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ホーム > インタビュー&レポート > 時にアーティストであり、時に少女である ゼロ年代を生き、シーンに突如現れた弱冠17歳の シンガーソングライターにして謎のニューカマー ハナエのインタビュー&動画コメントが到着!


時にアーティストであり、時に少女である
ゼロ年代を生き、シーンに突如現れた弱冠17歳の
シンガーソングライターにして謎のニューカマー
ハナエのインタビュー&動画コメントが到着!

 '94年生まれ、17歳という若さで、6月1日にシングル『羽根』でメジャーデビューを果たしたシンガーソングライター、ハナエ。僅か12歳で自宅録音を始めたという彼女は、幼少期からインプットした音楽、映画、小説、漫画etcという膨大なメモリーを昇華し、自らの音楽にアウトプット。時にアーティストであり、時に少女であり、時に小説家であり、時に女である。インタビュー中にも目まぐるしく印象が変化し、そしてまっすぐとした視線の奥には既にブレない美意識と、歳相応のあどけなさが見え隠れする。“絶望の先に見える希望だからこそ、綺麗だと云うこと”を音楽で伝えたいという彼女のデビュー曲『羽根』では、歴戦のプロデューサー・亀田誠治が手掛けたドライブ感のあるサウンドに、孤独と相反するつながりたい想いが投影されている。シーンに突如現れたニューカマーに、音楽を選んだストーリーと作家としてのこだわりを訊いた。

ハナエの貴重な動画コメントはコチラ!

――今回の『羽根』でデビューということなんですけど、リリースされて少し経ち、反響とかも返ってきていると思いますが、それについてはどうですか?
 

「これがデビューということもあって、全然知らない方に曲を聴いて頂くっていう機会が初めてで。例えばブログとかHPにメッセージをくれる方、ツイッターでつぶやいてくださる方とか、ホントにたくさんの感想が返ってきて、1つ1つがありがたいし面白いです。やっと“はじめまして”が出来たというか、スタートが切れたのが嬉しいですね」
 

――現在17歳とメジャーデビューにはすごく早いタイミングだとは思うんですけど、そもそも音楽を始めたきっかけ、最初に音楽を意識したのはいつですか? 資料にもありましたけど、お兄さんが音楽が好きでみたいなところからですか?
 

「そうですね。音楽一家っていうわけではないんですけど、両親も音楽が好きだし、音楽が好きな家庭に育って。小さい頃から音楽がすごく身近にあったので、音楽が好きなのは普通のことで、あまり意識したことがなくて。自分が作曲とか作詞をしてるのを意識し出したのは、12歳のときに宅録をやり始めたときですね」
 

――それってむちゃくちゃ早いですよね。
 

「そう…ですか?(笑) そうなのかな?」
 

――12歳で宅録を始めたということでしたけど、音楽を聴くこととそれを実際に作ることは違うと思うんですけど、そのきっかけは何かあるんですか?
 

「日記みたいに何となく書いた言葉に、メロディがふっと思い浮かぶことが小さい頃からずっとあったんで、それが段々と曲になってきたというか。あと、あまり喋って自分の感情を伝えるのが得意な子ではなかったので、喋れないから文章にして現さなきゃっていう脅迫観念みたいなものもあって(笑)。それが作詞にもつながってますね」
 

――逆に言うと、文章を書いたりすることに対するハードルというか抵抗はなかったんですね。
 

「全然。それが習慣というかそうしなきゃいけないみたいな…何でかわからないけど思ってた(笑)。今もそうなんですけど、言葉がすごく好きというか、言葉について考えることはこれからもずっとすると思うし面白いなと思う」
 

――音楽もそうですけど、プロフィールに記載されている好きな映画や漫画も、とても17歳とは思えないセレクトですね(笑)。
 

「私は音楽と、小説とか漫画とか映画以外に、部活動とかもあまりしてこなかったので、のめり込んでました(笑)」
 

――資料にも“4年間ぐらいクイーンとアイドルしか聴かない小学生でした”とありますけど(笑)、どうやってそういう志向になったのかなと。
 

「クイーンは両親が大好きで、DVDが家にあってそれをたまたま観たのがきっかけですね」
 

――最初に見たとき、なんだこの人たち?って思いませんでした?(笑)
 

「そうですね(笑)。ちょっと気持ち悪いし変態チックな感じがして…(笑)。でも、何なんだろうこれ!?ってどんどん調べていってのめり込んでいった感じです」
 

――言葉という点ではクイーンは洋楽で英詞じゃないですか? それでも何か感じるものはあったんですか?
 

「やっぱり小さい頃は口ずさめるけど意味は何もわかってなくて。中学校に上がって英語が少しだけわかるようになってきて、自分もどんどん成長していくにつれて歌詞を読むと新たな発見があって。やっぱりいい音楽って何回聴いても残っていくんだなっていうのはすごく思いましたね」
 

――日本のロックバンドではどんなものを聴いていたんですか?
 

「最初の出会いはアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)でした」
 

――うわ~めっちゃ最近な感じしますね(笑)。
 

「(笑)。アジカンってサウンドはシンプルだけど言葉がすごくて…叙情的というか、日本語って綺麗なんだって、アジカンを聴いて初めて感じて。それからBase Ball BearとかART-SCHOOLとか凛として時雨とか、そういうロックバンドにハマッて。今もロックバンドが1番好きでよく聴きますね」
 

――それで言うと(ハナエの所属レーベル・)EMI MUSIC JAPANって、今言ったようなバンドが結構いますよね。
 

「EMIが大好きで、(デモテープを)送ったんです(笑)」
 

――じゃあ夢叶ってますね(笑)。
 

「そうなんです。(デビューが決まったときは)めちゃくちゃ嬉しかったです」
 

――ピアノを習い始め、邦楽のロックバンドもたくさん聴くようになって、先ほど自宅録音するようになったという発言がありました。曲を作る手段としてはピアノ弾き語りというのもあったと思いますが、宅録を選んだのは?
 

「曲を作るとき、メロディと歌詞、構成を考えるのには楽器を使わないんです。メロディは記憶で歌詞だけを書き出して、それをデモテープにしようと思って宅録をしたんです」
 

――最初は使いこなせず悔しい思いをしたそうですね。
 

「あんまり機械が得意な方ではなくて。しかも説明書とかも読まないし読んでもわかんない(笑)。初心者用のソフトだったんですけど、それでも私にとっては難しくて最初は使いこなせなかったんですけど、でもとりあえずやるんだ~と思ってがんばってたら(笑)、何とか出来るようになってきて。難しいおもちゃみたいな感じですね」
 

――それだけ自分の頭の中にある曲をかたちにしたいという想いがあったってことですね。
 

「そうですね。楽器をいろいろ出来るわけではないし、バンドも1人じゃ出来ないし、バイオリンとかのストリングスももちろん弾けないし…でも自分の声は、自分で作った曲は、そういうものと合わさって頭の中で鳴っているんで。その頭の中を表現したいなっていう気持ちは、昔からすごくありました」
 

――少しずつ自分の思い描いていた曲をかたちにしていったときにはどう思いました?
 

「最初は“あれ? こんなんじゃないのにな”っていうことがたくさんありました(笑)。ある程度自分の頭の中を表現出来るようになったのは、宅録を始めて結構経ってからだったので。でも、イメージ通り出来るときと、音を混ぜて重ねていったらイメージしてなかったけどすごくいいものが出来た驚きの悦びと2通りあったので。やっぱり宅録ってすごく面白いなって」
 

――そもそも歌詞とか曲はどういったときに生まれてくるものなんですか?
 

「日記じゃないけど、思ったことを毎日言葉にする習慣が小さい頃からあって。それで毎日自分の気持ちを確かめて…きっかけとかはよくわかんないんですけど、常々思っていることはポンッとある日突然曲になったりするし。デビューシングルの『羽根』は天使がモチーフなんですけど、幾つか好きなモチーフがあって、こういうテーマで書きたいとか、こういうタイトルで作ってみたいとか思っていると、それについて考えることが多くなって、それが曲になっていくというか」
 

――ハナエさんが音楽を表現するうえではやっぱり、“言葉”っていうのが大事な要素ですよね。曲を誘発するような何かがあるというか。
 

「そうですね。あとはイメージとか、頭の中に描いている風景とか、映像みたいなものから曲が生まれることもありますね。メロディが先で後から詞を付けるっていうことはあまりないですね。イメージが曲になるというか、気持ちに曲になることが多いです。何かのタイミングでそれがどんどん降り積もって溢れたら曲になるのかもしれないし、人から受けた刺激とか、映画だったり小説だったり、何かが合わさったときに出来るというか」
 

――いろんな本を読んだり映画を観た後に、自分から何が生まれてくるんだろう?って思います?
 

「そういうアートなものって作り手の姿勢もすごくこだわっているので、私もそうじゃなきゃいけないなって思ったり。やっぱりすごく刺激にはなりますね。私は本を読むのがすごく好きで、小学校の休み時間とかもずーっと本を読んでて。1人でいろんなことを考える時間が多くて…もしかしたら考えること自体が好きなのかもしれないですね。考えたことを言葉にする、常に何かを考えてるっていう状態が、私にとってはすごく居心地がいい」
 

――音楽とか映画とか本とかって、考えるきっかけをくれますもんね。
 

「自分じゃ体験出来ないことも、架空の世界だけど自分のことのように感じられるし。そういうものが自分を創っているというか…そういう感じはすごくします」
 

――今回は『羽根』がデビューシングルに選ばれたわけですけど、この曲は結構昔に生まれた曲だそうですね。
 

「14歳のときですね。私は天使がモチーフとしてすごく好きで、天使グッズとかがお家にあったりするんですけど(笑)、天使について何か書きたいなとずっと思っていて。当時、中学校2年生だったんですけど、人間ってすごく不自由だなって感じて」
 

――気付くのが早い(笑)。
 

「(笑)。1人で塞ぎ込んで考えることも多くて、そういう自分も好きなんだけど、もっと解放された気持ちになりたいとも思ったし、学校って閉じ込められてるような感覚もあるし。そういうものから自由になりたい、でも、自由ってすごく孤独だと思うんですね。そういう自由に憧れる反面、やっぱり誰かとつながっていたい気持ちもあるし。14歳の頃って、そういう矛盾した感情が自分の中でずっと渦巻いてて…それがこの曲になりました」
 

――自分の中で矛盾を感じながらも、それは確かな気持ちだという確信もあるのは、すごく不思議な感覚というか。
 

「1人が好きで1人が嫌いな気持ちとか、自分が大好きで大嫌いみたいな気持ちは、やっぱりずーっとあって今もそうなんですけど、でも矛盾してるけどそれを否定していけないなって。それを大切にしていきたいっていう気持ちがすごくあります」
 

――そのメッセージが届けば救われる人ってすごく多いと思うんですよね。矛盾してることがダメなことだと思っちゃって苦しくなってしまう…ほとんどの人がそうだと思うんですけど、それを大事にすることでまた自分の人生の中に生まれてくるものがあることを曲で伝えられるのは、音楽の力ですよね。
 

「人間ってやっぱり1人だなってずっと考えていて。でも1人1人がちゃんとして初めて人とつながっていく、そういう矛盾した感情を肯定してくれるような音楽にたくさん出会ってきたから、私もすごく救われてきた。これからは自分が、救いになるような音楽を作っていきたいってずっと思ってますね」
 

――5年後とか10年後に、あのときハナエさんの曲を聴いて…っていう人が出てくるかもしれないですからね。
 

「いい音楽は残って次につながっていくし、すごくもてはやされても、一瞬で途切れちゃう音楽もある。やっぱり音楽って人と人、過去・現在・未来をつなげるものだと思うし、そういう本来あるべき姿の音楽をやっていきたいです。音楽が消費されやすくなったからこそ、ネットでも気軽にすぐ聴けるし、注文すればお家に届く便利な時代になって。それは欠点かもしれないけど、私はそういう時代に生まれ育っているので、手軽さはすごくいいことだと思う。あんまり時代性を音楽に反映してるわけではないけど、そのときの一瞬一瞬を刻んでいきたいですね。『羽根』は私の曲の中でも開けた空気のある曲というのもあるし、常に抱えてる感情が現れた歌詞でもあるし…今考えるともしかしたら(デビュー曲に)すごくふさわしい曲なのかもしれない」
 

――今作ではプロデューサーに亀田誠治さんを迎えていますが、レコーディングの作業はどうでした?
 

「私が亀田さんのことをホントに尊敬していて大好きだと言い続けていたら(笑)、プロデュースが実現したんです。亀田さんは音楽に対してどこまでも真摯な人で、ごまかそうと思えば幾らでも出来ることも絶対にしない。レコーディング自体はホントに楽しくて、ギターを弾いてくださってる横でカッコいいな~っとか思ってずーっと見てたんですけど。私の声とメロディと詞を活かしたアレンジをしてくださって嬉しいなって」
 

――いざ出来上がったときはどう思いました?
 

「生みの苦しみというわけではないんですけど、やっぱり私はネガティブな感情があって曲を生み出すことが多いので。それってすごく糧にはなるんですけど作るときはやっぱり辛いし、でもそういう体験も音楽に昇華することで救われるというか。今までやってきたことは間違ってなかった、無駄じゃなかったんだなって思いました」
 

――いい出発点を迎えられましたね。ハナエさんが曲を書く上で心がけていることはありますか?
 

「言葉に対して真摯であること、言葉の1つ1つに表情を持たせることが軸かな。例えば寂しいって言葉も、言い切ってしまえば簡単だけど、寂しいにもいろいろあるじゃないですか? 自分のパーソナルな感情を描いても、受け取ってもらえる方によって、その意味合いを自由に解釈してもらえるような言葉を使うことですね。言葉がやっぱり私の軸。自分の言いたいことや表現したいこととちゃんと向き合って、言葉にすることですね」
 

――ハナエさんにとっての言葉へのこだわりだったり、それが自分の曲にもたらす重要な作用っていうのは今までの話を聞いていてすごくわかるんですけど、歌うという行為はどうですか?
 

「普通に歌は好きだったんですけど、録って聴く声って何かイメージと違うし、最初は結構声にコンプレックスがあったんです。でも、それが逆に個性だと受け取ってくださる方がいて。じゃあ自分の声で何が出来るんだろう?と思ってからは詞や曲もちょっと変わったし、自分の曲だからやっぱり出来る限り自分で表現して相手に伝えたい気持ちはすごくありますね」
 

――自分の言葉を、自分の声で届ける。それこそ音楽に対する1つの真摯さという感じもしますね。まさに今スタート地点に立ったという感じですけど、最後に今後どういったアーティストになりたいという、理想像みたいなものはありますか?
 

「ずっと音楽を中心に生きてきて、音楽にたくさん救われてきたので…ホントに音楽がなかったらどうなってたんだろう。私も誰かの救いになるような音楽を作りたいし、誰かの希望になりたい。その日1日だけでもいいから、この曲があれば乗り越えられる、そういう曲をたくさん書いていきたいですね」
 


Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2011年9月12日更新)


Check

Release

反町隆史主演ドラマ『グッドライフ』
挿入歌として話題となったデビュー曲

Single
『羽根』
発売中 980円
EMI MUSIC JAPAN
TOCT-40336

<収録曲>
01.羽根
02.エトワール
03.羽根(Instrumental)

Release

『羽根』が挿入歌として使われた
感動の名作ドラマがDVD-BOX化!

DVD-BOX
『グッドライフ』
(本編Disc6枚+特典Disc1枚)
発売中 23940円
ポニーキャニオン
PCBE-63398

[出]反町隆史/榮倉奈々/
井川 遥/加部亜門(子役)/
伊原剛志/鹿賀丈史/他

Profile

ハナエ…'94年2月27日生まれ、福岡県出身。幼稚園時代、お人形遊びのときに歌う歌を作り始め、6歳よりピアノ/エレクトーン/ギターなどの楽器と戯れだす。12歳より自宅録音を覚え、音楽の具現化を図り始める。6月1日に反町隆史主演ドラマ『グッドライフ』の挿入歌となるシングル『羽根』により、僅か17歳でメジャーデビューを果たした注目のシンガーソングライター。

ハナエ オフィシャルサイト
http://hanae-web.com/


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