ホーム > インタビュー&レポート > 父の感謝の気持ちをしっかりと引き継ぎたい クラリネット奏者 稲本渡インタビュー 〈稲本耕一メモリアルコンサート〜思いは未来へ続く〜〉
厳しかったですね、ただ、これはいつもお話させて頂くんですが、ステージに立つと自分もひとりの音楽家、子供もひとりの音楽家。当然自分もミスをするし、子供もミスをする。だからそれは全然怒らなかったんです。けどリハーサルは厳しかったですね。ただ、こうしろああしろというのは無くて、自分で考えさせられることが多かったと思います。例えば間違えました、でも音を間違えるのがいけないのではなくて、そういう演奏をしているとお客様に喜んでもらえないっていうことの方を厳しく言われましたね。お客様を楽しませる演奏というのがまず根底にあって、そのために練習をしなくてはいけないんだよっていうことを言われました。こういう練習をしろとか、練習のたびにチェックされるとか、レッスンをされるとかそういうのはなかったですね。だから僕の記憶では親父にクラリネットを習ったという感覚はないんです。それは本番の中で教えられてきたことなんです。
父や兄と演奏していると、これは本当に不思議なもので「親父、今日ここもう一回繰り返すだろうな」とかいうことがなんとなく、 “あ、うん”の呼吸で分かるんですね。兄貴の伴奏になった時にも、例えばこの曲の終わり、いつもはピアニシモで終わっていたけど、今日は盛り上げたいなって吹きながら思いますよね。すると兄貴も自然に盛り上げてくる。自然にそうできてしまう。そういった言葉では説明のつかない、いい面がありますね。本番こうしたい、って思ったらそうしてくれますし、向こうがこうしたいなって思ったらこっちも自然と合わせていけるし。あれは不思議ですね。ただ悪い面を言っちゃうと、常に家の中では音楽の話というか、仕事の話になってしまっているので、例えば家族で旅行に行きました、スキーに行きました。でもゴンドラの中では「次のプログラムどうする?」。子供としては家族感が無いというか。もうちょっと息抜こうよ、みたいな(笑)。
(2014年5月23日更新)
【ピアノ】稲本響
【クラリネット】稲本渡
■6月10日(火)19:00
いずみホール
4,000円 チケット発売中
Pコード 233-289
【曲目】
ドナウ川のさざ波
アメイジング・グレース
エスペランサ
「海の上のピアニスト」より
ドラマW「私という運命について」
父に...ほか
【問い合わせ】
稲本音楽事務所■072-221-2731
1977年生まれ。ピアニスト・作曲家。18歳でドイツへ留学。これまでにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のトップメンバーらと共演。主な作曲・音楽監督作品には映画「長い散歩」(監督・奥田瑛二 主演・緒形拳 モントリオール世界映画祭にてグランプリ受賞)「イキガミ」(監督・瀧本智行 主演・松田翔太)、「星守る犬」(主演・西田敏行)、舞台「君と見る千の夢」(演出・富田慶子 主演・相葉雅紀(嵐))「海の上のピアニス卜」(共演・市村正親)、ドラマ「私という運命について」(出演・永作博美、江口洋介)、番組テーマ曲「キヤノンスペシャル」「 匠の肖 像」、CM「HONDA エリシオン」「日本製粉」、「愛・地球博 女性像展示会場テーマ曲」等がある。本人仕様の特注ピアノ「STEINWAY&SONS(NEW YORK)」を使用することで知られる。
1980年大阪・堺生まれ。クラリネット奏者。5歳でステージデビュー。オーストリア 国立グラーツ音楽大学を満場一致の最優秀で卒業。国際音楽週間のオーストリア代表に選ばれヨーロッパ各地で活躍。オーストリア国立放送にソリストとして出演、グラーツ国際音楽院講師も務める。'08年~11年、佐渡裕率いる兵庫芸術文化センター管弦楽団のクラリネット奏者として活躍。一方、京都御苑での奉納演奏をはじめ、石川直、東儀秀樹、平山素子らとも共演し、映画「スープ・オベラ」では音楽家役で出演。演劇、舞台にも出演するなど多方面で活躍し、メディアにも多数取り上げられている。また各地でコンクールの審査員を務め、後進の指導にも尽力している。
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