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役所広司が20数年ぶりに登場!
豪華俳優陣の登場と浜村節に盛り上がりを見せた
《おおさかシネマフェスティバル2019》イベントレポート

“映画ファンのための映画まつり” 《おおさかシネマフェスティバル2019》が、3月3日(日)大阪市北区のエルセラーンホール(ホテル エルセラーン大阪5F)にて開催され、同イベントのメインプログラムであるベストテン&個人賞の表彰式に主演男優賞の役所広司ら豪華ゲストが出席した。

《おおさかシネマフェスティバル》は、関西で前年中に上映された作品からベストテンおよび個人賞を選出し、毎年豪華ゲストが来場して表彰式を行うなど、大阪の春の風物詩として映画ファンに親しまれ、今年で43年目を迎える映画祭だ。今年も早くから券種によっては売り切れるなど、観客からの期待の高さがうかがえた。
『孤狼の血』で主演男優賞を受賞した役所広司は、監督賞を受賞した白石和彌監督とともに、司会の浜村淳と和やかなトークを展開して会場を盛り上げていた。
 
まずは《おおさかシネマフェスティバル》おなじみ、総合司会の浜村淳が登場し、ワイルドバンチ賞を受賞した『カメラを止めるな!』を代表して登壇したどんぐりを表彰。「一度見たら忘れられない顔ですから(笑)、今後、名脇役として活躍しますから、皆さん応援してあげてください」と浜村節で賞賛していた。
 
監督賞は、昨年の『彼女がその名を知らない鳥たち』に続いて『孤狼の血』の白石和彌が2年連続で受賞。「これはえげつない映画でしたね。この作品でずいぶん賞を獲られましたが、先日の日本アカデミー賞は、『万引き家族』が受賞していましたね。本心では『孤狼の血』の方が面白いのに、と怒っていたんじゃないですか」と浜村が言うと、「いやいやいやいや、是枝横綱監督ですから(笑)。なんとか一矢報いようと思っていたんですが、自分が平幕だと痛感しました」と笑顔で返していた。また、次作について聞かれると白石監督は、「『麻雀放浪記2020』という映画が4月5日から公開されるんですが、若干炎上しております(笑)」と返答。すると浜村が「ぜひ来年も来てください」と言うと、白石監督は「いや、ないですね。面白い映画なんですが、皆に褒められる映画にはなってないです」と苦笑いで語ると、観客席は爆笑の渦に包まれていた。
 
新人女優賞は、『菊とギロチン』、『鈴木家の嘘』の木竜麻生と、『ごっこ』の平尾菜々花が受賞。女相撲が題材となった『菊とギロチン』について、「ショッキングな場面もありますが、楽しい映画でした。でも長いですね」と語りかけると、木竜は「すみません」と恐縮。そして2作品で、まるで異なる演技を披露した木竜に浜村は、「絶対に大きく伸びてくる女優さんですから、頑張ってください。次作を楽しみにしています」と賞賛の言葉を贈っていた。また、撮影当時9歳で、現在12歳の平尾菜々花には、「初めての演技なのに、千原ジュニアより上手かった。度胸の据わった演技でした」と賞賛していた。
 
新人男優賞は、『焼肉ドラゴン』の大谷亮平が受賞。残念ながら仕事の都合で出席できなかったものの、ビデオメッセージで、「『焼肉ドラゴン』は、舞台が(出身地の)大阪で、僕が長い間活動していた韓国の俳優さんとご一緒できて、思い入れの強い作品になりました。本日は授賞式に出席できず、とても残念ですが、今回の受賞を力に変えて今後も頑張っていきたいと思います。ありがとうございます」と観客にメッセージを送っていた。
 
助演女優賞は、『孤狼の血』の阿部純子が受賞。浜村は開口一番、「阿部さんの経歴がすごいんです。北野高校出身で、慶応大学に進まれて、アメリカに留学されたんです」と経歴を披露すると、客席からは拍手とともに「ほぉ~」と賞賛の声があがっていた。
 
助演男優賞は、『孤狼の血』の松坂桃李が受賞。こちらも仕事の都合で出席できず、天野和人プロデューサーが受賞コメントを代読。「本日は舞台の仙台公演中のため、大阪に伺えず申し訳ありません。おおさかシネマフェスティバルで『孤狼の血』がベストワンに輝いたことが何より嬉しいです。色々な要素の詰まったこの映画に日岡(松坂の役名)も僕自身も育てていただきました。初めての白石組では、通天閣の見える素敵な場所でえげつないことをさせられました。今回の作品でもえげつないことをたくさんしました。それを助演男優賞という賞で評価していただけたのであれば、これからも白石さんとは、とことんえげつないことをしていきたいと思います。いつかまたここに戻ってこられるよう、精進して参ります」と観客にメッセージを送っていた。
 
主演女優賞は、『生きてるだけで、愛。』の趣里が受賞。趣里が劇中で演じた役柄について浜村は、「あれは演技ですよね?」と尋ねると、趣里は苦笑いしながら「そうですね」と答えていた。また、趣里の経歴について浜村が尋ねると、「4歳からクラシックバレエをしておりまして、怪我で断念したんです。一時は、(自身が演じた)寧子みたいな時期もあったんですが、バレエを活かしたいと思って、お芝居をやらせていただいています」と趣里が返答。浜村は「バレエがお芝居の役にたっていると、僕は思います。今後の演技を楽しみにしています」と賞賛していた。
 
主演男優賞は、『孤狼の血』の役所広司が受賞。役所が登場すると、会場からはこの日一番の割れんばかりの拍手が送られていた。役所は、「この映画祭に呼んでもらったのが、20何年前に『シャブ極道』という映画で呼んでもらって以来だったので、大阪にはアウトローな役でしか呼んでもらえないのかと思っていました(笑)」と挨拶。そして、『孤狼の血』で演じた警察官でありながらヤクザのような大上の印象を聞かれると、役所は「台本を読んだ時からワクワクしました。僕も楽しんでいましたが、それ以上に面白がっていたのが白石監督です」と答え、名指しされた白石監督は、「役所さんに大上という暴力刑事の役をやっていただけたら、最高の悪い映画ができるなと思いました」と語っていた。ただ、役所としては監督に演出された痰を吐くシーンについて、「何箇所かあったんですが、難しかったですね。監督が、「いい痰をお願いします」と言うんですよ」と難しさを語ると、白石監督は「今は痰を吐く人は少なくなりましたが、昔はたくさんいて、それが僕にとってはかっこよかったんです。僕の映画の中のヒーローはみんな痰を吐いているんです」と痰を吐くシーンへの思い入れを語っていた。
 
花束贈呈やトロフィー贈呈の前にインタビューを始めたり、スペシャルサポーターの方の名前を間違えたり、賞の名称を間違えたり、ご愛嬌のような間違いもあったものの、独特の浜村節に常に笑いが絶えない表彰式だった。
 
取材・文/華崎陽子
 



 

2018年度個人賞
 
【日本映画 個人賞】
主演男優賞 役所広司(『孤狼の血』)
主演女優賞 趣里(『生きてるだけで、愛。』)
助演男優賞 松坂桃李(『孤狼の血』)
助演女優賞 阿部純子(『孤狼の血』)
新人男優賞 大谷亮平(『焼肉ドラゴン』)
新人女優賞 木竜麻生(『菊とギロチン』『鈴木家の嘘』)
      平尾菜々花(『ごっこ』)
監督賞   白石和彌(『孤狼の血』)
脚本賞   瀬々敬久(『菊とギロチン』『友罪』)
撮影賞   月永雄太(『モリのいる場所』)
音楽賞   tofubeats(『寝ても覚めても』)
新人監督賞 野尻克己(『鈴木家の嘘』)
ワイルドバンチ賞『カメラを止めるな!』
 
【外国映画 個人賞】
監督賞   ブラッドリー・クーパー(『アリー/ スター誕生』)
主演男優賞 ラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』)
主演女優賞 サリー・ホーキンス(『シェイプ・オブ・ウォーター』)
助演男優賞 サム・ロックウェル(『スリー・ビルボード』)
助演女優賞 アリソン・ジャネイ(『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』)
 
2018年度ベストテン
 
作品賞(日本映画)『孤狼の血』 
 
作品賞(外国映画)『スリー・ビルボード』
 
日本映画                  
①孤狼の血            
②万引き家族           
③寝ても覚めても         
④日日是好日          
⑤焼肉ドラゴン           
⑤菊とギロチン           
⑦カメラを止めるな!     
⑧モリのいる場所         
⑨愛しのアイリーン       
⑨きみの鳥はうたえる    

外国映画

①スリー・ビルボード
②シェイプ・オブ・ウォーター
③ボヘミアン・ラプソディ
④グレイテスト・ショーマン
④判決、ふたつの希望
④ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
⑦ファントム・スレッド
⑧アリー/ スター誕生
⑨フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
⑩ワンダー 君は太陽

 

(2019年3月 4日更新)


Check
新人女優賞を受賞した木竜麻生
助演女優賞を受賞した阿部純子
主演女優賞を受賞した趣里
主演男優賞を受賞した役所広司

Event Data

《おおさかシネマフェスティバル2019》

日時:3月3日(日) 開場9:30/開演10:00
会場:ホテル エルセラーン大阪

【公式サイト】
http://oocf-net.main.jp/