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高岡早紀の怪演が大きな話題を呼んだドラマシリーズが劇場版に
映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』
主演・高岡早紀インタビュー

2019年に放送され、高岡早紀の怪演が大きな話題を呼んだドラマシリーズ「リカ」の劇場版『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』が、6月18日(金)より、大阪ステーションシティシネマほか全国で公開される。幼い頃から愛に恵まれなかったことで、夫像、結婚像、家庭像に少女のような憧れと純粋さを持つようになってしまった自称28歳の女性・雨宮リカが、幸せになりたいという一心で男性に差し迫っていく恐怖をスリリングに描く。ドラマ版も手がけた松木創が監督を務め、リカのターゲットとなる男性を市原隼人、その婚約者を内田理央が演じている。運命の男性に出逢い、リカのピュアな愛情が炸裂し、手段を選ばない最恐の“純愛モンスター”と化していく姿から目が離せなくなる、そんな本作の公開を前に、ドラマ版に引き続き、主人公のリカを演じた高岡早紀が作品について語った。

――高岡さんは、ドラマでリカを演じて、その後ドラマ「リカ~リバース」でリカの母親を演じ、映画で再びリカを演じられました。なかなか珍しいことだと思いますが、どのように感じられましたか?
 
まさかこのリカという人物の物語が、こんなにも皆さんに支持されるなんて、私自身も驚いています。もちろん原作がシリーズ化されているので、「続編ができたらいいね」と現場で話していましたが、実現するなんて思ってもみませんでした。過去にシリーズ化したドラマに出たことはありましたが、前日譚にあたるドラマ「リカ~リバース」をやる時も、「リカ」という作品でシリーズ化というのは正直どうなのかなと思っていました。「リカ~リバース」ではリカの母親を演じたのですが、時を経て演じるのであればまだしも、直近にリカを演じたばかりで、今度は母親役をやる機会は中々ないですよね。そういう意味では「リカ~リバース」で、サイコパスなリカを生んでしまった母親というリカとは異なる人物を、責任もって演じることはすごく面白い機会でしたし、女優として楽しい仕事でした。そこからさらに映画化されることになって、リカは本来ならば映画になっていいような人物ではないんですが、何故か皆様に支持されて映画化するまでになったことに、驚いています。もっとハッピーな作品や役だったら、普通に喜べると思うんですが、まさかこういう作品が皆様に支持されるというのは、予想外で面白いなと思いました。リカは本当にサイコパスなんですが、一歩間違えると誰でも、男女問わずそういう要素を持ち得てもおかしくはないというところに共感してもらえたのかなと思っています。
 
――映画で再びリカを演じたことで、演じる上で何か変化はありましたか?
 
リカを育てた母親は、すごくストイックで厳しいけれど、決して虐待をしていたわけではありません。心からの愛情を注いではいなかったかもしれませんが、自分自身も色々な悩みを抱えていて、リカは、ちょっとだけ歪んだ家庭の中に生まれたんだと思います。でも、私ではない女優さんがリカを演じているのを見て、リカがゆがんだ性格、サイコパスになったのは家庭のせいではなく、リカ自身が元々サイコパスだったということを、より感じました。母親を演じたことで、リカのことをすごく客観的に見ることができたと思います。
 
――高岡さんがリカに共感できるところと、共感できないところを教えてください。
 
リカの一心にピュアに人を愛する気持ちや、人に惑わされないブレない気持ちはとても共感できると思いました。共感できないところは、私は絶対に踏み外さないので、踏み外してしまうところですね(笑)。言い聞かせるように言わないと、誰しも踏み外してしまうかもしれない可能性は秘めていると思うんです(笑)。もしかしたら、何かあったら、そこまでの人に出会ってしまったら、踏み外してしまう可能性はあると思うので(笑)。踏み外さないよう自分に言い聞かせています(笑)。
 
――リカの着る、華やかな衣装やファッションも見どころでした。
 
リカは、もともと難しい役柄なので、ビジュアル的に、どのようにリカを見せていくのかはすごく話し合いました。たくさん衣装合わせをしていく中で、ある花柄の衣装がとても目を引いて、それに合う他の衣装を選んだところ、リカは本当に乙女なので、花柄しか着ないという設定は面白いんじゃないかという意見で一致したんです。あの衣装がリカと言う人物像を作り上げていく上で、とても重要な要素になりました。もしかすると、衣装合わせに一番時間がかかったかもしれません。あんな人いませんよね(笑)。
 
――ビビッドな色使いもリカらしいものでした。
 
そうなんです。けっこう、強烈な衣装でしたよね。でもある意味、あの衣装を着ることによって、リカになるスイッチが入っていたのかもしれません。普段はまず着ることはありませんし、それを着てどこに行くの? という衣装ばかりなので。衣装はどんな作品でも役を作っていく上でとても重要な要素なので、その衣装を着ることによって、何も考えずにすんなり役に入ることができるんです。でも、今回は衣装がもっと大切な要素になっていました。
 
――先日、動画も公開されていましたが、高岡さんがワイヤーアクションを使ったシーンも披露されています。
 
この年齢でワイヤーアクションは…とまず思ったので、最小限にしていただくようにお願いしていました。でも実際にワイヤーアクションのシーンを撮影すると、もっと痛いとか苦しいとか思った以上に怖いものを想像していたんですが、練習の段階で思ったよりも簡単に高く飛び上がることができてしまって、すごく楽しかったです。私がすごいのか技術の進歩がすごいのか、どちらかわかりませんが、楽しかったです(笑)。あんまり危険なことはできないんですが、最小限にしてくださいと言った言葉を取り消せば良かったと思うぐらい、もうちょっとやりたかったです。
 
――本作は、狂気にも思えるリカの純粋さ故の行動から生まれる恐怖はもちろん、思わずくすっと笑ってしまうシーンや、スピード感溢れる展開にも驚かされました。
 
この映画は、怖いだけではなく、笑いも驚く要素もあって、エンタテインメントとして面白い作品になっていると思います。テレビドラマから通して、リカの純粋でピュアな愛情表現や切なさなどがきっちりと描かれながら、ジェットコースターのようなスピード感のある面白さや恐怖が次々と押し寄せてくる物語になっていると思います。
 
――最後に、さらなる続編はあるのでしょうか?
 
わかりません(笑)。いつも、ドラマシリーズの時もそうですが、原作がシリーズ化しているので、可能性がゼロではないと思いますが、わかりません(笑)。そうなったら嬉しいですね(笑)。
 
 
取材・文/華崎陽子



(2021年6月17日更新)


Check

Movie Data


(C) 2021 映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会

『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』

▼6月18日(金)より、大阪ステーションシティシネマほか全国で公開
出演:高岡早紀、市原隼人、内田理央
尾美としのり、マギー、佐々木希
監督:松木創

【公式サイト】
http://www.rika-28.com/

【ぴあ映画生活サイト】
https://cinema.pia.co.jp/title/187034/


Profile

高岡早紀

たかおか・さき●1972年12月3日、神奈川県生まれ。1988年デビューし、女優・歌手と長きにわたり活躍。主な出演作に、『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994/深作欣二監督)、『モンスター』(2013/大九朋子監督)、『雪の華』(2019/橋本光二郎監督)、『ファーストラヴ』(2021/堤幸彦監督)など。2021年には、オトナの土ドラ「リカ~リバース~」、「桜の塔」、「おかえりモネ」などに出演。