京都を舞台にしたシリーズの集大成となる映画
『科捜研の女 -劇場版-』撮影現場取材レポート
撮影後に行われた主演・沢口靖子の取材模様も!
沢口靖子が主演を務め、1999年の放送開始から現在にいたるまでの20年以上、高視聴率を打ち出し続けているテレビ朝日の超人気シリーズ「科捜研の女」。 “科学捜査”に焦点を当てた、ミステリードラマというジャンルの中で唯一無二の地位を築きあげ、“現行の連続ドラマ最長シリーズ”でありながらも、科学の進歩と時代性をドラマに取り入れ続け、常にチャレンジと進化を続けてきた本シリーズは、ドラマ放送開始20周年×テレビ朝日開局 60 周年の節目となった2019年に、1年間のシリーズ放送という前人未到のチャレンジを完遂。そして、放送開始から21年目を迎えた2021年、その集大成として、シリーズ初となる待望の映画化を果たす『科捜研の女 -劇場版-』が、9月3日(金)より、梅田ブルク7ほか全国にて公開される。京都で大学教授の転落死体が発見された。最新鋭の科学技術を駆使して数々の難事件を解決してきた、榊マリコ(沢口靖子)ら科捜研チームが現場に急行。転落する直前、被害者の「助けて」と叫ぶ声を聞いたという証言に違和感を覚えたマリコは、事故や自殺以外の可能性もあると睨み、土門刑事(内藤剛志)らと捜査を進める。シリーズ史上最難関の《世界同時多発不審死事件》に挑む科捜研チームの姿がスリリングに描かれている。
本作の現場取材が東映京都撮影所で行われ、主演の沢口靖子をはじめ、若村麻由美、風間トオル、斉藤暁、渡部秀、山本ひかるらレギュラーキャストが揃ったシーンがメディアに公開された。まずは、科捜研内の共有スペースで、ホワイトボードを使って、それぞれの鑑定結果をもとに事件を推察する場面。沢口靖子演じる主人公・榊マリコ(※榊の字は木偏に神の「榊」が正)、風間トオル扮する、科捜研の一員としてクレバーで頼れる化学研究員・宇佐見裕也、斉藤暁演じる科捜研所長兼文書研究員・日野和正、渡部秀扮する物理研究員・橋口呂太、山本ひかる演じる映像データ研究員・涌田亜美らがそれぞれの部屋で作業をしているところに、若村麻由美演じる洛北医大の解剖医・風丘早月が科捜研に駆け込んできて、ホワイトボードに新たに発見したことを書いて皆に説明するという、《世界同時多発不審死事件》の謎に迫る重要な場面。
部屋に駆け込んできた後に、可動式のホワイトボードを引き寄せ、そこに書いて説明するというたくさんの動作がある若村をはじめ、作業の手を止め、彼女の傍に集まっていく沢口らも念入りに動作やタイミングを確認し、立ち位置や流れを頭の中に入れるように、動きながら何度も確かめていた。段取りを何度も繰り返すうちに、ホワイトボードの位置や動かし方、タイミングなど、当初想定していた流れから変更される点も多く、それに合わせて照明を追加し、カメラの高さを変えるなどスタッフの動きも激しくなっていく。その合間にも、それぞれが、自分がいつ動くのかを黙々と確認していた。また、若村演じる風丘がホワイトボードで説明した直後に、突然ある人物が科捜研に飛び込んでくることから、若村は驚き方の度合いをテストのたびに変えて、監督に確認していたのが印象的だった。長年続いているシリーズで、自らが演じる人物のキャラクターを把握し、長年演じているからこそ、何度も段取りを重ねて、最高のカットを撮るべく、皆が同じ方向を向いて撮影に挑んでいることが伝わってきた。
撮影の合間には、本作のプロデューサーである中尾亜由子が取材に応じ、本作への思いを語った。「映画は、20年間支えてもらったファンの方への恩返しだと思っています。いつもドラマを見てくださっている皆さんには満足してもらいたいと思いながら作っています。随時、映画の話は出ていましたが、シリーズ20周年を迎えた集大成でもありますし、1年間ドラマを放送したことで、機は熟したんじゃないかと思っています。映画という大きなスケールの中で、マリコをたちが、佐々木蔵之介さん演じるシリーズ史上最強の敵と闘うところを見てもらいたいですね」
そして、この日の撮影終了後には沢口靖子が囲み取材に応じた。まずは、映画化されると聞いたときの感想を聞いてみると、「まさか「科捜研の女」が映画化されるとは思ってもいませんでした。夢のようなお話だと喜んでおります」と返答。また、沢口にとって、マリコがどのような存在になっているのかという質問には「私にとって、マリコは分身のような存在です。とは言っても、マリコと私は別人物で、脚本から生まれて、皆さんに育てて頂いた存在です。これは作品に臨む原動力にもなっていますが、いつも前向きなところとあきらめない姿勢がマリコの魅力だと思います。エジソンのように1万回失敗しても真実を見つけようとする精神も魅力的です」と、やはり長年付き合ってきたマリコという存在に感慨深い様子だった。さらに、テレビでシーズンを重ね、遂に映画化が実現した「科捜研の女」について、ここまで愛されている理由をどのように感じているかという質問には「私が思うこのシリーズの魅力は、科学と人間を丁寧に描いているところだと思っています。最新の科学で事件が解明される面白さ、それに加え人間の弱さや愚かさ、未熟さや、そして愛おしさというところが丁寧に描かれているところがあるところが皆さんに愛して頂ける理由だと思っています」と真摯にコメント。続けて、今回の映画の見どころを聞かれると「いつもは事件解明にまっしぐらなマリコですが、今回は特に長年のファンの方々に喜んで頂ける出来事が起きます!その時々で見せる表情の変化を意識しました」と返していた。そして、沢口にとって、この映画がどういう作品になりそうか尋ねてみると「もちろん代表作の一つですし、この映画が私の節目の作品になることは間違いありません。この20年、作品自体も科学が進歩すると共に、作品の内容も進化を遂げてきました。普遍的な人間関係を描くこととうまく両立しながら、今後も進化していければと思っています」と語った。最後にファンの方へのメッセージとして「この度、科捜研の女が映画化されることになりました。20年間の集大成として取り組んだ作品です。マリコの決死の決断にご期待ください。劇場でお会いしましょう!」と語り、取材は終了した。
取材・文/華崎陽子
(2021年5月27日更新)
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