闇を切り裂く重低音のロックシンフォニー!
摩天楼オペラがメジャー1stアルバム『Justice』を発表
人にとっての正義とは? そして、バンドのヒーロー像とは?
苑(vo)とAnzi(g)によるインタビュー&動画コメントが到着
重厚なロックサウンドに、キーボードの美しい音色と壮大なシンフォニックサウンドが絡み合う激しくも美しい旋律。楽器隊の高い演奏技術とボーカル・苑が描く歌詞が、独自のドラマティックな音世界を創り出している5人組ロックバンド、摩天楼オペラ。’10年12月に発表したニアルバム『Abyss』でメジャーデビューを果たしてからも、流行に惑わされることなく、バンドヒーローを目指し信じた道を進み続けている。そんなバンドの中心人物である苑(vo)、Anzi(g)に、バンドのこと、3月7日にリリースされた初のメジャー1stアルバム『Justice』、憧れのバンドヒーロー、4月14日(土)から始まる全国ツアーについて話を訊いた。
苑(vo)&Anzi(g)からの動画コメントはコチラ!
――まず、バンド名の由来を教えて頂けますか?
苑(vo)「“摩天楼”っていうのは、超高層ビルなど現代にあるものを指すじゃないですか? それを重い音だったり、激しい音だったり、昔にはなかった現代のロックに例えて、“オペラ”は逆に昔からあるキレイな音楽…クラシックだったりを現していて。その2つを併せ持つ音楽をやりたくて、摩天楼オペラにしました」
――それでロックとシンフォニーが融合したサウンドになっているのですね。
Anzi(g)「基本的には対比しているものを1つに融合すること自体が摩天楼オペラだと思っているので。ミクスチャーと言ってしまえばそうなんでしょうけど、でもいわゆるミクスチャーバンドでもないですし、オレら自身はざっくり“ロックバンドでいいじゃん!”って感じですね(笑)。固定概念が入るのが嫌なんですよ。やっている音楽をカテゴライズすると、“私はそのジャンルは嫌いだから聴かない”って言う人がいるじゃないですか? それがもったいないというか。オレらもいろんなジャンルの音楽を聴いてきたので、普通にポップスが好きな人でもメロディが引っ掛かったりすると思うんです。なので、普通に“5人組ロックバンド”でいいじゃない、音は実際に聴けば分かるじゃん!って(笑)」
――確かに聴けば分かる(笑)。それにしても、楽曲にはロックの要素はもちろん、メタルやクラシックにキャッチーさもあるわけで。正直、いったいどんな音楽を聴いてきたんだろう?って思いました。
Anzi「オレはヘヴィメタル/ハードロックがギターを始めたルーツなので大好きですし、普通にポップスも聴きますし、最近だとK-POPでKARAとかも聴きますね(笑)。あと映画音楽とかジャズとか、嫌いなジャンルは存在してないですね」
苑「僕も同じでヘヴィメタルとかハードロックが好きなんですけど、普通にポップスもジャズも聴きますね。最近は、小田和正さんをよく聴いています。最も聴いているアーティストです」
―― ヘヴィメタルやハードロックは分かるとして、KARAに小田和正とは!これを読んだだけでは、音楽性がさっぱり掴めないでしょうね(笑)。
苑&Anzi「(笑)」
――そんな摩天楼オペラが3月7日にメジャー1stフルアルバム『Justice』を遂にリリースしましたね。アルバム名を『Justice(=正義)』としたのは?
苑「人の数だけ“正義”はあると思うんです。この作品では、“他人に流されたり、影響されたりしないで、自分の正義を持って貫こうよ”と歌っているんですけど、迷っている人の背中を押してあげたいし、手を差し伸べて未来へ連れていきたい。そんなイメージがあって」
――そういうイメージを持ったきっかけはあるんでしょうか?
苑「震災のことは大きかったと思います。とくに震災を意識して歌詞を書いたわけではないんですけど、振り返ってみるとオーディエンスが元気になるような、生命力を感じさせられるような歌詞を書いていることに気付いて」
――確かに歌詞を見ながら曲を聴いていて思ったのは、“生きる”ということも、今作のテーマの1つなんじゃないかと思いました。
苑「“生きる”っていうのは、摩天楼オペラ始まってからのキーワードの1つでもあるんです。そのテーマはずっとありますね。昔は、“生きるのが辛い”という“負の共感”というか、リスナーとのリンクみたいなものを描いてたんですけど、今はそこから成長して、そういったリスナーをどんどん成長させる方向性に変わってきたのかなと思います」
――歌詞の変化だけでなく、サウンド面でも何か変わったこと、挑戦したことはありますか?
苑「挑戦したと言えば、『21mg』(M-7)ですかね。僕は曲を展開させるのが好きでいろいろいじってたんですけど、今回は初めて限られたコードだけで曲を作ってみたんです。最終的にメンバーに渡したら、イントロとアウトロのテンポの違う大サビが合体するという初めての試みもありまして。結果、二重の挑戦になりましたね」
Anzi「うちの曲って、基本的にはダークなサウンドでメロディもちょっと暗めのものが多いんですけど、今回収録されている『Mermaid』(M-6)に関しては、明るいキーの曲を入れたいという彩雨(key)の思惑があってその意向を受け入れつつ、ただポップな曲にならないように5人で創っていきました。僕個人としては、挑戦っていうわけでないんですけど、イントロ/Aメロ/Bメロ/サビ/とか、セクションごとにリズムやテンポが変わっていく曲が多いなと思ったんで、逆にずっと同じリズムパターンで1曲作りたくて、『AGE』(M-8)が出来ました」
――『AGE』はスピード感溢れるノリの良い曲ですよね。
Anzi「すごくストレートでキャッチーになって、お客さんが乗りやすい曲になりました。ライブでは拳じゃなくてチョップ(前後に腕を降る)をやって欲しいな(笑)」
――そこまで想定してたんですね(笑)。ミニアルバム『Abyss』同様、今作でもボーカルレスのインスト曲『Just Be Myself』(M-9)が収録されているのですが、これには何かこだわりがあるのでしょうか?
Anzi「楽器隊がバックバンドになっているようなバンドにはなりたくないですし、ボーカルレスでも聴かせる自信があって。それに今の音楽シーンって、いわゆる“バンドヒーロー”がいないと思うんですよ。バンドシーンが衰退していて、楽器も売れないっていう話も聞くんで。キッズたちに楽器を始めたいと思わせられていないのは、やっている側の責任だと思うから、5人それぞれがプレーヤーとして響くように、キッズたちが楽器を始めたいと思わせられるようなバンドになりたいと思っていて」
――そういう想いもあって、楽器隊の魅力が伝わりやすいボーカルレスの曲を入れていたんですね。ちなみに、お2人のヒーローは誰だったのですか?
Anzi「LUNA SEAが一番のリスペクト・アーティストですね。5人それぞれの個性があるバンドなので」
苑「僕は、X JAPANです。Xを聴いてバンドを始めましたし、いつまでたっても追いつけない原点ですね。最初にバンドを組んだのがXのコピーバンドでしたし、そのときの修行の甲斐あって、今のハイトーンボイスが出るようになりました(笑)」
――偉大なバンドから影響を受けたことで、次のバンドヒーローは摩天楼オペラだ!という想いも強いのでは?
Anzi「新たなバンドヒーローが出ることによって、楽器屋さんも万々歳になりますしね(笑)。誰もやっていないことをやって、そこにシーンが生まれたら嬉しいですね。それに賭けてみたいですし、やっぱり残るバンドって第一人者だけなんですよ。流行に乗って同じようなことをしても、一時的には売れるかもしれないですけど、日本の音楽シーンで語り継がれることはないと思うんですね。やっぱり第一人者になりたいので、自分たちがカッコいいと思うものを貫きたいです」
苑「音楽に正直に、硬派でやっていきたいですね」
――そんな摩天楼オペラのライブは、どんな場所なのでしょう?
苑「ロックバンドなんですけど、騒げばいいっていうわけではないんですよ。もちろんロックな部分で騒いで発散させて…みたいな部分もあるんですけど、メロディや世界観を聴かせることもちゃんとやってきたバンドだと思うので。激しいところが好きな人は暴れにくればいいし、世界観に浸りたい人も、摩天楼オペラの音楽に抱かれにくればいいなと思います」
Anzi「楽器隊は、ライブを観て“楽器を始めたい”と思わせたら勝ちだと思うので。オレらはノリを強要しないので好きに音楽を感じてくれればいいですし、手元を見たいやつはガン見してくれればいいんです。悶絶させますから(笑)」
――男性のファンとかも多そうですもんね。
Anzi「多いですよ。手元とかガン見されますから(笑)」
――(笑)。では最後に、改めてニューアルバム『Justice』を携えての春ツアーへの意気込みをお願いします。
苑「『Justice』は人間味溢れる、生命力を感じられるアルバムだと思います。聴いてくれた人のあと押しになるだろうし、元気にさせられるんじゃないかな。あとは、未来へ向かう歩みが軽くなるような、元気を与えるライブをしたいです」
Anzi「このアルバムで伝えたいことは、“人生はやりたいことをやった方が面白い”っていうことなので、この作品やうちのライブを観て元気になって、自分の本当にやりたいことを振り返ってもらって。それが見付かったなら、それに必死になって欲しいです。オレらはただのバンドなので、ジャンルを気にせずに先入観なしで聴いてもらいたいですね。それで気に入ってくれたらチケットぴあでチケットを購入して(笑)、ぜひライブに足を運んでくれたら嬉しいですね」
Text by 金子裕希
(2012年3月29日更新)
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