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かのドミンゴを震撼させた圧巻の歌唱力。
歌声を“翼”に世界へ“飛翔”する新世代の「三大テノール」、
待望の来日公演

圧巻の歌唱力と美しいハーモニーで、世界中を熱狂させる若きイタリアのヴォーカル・ユニット「イル・ヴォーロ」。彼らの、2年ぶりとなる来日公演が決定した。2016年、イタリア・フィレンツェのサンタ・クローチェ広場で約3万人の観衆を前に、プラシド・ドミンゴと共演。デピュー10周年の2019年には、南イタリアのマテーラで野外ライプを行い、そして2022年の来日公演の折には、日本の世界遺産・清水寺で、平和への祈りを込めた荘厳なハーモニーを響かせた。オペラのアリアやイタリア民謡、クラシック音楽とポップスを融合させた類いまれな才能を目撃しない手はない。

文・田口道子(声楽家・オペラ演出家)

2009年、テレビのプロデューサーの思いつきから誕生した、イタリア人3名による男声ユニット「イル・ヴォーロ」。ピエロ・バローネとイニャツィオ・ボスケットがテノール、ジャンルカ・ジノーブレがバリトンで、ソロも歌うが、3人が揃うと、なんとも調和のとれたハーモニーを聴かせてくれる。

彼らはまだ20代後半~30代の若さだが、来年には、結成15周年を迎える。
「イタリア国営放送局が土曜に放送していた番組で子どもの歌合戦があって、その時のプロデューサーが、それぞれソロで参加していた僕たち3人で一緒に歌ってみないかと提案し、トリオで『オー・ソーレ・ミオ』を歌うことになったのが初めての出会いでした」と語るジャンルカは、当時14歳。アドリア海に面したイタリア中南部の町の生まれで、音楽好きだった祖父が聴いていたラジオでカンツォーネを自然に覚えて、5歳の頃から歌うようになったという。

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イニャツィオもまた、4歳からピアノーラで遊ぶことが大好きで、当時流行っていたカンツォーネやオペラのアリアなどを聞き覚えで弾いていた。ボローニャ生まれで両親の故郷シチリアで育ち、地元の歌合戦に出ては優勝していたことから、番組に出場することになった。

ピエロもシチリア生まれ。4歳の頃から自動車修理工場を営んでいた父の仕事場で車のボンネットの上に立って歌っていたそうで、その美声から町の児童合唱団に所属してソロをとっていた。

この3人がテレビ番組に出場したことが、彼らの運命の出会いとなった。偶然にもそれぞれが歌った曲が、オペラ歌手や往年のカンツォーネ歌手の曲だったことから、プロデューサーが、当時最も有名な三大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレラス)の再来を期してオー・ソーレ・ミオを歌わせたところ、大反響を呼んだ。そしてそれが、さらなる大きな飛躍を遂げるきっかけになる。

「僕たちが3人でオー・ソーレ・ミオを歌ったのを、アメリカにいたイタリアの往年の歌手で、プロデューサーをしていたトニー・レニス氏がテレビで観ていたんです。僕たちに興味を持ってくれて、アメリカに招いてくれました。それでアメリカでデビューすることになったんです。初めてのコンサートはアトランティックシティで、僕たちはまだ少年だったし、ものすごい冒険をしているような気がして胸がドキドキしました。あのコンサートから15年経ちましたが、今でもあの時と同じ気持ちを持ちながら、ステージに立っています」

アメリカでデビューした彼らはたちまち人気を博し、バーブラ・ストライサンドとのツアーをはじめ、スター歌手のコンサートにもゲスト出演するなどして経験を積んだ。そして、2013年からイタリア各地とヨーロッパでのコンサートツアーが始まり、2015年のサンレモ音楽祭では、オリジナル曲『グランデ・アモーレ』を歌って優勝。2016年には憧れだった三大テノールの一人、偉大なるプラシド・ドミンゴ氏と共演するという夢をかなえた。

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「マエストロ・ドミンゴには感謝の気持ちでいっぱいです。あの重要なイベントにおいて、彼が僕たちを応援し支えてくれたことは、僕たちがプロの歌手として成長するための大きな助けになりました。マエストロから受けた教えは、大切な思い出としていつでも僕たちの心にあります」とピエロは目を輝かせる。

2017年には初来日が実現した。
「日本は想像していた以上に素晴らしい国で、僕たちはすぐに日本が大好きになりました」と3人は声を揃える。
「僕たちはいつも日本のことを話します。日本の皆さんがベルカント(美しい響きの声)をいかに愛しているか、僕たちのコンサートをどれだけ熱心に聴いてくれているかなど、日本のファンと観客は、世界の中で最も「模範的」だと思うからです」とイニャツィオは言う。

何か新しい目標があるかと訊ねると、「僕たちは夢想家で、いつも夢を見ていたい仲間でもあります。それが僕たちの力になっています。僕たちは将来に向けてたくさんの夢を持っています。でも僕たちの最大の目標は、観客の皆さんを常に驚かせながらも、絶対に期待外れにさせないようにすることです。これからも3人一緒に、より楽しんでいただけるよう努力を続けます」と返ってきた。

そして、いよいよ2024年4月に4度目の日本ツアーが実現。名古屋、大阪、東京に加え、札幌でも公演する。「日本でのコンサートが待ち遠しくてたまりません。日本でコンサートができることは僕たちにとって最高に幸せなことです。なぜなら僕たちは、日本の文化をこよなく愛しているからです。来年のコンサートは素晴らしいサプライズに満ちていますよ」と語ってくれた。

大阪公演は4月28日(日)ザ・シンフォニーホールにて開催される。

Text by Michiko TAGUCHI
Photographs Courtesy of TATE Corporation




(2024年3月26日更新)


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Live

「IL VOLO JAPAN TOUR 2024 LIVE IN CONCERT」

【愛知公演】
▼4月25日(木) 愛知県芸術劇場 大ホール

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:255-054
▼4月28日(日) 14:00
ザ・シンフォニーホール
SS席-25000円 S席-21000円 A席-19000円 B席-17000円 C席-15000円
[演奏]大阪交響楽団
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【東京公演】
▼4月30日(火) 東京国際フォーラム ホールA

【北海道公演】
▼5月2日(木) 札幌文化芸術劇場hitaru

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