結成10周年目に突入する新生･MERRYが
バンドの環境を一新して挑んだシングル3部作をリリース
約10ヵ月ぶりの大阪公演を前に、バンドの転換期を語る！ （2/2）

――ストイックにやっている中で、早くも次のシングル『夜光』が12月1日にリリースされますよね？
 

結生｢ちょうど録りが終えたところです｣
 

――どんな楽曲に仕上がっているのか、チラっと教えてもらってもいいですか？
 

ガラ｢意外なんですけど、個人的にはMERRYにありそうでなかった曲になったんじゃないかなって思うんですけどね｣
 

ネロ｢ストレートだよね｣
 

ガラ｢ここまでストレートな曲は最近なかったよね。“MERRYでこういう曲も出来たんだ！”って自分でも思いました｣
 

――ますます気になってしまいます。
 

ガラ｢これ裏話になるんですけど、夜中の3～4時くらいにメロディが急に降りてきて、結生くんに“すげーの降りてきた！”って ってって電話しましたからね。僕って降りてくるまで待つタイプなんですけど、それまでは全然降りてこなくかったのに急にきて。寝てるときとかにも自分がライブしているイメージが浮かんで降りてきたりするんですよ。考えようとすると出ないのに、街をプラっと歩いているときにハッと思いついたり。新曲は本当にパッと降りてきて、それをすぐに録って結生くんに渡したっていう｣
 

――早く音源を聴きたくて仕方がないですね。それにMERRYと言えば、歌謡曲からヘヴィロックまで本当にいろんなことをやってきたわけじゃないですか？　だから、どんなストレートさなのかが想像が付かないですもん。
 

ネロ｢『クライシスモメント』とかも、WEBで60秒楽曲を流すことになった場合、どこを出すかで悩みました。ちゃんと自分たちの良さを分かっていないとダメですからね。昔からのファンの子たちには不安を抱かせたかもしれませんが、ちゃんと分かっています。自分たちが一番分かっていますから｣
 

――そして、このシングル3部作で、新生･MERRYをある程度、提示出来たかと思うのですが。
 

ガラ｢ここからはアルバムというまだ見ぬデカイものを見据えて、そのアルバムが着地点になって、それをライブで見せられればと考えています｣
 

――それにしても、どんなアルバムが出来上がるのか、これまたまったく想像が出来ません。
 

テツ ｢1枚目、2枚目、今度出る3枚目もそうなんですけど、初期衝動で破壊的な曲だったり、哀愁のある曲だったり、3枚目の『夜光』は自分的には突き抜けた曲になっていると思うんです。こうやっていろんなことをやってはいるんですけど、カタカナ表記時代の“メリー”と芯はブレずにやっていると思うんで、アルバムに向けてまたいろんな曲たちが出てくると思います｣
 

――芯がブレていないのは大事ですよね。
 

テツ｢今までももちろん芯はあったんですけど、'10年になってガラっと変わったところがあるので。これまでのことを否定するわけじゃなく、いいところは伸ばして、もっと突き詰めていく方法ですね｣
 

――今のMERRYの芯はなんでしょう？
 

テツ ｢一番ウエイトを置いているところは、バックの音を1音下げて音の重圧を出しているところですね。とくに『クライシスモメント』とかに表れていると思うんですけど、音は重くても、ボーカルには哀愁があるという。歌の表現によって曲の見え方が全然違うのが、今のMERRYのいいところかなって思っています。『クライシスモメント』はバックの音だけを聴いたら激しいんですけど、それだけじゃないっていうね｣
 

ネロ｢“哀愁”と“ヘヴィネス”に、最近“退廃”が加わりましたから。“退廃”もまた広い意味でのキーワードなので。“退廃レトロック”です｣
 

ガラ ｢あと、ラジオのDJさんも何か言ってたんですよ｣
 

結生 ｢下埜さんね(※)｣
※下埜正太…FM OSAKA『BUZZ ROCK』（毎週月曜21:00～21:55 OA）の担当DJ
 

テツ｢“羽化”じゃない？｣
 

ガラ｢そうだ！　もう忘れてた(笑)｣
 

ネロ｢使わないと、頂いたんだから(笑)｣
 

ガラ｢“羽化”かぁ、いいねぇ！｣
 

結生 ｢要は今のMERRYは、アルバムに向けて生まれ変わろうとしているサナギの状態なんですよ。その状態を目撃出来るのってレアじゃないですか？　だから、今のMERRYもレアだと思いますよ。ライブのセットリストとかもまだ完成されていないですけど、昔の曲と今の曲とが混在するというか。面白いと思います｣
 

ネロ｢10月に東京で初めて一般のライブをやったときは、オーディエンスにとってもどんな曲が来るのか分からない状況だったと思うので、すごい緊張感があったんですよ。なかなか味わえない瞬間だなと思いましたね。だから、今のMERRYは観ておいた方がいいと思います｣
 

――その今のMERRYを観る機会が、大阪では12月に用意されていますね。10ヵ月ぶりの大阪とあって盛り上がりそうですね。
 

ガラ ｢『The Cry Against…』も『クライシスモメント』もそうですし、移籍後のシングルが出てから大阪には来ていないので、新曲のように聴こえると思いますし、戸惑うかもしれないですけど、それを払拭させるくらい、いい雰囲気と勢いでライブが出来たらなと思います。生身でぶつかるだけじゃないMERRY…今までは音を出してオーディエンスと戦うイメージがあったんですよ。でも、今はちょっと酔わせたいんですよね。ただ単にぶつかり合うだけじゃなく、バンドに酔わせて、またぶつかりたいですね。これからの自分のテーマでもあるので｣
 

――そういう心境に至ったはなぜでしょう？
 

ガラ ｢MERRYの幅だったり、自分の歌の幅をもっと広げたいと思ったとき、僕はやっぱり歌って(心に)響かせたいというか。僕は歌に響いてバンドマンになりたいと思ったので、そういう歌を歌いたいと思うし、仮にファンの子が歳をとっていろんな事情でライブに来なくなったとしても、何かのきっかけで“昔、MERRYのライブに行ってたなぁ”って思い出してもらるような曲が欲しいなと思って。そういう曲だったり、バンドになっていたいと思ったんです｣
 

ネロ｢あと大阪のライブ後に、[白い羊][黒い羊]という昼夜2回公演のライブをやるんですけど、特に[白い羊]なんて着席スタイルなんで酔わせるしかないんですよ｣
 

結生 ｢[白い羊]こそ“退廃レトロ”ですよ｣
 

ネロ ｢もちろん[黒い羊]はイケイケのライブなんで、1日2公演、両極端なライブが出来るロックバンドはMERRYくらいしかいないんじゃないかと思うんです。でも、通常のライブでは1本でそれを見せなきゃいけないので｣
 

――ということは、大阪では“白”と“黒”が混ざったライブで楽しませてくれると…。
 

ネロ｢10周年目のオープニングセレモニーでもありますし。これはバンド的にも人生的にも1回きりなので、そのときにしか出来ないセットリストの組み方があると思うんですよね｣
 

テツ｢10年目に向けて、これまでどんなことをやってきたのかが分かるライブになると思うんで、まぁ幕開けですよ｣
 

ガラ ｢期待している以上のものを見せます…って自分たちにプレッシャーかけておこうか｣
 

(一同笑)
 

――それでは、最後に久しぶりの大阪ライブに対する意気込みを聞かせてください。
 

健一 ｢さっきも話に出た羽化した状態というか、羽化して何になるのか。そこに向けての重要なライブになると思うので、期待していて欲しいと思います｣
 

テツ ｢10ヵ月ぶりの大阪っていうので、単純にすごく楽しみにしていますね。さっきも言ったとおり、これまでやってきたことを見せられるライブにしたいなと。でも、やっぱり大阪でライブがやれることが一番の楽しみかなぁ。早く大阪でライブをやりたいと思っていたんで｣
 

――それは大阪のファンも同じ心境だったと思います。だからその分、当日はガツガツ来ると思いますよ？
 

テツ｢はい。そこはガツガツ来て欲しいですね(笑)｣
 

ガラ｢本気で来てくれたら俺も本気で返しますんで。最高のライブにしたいなと思います｣
 

結生｢テツさんも言ってましたけど、MERRYが10ヵ月の間、何をしていたのかっていうのを…いい加減ムカついている大阪のファンもいると思うので(笑)、そこで証明したいですね。それで納得させるライブにしたいと思います｣
 

ネロ ｢新曲はもちろん昔の曲も今のMERRY色になっているので、それを思い切り出したいですね。それがみんなにどう受け入れられるのか、どう突き刺さるのかをものすごく楽しみにしています。なので、本気でかかってきて欲しいですね。その音で突き刺してやります｣
 

――かなり熱いライブになりそうですね。
 

ネロ｢大阪はこれまでも熱いライブはたくさんありましたから。それを越えて見せます。全身全霊で｣

 

Text by 金子裕希

（2010年11月 9日更新）