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ツアーファイナルは10/19(金)なんばHatch!
震災以降の揺れ動く感情を丁寧に紡いだ
2年ぶりのニューアルバム『Chasing Hope』
BONNIE PINKインタビュー&動画コメント

 国内外の多彩なプロデューサー肌のミュージシャンたちとコラボを重ねながら、常に高品質なポップサウンドを届けてきたBONNIE PINK。通算12枚目となるアルバム『Chasing Hope』は“希望を追って”と直訳できる意味合い通りに、震災以降の感情が彼女のフィルターを通して表現された1枚だ。プロデュースに鈴木正人(LITTLE CREATURES)、會田茂一、Curiy Giraffe、そして北欧のバーニング・チキンやトーレ・ヨハンソンらを迎え真摯かつカラフルに紡がれた新作、そしてツアーについて彼女に語ってもらった。

BONNIE PINKからの動画コメントはコチラ!

――ニューアルバムの『Chasing Hope』は、制作陣の顔ぶれは前作『Dear Diary』(’10)とほぼ変わらないのですが、やはり震災以降のメンタリティが反映されて違った響きを持った作品になりましたね。

「そうですね。歌詞の内容が私個人のエピソードとかではなく、特にこの1年の間に見聞きした被災者の方々の話に、さも自分が体験したかのような感情を持つことが多くて。そこから自然と出来た曲もあるので、いろんな人の事件であったり日常であったりが入っているアルバムになったと思います」

――そういった曲の作り方をされたのは、今までにないことだったんですか?

「いや、いつも9割は妄想で曲を書いているので(笑)、常に誰かのお話みたいな感じではあるんですけど、今作はそこにもうちょっとリアリティが加わっているというか。自分も被災者だったかもしれないと想像した人はいっぱいいたと思うんですけど、今という時代に生きていることを“生かされている”と強く感じるようになったし、今作もファンタジーではなく、より日常を切り取った生命力の強い作品になったんじゃないかなと」

――そうですね。震災後で感傷に浸るというよりは、むしろパワフルな楽曲が多く収録されているのが印象的で。

「悲しみをどうエネルギーに変えていくかは時間を要することでもあるし、私自身は被災したわけではなくパワーを持てているので、一緒にスローダウンしていくのはおかしいというか。従来通りにすることも大事だし、被災された方々に思うところがあるのだったら、これまで以上に頑張って自分の作品を通してパワーを送ることしか出来ないとも考えましたね。だから、歌詞には震災以降が反映されていますけど、サウンドはより明るくポップなものに仕上げていて、ジャケットは一見モノトーンで暗そうですけれど、そこに私の意図を汲み取ってもらえれば」

――言い過ぎてはいないけど、現実はちゃんと見据えているというか。そういったバランス感覚が絶妙なポップアルバムになっていると思いました。

「音楽に乗せて怒りを表現する人もいますけれど、私はそういうのは得意じゃないというか。もちろん怒っている曲もあるんですけど、怒り続けるのはあまり好きじゃないし、それを自己処理して次へのエネルギーに変えるプロセスが曲になっていることはあるんですけど。音楽においては最終的に前向きに終わりたい、というのは初期から一貫していることかもしれないですね。特定の個人とかに怒っていることがあったら、それは直接言うと(笑)。その分、誰かになり切って、誰かが誰かに向けて歌っているのをイメージして曲を書くことは多いので、どの曲にも主人公がいるし、ストーリーがありますね」

――今回のアルバムにしても、曲ごとにいろんな登場人物が浮かんでくるというか。シングルカットされた『街の名前』(M-5)は、離ればなれになった人たちの心のつながりが描かれていたり。

「そうですね。『Don't Cry For Anymore』(M-10)も離れて暮らす家族を想うお父さんをイメージした曲だし、『Tiger Lily』(M-8)は、地球環境が乱れていくことをどうにか食い止めないといけないと思っている少女の気持ちだったり。いろんな主人公が曲ごとにいますね」

――昨年には、自身の曲をアコースティック・アレンジで新録した初のセルフリメイク作『Back Room -BONNIE PINK Remakes-』を発表されましたが、それを経て今作に反映されたことなどはありました?

「毎回曲を作るのにはすごく時間がかかるんですけど、今回は今まで以上にかかりましたね。というのは、生きている間に曲を乱発したくないと改めて思ったのもあったし、クオリティを高めるために1曲作るのにもっと時間をかけたいというこだわりが年々強くなってきている、というのもあります。昨年はオリジナルの新作アルバムを出さないというのは震災前から決めていたことだったんですけど、結果的にちょっと立ち止まりたいと思っていた矢先に震災が起こって。感情的には震災があって忙しかったけど、昨年のタイミングでセルフリメイク作を作りながら振り返ることが出来たのは、とても意味のあることだったと思います」

――そして、今回のアルバムに伴う全国ツアーの大阪公演は、ファイナルの10月19日(金)なんばHatchとなります。

「新しいアルバムの曲はもちろんなんですけど、新曲が全くないツアーを去年やってみてすごく楽しかったので、昔の曲もなるべく多く歌いたいと思ってますね。長年のファンの方も、最近にファンになってくれた方も一様に楽しめるようなものに出来れば」

 
 
Text by 吉本秀純
 



(2012年10月16日更新)


Check

Release

ポジティブなエナジーに満ち溢れた
2年ぶり12枚目のニューアルバム

Album
『Chasing Hope』
発売中 3000円
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCL-11114

<収録曲>
01. Stand Up!
02. ナツガレ
03. Mountain High
04. Bad Bad Boy
05. 街の名前
06. Animal Rendezvous
07. My Angel piano, vocal by BONNIE PINK
08. Tiger Lily
09. Baby Baby Baby
10. Don't Cry For Me Anymore
11. 冷たい雨
12. Change

Profile

ボニー・ピンク…京都府生まれ。’95年にアルバム『Blue Jam』でデビューし、トーレ・ヨハンソンやミッシェル・フルームらをプロデューサーに迎えた好アルバムを連発して、新たな女性シンガーソングライター像を確立した。近年は大ヒットしたシングル『A Perfect Sky』に関わったスウェーデンのバーニング・チキン、ツアーでもバンマスを務める鈴木正人らの複数の音楽的ブレーンを曲ごとに起用し、多彩な彼女ならではのサウンドを深化させ続けている。

BONNIE PINK オフィシャルサイト
http://www.bonniepink.jp/


Live

地元関西で遂にファイナル!
新作ツアー大阪公演が間もなく

『BONNIE PINK TOUR 2012
“Chasing Hope”』
チケット発売中 Pコード167-502
▼10月19日(金)19:00
なんばHatch
1F指定席6000円(1F前方)
1Fスタンディング5500円(1F後方)
2F指定席5500円
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※未就学児童は入場不可。12歳以下は保護者同伴かつ有料。

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