関西に新たなカルテットの歴史を刻む関西弦楽四重奏団が
名コンサートマスター、豊嶋泰嗣をヴィオラに迎え
ブルックナーの隠れた室内楽作品の傑作を演奏する
大阪を代表する歴史的建築で聴く室内楽コンサート、大阪倶楽部シリーズに、6月5日(月)、関西弦楽四重奏団とヴィオラに豊嶋泰嗣が登場。ブルックナーの弦楽五重奏曲ほかを演奏する。ヴァイオリンに林七奈、田村安祐美。ヴィオラに小峰航一、そしてチェロに上森祥平。関西に拠点を持つ気鋭の奏者たちによって編成されたカルテットと、日本を代表する名コンサートマスターの共演は室内楽の粋を伝える、聴き応えに溢れたものとなることだろう。ブルックナーの円熟期に書かれた弦楽五重奏曲は、その長大さも含め作曲家の特質を余すところなく伝える作品。音楽の魅力に反して演奏機会は少なく、今回はその真価に接することのできる稀有な演奏会とも言えそうだ。関西弦楽四重奏団・小峰航一に聞いた。
■ブルックナーの弦楽五重奏曲が聴ける数少ない機会です。それだけに意気込みの強さも伝わってきます。取り上げた理由などをうかがえますか?
小峰:あまり演奏されなくてもったいない、と思う曲はたくさんありますが、ブルックナーのこの五重奏曲もまさにそういった、もっと演奏されるべき名作です。またもうひとつ、ブルックナー演奏と言えば、名指揮者朝比奈隆さんが大阪の文化の歴史を彩る数多くの名演を残しました。大阪でブルックナーを、しかもブルックナーの隠れた室内楽作品を!と言うのが今回の演奏会の聴きどころです。
■弦楽四重奏曲や弦楽五重奏曲というのは演奏家が技術を極めたようなとても高度なアンサンブルの世界で、初心者にはなかなかとっつきにくいジャンルでもあります。演奏家の立場からその魅力と楽しみ方を教えてください。
小峰:弦楽四重奏や五重奏にはとても魅力的な作品が多く、室内楽の真髄のような感覚を持っています。音楽家としてそれに取り組むことで成長させてもらう分野ではありますが、自らを極めるためではなく、ただ素晴らしい作品が数多くあるから演奏したい!とだけ考えています。五重奏や六重奏になると、四重奏団にゲストを迎える形が多いですが、ソリストを迎えるのとはまた違い、互いにシンクロして行けるのが醍醐味だと思います。私自身、室内楽の演奏会が大好きでよく聴きに行きますが、舞台で繰り広げられる演奏家同士の音の会話を聴いたり感じたりしていただければ、楽しいと思いますよ。
■前半はモーツァルトです。プログラム全体に意図したことはありますか?
小峰:モーツァルトとブルックナーは互いにオーストリアの地方出身で、ウィーンで活躍したという似た境遇を持っています。非常に組み合わせの良い作曲家同士で、ブルックナーの交響曲の前にモーツァルトの協奏曲を置くプログラムはある種の定番とも言えます。今回豊嶋さんをヴィオラにお迎えした事で実現できる、二重奏から四重奏を経て五重奏という響きの変化に富んだプログラムを楽しんでいただきたい、というのが私たちの意図です。
(2017年5月1日 メールでの取材を元に構成しました/逢坂聖也:ぴあ)
(2017年5月 1日更新)
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