ。アンプを動かしたり、気が付くと整ってるんです。育ちがいいんですよ(笑)。人として尊敬出来る人たちです。もちろん演奏も含めてです」
――その2人を含めて、曲作りではどんな風に形にしていくんですか?
マーシー「スタジオで弾き語りで聴いてもらうんです。それに、ベースとドラムが乗っかってきて、2~3度ちょっとやってみて形になるっていう」
ヒロト「僕が作った曲もそんな感じ。それの繰り返しで、僕がやってマーシーがやって、1曲ずつその作業を繰り返すんです。で、1曲にかかる時間が早いときで30分くらいかな。かかっても1時間はかからないです。そうやって曲が完成して、1日に4曲とかやると、3日間でアルバムが1枚出来上がる」
――レコーディング中のエピソードで、記憶に残っていることはありますか?
マーシー「カレー屋さんがスタジオの近所にあって、よく食べてたのは、“本日のカレー”(笑)。日替わりなんだけど、基本チキンと豆のカレーなんですよ。そこに入っている豆が、毎日ちょっとずつ変わってたりとか」
――アルバムにはそのカレーのパワーが入ってる?
マーシー「そうです!(笑)」
ヒロト「僕はそこの店でいろいろ頼んでみたんですが、日替わりなのは“本日のカレー”だけではなく、すべてのメニューが毎日、気分で違うものが出てくるんです。で、サラダを頼んでも、毎日違うサラダが出てくる」
――ちょっと強引ですが、同じ曲を演奏しても、そのときの環境、条件で感じ方も変わるライブのようですね(笑)。
ヒロト「セッションですね(笑)」
マーシー「インプロビゼーション(即興)です(笑)」
――改めてお聞きしますが、完成したアルバムをそれぞれどう受け止めていますか?
マーシー「…いい!」
ヒロト「僕は出来上がったものはよく分かんないんですけど、楽しかったなっていう。その何日間かをみんなと過ごして、毎日楽しく演奏して、カレーを食べてって、そういう時間が楽しかったなって。作品の評価は難しいですね。でも何より楽しかったのは、きっとみんなにも伝わるはずだって。出来上がったものはもう、みんなのものですよ」
最高の時間が始まる
ライブがビッシリ詰まったスケジュールを見ると、わーい!!って思う(笑)
――このアルバムをリリースして、また長いツアーもあって。
ヒロト「ものすごく楽しみです。最高の時間が始まる。うん、ライブやりたい。ライブがビッシリ詰まったスケジュールを見ると、わーい!!って思う(笑)」
――以前、ヒロトさんはライブは毎回女の娘とデートするようなもの…とおっしゃってましたが。
ヒロト「ああ、そんなこと言ってましたか(笑)。それは前の晩から楽しみで…って、そういうことですよ」
マーシー「僕はあんまりそういう感覚ない(笑)。ただ楽しみでっていう。ライブに代わる楽しみなんて、もう他にはないです。それは中学生高校生のアマチュアバンドのとき…例えば学園祭で前の日に感じる気持ちと全く変わらないです。そのドキドキ感っていうのは。それは今でももちろんありますから。だから、1年365本でも全然大丈夫(笑)」
――最後に、ツアーに向けてメッセージをお願いします。
マーシー「インフルエンザに気を付けて(笑)。外から帰ってきたらうがいをして、手を洗って…僕もちゃんとやってます(笑)」
ヒロト「ライブに関しては本当に楽しみなだけで、特にメッセージっていうのはないので、あの、ライブで汗をかくので、乾いたシャツを1枚用意してくるか、…あ、そうだ、会場でTシャツを売ってるので、乾いたシャツは持って来ないでください(笑)」
マーシー「1人3枚くらい買ってもらって(笑)。で、家に帰ったら、うがいと手洗い(笑)」
ヒロト「イイね(笑)」
Text by 金本真一
Photo by 宮家秀明(フレイム36)

(2013年4月12日更新)
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