ホーム > インタビュー&レポート > 『Shimmering Water』 きらめく水のイメージを奏でるピアニスト、福間洸太朗 いずみホールで関西初のソロ・コンサート
ピアニスト、福間洸太朗。都立武蔵高校卒業後ヨーロッパに渡り、パリ国立高等音楽院ほかで学んだ俊才だ。2003年にはアメリカ・オハイオ州で開催されるクリーブランド国際ピアノコンクールで日本人初の優勝を果たし、以来、全米、ヨーロッパを中心に活躍。現在はベルリンを拠点に演奏活動を行っている。
その福間が10月7日(日)、大阪のいずみホールで関西では初となるソロ・コンサートを行う。今年30歳を迎えた彼がテーマとしているのが『Shimmering Water~きらめく水』だ。
「ヨーロッパで生活していると、名前の由来を訊かれることがとても多いんです。そんな時、私の名前にある『洸』という漢字は“水の光”を表しているんですよ、と答えるのですが、コンサートに来たお客様の中には、私の演奏から“水”のイメージを感じてくださる人が多く、この説明をすると、本当に納得したような表情を浮かべてくださるんですね。そのことに私自身がずっと感動していたというか…いつかこれをテーマにした演奏会を開きたい、というアイデアを持っていました」
9月19日にドビュッシーの作品を集めたCD『水の反映』をリリース。コンサートでのプログラムを考える中で、実現の手応えを感じたという。
「ドビュッシーは今年で生誕150年ですね。多くのピアニストや演奏家の方が取り組んでいらっしゃるのは理解できたので、その中でどうやって私なりの表現を目指そうかと。そこで様々な作曲家の水に因んだ作品を選び出していったんです。CDのタイトルにもなった『水の反映』という曲は、私にとってはとても大切な作品で、中学1年生の発表会の時や翌年、初めて海外で演奏した時。ザルツブルクの音楽大学、モーツァルテウムでも演奏しましたし、中学3年で初めて国際コンクールに参加した時にも弾いた曲なんです。温和でありながら同時に非常に神秘的な世界を持った作品で、この曲の印象をもとに『Shimmering Water~きらめく水』という全体のイメージが磨かれて行きました」
プログラムはショパンの『舟歌』に始まり、水辺や川、そして噴水といった様々な水の風景を見せる、ベートーヴェン、リストらの作品を巡りながら、やがて水の輝きそのもののようなドビュッシーの作品へと向かう。『Shimmering Water』を描き出す、福間のイメージの飛翔を存分に感じ取れる構成だ。なお前半の最後に置かれたスメタナの『モルダウ』は福間自身の編曲によるもの。
「ぜひ演奏してみたい作品だったので、それならピアノソロ用の編曲もやってみよう、と。だからこの『モルダウ』は大阪のいずみホールが世界初演になります。オリジナルなエレメンツを入れるわけではありませんが、聴いてオーケストラを連想させるような雄大な音楽にしたいと考えています。それから後半1曲目のリスト『エステ荘の噴水』は、私が高校1年生の時に堺国際ピアノコンクールで弾いて1位をいただいた、大阪との思い出のたいへん深い曲。プログラムに加えることができてとてもうれしく思います。今回のコンサートが私にとって、大阪との思い出がさらに深まる機会になれば、と思っています」
■CD『Reflets dans i'eau』(水の反映)
発売中 2940円
日本コロムビア COGQ-61
クロード・ドビュッシー
2つのアラベスク
1.アラベスク第1番
2.アラベスク第2番
映像 第1集
3.Ⅰ水の反映
4.Ⅱラモーを讃えて
5.Ⅲ動き
6.水の精(前奏曲第2巻より 第8曲)
7.沈める寺(前奏曲第1巻より 第10曲)
版画
8.Ⅰ塔(パゴダ)
9.Ⅱグラナダの夕べ
10.Ⅲ雨の庭
11.月の光(ベルガマスク組曲 第3曲)
映像 第2集
12.Ⅰ葉ずえを渡る鐘
13.Ⅱ荒れた寺にかかる月
14.Ⅲ金色の魚
15.喜びの島
(2012年9月28日更新)