インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 《大阪アジアン映画祭》を席巻する、新たな才能! ラストイヤー を迎える《CO2》に挑んだ、谷口恒平監督、木村あさぎ監督、 俳優特待生・吉田龍一さんから動画コメントが到着!!

《大阪アジアン映画祭》を席巻する、新たな才能! ラストイヤー
を迎える《CO2》に挑んだ、谷口恒平監督、木村あさぎ監督、
俳優特待生・吉田龍一さんから動画コメントが到着!!

大阪市助成のもと、将来有望な映画の作り手を発掘してきた《シネアスト・オーガニゼーション大阪》(以下、《CO2》)が、今年度の第13回をもって現体制を終了することになった。2004年に発足し、石井裕也監督(『舟を編む』)、横浜聡子監督(『俳優 亀岡拓次』)、西尾孔志監督(『函館珈琲』)らを輩出。2011年度から《大阪アジアン映画祭》にてプレミア上映も行われるようになった《CO2》。2015年度からは俳優特待生制度も設立し、俳優育成にも力を注いできた。

そんな《CO2》のラストイヤーに挑んだのが、谷口恒平監督、木村あさぎ監督、俳優の吉田龍一さんだ。今回は3名に意気込みを聞き、また動画コメントももらった。
 

 

co2_kefei.jpg

おっさんのケーフェイ』で助成企画の座を勝ち取った谷口恒平監督は、『バクマン。』『アイアム ア ヒーロー』といった商業映画のメイキングも担当するなどの経験を持っている。今回の作品は、将来の夢が何もない小学生が、正体不明の“おっさん”と出会い、プロレスラーに憧れていく物語だ。谷口監督は、「学生時代から自主映画を制作してきましたが、今までで一番の自信作。道頓堀プロレスさんにも協力をしていただき、自分が子どもの頃に出会った、何をしているのかよく分からない“おっさん”のことを思い出してプロットを書きました。《CO2》には過去にも何度か応募をしてきましたが、落選してきました。でも現体制はこれで最後と聞いたので、どうしても《CO2》で映画を作りたかった」と念願が叶って、嬉しそうな表情をみせる。
 

co2_hidume.jpg

』を制作した木村あさぎ監督は、18歳の頃に映画に興味を持ち、イメージフォーラム映像研究所を経て、現在は映像作家として活動中。出身地・沖縄と大阪を撮影場所に選んだ『蹄』は、「私、ウシなの」という謎の言葉を残して消えた女性の行方を追うストーリー。木村監督は、「在学中から、一歩踏み出して映画を作りたいと考えていて、そのとき《CO2》のことを知りました。自主制作でありながら、(《大阪アジアン映画祭》での上映後は)劇場公開をちゃんと目標にしていることに、興味を持ったんです。『蹄』は、私自身が幼い頃から体へのコンプレックスがあり、なぜ自分の体が存在しているのかという疑問を抱いていました。姿は変容していくものですが、それを映像として表現したかった」と語った。
 

co2_kashikasurukokoro.jpg

五十嵐皓子監督の『可視化する心たち』は、ある研究で起こった事故により、研究者たちの感情が複雑にもつれていく心理映画。主演を務めた吉田さんは、フリーの俳優として活動中で、ドラマ『科捜研の女12』などに出演している。《第13回CO2》の俳優特待生に選ばれ、本作の主演に抜てきされた。吉田さんは、「台詞がとにかく多くて、画で見せる部分が少ないんです。正直な意見として、僕自身は得意ではない映画。(演技について)後悔も満足もしていません。しかし、やりきれたと思っています。《CO2》は、インディペンデント映画界では一番。関西で俳優活動をしているからには、そう呼ばれているところで一度は活動しておくべきじゃないかと考えたんです」と、俳優特待生のオーディションに参加した理由を振り返った。
 
3作品は今回の《第12回 大阪アジアン映画祭》のインディフォーラム部門で上映され、その後は各自で海外の映画祭や日本でのロードショー公開を目指す。また、本年度で大阪市による助成が終了する《CO2》も、自主運営という形で、企業や個人の支援を募りながら、映画監督・役者の育成事業を継続する予定だ。



(2017年2月25日更新)


Check

Movie Data

『おっさんのケーフェイ』

▼3月6日(月)21:15~
 阪急うめだホール
▼3月10日(金)12:00~
 シネ・リーブル梅田

監督:谷口恒平
出演:川瀬陽太/松田優佑/小林陽翔/埜田進/神保舜莉紋

https://motion-gallery.net/projects/ossannokayfabe

Profile

谷口恒平

たにぐち・こうへい●1988 年京都府生まれ。東京都在住。立命館大学映像学部在学中に『正義の人』『恋するクソ野郎』を監督。『あの娘はサブカルチャーが好き』で《MOOSIC LAB 2013》に参加。卒業後は映画・V シネマ に助監督やメイキングとして参加するほか『本当にあった 投稿闇映像16』を監督。初長編作品『オリーブハウス VS セカイ』を公開待機中。

  

『蹄』

▼3月8日(水)18:40~
▼3月10日(金)14:10~
 シネ・リーブル梅田

監督:木村あさぎ
出演:木村知貴/イシヅカユウ/木村正明/打越梨子/横田光亮

https://motion-gallery.net/projects/hizume_movie

Profile

木村あさぎ

きむら・あさぎ●1994 年沖縄県那覇市生まれ。東京都在住。18 歳での上京時、たまたま観たウルリヒ・ザイドル監督の『パラダイス:希望』がきっかけで映画に興味を持つ。イメージフォーラム映像研究所の卒業制作として、2人の女のドキュメンタリー映像を元に作った短編『鱗のない魚』を監督。今作が初の長編監督作品となる。今好きな映画は、蔡明亮監督の『楽日』。

  

『可視化する心たち』

▼3月4日(土)21:15~
▼3月10日(金)16:20~
 シネ・リーブル梅田

監督:五十嵐皓子
出演:吉田龍一/白河奈々未/申芳夫/伊吹葵/青山雪菜

https://motion-gallery.net/projects/mecha_tele_co2_cf

Profile

吉田龍一

よしだ・りゅういち●1989 年生まれ。大阪府出身。関東・関西を中心に活動している、フリーの俳優。《第13回CO2》助成作品『可視化する心たち』では、主人公・真崎トオル役で出演。近年の出演作は、『インフォ・メン 獣の笑み、ゲスの涙』、第9回沖縄国際映画祭招待作品『Mobo Moga』など。そのほか、ドラマ『科捜研の女12』、岸田國士戯曲賞を受賞した舞台『ゴジラ』にも出演。映画を中心に、ドラマや舞台でも活動の幅を広げている。