インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > ソノダバンドがメジャー2作目にして大胆なる変貌を遂げた ロックアルバム『疾走(はしれ はしれ)』! 新世代のインストバンドが秘蔵エピソードの数々と覚悟を語る 12/28(水)ビルボードライブ大阪ワンマン直前インタビュー


ソノダバンドがメジャー2作目にして大胆なる変貌を遂げた
ロックアルバム『疾走(はしれ はしれ)』!
新世代のインストバンドが秘蔵エピソードの数々と覚悟を語る
12/28(水)ビルボードライブ大阪ワンマン直前インタビュー

 確かな演奏力のもとドラム、ベース、キーボード、ギター、ヴァイオリン、チェロという6つの楽器から繰り出されるジャンルを縦横無尽に横断するサウンド、メンバー全員が東大出身(!!)という異色のキャリアもあって、一躍各種メディアで話題の的に。昨年10月にセンセーショナルなデビューを飾ったボーカルレスのインストバンド、ソノダバンド。CM曲やテーマ曲を手掛ける傍ら、2月にはあの美空ひばりの23回忌を記念し開催された『HIBARI 7 DAYS』に出演。ハウスバンドを務め、青木隆治、石川セリ、小椋佳、キム・ヨンジャ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、ジェロ、堂島孝平、谷村詩織、谷村新司、土岐麻子、中納良恵(EGO-WRAPPIN')、中村 中、日野皓正、畠山美由紀、ひばり&スカイ、マイア・バルー、松浦亜弥、水樹奈々、武藤昭平(勝手にしやがれ)、由紀さおり、雪村いづみらと共演。ジャズ、シャンソン、歌謡曲、民謡、演歌に至るまでを独自に調理し、第一線のアーティストたちとも渡り合った彼らが、11月9日にメジャー2ndアルバム『疾走(はしれ はしれ)』をリリースした。疾走感溢れるスリリングなロックサウンドを全面に押し出し、2作目にして早くも心地よい裏切りと衝撃を提供してくれた彼らに、この刺激的な1年と、バンドの根幹に関わるアティチュードを直撃! 12月28日(水)ビルボードライブ大阪でのワンマンライブを前に、バンドの中心人物である園田(key)、そしてソノダバンドのメロディを担う熱田(vl)、橋本(vc)の3人に、秘蔵エピソードの数々を語ってもらった。

園田(key)、熱田(vl)、橋本(vc)の関西出身組からコメント!

――今回、メジャー2ndアルバム『疾走(はしれ はしれ)』を11月にリリースして、いろんな反響も返ってきてると思いますけど、実際のところどうですか?
 

園田(key)「今回のアルバムは、この5年間やってきたインディーズからの集大成的な部分もありつつ、ある面ではものすごく音楽性が変わったんですよ。この数年ずっと応援してくださってたファンの方からすると、いったいどうなの?という部分もあったと思うんですけど、ただ僕に入ってくる評判はですけどね、極めていい(笑)。それにまずは安心してるのはあります」
 

――その変化をみんな好意的に受け止めてくれていると。
 

園田「そうですね。ものすごく“インストらしからぬ”音になったというか、ビートがシンプルになったり、ロックギターよろしく歪んでいたり…昔からインストだけどバンド感が強いとは言われていたんで、芯の部分は変わってないとは思うんです。ただ、ちょっと音の質が変わった」
 

熱田(vl)「今回は割とロックなアルバムなので、そのロックさに通じるのかもしれないですけど、作り込み過ぎないレコーディングをしたんです。あまり細かいところを修正しない」
 

園田「“ここズレてない? でもなんかそれがいいですよね~”みたいな」
 

橋本(vc)「ツイッターとかを見てる感じでは、前作よりも反応があるというか。音楽性もロックになってきているので、年齢層も若干下がって広くなってるイメージですね」
 

――今だったらツイッターで“ソノダバンド”で検索したら出てきますもんね。
 

園田「そう。だから怖いんですけど(笑)」
 

――今作はソノダバンドにとってもキーポイントとなる作品になったとは思うんですけど、そもそも音楽性の変化が訪れたり集大成となっていったきっかけはあったんですか?
 

園田「元々ソノダバンドにはバイオリンとチェロがフロントにいますから、そうするとやっぱりね…ポップスをやる上で避けて通れないのが葉加瀬太郎という存在で。実際に僕は葉加瀬さんの大ファンだったんで、影響をすごく受けてたんです。けど、当時デモテープを各所に送ってライブハウスで地道にやっていても、全然集客が伸びなかった。そんな中で体感的に、葉加瀬さんの二番煎じでやってても、そりゃ売れないよねっていうことに気付いたんですよね。あとは、インストなのである意味すごく自由で、例えば複雑なリズムを入れるとか、あるいは長いソロを入れるとか、そういうことで曲をもたせることは出来るんです。けど、そういうスタイルが今新しいとも僕は思わないし、一音楽器を鳴らしただけで場の空気が変わるのが音楽の理想だと思ってるんで、出来るだけ楽曲をシンプルにしたい気持ちはバンドを作った頃からあった。だからようやく、自分も作曲家としてもプレーヤーとしても成長して、バンドのみんなもそうで、ホントに5年かかってここまで来れたのはあります」
 

――なるほど。今作で急にサウンドの肌触りを変えたというよりは、ずっとそういうビジョンを抱えてて、そこに自分たちの心技体がようやく追い着いたというか。
 

園田 「シンプルにしたいと思っていても、具体的なイメージがないと曲を書きようがないし、テクニックがないとそれを表現しようがない。昨年出したアルバム『ルネサンス』がメジャーの1作目でしたけど、その頃からシンプルさとロック的な要素はものすごく近いところにあると感じ始めてはいたんですけど、バンドとしてはまだ過渡期だった。ただこの方向でもっと自分を追い込んで曲を書いて、バンドももっと成長してアルバムを作れば、いいものが出来るイメージは当時からあって。今回のアルバムでようやくそれが出来た実感があるんですよね」
 

――他のインタビューでも語っていましたが、“あえて視野を狭めて曲の強度を高める”発言もありましたもんね。あと今年はホントに強烈なメンツとの共演を多々していて。特に2月に行われた美空ひばりのトリビュートイベント『HIBARI 7DAYS』ではもう、日本歌謡界最高峰の面々とプレイしていたわけですけど、そういう経験も含め今まで通りじゃいけない、自分たちがもっともっと強い作品を作っていかないとと思わされた部分はあります?
 

園田「ひばりさんのイベントに出ていたアーティストは、もちろん皆さん超一流で。しかもボーカリストなので、自分の声ひとつで世界を作って、人の心を動かしてしまう。僕らはインストをやってるから歌モノが嫌いなわけじゃなくてむしろ大好きなんで、ああいう方々と楽器だけで張り合うにはどうしたらいいんだろう、もっと深いところまで掘り下げていかないとっていうのは…無意識に考えていたかもしれない。あと、ライブひとつ取っても必然的に皆さんのプロ意識がものすごく高い。これはあまり言わない方がいいのかもしれないですけど、以前の僕らだとお客さんの反応にものすごく影響されていたというか。1~2曲やって反応がイマイチだと“あ、もう今日ダメだ”って(苦笑)」
 

――会場がその日に持ってる雰囲気っていうのは、確実にありますからね。俺はイケてると自分に言い聞かせてるけど、心折れてる自分も確かに感じてる(笑)。
 

(一同笑)
 

園田「そうそう(笑)。あと、ひばりさんのイベントとかでご一緒した方々を見ていると、具体的なライブの作り方もそうだし、いかに1本1本のライブを大事にしているのかをヒシヒシと感じますんで。コレは僕だけじゃなくて、他のメンバーも同じように感じてたと思う。そういう意味でもバンドとしてはすごく成長出来た1年じゃないかな」
 

橋本「ひばりさんのイベントで言えば、一流のアーティストたちと張り合うのもひとつありましたけど、僕らは普段ソノダバンドではある意味ボーカル的な役目なので、伴奏側にまわるのは結構大変なことやったので。そこでどう歌に合わせていくのかを学ぶ機会だったかなっていうのはありますね」
 

熱田「歌に合わせていくのもそうですし、逆にボーカリストの方々がどう歌い回していくのか、参考に出来る部分を探しながら演奏していましたね。もう何せスゴ過ぎて、ちょっと気抜くと普通に聴いちゃうっていう(笑)」
 

園田「あるある(笑)」
 

――よくでもその場にソノダバンドが選ばれましたよね。サポートミュージシャンとしても日本の一流のプレイヤーを集めることも出来たイベントのはずなのに。
 

園田「普通に考えたらそうですよね。なぜウチのギターの赤股と谷村新司が2人きりで舞台に立っているのか、みたいな(笑)。ご縁っていうと簡単ですけど、ホントにそれには感謝ですよね」
 

――それこそインタビューの冒頭にもありましたけど、葉加瀬さんなんかで言えば、この夏はあの『情熱大陸 SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA'11』にも出演して。園田さんは1回目からお客さんとして観に行っていたぐらい、憧れのアーティストが主宰するイベントに自分たちが演者として出る経験はどうでした?
 

園田「とにかく今年は『情熱大陸』だ、美空ひばりさんのメモリアルコンサートで東京ドームだって(笑)、デビュー1年そこらのバンドが何でそこにいるんだっていう経験をいろいろさせてもらって。でも、本番のステージって一瞬で終わっちゃうんですよね。気持ちとしてはもっと楽しみたいし、死ぬときの走馬灯の中に入って欲しいんですけど」
 

熱田「東京ドームなんて1曲ですからね(笑)」
 

(一同笑)
 

園田 「噛み締めながら走ってる実感もある一方、やっぱり感覚が麻痺してきてるのも事実で…。著名なアーティストさんと交友関係が出来ることもあって飲みに行ったりもするんですけど…なんだか自分が怖い(笑)」
 

――普通にロックバンドとかをやってるより、つながってるアーティストが濃くてデカいんじゃないかっていう。
 

園田「まぁ濃過ぎるんじゃねぇかって説もありますけど」
 

熱田&橋本「(笑)」
 

――しかもビジネスライクじゃない関係性が築けてるのはいいですよね。
 

園田「そうですよね。でも、今そういう言葉を聞くまでまた実感が薄れてたんで、ちょっと僕、噛み締めます(笑)。良くも悪くもこの6人って大学のサークル仲間なんで、そうやって気に入ってくれてる人たちに言わせると、業界に染まってないらしいです、ハイ」
 

――バンドの形態的にもどこにも属さないというか、属せない!?(笑)
 

園田「それが今はすごく楽しくもあるんですけど、やっぱりないものねだりみたいなもんで、来年は対バンツアーとかも出来たらいいなって思ってるんですけどね」
 

――それで言うとまさに今回のアルバム『疾走』は打ってつけというか。この音を鳴らしていればロックバンドと一緒に廻っても違和感ないと思いますし、布石になる1枚かもしれないですね。
 

園田「この前仙台でライブをやって、そのときは素晴らしい弾き語りをされる浜田真理子さんと共演をして、その公演自体はすごく好評だったんですけど、観に来てくれたDJの方から“次に仙台でやるときはTHE BACK HORNとやってくれ”と言われました(笑)」
 

――ロックバンドの中でも最も強烈な部類ですね(笑)。THE BACK HORNはホントにライブがスゴいもんな~。
 

園田「僕自身もロックが好きですから、つい先日もDOPING PANDAを観に行ったりして。そのときも周りが知り合いのミュージシャンだらけなんですよ。その中に昔ちょっと一緒にバンドをやっていたドラマーがいたんですけど、実はドーパンのドラムの先生だったという。で、そのつながりで打ち上げにも行くっていう(笑)。なんか今年はいろんなことがつながり始めた1年というか。実は20歳前後の頃、バンドももちろんやってましたけどサポートのお仕事もしてたんです。運良くゴスペラーズとかのバックをやらせてもらったりして、武道館だとか大阪城ホールの舞台にも立てて。もちろん嬉しいんですけど、ただちょっと虚しくもなったんですよ。やっぱりみんなゴスペラーズとか藤井フミヤさんを観に来てるわけであって、例えば僕が今日死んでも、明日には他のキーボードを入れてショーは続く。それでやっぱり自分のバンドを何とかするしかねぇだろ!ってそのときに強く思ったのもあるんです」
 

――それで言うと、今年は自分たちがずっと追いかけていたビジョンが実現したアルバムが出来たのであれば、いい年になりましたよね。制作についても聞いていきたいんですけど、それこそブログでもレコーディングが辛かったってこぼしてましたね。

園田「ホント辛かったです…(笑)」
 

(一同笑)
 

橋本 「このアルバムの核となる部分、前作の『ルネサンス』と比べて違うところはやっぱりギターだと思うんです。だからその音作りとか、フレーズとか、そういうところには結構時間を費やしたのはありますね」
 

熱田「バイオリンを弾くこと自体に辛い部分はないですけど、それよりも個人的にはシンプルなロック…それこそスリーピースのバンドとか、ブランキー(ジェットシティ)が好きなので、いかにプラスアルファを削るかの交渉が辛かった。“ここにもハモリパートを入れたい”とか言われても、“絶対に嫌だ!”って付き返すのが辛かったです(笑)」
 

園田 「これがホンットに腹が立つんですよ(笑)。今までは思い付いたアイディアを全部入れちゃおうっていうスタンスでやってきたんですけど、曲によってはやっぱり引き算の美学っていうものがあるから…そういうことがようやく分かり始めたのかなって。ただやっぱりね、メンバーから意見が出たときは“う~んそれどうよ?”ってだいたい一度は言うんですけど、それにも2パターンあって。“まぁどっちになってもいいかな”って内心思ってる場合と、“ここは絶対譲らねぇからお前らさっさと折れろ”って思ってる場合」
 

(一同爆笑)
 

熱田「例えば『出たとこ勝負』(M-10)の最後に転調するんですけど、転調してからハモリパートを入れたい、入れたくないで、延々とバトったりね」
 

――意見をちゃんと戦わせられる環境があるのはいいことですよね。
 

園田「100%それはないでしょと思ったらバッサリいくこともありますけど、メンバーそれぞれ考えがあって言ってますし、実際にそれで良くなったことも多々あるわけだから、出来るだけ相談し合うと。と、言いつつ心残りもなくはないし(笑)、もうコレはリスナー次第という感じですね」
 

――この作品はソノダバンドにとって重要なものになる予感みたいものはありました?
 

園田「気概に関して言えばもう、最初からものすごかったですよ。やっぱりメジャーデビュー1作目の『ルネサンス』は右も左も全然分からない状態で、当時書き溜めていた新曲をただ録って出したっていう感覚で。もちろんあのアルバムはアルバムで愛着はあるんですけど、デビュー以降やっぱりいろいろ考えることもありましたし。とにかく今回は勢いを大切にしつつ、曲自体も大事に大事に書いていって、アレンジにも今まで以上に時間をかけて」
 

――あと、そもそも興味深いなと思っていたのが、普通メジャーデビューするとなったらどこかの事務所に入ったりすることが多いと思うんですけど、ソノダバンドは自分たちでマネジメントも設立していますよね。デビューして当たり前にCDを出してっていうルーティンの流れとは、ちょっと違う意思がある感じがしたんですけど。
 

熱田「元々そんなに“メジャーデビューしようぜ!”という雰囲気ではなかったから、逆に自分たちで事務所を作ったんですけど、やっていく内にありがたいことにデビューのお話が来て。じゃあ1回やってみようかと」
 

園田 「事務所を作ることに関しては、これまたありがたいことに心ある大人の方が周りにいっぱいいて、契約周りに気を付けろとか、とにかく自分たちで出来るところまでやった方がいいとか、インディーズの頃からものすごくいろんな方に言われてきたんですよ。だからこそ自分たちで事務所を立ち上げようっていう話になった。デビューするときも、ソノダバンドとやりたいと言ってくださるレーベルが何社かあったんですけど、その中に強烈に熱意を持ってくれてる人が1人いて、まぁ寄り切りというか(笑)。だから、メジャーデビューしたいとか事務所をこうしたいっていうのもなくはなかったですけど、それよりはもうホントに、熱意のある人とやりたかっただけなんですよ。なんやかんやでそこが一番大事だなっていうのは、前から実感してましたね」
 

――やっぱりそういうことって、一通りメジャーでやって、契約が切れて初めて気付いたりすることが多い。大きい事務所にいてもその中にシンパがいなけりゃ意味がなかったり。その点に既に気付けているのは大きい気がします。
 

園田「ホント、そうなんですよね」
 

――時代的にもアーティスト自らマネジメントもやってたりする話は、最近取材していてもよく会話には出てくるんで。そうなってくると結局は“人”だよなっていうのは、すごくありますね。
 

園田「ホントはこういうことを言うのは恥ずかしいんですけどね」
 

――そうなんですか?
 

園田「なんか僕…結構斜に構えてるところがあるんで。“音楽を必死にやって世の中を引っ張りたい”と思っていたとしても、言葉にするのをためらうような人間だったんで。けど、まぁそうも言ってられない歳になりました(笑)。特にこのアルバムなんかはもう、ホントに作る前から“命を懸けて作ります”ぐらいのことも言ってきたし」
 

――ブログでも“ようやく自分が描きたかった世界に近づけたような感覚がある”と。

園田「歌詞って当然意味を持ちますから、ある程度の風景だったり印象を決めちゃう部分があると思うんですよね。インストには言葉がないからリスナー次第で自由に風景が描ける。それがインストの魅力だと言ってきたんですけど、やっぱり僕もメンバーも日々を生きて、人生で個人的に感じるようなこともあるわけで。逆にそういうところを、自分のエゴをもっと音楽に出していきたいというか。酸いも甘いも経験したプレーヤーの方が、“次の曲は皆さんで自由に想像してください”って言うのもアリだと思うんですけど、例えば『千鳥足のススメ』(M-5)だったら、“俺はこの日泥酔して死にそうだったんだ”とか(笑)、『ねじれた手紙』(M-8)だったら“すげぇ腹立つ手紙をもらってビリビリに引き裂いて捨てたんだ”とか(笑)、実生活から生まれた音を出せたのが、楽曲の強度を高められたひとつの要因なのかなっていう気がしてます」
 

――変わったタイトルの曲にも、ちゃんと根っこになるそういうエピソードがあったんですね。そう考えたらこの1年はホントに全部がつながってる感じがしますね。ライブ、共演者、出会い、楽曲、個々の生活を顧みても、ホントに濃い1年だったんだなって。
 

園田「コレはネガティブな意味じゃないんですけど、音楽で食べていくことってホントに楽じゃないんだなってことを、この1年で実感しました。それはお金がどうこうじゃなくて、やっぱりいい音楽を作ろうと思うと自分の辛い経験だったり、めちゃくちゃ嬉しい経験だったりとちゃんと向き合わないと、ある程度の深さにはいけない気がして。なんかそのことに気付いてしまった1年というか」
 

――やっぱり音楽には人が出ますもんね。僕もこういう話をしていて思いますけど、別に取材とかも関係なく、先に飲む機会があるアーティストとかもいるんですよ。その場で、“コイツおもろいな~”と思ったら、後で音を聴いても絶対いいんですよ。人間的に魅力的だなぁと思ったら出す音もやっぱりいいし、魅力的な音だなぁと思ったらやっぱり人間的にも面白いというか。
 

園田「まぁ僕、結構斜に構えてるところがあるんで…(笑)」
 

――本日2度目の(笑)。
 

園田 「(笑)。なんかそういうのを巧妙に隠したい気持ちもあるんですよ。でもそれが裏目に出ることもあって、例えばバラードとかでキレイなピアノソロを弾いてると、“こんなバラードを書く園田さんは何て心がキレイなんでしょう”って言われたり。いろいろキレイなものも見てるけど、その反面汚いものもいろいろ見て、その上澄みを必死にすくい取ってるんだぞ!と」
 

――言ってしまえば“声”という最も人間らしい部分がない音楽をやってるわけですけど、鳴ってる音からはそんな人間ぽさがきちんと伝わってくるアルバムだと思いますよ。
 

園田「ありがとうございます!」
 

――今作ではサウンド面での変化もありましたけど、変わっていくことへの怖さみたいなものはなかったんですか? 極端に言えば、今までのお客さんが“こんなの違う!”って思う可能性も無きにしも非ずで。
 

園田 「そうか…そこは意識したことがなかったかもしれない。そこまで考える余裕がなかったです(苦笑)。確かにメンバーによっては、その点を気遣う奴もいましたね。まぁドラムの小山田なんですけど、彼は1人1人のファンに対する意識が強いというか、以前のソノダバンドは…みたいな話をすることがたまにあるんです。ただ、彼でさえ最終的には今回のアルバムにすごいエネルギーを持って迷いなく向かっていたと思う。そういうところがバンドだと思うし、根っこは変わらずに強くなれたところなんじゃないかなと」
 

――アルバムが完成したときって、それぞれどう思われました? 今までとは違う達成感を感じたりしました?
 

熱田「元々はロックが好きなんで、実際レコーディングも辛いながらも楽しくやれて。当然発売より前に手元に完成品が届くんですけど、敢えてiPodにも入れずにしばらく聴かないようにしてたんです。けど、リリース後に改めて聴いても新鮮な気持ちで聴けて、勢いがあっていいアルバムになったなと思います」
 

橋本「やっぱり自分のホントにやりたいことをやらないと、いいモノは出来ないと思うんです。ロックが好きな身としては弾いていて気持ちのいい曲ばっかりですし、そういう意味では自分を出せているアルバムだというのはありますね。僕も熱田さんと同じように自分たちの音楽をそんなに聴かないんです。でも最近ふとしたきっかけで聴いてみたら、“あ、コレ気持ちいいな~”と思ったんで、最寄り駅から自宅まですごくゆっくり歩いて全部聴きました(笑)」
 

園田「どんだけゆっくり歩いたん?(笑)」
 

熱田「最寄り駅遠過ぎやろ(笑)」
 

橋本「ホントは徒歩15分ぐらいなんですけどね(笑)」
 

――園田さんはどうです?
 

園田「僕は出来た瞬間は、やっぱり辛かったですね(笑)」
 

――アハハハハ!(笑)
 

園田 「前作までは、毎回完成したら家のスピーカーで爆音でかけて悦に入ってたんですけど、今回はもうホントに疲れました…(笑)」
 

――それだけ今回は作品に自分を出したんでしょうね。
 

園田「そういうことなんでしょうね。いや、ホントに戦った。でも僕は2人と違って、割とすぐiPodに入れましたけど、今でも飽きずに聴けているので…聴いた瞬間に“カッコいい!”って一気に熱が高まるアルバムもいいんですけど、作る身としては長く聴いてもらいたいと思っているので、少なくとも自分がこのアルバムに関して今そういうスタンスでいられるのは、すごく嬉しい。作りたかった音楽が少しは表現出来たんだろうなって」
 

――そして、年末の12月28日(水)にはビルボードライブ大阪で、“おめかしナイト”というタイトルでワンマンライブが控えてます。
 

園田 「僕はこのタイトルには猛反対したんですけどね」
 

――アハハハハ!(笑) ビルボードでのライブは初めてですか?
 

園田 「イベントにちょっと呼ばれたぐらいで、ワンマンは初めてですね。僕らだけで全てをやるっていうのは」
 

――しかも、これが年内最後のライブかと。そこに向けてはどうですか?
 

園田「僕が何でそもそも“おめかしナイト”を嫌がったかと言うと、やっぱりビルボードという場所に対しての思い入れが強いんですよ。それこそジャズが大好きだった中高時代に小曽根真やチック・コリアだったり、ああいう神様みたいな人たちを観てきた場所なので。葉加瀬太郎さんが来られたときなんかは、一瞬で売り切れちゃってチケットが取れない。だからヤフオクで探したら、チケットが3万とか4万に値上がりしてるんですよ。でも、俺は高校生なのにそれを買って行ったんですよ」
 

――マジで!?(笑)
 

園田「もう親にめちゃくちゃ頭下げて、“コレは絶対に俺のためになるから!”みたいな(笑)。とにかくその頃、葉加瀬さんが好きだったんですよね。一目会って挨拶したかった。だから当日スタッフの人に、“ちょっと葉加瀬さんに会いたいんですけど”って言ったら、当然“何だこの子?”みたいになりますよね(笑)。ただそこで俺が必死に“今日は3万4万払って来てるんです!”って伝えたら、ちょっと向こうが引きまして(笑)。マネージャーさんまでは取り次いでくれたんですけどね」
 

――え~スゴイ!
 

園田「そうなんですよ! だからビルボードは熱意でいける場所ですよ」
 

橋本「そうですかね?(笑)」
 

(一同爆笑)

 

園田「小曽根真さんも、“小曽根さんに憧れてピアノをやってるんです!”って伝えたら、開演前に楽屋に通してくれたし」
 

――へぇ~!
 

園田 「で、チック・コリアですよ! 英語でメッセージを書いて、“コレをチックの楽屋へ届けてくれ”って言ってスタッフに渡したら、本当に届けてくれて。そしたらスタッフがカードを返してきて裏を見ると、“ショーが終わった後に会いに来い”って、チックの直筆で手紙が」
 

――うわ~スゲェ!! ミラクル連発(笑)。
 

園田「そう、ビルボードは狙い目です」


――ソノダバンドのライブ当日、スタッフに話しかける人めっちゃ増えたりして(笑)。
 

(一同爆笑)

――普通は勝手に無理と思い込むというか、そういう発想すらないというか。アマチュア時代からダメ元でもそういうアクションを起こしていたわけですから、やっぱり斜に構えてるけどアツい人ですね(笑)。
 

園田「逆にアーティストの方からしたら珍しかったのかもしれないですね(笑)」
 

――今度は、そんな思い出のエピソード満載のビルボードライブ大阪のステージに立つと。
 

園田「僕はこの場所に関して一番思い入れが強いという自信はありますんで。自分が中高時代に憧れて…まぁ今も憧れてますけど、そういうジャズクラブの聖地で、例えばカバー曲であったりとか、ちょっと背伸びした音楽をやってもいいと思ってるし。この1年をまとめられたらいいなと思ってますね、ビルボードで」
 

――お2人はどうですか?
 

熱田「たまにはちょっとジャズっぽい、気取った感じの曲をやったりするのも楽しいですし」
 

園田「気取った感じ(笑)」
 

熱田「気取った…おめかしした感じ(笑)も楽しいだろうなと思ってます」
 

園田「まぁ“おめかしナイト”に寄り添うわけじゃないけど、ちょっといい服着て行こうかなって思いますもんね。でも僕、ちょっと斜に構えたところがありますから…」
 

(一同爆笑)
 

橋本 「何回言うねん!(笑)」
 

――本日3回目の斜に構える入りました~!(笑)
 

園田 「(笑)。一番尖ってた時期はサンダルで行こうとして。ただ、さすがに入店拒否されたら嫌なんで、事前に一応電話で確認したんですよ」
 

――事前に電話確認って、もう尖がってんのか尖がってないのか分かんないね(笑)。
 

園田「“すいません、サンダルで行ってもいいですか?”って聞いたら“お断りです”って言われました(笑)」
 

熱田 「やっぱりダメなんですね(笑)」
 

――橋本さんはどうです?
 

橋本「まぁ僕は園田さんとは違って何のエピソードもないんですが(笑)、やっぱり音楽の聖地と言われるところでワンマンライブが出来るのは単純に楽しみです。まぁアーティストによっては3万も払って…(笑)」
 

園田 「アハハハハ(笑)。でも逆にそれぐらいの方が、気負いなくステージに立てていいかもしれない」
 

――しかも誰もが立てるステージではないですからね。
 

園田「そういうのを僕はホントによく知ってるから、逆に本番で気合いが空回りするのが一番怖いです」
 

――アハハハハ!(笑) 
 

園田「そこだけはね、平静を装っていきたい」
 

――まぁでも2ステージありますからね、挽回出来る。
 

園田「いやいやいや!」
 

(一同爆笑)
 

園田「何のフォローにもなってませんから(笑)」
 

――それでは最後に(笑)、来年に向けての展望みたいなものがあれば聞かせて頂きたいなと。
 

園田 「僕は正直このアルバム『疾走』にすごく満足もしてまして、また来年アルバムを作るんでしょうけど、まだコンセプトとかが全然見えてない状況なんですよ。前作の『ルネサンス』を作ったときには、次のアルバムはもっとこんな感じっていうイメージがちゃんとあったんですけど、今回はホントに初めてっていうぐらい、次のアルバムのイメージがない。そういう意味では、一旦ここでいろんなものがリセットされた感覚なんですよね。なので心機一転、また自分とちゃんと向き合って、いい意味で音楽の辛さと向き合いながらやっていきたいです」
 

熱田「なんかカッコいいコメントしやがって(笑)。コレはデビューした頃からずっと言ってきたことなんですけど、フジロックとかサマソニとかああいう感じの夏フェス、ホントに普通のロックバンドと並んでフェスに出たいっていうのはありますね」
 

――いいですね~。じゃあ最後、シメを(笑)。
 

橋本「最後…別にカッコいいことを言えるわけでも…(笑)。まぁ今年はすごく濃い1年で、超一流のアーティストたちと共演もさせて頂きましたし、東京ドームのステージにも立てたり、そういう貴重な経験ばかりしてきたんですけど、やっぱり全部手探りで。来年はもうちょっとバンドが大きくなって、対等とまではいかないんですけど…」
 

園田「いやいや、対等って言っとこう(笑)。気合いよ!」
 

橋本「よし! 対等…ぐらいの気持ちで(笑)、いろんな共演や夏フェスに出られる、そういう1年にしたいですね」
 

――ありがとうございました! それではまずは年の瀬、12月28日(水)ビルボードライブ大阪でお会いしましょう。
 

園田 &熱田&橋本「ありがとうございました~!」



Text by 奥“ボウイ”昌史




(2011年12月22日更新)


Check

Release

アグレッシブなロックチューン満載!
可能性が広がるメジャー2ndアルバム

Album
『疾走(はしれ はしれ)』
発売中 3000円
EMI MUSIC JAPAN
TOCT-28000
※初回生産限定ダブル紙ジャケット仕様

<収録曲>
01. sayonara(さざ波に寄せて)
02. はしれ、はしれ
03. デマゴーゴス
04. Manic Street
05. 千鳥足のススメ
06. 素晴らしき朝帰り
07. 上陸セヨ
08. ねじれた手紙
09. 道草のススメ
10. 出たとこ勝負
11. Catch The Rainbow!

昨年のクリスマスに行われた
ライブの模様が待望のDVD化!

DVD
『2010年12月25日のソノダバンド』
発売中 3800円
EMI MUSIC JAPAN
TOBF-5720

<収録曲>
01. 上海午前零時
02. Reflections
03. Manic Street
04. Spanish Ecstasy
05. 旅立つものたち
06. 悲しい太陽
07. 上陸セヨ
08. 真赤な太陽
09. 出たとこ勝負
10. Take Me To The Party
11. Catch The Rainbow!
12. Soul River (Encore)

■特典映像
Soul River_2010 PV
Soul River_2010 PVおまけ
上陸セヨ[LIVE_SXSW2011]
光、透明、または情熱[LIVE_SXSW2011]

Profile

ソノダバンド…写真左より橋本怜(vc)、赤股賢二郎(g)、園田涼(key)、牧瀬崇之(b)、熱田哲(vl)、小山田和正(ds)。’06年、大学のバンドサークルのメンバーにて結成。地道なライブを重ね、’09年には会場限定で販売した2枚のアルバムが計10000枚の売上を突破。『SUMMER SONIC 09』へ出演。’10年にはアメリカにて開催される世界最大規模の音楽ショウケース『SXSW』に出演。帰国後に自らのマネジメント会社Thirdnoteを立ち上げ、10月にアルバム『ルネサンス』をリリースしメジャーデビュー。’11年に入りSK-Ⅱ『肌道』のTVCMのイメージ曲『素晴らしき朝帰り』を手掛け、『フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展』のテーマソング『光、透明、または情熱』を初のシングルとして発表。11月9日にはメジャー2ndアルバム『疾走(はしれ はしれ)』をリリース。

ソノダバンド オフィシャルサイト
http://sonodaband.jp/


Live

憧れの聖地・ビルボードライブ大阪で
初のワンマンライブを開催!

『おめかしナイト』
チケット発売中 Pコード155-533
▼12月28日(水)18:30/21:30
ビルボードライブ大阪
自由席6000円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※未就学児童は入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら