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中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子が
『嘘八百』のホームタウン堺への愛を語った
映画『嘘八百 京町ロワイヤル』合同取材レポート

2018年にスマッシュヒットを飛ばした、痛快コメディの続編『嘘八百 京町ロワイヤル』が、1月31日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほか全国で公開される。大物狙いで空振りばかりの古物商・小池則夫と、腕は立つのに落ちぶれた陶芸家・野田佐輔のコンビが、前作のロケ地である堺を拠点に、本作ではお宝が眠る古都・京都を舞台に、千利休の茶の湯の後継者で「天下一」と称された武将茶人・古田織部の幻の茶器「はたかけ」を巡ってタッグを再結成。ダブル主演の中井貴一と佐々木蔵之介、武正晴監督らの強力チームが、前作に続いて骨董トリビアを織り交ぜた二転三転するストーリーを紡ぎ、本作のヒロインとして広末涼子が謎の京美人、橘志野役で参加。そんな本作の公開を前に、中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子が作品について語った。

――前作のスマッシュヒットを受けて作られた本作『嘘八百 京町ロワイヤル』ですが、撮影に臨んだ時の心境をお聞かせください。
 
中井貴一(以下、中井):僕と蔵之介君にとっては2本目ということになりますが、前作はお互いが騙し合いながら、共通の敵に向かっていく物語でした。今回は、ふたりの関係性が出来上がった状態からのスタートだったので、前作よりも関係性を作っていくのが楽だったなと思います。関係性から言えば、蔵之介君が作陶担当、、こっちは口で騙してという役で、喋り担当。 (僕が演じた小池則夫は)決して詐欺師ではないんですが、どこか口八丁のような感じで、皆さんに物を買っていただく役柄なので、いかに滑らかに喋ることができるかが今回の一番の目標だったかもしれません。
 
佐々木蔵之介(以下、佐々木):私にとって、この作品のモチベーションとして一番大きいのが、中井貴一さんとバディを組んで喜劇を作ることです。出来上がった作品は、どこか懐かしい感じがして、さらに今回は、“京町ロワイヤル”という副題もついて、ちょっと豪華になったような感じもしつつ(笑)、そんなに豪華になってないんですが、(広末涼子さんという)ヒロインがいらっしゃるのは大きなことです(笑)。役者としては、陶芸家に見えなきゃいけないことが課せられていて、今回は“蹴ろくろ”(足で蹴って回す“ろくろ”のこと)という、見た目は楽しいが、やる方は非常に難しいものを課せられたので、それが役者としてのやりがいになりました。結果的に、面白いものが出来上がったのではないかと思っています。
 
広末涼子(以下、広末):私は、バディが出来上がっていて、役も固まっているおふたりに飛び込むような形でした。続編に出演させていただくという緊張感はありましたが、前作が大好きだったので、光栄で嬉しかったです。今回、おふたりを惑わせて振り回す役でしたので、自分にない女の武器やセクシーさを引き出そうと思って、髪をエクステで長くして、形から入りました。私は茶道とタバコが初めての経験で、チャレンジしながら役と向き合わせていただきました。
 
――前作でもタッグを組まれた中井さんと佐々木さんですが、本作ではプロットの段階から脚本を読んで、製作陣と意見交換されたとお聞きしました。どのような意見交換が行われたんでしょうか?
 
中井:(蔵之介君と)同じことを言ったと思うんです。とにかく、「2匹目のどじょうはいませんよ」ということは、最初にお話が来た時に話しました。前作は撮影日数が16日間で、地獄のような日々でした。お弁当のご飯が縦に立つ勢いなんですよ! ご飯にお箸を入れても入りにくいから持ち上げたら、そのままご飯が全部取れて(笑)、冷え切って固まっていたんでしょう。堺の皆さんには本当に協力して頂いて、弁当は冷たいけど、人の心は暖かいなと皆で話ながら撮影をしていたんです。その時に、2本目ができるなんてふたりとも想像もしていなかったですし、生き残れただけでも良かったと思えるような現場だったので(笑)、「もし続編をやるとするならば、前作を超えるものじゃないと絶対に駄目です、新しいものを1本作るぐらいの気持ちでやらないと駄目だと思います」と言ったと思います。内容についても話したこともあったかもしれませんが、それよりも、生きるか死ぬかの話の方が先に立っていました。
 
佐々木:僕も、プロットの段階で参加したかどうかは覚えていませんが、貴一さんがおっしゃったように、この作品はお金をかけたからといって面白くなる作品ではないですよねと言ったと思います。そうしたら、実際、そんなにお金をかけてくれなくて(笑)。撮影期間は、4日増えて20日間にまで延ばして下さったんですが、そのギリギリ感でやっていく面白さはありました。なんとか、前作を質の面でも量の面でも越えなきゃいけないと思っていました。
 
中井:確かに、その通りなんです。 
 
――1作目の舞台であり、本作でもアジトである「居酒屋土竜」や「ハーベストの丘」などでロケを行った、堺市への印象をお聞かせください。
 
広末:堺に伺うのは初めてでしたが、現場で堺の話がたくさん出ていたので、初めてのような気がしませんでした。バタバタの現場だったのにも関わらず、どこの現場でもたくさんの方が温かく迎えて下さったのが、とても印象的でした。
 
中井:僕らも、堺をどれだけ知っているんだと言われると、仁徳天皇陵も見ていないぐらいなんです(笑)。ホテルから、出発前に「あれ、そうなん?」と見たぐらいで。劇中で、僕たちが集まる「居酒屋土竜」(実際は居酒屋おやじ)が堺にあるんですが、不思議とあの辺りに行くと帰ってきた感はありました。落ち着くというか、やっぱり『嘘八百』のホームタウンは堺なのかな、という感じはしました。
 
佐々木:私も同じですね。帰ってきたな、と今回思いました。前作の時も、父が堺で暮らしていた時期があったので、ここに住んでいたのかと思って散歩をしたりしていたんですが、そういう意味でも懐かしく感じました。大河ドラマ「麒麟がくる」でも、あの時代の堺は、最先端の大港で大都市だったと言われていましたが、その名残も前回のロケで感じましたし、僕の中ではすごく近しい都市ではあります。だから、今回「居酒屋土竜」に帰ってきて、ただいまと言いたくなりましたし、落ち着くなと思いました。落ち着くようなことはあそこで何もしてないんですが(笑)、撮影は大変なので。でも、帰ってきたなという感じはします。
 
中井:先日、自主映画を作っているある若い俳優さんと話をしていたんです。「汚い部屋をひとつ借りて、そこに寝泊まりして、トイレはコンビニで借りるようなロケでした」って言うんで、僕は「変わらへんやん」って言いましたよ(笑)。前作の『嘘八百』の時は、寝るところはさすがにホテルでしたが、ロケ場所にトイレがなくて、コンビニでトイレ借りていましたから。「俺らと変わらへんやん」って言ったら、「えっ、そうなんですか?」と驚くので、「ずっと変わらへんねん。そんなもんは」って言っておきました(笑)。
 
――お話しの中に出てきた、1作目でも2作目でもアジトとして皆が集う「居酒屋土竜」の印象をお聞かせください。
 
中井:あんなにロケのやりづらいところはないんですよ。セットってよく出来ていて、カメラが入って映った時の大きさで作ってくれているんですよね。あの店はもちろん、元々、カメラが入ることを想定して作っていません。そこに移動のレールを引いて、僕らを座らせて、動きをつけて、ワンシーンワンカットで撮ろうとする、その工夫みたいなものが、この『嘘八百』の全てなんです。この「居酒屋土竜」での撮影方法が、『嘘八百』の撮影方法の全てなんです。そういう意味では、堺がホームタウンだという話をしましたが、僕たちやこの映画にとっては「居酒屋土竜」がホームタウンなのかな、という感じはします。
 
佐々木:貴一さんがおっしゃるように、あそこで試行錯誤するのが楽しいんだと思います。下のレールはわかりますが、上にレールを作ったのは初めて見ました(笑)。ぜひ、映画を観たらあの店に行って、どうやって撮影したのか想像してみてください(笑)。
 
広末:この映画を初めて観た時に、ひとりの観客として、これが日本のエンタテインメントだと思いました。ハリウッド映画みたいに宇宙人やAIを相手にするわけでも、CGをたくさん使うわけでもなく、人と人が会話をして、小さい堺というホームタウンで、小さい「居酒屋土竜」というホームで、小さな嘘をいっぱい重ねて騙し合いをする。大掛かりではない作品に、これだけ人を引きつける力があることがとても魅力的で、素敵だと思いました。その中心となる場所が、「居酒屋土竜」であることが、この映画をさらに味わい深いものにしていると思います。
 
――次回作ももちろん、「居酒屋土竜」で撮影ですよね?
 
中井:次はパリで。カフェにしましょう。出発は土竜っていうのはありやな(笑)。
 
取材・文/華崎陽子



(2020年1月30日更新)


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Movie Data



(C)2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会

『嘘八百 京町ロワイヤル』

▼1月31日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほか全国にて公開
出演:中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子
友近、森川葵、山田裕貴、前野朋哉
坂田利夫、木下ほうか、宇野祥平
ブレイク・クロフォード、塚地武雅
桂雀々、吹越満、坂田聡
浜村淳、山田雅人、冨手麻妙
矢野勝也、国広富之
竜雷太、加藤雅也
監督:武正晴

【公式サイト】
https://gaga.ne.jp/uso800-2/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/180031/