ホーム > インタビュー&レポート > 日本を代表するソプラノ、佐藤しのぶが贈るクリスマス・コンサート 「The Gift!」。12回目を迎えたステージの魅力を、彼女自身が語る。
圧倒的な表現力と華麗な容姿で、日本を代表するソプラノとして活躍する佐藤しのぶ。彼女が手掛けるクリスマス・コンサート「The Gift! Vol.12」が今年は12月17日、サンケイホールブリーゼで開催される。毎回、様々なオペラを再現するかのようなステージでファンの目と耳を楽しませて来たコンサートだが、12回目を迎える今年はどのような展開になるのだろうか。来阪した佐藤しのぶのコメントによって、今回のステージの魅力についてお伝えしていきたい。
■今回の「クリスマス・コンサート「The Gift! Vol.12」はどのようなステージになるのでしょう。副題に~楽しき愛の物語 狂おしき1日!~とあるのは、やはり「フィガロの結婚」をイメージしてのことでしょうか?
佐藤:はい、今年はモーツァルトの名作「フィガロの結婚」よりハイライトをお届けします。オペラでは私は悲劇のヒロインを演じることが多いのですが、今年は3月11日に東日本大震災が起こって、今もその影響が続いています。今年はやはり笑顔を、喜びを皆さんにお届けしたいと思い、人間の命の賛歌という意味でモーツァルトの作品を選びました。「フィガロの結婚」という作品の持つ、生命への喜び、躍動を凝縮してお届けします。そして何と、私がスザンナを演じます!(笑)
■佐藤さんは、最近では憂愁に満ちたおとなの女性=伯爵夫人を演じる機会のほうが多いですよね。今回はスザンナ役をなさいますが、タイトルロールのフィガロを凌ぐ出演場面は、かなりのハードワークですね。
佐藤:この作品は「フィガロの結婚」という題名ですが、ヨーロッパでは「スザンナの結婚」って言われるくらいスザンナの登場シーンが多い作品です。今年は、あえて自分への挑戦として、“思いっきり笑っていただける明るく元気なスザンナ”を歌い、演じてみたいと思い企画いたしました。伯爵夫人役は大倉由紀枝さん、伯爵役は勝部太さん、フィガロ役は井上雅人さん、ケルビーノは湯浅桃子さんという配役で、森島英子さんのピアノという最高の共演者とともにお贈りします。照明、衣裳つきのまさにオペラを彷彿とさせる豪華な舞台ですが、今年は日本語で歌いますので、オペラが初めての方でも、楽しんでいただけると思います。
■伯爵に思い切り口説かれるわけですね。
佐藤:そうです。そこもまた大変見どころです。伯爵に口説かれて困っているスザンナですが、そこを何とか知恵を絞って切り抜けます。ところがだましたつもりがだまされたり…。コミカルな役は15年ぶりくらいではないでしょうか(笑)。今年は日本語で歌いますので、オペラが初めての方でも、とても楽しんでいただけると思います。
■ 12回を迎えるこのコンサートを「The Gift!」と名付けたのは佐藤さんご自身と聞いています。そこで佐藤さんのクリスマスに関する思い出などがあれば聞かせていただけますか?
佐藤:はい、毎年、父が仕事が終わって、クリスマスケーキを買って帰宅するのを母と待ちわびておりました。夜遅くなるのですが、父が大事に持って帰ってきたケーキを、家族で一緒に食べる時間がとても幸せでした。そして翌朝起きたらクリスマスツリーの下に、いくつかサンタさんのプレゼントがあって…。このコンサートを「The Gift!」と名付けたのは、子供が朝、目覚めた時に、ああ、こんなところにプレゼントが置いてあるって、わくわくしながらその箱を開けるようなそんなサプライズを込めた気持ちを公演でお届けできたら、と思ったからです。そしてもうひとつ。「Gift」には神様から与えられた“才能”という意味があります。このクリスマスの日に、神様が舞台に音楽の力を与えて下さったらという願いも込めて名付けました。
■ありがとうございました。今回の「The Gift! Vol.12」楽しみにしています。この「フィガロの結婚」のステージを観て、オペラに足を運ぶファンが増えればいいですね。
佐藤:ありがとうございます。オペラ以上にオペラを分かりやすく、楽しく、深く味わっていただけると思いますので、ひとりでも多くの方にお聴きいただけたら本当にうれしいです。会場でお目にかかれますことを楽しみにしております。
佐藤しのぶ 〈クリスマスコンサート The Gift! vol.12〉
●12月17日(土)15:00
サンケイホールブリーゼ
【共演】
勝部太(バリトン)
大倉由紀枝(ソプラノ)
井上雅人〈バリトン)
湯浅桃子(ソプラノ)
森島英子(ピアノ)
【プログラム】
オペラ「フィガロの結婚」より
きよしこの夜
アヴェ・マリア 他
問い合わせ:ブリーゼチケットセンター■06-6341-8888
(2011年11月 2日更新)
■オペラ「フィガロの結婚」について