インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 「ホラー映画だけど、自己投影しながら観られて、 最後は切ない気持ちになる作品です」 映画『犬鳴村』でキーパーソンを演じた 古川毅&大谷凜香インタビュー

「ホラー映画だけど、自己投影しながら観られて、
最後は切ない気持ちになる作品です」
映画『犬鳴村』でキーパーソンを演じた
古川毅&大谷凜香インタビュー

『呪怨』シリーズでお馴染みの清水崇監督が、九州に実在する心霊スポット「旧犬鳴トンネル」を題材に撮り上げたホラー映画『犬鳴村』が、2月7日(金)より、梅田ブルク7ほか全国にて公開される。地図にも載っておらず、様々な恐ろしい逸話が語り継がれる“犬鳴村”をめぐって、この世のものとは思えない怪事件に巻き込まれていく、三吉彩花演じる臨床心理士・森田奏の主人公の運命をスリリングに映し出している。そんな本作の公開を前に、犬鳴村の鍵を握る謎の青年・成宮健司役の古川毅と、“犬鳴村”の呪いにかかり最初の被害者となる主人公の兄の彼女・西田明菜に扮した大谷凜香が作品について語った。

――まずは、オファーを受けた時、そして脚本を読んだ時の印象をお聞かせください。
 
古川毅(以下、古川):オファーを頂いた時は、犬鳴トンネルが題材になっていると聞いたので、まず都市伝説を恐る恐る調べました(笑)。清水監督の代表作である『呪怨』は、ほとんどの人が観ている作品ですし、巨匠の映画なので、心して脚本を読みました。いざ読んでみると、ファンタジーのような要素もあって、シーンによっては身近に感じる部分と怖さが共存している作品だと思ったので、撮影を楽しみにしていました。
 
大谷凜香(以下、大谷):私もオファーを頂いた時にたくさん調べました。犬鳴村の都市伝説の中にも色んな話があるんですが、意外と私たちと同世代の子たちがインスタグラムに写真をあげていたりしていたので、それぐらいメジャーなスポットなんだと思いました。実在する心霊スポットをオリジナルストーリーでどう描くのか、すごく気になっていたんですが、実際に脚本を読んでみたら、ファンタジー的な要素もありつつ、血筋に纏わるストーリーが盛り込まれているので、ホラー映画ですが意外と自己投影しながら観られる作品なのではないかと思いました。ホラーなので、怖いシーンはもちろんあるんですが、現実世界に置き換えて観られるところもあるんじゃないかと感じました。
 
――今のお話をうかがっていると、元々おふたりともホラーはお好きではなかったんでしょうか?
 
古川:僕はそうですね。
 
大谷:私もそうでした。でも、監督をはじめ、現場のスタッフさんたちはホラー好きの方が多かったですね。私は、皆さんに叫び方を指導していただいたのですが、最初は、「キャー」という叫び声で怖いという感情を表現していたんです。そうしたら、実際、本当に怖い時は「キャー」なんて綺麗な女の子の叫び声は出ないし、もっと必死で興奮状態にあるはずだと指導してもらって、どうやってそういう興奮状態にテンションを持っていくのかを、スタッフさんたちのホラー愛から勉強させてもらいました。
 
古川:確かに、凜香のシーンが一番怖かったかもしれない。
 
大谷:誉め言葉だと思っておくね(笑)。
 
古川:怪演って、まさにこのことだなって思いました。
 
大谷:私が演じたユーチューバーの女の子は、バズりたいという一心で彼氏を犬鳴トンネルに連れて行くんですが、その決心とこの映画を観ると決心して、劇場に足を踏み入れてくれた方の気持ちは同じだと思うので、あの恐怖のシーンで皆さんをこの村に引きずりこむ役割を担う気持ちで演じました。
 
――おふたりには監督からどのような演出がありましたか?
 
大谷:最初にじっくり話し合って、キャラクターを作る、みたいなことはなかったです。
 
古川:僕も、そういう臨み方ではなかったです。現場で、その時々に指導していただく感じでした。物語の大筋が進んで、色んな謎が解き明かされていく過程で、僕自身の歴史も掘り下げられていく役なので、難しい部分はありました。何を言ってもネタバレになってしまうので、僕の口からは何も言えません(笑)。(凜香が演じた)明菜のように、勇気を振り絞って、それを確かめに劇場に観に来てください。
 
大谷:きっちり固めていくスタイルではなかったんですが、叫び声や怖がっている時の表情については、指導していただきました。私が一番、観てくださるお客さん達に近い立場のキャラクターだと思うので、私の怖がる表情が、この映画の怖さのレベルになるので、その都度監督から指導していただきました。
 
古川:めちゃくちゃいい仕事していたよね。
 
大谷そんなに褒めてくれるの?(笑)
 
古川:予告編から怖かったから(笑)。初めて予告編を見た時に、こわっ!と思いましたもん(笑)。
 
大谷:ハードなシーンも多かったんですが、考えすぎると芝居にならないので、やっぱり難しかったですね。
 
古川:監督も入っている『犬鳴村』のグループLINEに、凜香がクレーンに吊るされている画像が送られてきたんです。それが作品の中で、こういう画になっているんだと思い、苦労したんだな、あれは怖かっただろうなと思いました(笑)。
 
大谷:すごく高かったから(笑)。清水監督が、結構お茶目な方なので、もちろん監督として、私たちがお芝居しているのを見ているんですが、面白がって見ている時もあって、芝居しているところを結構写真に撮っていたんです。
 
――おふたりが撮影を見てないシーンもいくつかあったと思うのですが、完成作を観て、驚きましたか?
 
大谷:病院のシーンは、怖かったよね。
 
古川:病院のシーンは怖かったね。
 
大谷:存分に怖がって観ましたが、最後は考えさせられるというか、心に響くものがありました。
 
古川:悲しく切ない気持ちにもなりましたね。
 
大谷:やるせない気持ちにもなったよね。考えさせられる部分もあるホラー映画だと思いました。
 
古川:親子関係を描いた映画でもあるので、観る人によっては、自分のことを投影して観られるんじゃないかと思います。僕が、役柄について考えていた時に、清水監督の『輪廻』という作品を勧められて、観たんです。『輪廻』も運命や前世、生まれ変わりについて描かれていて、この映画と類似している部分もあったので、すごく怖かったですが、勉強だと思って観ました。清水監督がおっしゃっている、ホラーならではのお芝居の間や表情など、勉強になりました。
 
――ホラーならではの“間”というのは、他のジャンルの作品とは全く異なるものなのでしょうか?
 
大谷:特に怖いシーンは、来るぞ、来るぞ、来るぞという間がどれくらいあるかが、観ている人にとっては、心の準備の時間であり、その間ですら恐怖に変わると思うので、ホラー映画にとってはすごく大事な時間になるんだと思いました。毅は謎の青年役なので、毅が出てくるシーンはすごく映画の要になっている場面になっていて、間を取ることによって、そのシーンにより深みをもたらすことができたんだと思います。
 
古川:僕のキャラクターは、他の人達とは間のつかみ方が違っていたと思います。
 
大谷:私は、犬鳴トンネルを通過する前後で、人格が変わったんじゃないかと思うぐらいキャラクターが変わるので、その二面性については結構考えましたし、自分でも違うキャラクターを演じているんじゃないかというぐらい、考え方が変わっていました。三吉さん演じる奏に診察されるシーンは、明菜のことを不気味に感じてもらえるようにと考えていました。しかも、明菜に起こった出来事は、この映画の一連の事件の始まりでもあり、明菜が最初の被害者になるので、責任重大だと思っていました。
 
――実は、同い年だというふたり。共演シーンは1シーンだけだが、同じ場所で撮影していたこともあり、撮影期間中も、待機場所などで交流があったそう。撮影現場も、劇中の緊張感張りつめる恐ろしさを全く感じない、和気あいあいとした雰囲気だったそうだが、インタビュー中も仲の良さを感じた。最後に、明るく本作を薦めてもらった。
 
古川:ホラー映画なので、恋人同士はもちろん、恋人じゃなくてもデートで観に行くと、終わった後の話題にもなるし。
 
大谷:ふたりの距離が近づきますよ。
 
取材・文/華崎陽子



(2020年2月 5日更新)


Check

Movie Data




(C) 2020「犬鳴村」製作委員会

『犬鳴村』

▼2月7日(金)より、梅田ブルク7ほか全国にて公開
出演:三吉彩花、坂東龍汰、古川毅
宮野陽名、大谷凜香、奥菜恵
須賀貴匡、田中健、寺田農
石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子
監督:清水崇
主題歌:Ms.OOJA「HIKARI」

【公式サイト】
http://www.inunaki-movie.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/177959/


Profile

古川毅

ふるかわ・つよし●2000年2月27日、東京都生まれ。9人組ダンス&ボーカルユニットSUPER★DRAGONのメンバー。2017年からは俳優業も開始。主な出演作に、映画『兄友』、ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」、「ねぇ先生、知らないの?」などがある。


大谷凜香

おおたに・りんか●1999年12月24日、宮城県生まれ。2012年から雑誌「ニコラ」の専属モデルとして活動し、2016年に卒業。また、2015年から情報バラエティ番組「ポケモンの家あつまる?」にレギュラー出演中。主な映画出演作に、『ミスミソウ』などがある。