長澤「今回はヘラヘラしていません」
長澤まさみ、松田龍平、黒沢清監督が登壇した
映画『散歩する侵略者』大阪舞台挨拶レポート
映画『散歩する侵略者』の大阪先行上映会が30日(水)に大阪市内で行われ、本作にて夫婦役で初共演を果たした長澤まさみと松田龍平、そしてメガホンをとった黒沢清監督が舞台挨拶を行った。
本作は、劇団「イキウメ」の人気舞台を映画化したもので、謎の“侵略者”に体を乗っ取られた夫・真治と、夫の不可解な言動に翻弄される妻・鳴海を中心に、“侵略者”の出現により日常や町が徐々に姿を変えていく様を描く、SFでありラブストーリーでもある注目作だ。
長澤は今回演じた主人公・鳴海について、「今回はヘラヘラしていません。大半が怒っている」キャラクターと説明。「怒る感情って体力を使うんで結構ヘロヘロになっていました」と、昨年の夏に行ったという撮影を振り返った。
松田が演じたのは、姿かたちは人間だが中身は初めて地球に来て全然地球のことが分からない侵略者という設定。「宇宙人で侵略者なんですがどこか子どもみたいな感じなんです」と松田はそのキャラクターを説明し、ある日子どもみたいになって帰ってきた夫を長澤演じる妻が戸惑い、怒り続ける描写について、「想像していた以上に長澤さんが怒っていたので、初めはなんでこんなに怒るのかなと思っていましたが、後から考えるとそれは愛情の裏返しなんですよね。興味のない人にはそこまで怒らないですもんね。そういうことに気づいて改めてすごい女優さんだなと思いました」と長澤の演技を絶賛した。
長澤と松田は本作が初共演。お互いの印象について尋ねられると「松田さんは面白い人です。ボソッという一言が周りを和ませる。愛されキャラ」と長澤。それを受けて松田がボソッと「長澤さんは食いしん坊キャラです。冗談ですけど」とコメントすると会場では笑いが起きていた。その後、松田は「今回本当に長澤さんにぐいぐい引っ張ってもらいました。役柄的にもそうなんですが、ぼく自身も宇宙人、侵略者を演じる自由さの中で道しるべのようなものを探していて、それが長澤さん演じる鳴海でした」とコメントした。
最後は、「みんなが知っているなんでもない日常から始まるんですが、それがだんだん奇妙な形に変化していきます。その中でこの二人が演じる夫婦がどうやって変化に気づいていくのか。最後にこの夫婦はどんな結論にたどり着くか。何が待っているのか楽しみにご覧ください」(黒沢)、「日常のなんでもない風景の中に侵略者のような人が散歩しているかもしれないという想像力をかきたてる作品であり、スカッと楽しめるエンタテインメント作でもあると思います。楽しんでご覧ください」(松田)、「本当に大半が怒っている役なんですが“怒り”の裏にある感情が夫婦の物語の見どころかなと思っています。その一方で長谷川博己さん演じるジャーナリストらが織り成す物語も驚きの世界観が広がっています。本当に今まで観たことのない映画だと思います。とにかく楽しんで観ていただけたらと思います」(長澤)とメッセージを贈り、舞台挨拶を終えた。
映画『散歩する侵略者』は9月9日(土)より大阪ステーションシティシネマほかにて公開される。
取材・文/天野あゆみ
(2017年8月30日更新)
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